味付けのない生か素焼きのくるみを、ごく少量なら、食べても大きな問題にはなりにくいとされています。
ただしくるみは脂質とカロリーが非常に高く、積極的に与える必要のある食材ではありません。
そして本当に注意すべきなのは「量」よりも「カビ」です。カビの生えたくるみには、犬に震えやふらつき、けいれんを起こすカビ毒が含まれることがあります。

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犬がくるみを食べてしまった時に確認する3つのこと
愛犬がくるみを食べてしまった時は、まず落ち着いて次の3点を確認してください。
① そのくるみにカビは生えていなかったか
最も重要な確認事項です。カビの生えたくるみには、犬の神経に作用するカビ毒が含まれることがあります。
袋の中に残っている他のくるみを確認してください。カビや変色がないか、古い油のようなにおいがしないかを見ます。
庭や公園に落ちていたくるみ、殻付きのまま長期間保管していたくるみは特に注意が必要です。
② 殻ごと飲み込んでいないか
くるみの殻は硬く、消化されません。丸飲みしてしまった場合、のどに詰まる、胃腸を傷つける、腸に詰まるといったおそれがあります。
体の小さな犬ほどリスクは高くなります。
③ 味付けや他の材料が入っていなかったか
人間用のくるみには、塩、砂糖、チョコレートなどが加えられていることがあります。
また、くるみパンやくるみ入りのお菓子にはレーズンが一緒に入っていることが多く、くるみよりもこちらの方が危険です。詳しくはこちらの項目をご覧ください。

- 体が震える/ふらつく/まっすぐ歩けない
- けいれんを起こす
- 繰り返し吐く
- 体温が高い、呼吸が荒い
- 音や接触にいつもより過敏に反応する
症状が出ていなくても、食べた量が多い場合、カビの疑いがある場合、超小型犬・子犬・持病のある犬の場合は、自己判断せず動物病院に相談してください。
「何を」「どのくらい」「いつ」食べたかを伝えられるようにしておくと診察がスムーズです。可能であればパッケージや残りのくるみを持参してください。
犬はくるみを食べても大丈夫?
そもそも少量であれば、犬もくるみを食べて大丈夫です。
もちろん、人間用に味付けされたものはNG。与える時は、味付けがされていない生か素焼きのタイプを選びましょう。
くるみには必須脂肪酸が含まれています。必須脂肪酸は私たちだけでなく、犬にとっても必要な栄養素です。
必須脂肪酸とは、生きていくうえで必要でありながら体内で生成できない脂肪酸の総称です。食品を通じて外部から取り入れる必要があります。
不足すると欠乏症を起こし、体調にも皮膚にも不調が出てきます。
また、くるみに含まれるオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸は犬の皮膚・被毛のツヤとハリを維持し、ポリフェノールによる抗酸化作用も期待できるといわれています。
ただし、これらの栄養素はくるみでなければ摂れないものではありません。リスクを冒してまで与える必要のある食材ではない、というのが率直なところです。
カビの生えたくるみは「震え・けいれん」を起こすことがある
くるみで最も注意すべきなのは、くるみそのものではなくくるみに生えたカビです。
Penicillium(ペニシリウム)属のカビは、くるみ・ピーナッツ・乳製品などに生えると「tremorgenic mycotoxin(振戦誘発性カビ毒)」と呼ばれる物質をつくることがあります。
代表的なものがペニトレムAやロックフォルチンCです。これらは脳に届いて神経の働きを乱すため、犬では次のような症状が出ることが知られています。
- 嘔吐
- 体の震え(じっとしている時の震え、動こうとした時に強くなる震え)
- 音や接触への過敏な反応
- ふらつき、まっすぐ歩けない(運動失調)
- 眼球の揺れ(眼振)
- 心拍数の増加
- けいれん発作
参考:Merck Veterinary Manual「Tremorgenic Neuromycotoxicosis in Dogs」(外部リンク)

