いちごは犬に与えて問題ありません。ヘタを取り、小さく切って少量なら大丈夫です。
腎臓病で療法食を食べている犬には、自己判断で与えないでください。療法食はミネラルの量を計算して設計されています。
「いちごは天然のキシリトールが多い」とよく言われますが、その数値には確かめるべき点がありました。この記事で検証しています。
気をつけるのは、生のいちごより「いちご加工品」です。生は100gで31kcalですが、ドライいちごは329kcal。10倍以上になります。

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何粒まで与えていいのか
いちごを犬に与えるときの目安量です。
| 1日あたりの目安量 | |
|---|---|
| 超小型犬 (4kg未満) |
1/2粒程度 |
| 小型犬 (10kg以下) |
1粒程度 |
| 中型犬 (25kg未満) |
2粒程度 |
| 大型犬 (25kg以上) |
3粒程度 |
いちごは糖分とカリウムを含みます。この量は、そこから逆算したものです。
生のいちご100gの内訳は、エネルギー31kcal、糖類の合計5.9g(ぶどう糖1.6g・果糖1.8g・しょ糖2.5g)、カリウム170mg、食物繊維1.4g、水分90.0gです。90%が水分で、果物としては軽いほうです。
ヘタは取り、小さく切ってください

いちごのヘタは硬く、消化もよくありません。必ず取り除いてください。
超小型犬や小型犬では、いちごを丸ごと与えると丸呑みして喉に詰まらせるおそれがあります。カットするか、潰してから与えてください。
加熱する必要はありません。生のまま、小さく切って与えるのがいちばんシンプルです。
いちごのキシリトールは危険なのか
「いちごには天然のキシリトールが多く含まれる」という話を見かけます。キシリトールは犬にとって危険な成分なので、心配になる方も多いはずです。
結論から言うと、いちごのキシリトールを理由に恐れる必要はなさそうです。順に説明します。
「100gあたり350mg」という数値の出所が辿れません
日本語の情報では「いちご100gあたり350mgのキシリトール」という数値が広く使われています。ただし調べたところ、この数値の元になった一次資料にたどり着けませんでした。
さらに、同じ数値を載せている情報の中に、こう注記しているものがありました。
※乾燥した状態100gに含まれている量
いちごの水分は90%です。もしこれが乾燥重量あたりの値なら、生のいちご100gあたりは約35mg。10分の1になります。
食品成分表では「糖アルコール 0g」です
キシリトールは糖アルコールの一種です。日本食品標準成分表(八訂・増補2023年)で、いちごの糖アルコールを確認しました。
| 糖アルコールの含有量(可食部100gあたり) | |
|---|---|
| いちご(生) | 0g |
| もも(生) | 0.3g |
いちごの糖アルコールは0g。桃のほうが多いという結果です。「いちごは糖アルコールのトップクラス」という説明とは噛み合いません。
獣医学の資料が挙げるキシリトール源に、果物はありません
Merck Veterinary Manual がキシリトールを含むものとして挙げているのは、次のような製品です。
- シュガーレスのガム、キャンディ、ミント
- ピーナッツバター、焼き菓子
- 歯みがき粉、マウスウォッシュ
- 日焼け止め、化粧品、デオドラント
- チュアブルのビタミン剤やサプリメント、液状の薬
果物は挙げられていません。いずれも、キシリトールを人工的に添加した製品です。
また、いちごを食べてキシリトール中毒を起こした犬の症例報告も確認できませんでした。
本当に注意すべきはこちらです
いちごそのものより、いちご「味」の加工品のほうが危険です。
いちごジャム、いちご味のヨーグルト、いちご味のお菓子やアイスには、人工甘味料としてキシリトールが添加されていることがあります。「カロリーオフ」「糖質オフ」と書かれた製品には特に注意してください。
キシリトールが入っていなくても、加工品は糖の量がまったく違います。その数値はドライいちご・ジャムは別物ですにまとめました。
こちらは添加量が多いため、実際に中毒が起こりえます。原材料を必ず確認してください。
Merck Veterinary Manual によると、犬では次の量が目安とされています。
- 100mg/kg超 ── 低血糖。嘔吐、脱力、ふらつき、けいれんなど
- 500mg/kg超 ── 重度の肝機能不全や肝不全
低血糖の症状は摂取から30分以内に出ることがあり、吸収が遅い製品では12〜18時間遅れることもあります。肝障害の症状は24〜48時間後に現れることがあります。
ガムや菓子を食べてしまった場合は、症状がなくてもすぐに動物病院へ連絡してください。活性炭はキシリトールをほとんど吸着しないため、家庭でできることはありません。
参考:Merck Veterinary Manual「Xylitol Toxicosis in Dogs」(外部リンク)
ドライいちご・ジャムは別物です
生のいちごは水分が90%で、100gでも31kcalしかありません。ところが加工すると、数字がまるで変わります。

