種・軸・葉・花は、犬に与えないでください。熟した果肉以外の部分にはシアン配糖体が含まれています。
果肉は、種を取り除いて少量であれば問題ありません。
すでに種ごと飲み込んでしまった場合、噛み砕いていなければ中毒は起こりにくいとされています。ただし詰まるおそれがあるため、体の小さな犬では注意が必要です。

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目次
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犬がさくらんぼの種を食べてしまった時に確認する3つのこと
まず落ち着いて、次の3点を確認してください。動物病院に連絡するとき、そのまま必要な情報になります。
① 丸呑みしたか、噛み砕いたか
最も重要な確認事項です。この違いで、リスクの種類がまったく変わります。
| 丸呑みか、噛み砕いたかでリスクが変わります | |
|---|---|
| 丸呑みした | 中毒は起こりにくいとされています。心配なのは詰まることです。体が小さい犬ほど注意してください。 |
| 噛み砕いた | シアンが放出されるおそれがあります。数や体の大きさによってはすぐに動物病院へ。 |
| 軸や葉も 一緒に食べた |
軸・葉・花にもシアン配糖体が含まれます。量を思い出しておいてください。 |
犬は人のように種を器用によけません。実ごと飲み込むことがほとんどですが、硬いものを噛み砕く癖のある犬もいます。床に落ちた種の殻が割れていないかを確認すると、判断の材料になります。
② いくつ食べたか
1粒なのか、皿ごと食べたのかで対応が変わります。おおよその数を思い出しておいてください。
残っているさくらんぼがあれば、種の大きさを伝えるために取っておくと役に立ちます。
③ 体の大きさ
さくらんぼの種は直径1cmほどの硬い塊です。チワワやトイプードルのような超小型犬では、1個でも腸に詰まることがあります。
子犬、シニア犬、消化器に持病のある犬も、リスクが高くなります。

- 呼吸が速い、苦しそうにしている
- 歯ぐきが鮮やかな赤色になっている
- 瞳孔が開いている、ふらつく
- 繰り返し吐く/食欲がない/便が出ない
- ぐったりしている
上の3つは、種を噛み砕いた場合に起こりうるシアン中毒のサインです。下の2つは詰まりのサインで、数時間から数日後に出ることがあります。
超小型犬が種を飲み込んだ場合は、症状がなくても相談してください。
丸呑みなら中毒は起こりにくい。問題は詰まること
さくらんぼの種にはアミグダリンというシアン配糖体が含まれています。これが体内で分解されるとシアン化水素が生じ、細胞が酸素を使えなくなります。
ただし、この反応が起きるには種が割れている必要があります。
米国の動物中毒管理センターであるPet Poison Helplineは、種を丸ごと、噛まずに割らずに飲み込んだ場合、中毒は予期されないと説明しています。その一方で、ペットの大きさと飲み込んだ種の数によっては、胃腸の不調と消化管異物の可能性があるとしています。
同センターがさくらんぼについて示している毒性レベルは、犬・猫とも「Mild(軽度)」です。
また、人間用に売られているさくらんぼは、野生のものより種のシアン含有量が通常少ないとも述べられています。スーパーで買った佐藤錦やアメリカンチェリーは、この「人間用」にあたります。
つまり、スーパーのさくらんぼを1粒、種ごと飲み込んだ大型犬と、公園に落ちていた桜の実を噛み砕いた超小型犬では、まったく別の話になります。同じ「さくらんぼの種を食べた」でも、必要な対応が違います。
参考:Pet Poison Helpline「Cherry」(外部リンク)
詰まりの症状は、すぐに出るとは限らない
アメリカ食品医薬品局(FDA)は、異物が胃や腸に詰まった場合について、症状がすぐには出ないことがあると注意を促しています。数時間から数日後に、嘔吐、下痢、元気がなくなる、食べたがらないといった症状が現れることがあります。
そのため、その場で何ともなかったとしても、数日は便と食欲を確認してください。種が便に出てきたかどうかも、ひとつの目安になります。
参考:U.S. Food and Drug Administration「Keep Your Dogs and Cats Safe From Holiday Hazards」(外部リンク)
散歩中の桜の実のほうが、注意が必要です
見落とされがちですが、危険度が高いのは、スーパーのさくらんぼではなく公園や街路樹の桜の実です。
さくらんぼも桜も、植物としては同じサクラ属(Prunus)です。Pet Poison Helplineは、この属の植物について熟した果肉以外のすべての部分が有毒とされ、シアンを含むとしたうえで、野生のものは人間用に栽培されたものより種のシアン含有量が多いと述べています。
桜が実をつけるのは5月から6月ごろです。小さな黒い実が歩道に落ちていて、犬が拾い食いすることがあります。実が小さいぶん種も小さく、丸呑みではなく噛み砕いてしまう可能性が高くなります。
落ちている葉や花にも同じ成分が含まれます。桜の季節に拾い食いの癖がある犬は、散歩中に注意してください。
桜の季節の散歩で気をつけたいこと
・落ちている桜の実、花、葉を口に入れないよう注意する
・拾い食いの癖がある犬は、桜並木のコースを避ける
・口に入れたものを取り上げるときは、無理に指を入れない(飲み込ませてしまうことがあります)
・何を食べたか分からない場合も、落ちていたものの種類を確認しておく
犬にさくらんぼを与えていい量の目安
世界小動物獣医師会(WSAVA)は、おやつや主食以外の食べ物を1日に必要なカロリーの10%未満に収めることを推奨しています。ここから逆算します。
文部科学省の日本食品標準成分表(八訂・増補2023年)によると、さくらんぼは国産・米国産(アメリカンチェリー)とも可食部100gあたり64kcalです。
| 体重別・1日に与えていいさくらんぼの上限 | ||
|---|---|---|
| 体重 | おやつ枠 | 果肉 |
| 2kg | 約19kcal | 約29g |
| 5kg | 約37kcal | 約59g |
| 10kg | 約63kcal | 約98g |
| 20kg | 約106kcal | 約165g |
| 30kg | 約144kcal | 約224g |
算出方法:安静時エネルギー要求量(RER)=70×体重(kg)の0.75乗、1日に必要なカロリー=RER×1.6(避妊去勢済みの健康な成犬の係数)として計算し、その10%をさくらんぼのカロリー(64kcal/100g)で割ったものです。種と軸を除いた果肉の重さです。