犬54頭の報告 — 処置をすれば予後は良好
ドイツの動物病院が報告した研究では、くるみを食べたあとに震え・知覚過敏・高体温・ふらつきを起こした犬54頭の経過がまとめられています。
この報告では、胃の内容物を出すなどの処置を行った場合、予後は良好とされています。慌てず、しかし早めに動物病院に連絡することが大切です。
アメリカのASPCA動物中毒管理センターも、家庭のペットがこのカビ毒を口にする原因のひとつとして、カビたくるみを挙げています。
参考:ASPCA Animal Poison Control Center「Tremorgenic mycotoxin intoxication」(外部リンク・PDF)
くるみの正しい保管
・殻付きのまま常温で長期間置かない
・大袋で買った場合は密閉して冷蔵・冷凍する
・庭や公園に落ちているくるみを拾い食いさせない
・見た目に問題がなくても、古いものは犬に与えない
くるみパンを食べてしまった|量の判断
くるみパンは、くるみ単体とは別の危険があります。確認する順番は次のとおりです。
| 確認する順番 | |
|---|---|
| 1 | レーズンが入っていたか 入っていた場合は、量にかかわらず動物病院へ連絡してください。くるみより先に、こちらが問題です。 |
| 2 | どのくらい食べたか レーズンが入っていなくても、くるみパンはカロリーが高すぎます。下の表で確認してください。 |
| 3 | カビが生えていなかったか 古いパンの場合は、この記事の前半もあわせて確認してください。 |
レーズン入りなら、量にかかわらず連絡を
くるみパンには、レーズンが一緒に入っていることがよくあります。くるみレーズンパン、クッキー、グラノーラなども同様です。
ぶどう・レーズンは犬に急性腎障害を起こします。Merck Veterinary Manual によると、体重4.5kgあたり1粒を超えるだけでリスクが生じるとされています。
くるみのことを心配して様子を見ていたら、実はレーズンのほうが問題だった。これが最も避けたい事態です。
原材料表示を確認してください。
レーズンが入っていなくても、1個は多すぎます
ここが見落とされがちな点です。くるみパンは、レーズンが入っていなくてもカロリーが高すぎます。
日本食品標準成分表(八訂・増補2023年)から計算すると、一般的なくるみパン1個(約70g)はおよそ257kcalです。
内訳:パン生地60g(ロールパン換算309kcal/100g)=185kcal + くるみ10g(713kcal/100g)=71kcal
| 体重別・くるみパンの許容量 | ||
|---|---|---|
| 体重 | 食べていい量 | 1個は何倍か |
| 2kg | 約5g | 13.6倍 |
| 5kg | 約10g | 6.9倍 |
| 10kg | 約17g | 4.1倍 |
| 20kg | 約29g | 2.4倍 |
| 30kg | 約39g | 1.8倍 |
1日に必要なカロリーの10%をおやつの上限として計算。安静時エネルギー要求量(RER)=70×体重(kg)の0.75乗、1日に必要なカロリー=RER×1.6として算出しています。
30kgの大型犬でも、1個はおやつ枠の1.8倍です。
つまりどの体重の犬にとっても、くるみパン1個まるごとは多すぎます。
食べた量別・どうするか
| ひとかけら (5g程度) |
レーズンが入っていなければ、様子を見て構いません。その日のフードを少し減らしてください。 |
|---|---|
| 半分 (35g程度) |
小型犬ではおやつ枠の3倍以上です。下痢や嘔吐が出ないか、その日のうちに確認してください。 |
| 1個以上 | 体重にかかわらず、動物病院に相談してください。脂質の多いものを一度に食べると、膵炎を起こすことがあります。 |
| レーズン 入り |
量にかかわらず、すぐに連絡してください。 |
焼く前のパン生地は別のリスクがあります
焼く前の生地を食べてしまった場合は、くるみやレーズンとは別の問題が起こります。
イースト入りの生地は、暖かく湿った胃の中でさらに膨らみます。膨張した胃が血流を妨げ、呼吸が苦しくなります。さらに発酵によってエタノールが作られ、アルコール中毒にもなります。
パンを焼く家庭では、発酵中の生地から目を離さないでください。
体重別・与えていい量の目安
くるみには「これ以下なら安全」という確立された量はありません。
下の表は毒性の基準ではなく、カロリーから逆算した上限の目安です。おやつは1日に必要なカロリーの10%以内に収める、という考え方に基づいています。
| 体重別・くるみの量の目安 | ||
|---|---|---|
| 体重 | おやつの上限 | くるみのめやす |
| 2kg | 約19kcal | 1粒でも多い |
| 3kg | 約26kcal | 約1粒 |
| 5kg | 約37kcal | 約1粒 |
| 10kg | 約63kcal | 約2粒 |
| 20kg | 約106kcal | 約3〜4粒 |
| 30kg | 約144kcal | 約5粒 |
※「おやつの上限」は、1日に必要なカロリー(避妊・去勢済みの成犬を想定した一般的な計算式:体重から求めた安静時必要量×1.6)の10%として算出しています。
※参考までに1日に必要なカロリーは、2kgで約188kcal、10kgで約630kcal、20kgで約1,059kcalです。年齢・活動量・体調・持病によって変わります。
※くるみは可食部100gあたり674kcal、1粒を約4gとして換算しています。(出典:文部科学省 食品成分データベース)