| いちご・可食部100gあたり | |||
|---|---|---|---|
| 種類 | エネルギー | 炭水化物 | カリウム |
| 生 | 31kcal | 6.6g | 170mg |
| 乾 (ドライいちご) |
329kcal | 80.1g | 15mg |
| ジャム (高糖度) |
250kcal | 62.1g | 67mg |
| ジャム (低糖度) |
194kcal | — | 79mg |
ドライいちごは、生の10.6倍のエネルギーがあります。炭水化物は6.6g→80.1gで12倍です。
数字をよく見ると、カリウムだけ減っています
ここが引っかかる点です。乾燥させれば、成分は濃くなるはずです。
いちごの水分は90.0%、ドライいちごは15.4%。水を飛ばした分だけ数えると、固形分はおよそ8.5倍に濃縮される計算になります。
| 濃縮されるはずの量と、実際の量 | |||
|---|---|---|---|
| 成分 | 生 | 8.5倍なら | 実際の乾 |
| 食物繊維 | 1.4g | 約11.9g | 3.0g |
| カリウム | 170mg | 約1,445mg | 15mg |
いちご由来の成分だけが、軒並み足りません。一方でエネルギーと炭水化物は、しっかり増えています。
ここから先は推測になりますが、ドライいちごの多くは砂糖液に漬けてから乾燥させる製法で作られます。成分表の数値は、固形分の多くが果実以外のものであることと整合します。製法まで断定はできませんが、「いちごを濃縮したもの」ではないことは数値から読み取れます。
ドライいちご1枚で、生いちご何粒ぶんか
ドライいちごを5g食べさせると、エネルギーは約16kcal。生いちごなら約53g分にあたります。
「小さいから1枚くらい」が、生のいちごを何粒も与えたのと同じことになります。ドライいちごは、生の代わりになりません。
与えるなら生のいちごを。ヘタを取って、小さく切って、少量で十分です。
ヨーグルトに入れる場合
いちご味のヨーグルトではなく、無糖のプレーンヨーグルトに生のいちごを切って入れるのが確実です。いちご味の製品は、果肉より糖と香料が主体のものがあります。
ヨーグルトそのものの量と選び方は、犬にヨーグルトを与えていい量と種類にまとめています。
出典:文部科学省 食品成分データベース/日本食品標準成分表(八訂)増補2023年(食品番号 07012・07160・07013・07014)。炭水化物成分表(可食部100g当たり)もあわせて参照。
腎臓病の犬に与えるとき
いちごにはカリウムが含まれています(100gあたり170mg)。腎臓病の犬に与えてよいかは、単純に「カリウムが多いからだめ」とは言えません。
腎臓病だからカリウムが高い、とは限りません
Merck Veterinary Manual は、慢性腎臓病の動物について血中カリウム濃度は「低いことも、正常なことも、軽度に高いこともある」としています。栄養状態、併存する病気、投薬の内容によって変わります。
実際、猫では腎臓病にともなって血中カリウムが下がることのほうが多く、筋力の低下(低カリウム血症性多発筋症)が起こることがあります。そのため猫用の腎臓療法食には、カリウムがむしろ添加されています。
犬でも、血中カリウムが高くなるのは主に病気が進行した段階です。
だからこそ、自己判断で足さないでください
療法食は、その犬の状態に合わせてミネラルの量を計算して設計されています。カリウムを抑えている場合も、逆に補っている場合もあります。
そこに食材を足すと、どちらの方向であっても設計が崩れます。
腎臓病と診断されている犬、療法食を食べている犬にいちごを与えたい場合は、主治医に確認してください。「少しだけなら」と自己判断しないことが大事です。
参考:Merck Veterinary Manual「Renal Dysfunction in Dogs and Cats」(外部リンク)
与えないほうがよい犬