粒の大きさは品種でかなり違うため、粒数ではなく重さで見てください。
この表は上限であって目標ではありません。さくらんぼは犬に必要な食材ではないので、上限まで与える理由はありません。2〜3粒で十分です。
さくらんぼの栄養は、犬にとって必要か
さくらんぼにはビタミンCやカリウム、葉酸が含まれています。ただし、これらを犬がさくらんぼから摂る必要はありません。
ビタミンCは、犬が自分で作れます
人はビタミンCを体内で合成できないため食事から摂る必要がありますが、犬は違います。
Merck Veterinary Manual は、犬と猫は肝臓でブドウ糖からビタミンCを合成できるため、AAFCOによる食事中のビタミンC要求量は設定されていないと述べています。
「ビタミンCが摂れるから犬にもいい」という説明は、人の栄養学をそのまま当てはめたものです。
ほかの栄養も、総合栄養食で足りています
カリウム、葉酸、βカロテンといった栄養素は、総合栄養食のドッグフードに必要量が含まれています。さくらんぼから追加で摂る意味はありません。
与える理由は「喜ぶから」で十分ですし、与えないという選択も等しく正しいものです。
参考:Merck Veterinary Manual「Nutritional Requirements of Small Animals」(外部リンク)
腎臓病でカリウムの制限を受けている犬には注意してください。さくらんぼは100gあたりカリウム210mg(米国産は260mg)です。療法食で管理している場合は主治医に確認してください。
加工品はどうか
| 生の果肉 (種を除く) |
少量なら問題ありません。種と軸は必ず取り除いてください。 |
|---|---|
| ドレン チェリー |
与えないでください。砂糖漬けにされ、着色料が使われています。 |
| 缶詰の さくらんぼ |
与えないでください。シロップ漬けで糖分が非常に多くなっています。 |
| さくらんぼ ジャム |
与えないでください。砂糖が主成分です。 |
| 桜の葉の 塩漬け |
与えないでください。葉そのものに加え、塩分も問題になります。 |
| 犬用の フリーズドライ |
犬用に作られたものであれば問題ありません。量は守ってください。 |
まとめ
- 種・軸・葉・花は与えない。熟した果肉以外はシアン配糖体を含む
- 果肉は種を取り除けば、少量なら問題ない
- 種を丸呑みした場合、中毒は起こりにくい。心配なのは詰まること
- 噛み砕いた場合はシアンが放出されるおそれがある。呼吸が速い・歯ぐきが鮮紅色ならすぐに受診
- 超小型犬は種1個でも詰まることがある
- 危険度が高いのは、散歩中に落ちている桜の実。野生のものは種のシアン含有量が多い
- 量は体重で決める。5kgで約59g、10kgで約98gが1日の上限。実際は2〜3粒で十分
- ビタミンCは犬が自分で合成できる。栄養目的で与える理由はない
初夏のさくらんぼは、色も香りも犬の興味を引きます。食卓に置いておくと、目を離した隙に皿ごといかれることもあります。
果肉を2〜3粒分けるぶんには構いません。気をつけるのは、種の行き先と、散歩道に落ちている桜の実のほうです。

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