この表は「この量までなら安全」という意味ではありません。カビていないこと、殻を外して細かく砕いてあること、味付けがされていないことが前提です。表の量を下回っていても、体調に変化があれば動物病院に相談してください。
くるみを与える時の注意点
食べすぎによる肥満
くるみは可食部100gあたり674kcalと、かなりの高カロリーです。
果実の乗っていないショートケーキが100gあたり327kcalですから、その倍以上ということになります。
特に超小型犬は1日に必要なカロリーが200kcalに満たないため、日々のフードに加えて一粒あげるだけでもカロリーオーバーになる可能性があります。
くるみの袋を置きっぱなしにして、ごっそり食べられてしまわないよう、保管には十分な注意が必要です。
消化不良、そして膵炎のリスク
くるみは食物繊維が100gあたり7.5g。食物繊維の多い野菜の代表格であるゴボウ(5.7g)よりも多い数値です。
雑食でも肉食寄りの動物である犬は食物繊維の消化が得意ではないため、多すぎる食物繊維は下痢の原因となります。
さらに注意したいのが脂質です。くるみの脂質は100gあたり68.8gで、生の豚バラ肉(35.4g)の約2倍にあたります。
脂質の多い食べ物を一度に多く摂ると、膵炎を起こすことがあります。膵炎は激しい腹痛や嘔吐を伴い、重症化すると入院が必要になることもある病気です。
もともと脂質の多い食事をしている犬、肥満気味の犬、過去に膵炎を起こしたことがある犬では特に注意が必要です。
くるみを食べたあとに、ぐったりしている・お腹を痛がる・繰り返し吐くといった様子が見られたら、動物病院に相談してください。
丸飲みによる喉つまり
犬は食べ物を丸飲みすることも多いので、丸ごとのまま口に入れて喉に詰まらせてしまう可能性があります。特に小型犬は注意してあげたいところです。
与える時は細かく砕くか、ペースト状にすりつぶしてあげるのが良いでしょう。
他のナッツはどうなの?
| ナッツ別・犬への影響 | |
|---|---|
| マカダミア ナッツ |
与えないでください。犬に中毒症状(脱力・震え・嘔吐・発熱など)を起こすことが知られており、ナッツの中で最も注意が必要です。 |
| くるみ | ごく少量なら大きな問題にはなりにくいものの、高脂質でカビのリスクがあり、積極的には勧められません。 |
| アーモンド | 中毒成分はありませんが、硬く消化されにくいため、のどや腸に詰まるおそれがあります。 |
| カシュー ナッツ |
中毒成分はありませんが、脂質が高く、与えすぎは消化不良や肥満につながります。 |
| ピーナッツ | 中毒成分はありませんが、カビ毒のリスクはくるみと同様にあります。味付け品や誤嚥にも注意が必要です。 |
共通して言えるのは、ナッツ類はどれも脂質が高く、犬の消化に向いていないということです。おやつとして選ぶ必要のある食材ではありません。
まとめ
- 味付けのない生か素焼きのくるみを、ごく少量なら食べても大きな問題にはなりにくい
- ただし脂質・カロリーが非常に高く、積極的に与える必要のある食材ではない
- 最も注意すべきはカビ。カビたくるみには震えやけいれんを起こすカビ毒が含まれることがある
- 殻は消化されない。丸飲みや詰まりに注意する
- くるみパンなどはレーズンが入っていることが多く、そちらの方が危険
- 震え・ふらつき・けいれん・繰り返す嘔吐が見られたら、すぐに動物病院へ
ご主人様が無意識にパクついている謎の木の実に、愛犬が興味を持つのは自然なこと。
可愛い瞳におねだりされると、つい分けてあげたくなる気持ちもよくわかります。だからこそ、与えていい量とリスクを知っておきたいものですね。

ペットのお薬通販『ぽちたま薬局』スタッフのブログです。
このブログではペットのご飯を中心にペットの健康について考えたいと思います。