| こんな犬には与えないでください | |
|---|---|
| 腎臓病 | 療法食で管理している場合は主治医に確認してください。カリウムを抑えている場合も、逆に補っている場合もあります。 |
| 糖尿病 | 糖分が含まれます。血糖の管理をしている犬には与えないでください。 |
| 心臓病 肥満 |
糖分とカロリーが負担になります。 |
| バラ科の アレルギー |
桃・りんご・さくらんぼで症状が出たことがある犬は、念のため慎重に。人で知られている交差反応が犬でも起こるかは分かっていません。 |
| 子犬 | 消化機能が未発達で、下痢や嘔吐を起こしやすくなります。 |
| 老犬 | 消化機能が衰えていることがあります。どうしても欲しがる場合は、細かく刻むかペースト状にしてごく少量を。 |
「花粉症の犬は注意」について
いちごはバラ科の果物で、人では花粉症との交差反応(口腔アレルギー症候群)が知られています。ただしこれは人についての知見で、犬で同じことが起こるという報告は確認できませんでした。
犬の食物アレルギーの原因食材を集計した研究(297頭)でも、果物は挙がっていません。とはいえ「報告が少ない」は「起きない」ではありません。
初めて与えるときは1/4粒程度にして、その日のうちに様子を見てください。
口のまわりのかゆみ、皮膚の赤み、下痢、嘔吐が出た場合は中止して獣医師に相談してください。
いちごの栄養は、犬にとって必要か
いちごには食物繊維、カリウム、アントシアニン、ビタミンCが含まれています。
ただし、これらの栄養は総合栄養食のドッグフードで足りています。いちごから摂らなければならない栄養はありません。
とくにビタミンCについては、犬は体内で合成できます。Merck Veterinary Manual も、犬猫は肝臓でブドウ糖からビタミンCを合成できるため、AAFCOによる食事中の要求量が設定されていないとしています。
参考:Merck Veterinary Manual「Nutritional Requirements of Small Animals」(外部リンク)
与える理由は「喜ぶから」で十分ですし、与えないという選択も等しく正しいものです。
まとめ
- いちごは犬に与えて問題ない。ヘタを取り、小さく切って少量なら大丈夫
- 目安は超小型犬で1/2粒、小型犬で1粒、中型犬で2粒、大型犬で3粒
- 「いちごはキシリトールが多い」という数値(100gあたり350mg)は、乾燥重量での測定値である可能性が高い
- 生のラズベリーからはキシリトールが検出されなかったという報告もある
- いちごでキシリトール中毒を起こした犬の症例報告は確認できない。過剰に心配する必要はなさそう
- いちご味の加工品には、キシリトールが添加されていることがある
- 腎臓病で療法食を食べている犬は、主治医に確認してから。療法食の設計を崩さないため
- バラ科の交差反応は人の知見。犬での報告は確認できなかったが、初回は少量から
- ビタミンCは犬が自分で合成できる。栄養目的で与える理由はない
- ドライいちごは生の10.6倍のエネルギー(329kcal/100g)。生の代わりにならない
- 乾燥いちごはカリウムが170→15mgに減る。濃縮されたいちごではない
いちごの季節になると、食卓に並ぶ機会が増えますね。赤くて甘い香りは、犬にとっても魅力的に映るようです。
ヘタを取って、小さく切って、1粒だけ。それで十分楽しめます。

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このブログではペットのご飯を中心にペットの健康について考えたいと思います。











