バナナは犬に与えて問題ありません。皮をむいて、小さく切って、少量なら大丈夫です。
ただし果物の中では糖質が多く、カロリーも高めです。体重5kgの犬で1日40gが上限、バナナ半分弱にあたります。
「熱中症の予防になる」という話がありますが、これは誤りです。予防は涼しい環境と水でしか行えません。

犬の食べ物コラム一覧
犬にバナナを与えていい量
世界小動物獣医師会(WSAVA)は、おやつや主食以外の食べ物を1日に必要なカロリーの10%未満に収めることを推奨しています。
日本食品標準成分表(八訂・増補2023年)によると、バナナ(生)は可食部100gあたり93kcalです。
| 体重別・1日の上限 | ||
|---|---|---|
| 体重 | バナナ | 目安 |
| 2kg | 約20g | 1/4本 |
| 5kg | 約40g | 半分弱 |
| 10kg | 約68g | 3/4本 |
| 20kg | 約114g | 1本強 |
| 30kg | 約154g | 1本半 |
算出方法:安静時エネルギー要求量(RER)=70×体重(kg)の0.75乗、1日に必要なカロリー=RER×1.6(避妊去勢済みの健康な成犬の係数)として計算し、その10%をバナナのカロリーで割ったものです。バナナ1本の可食部を約90gとしています。
バナナは果物の中でも糖質が多い部類です
他の果物と比べると、カロリーの差がはっきりします。
・バナナ 93kcal/メロン 45kcal/桃 38kcal/いちご 31kcal(いずれも100gあたり)
いちごの3倍、桃の2.4倍のカロリーがあります。
上の表はカロリーだけで計算した上限です。実際は、輪切りにして2〜3切れで十分です。
与えるときの手順
- 皮は必ずむく── 消化がよくなく、腸に詰まるおそれがあります
- 小さく切る── 犬はよく噛まずに飲み込みます。輪切りか、すりつぶして
- 常温で── 冷蔵庫から出したばかりのものは、それだけで下痢の原因になります
- 初めては一口だけ── まれにバナナでアレルギーが出る犬がいます
アレルギー症状としては、湿疹、じんましん、嘔吐、下痢、目の充血などが見られます。これらが出たら中止して獣医師に相談してください。
「熱中症予防になる」は誤りです

「バナナは犬の熱中症予防になる」という情報を見かけることがあります。これは誤りです。
犬が熱中症になるのは、体温を下げる手段が限られているからです。犬は足の裏にしか汗腺がなく、主にパンティング(浅く速い呼吸)で熱を逃がします。気温と湿度が高いと、この方法では追いつきません。
カリウムを摂っても、体温は下がりません。
- 室温を管理する(エアコンを切らない)
- いつでも水が飲める状態にしておく
- 散歩は早朝か日没後に。アスファルトの温度を手で確かめる
- 車内に置き去りにしない(短時間でも)
- 短頭種・肥満・シニア・厚い被毛の犬はとくに注意
「バナナを食べさせたから大丈夫」と考えて、これらの対策を怠ることが最も危険です。
夏場に食欲が落ちた犬に、水分の多い果物を少し与えること自体は構いません。ただしそれは「予防」ではなく、「食べやすいものを少し」というだけです。
熱中症の初期症状は、激しいパンティング、よだれ、ふらつき、嘔吐です。これらが見られたら、体を冷やしながらすぐに動物病院へ向かってください。様子を見てはいけません。
腎臓病の犬は注意してください
バナナはカリウムが多い果物です。
| カリウムの量(可食部100gあたり) | |
|---|---|
| バナナ | 360mg |
| メロン | 350mg |
| 桃 | 180mg |
| いちご | 170mg |
果物の中でも多い部類です。いちごの2倍以上あります。
ただし「腎臓病だからカリウムを避けるべき」とは、単純には言えません。
Merck Veterinary Manual は、慢性腎臓病の動物について血中カリウム濃度は「低いことも、正常なことも、軽度に高いこともある」としています。栄養状態や投薬の内容によって変わります。
療法食は、その犬の状態に合わせてミネラルの量を計算して設計されています。カリウムを抑えている場合も、逆に補っている場合もあります。
腎臓病と診断されている犬、療法食を食べている犬にバナナを与えたい場合は、主治医に確認してください。「少しだけなら」と自己判断しないことが大事です。
糖尿病、肥満、膵炎の既往がある犬も、糖質とカロリーが負担になります。主治医に相談してください。
バナナを使った手作りおやつ
バナナは加熱しても甘みが残るので、手作りおやつに向いています。
小麦にアレルギーのある犬には、小麦粉を使ったレシピを与えないでください。
犬の食物アレルギーの原因として、小麦は4番目に多いと報告されています(犬297頭中38頭・13%)。米粉を使えば避けられます。
手作りおやつも「おやつ」です。その日のフードの量を調整してください。

バナナの米粉マドレーヌ
油を使わないレシピです。バナナの水分と甘みでまとめます。
材料(マドレーヌ型 約6個分)
- 熟したバナナ:1本(約90g)
- 米粉:100g
- 無糖プレーンヨーグルト:大さじ2〜3
- 卵:1個
- ベーキングパウダー:小さじ1
作り方
- オーブンを180℃に予熱しておく
- ボウルにバナナをちぎって入れ、卵を割り入れる
- バナナをつぶしながらよく混ぜる
- 米粉とベーキングパウダーを合わせてふるい、加えて混ぜる
- ヨーグルトで硬さを調整する(生地をすくって、ぽってりと落ちる程度)
- 型に入れて180℃で20〜25分焼く
- 粗熱を取って完成
ベーキングパウダーはアルミニウムフリーのものを選んでください。入れなくても作れますが、少し詰まった食感になります。
バナナジュースを作る場合
ミキサーにかけるだけですが、牛乳で作らないでください。
犬は乳糖を分解しにくく、下痢を起こすことがあります。犬用ミルク、ヤギミルク、または水で作ってください。
なお、ジュースにすると量の感覚が狂いやすくなります。バナナ1本をジュースにすると、そのまま食べるより一気に飲んでしまいがちです。体重5kgの犬なら、バナナ半分弱が1日の上限であることを思い出してください。
保存について
手作りおやつには保存料が入っていません。冷蔵で2〜3日、冷凍で2週間程度を目安に使い切ってください。
バナナの栄養は、犬にとって必要か
バナナには糖質、食物繊維、カリウム、マグネシウム、ビタミンB群が含まれています。
ただし、これらの栄養は総合栄養食のドッグフードで足りています。バナナから摂らなければならない栄養はありません。
「整腸作用がある」「代謝を助ける」といった説明を見かけますが、これらは人での研究に基づくものです。犬で同じ効果が確認されたというデータは見つかりませんでした。
与える理由は「喜ぶから」で十分ですし、与えないという選択も等しく正しいものです。
まとめ
- バナナは犬に与えて問題ない。皮をむいて、小さく切って、少量なら
- 果物の中では糖質が多い。いちごの3倍、桃の2.4倍のカロリー
- 体重5kgの犬で1日40g(バナナ半分弱)が上限。実際は輪切り2〜3切れで十分
- 「熱中症予防になる」は誤り。予防は涼しい環境と水でしか行えません
- カリウムが360mgと多い(いちごの2倍以上)。療法食の犬は主治医に確認を
- 皮は消化が悪く、腸に詰まるおそれがある
- バナナジュースは牛乳ではなく、犬用ミルクか水で
- 栄養目的で与える理由はない。与える理由は「喜ぶから」で十分
バナナの皮をむいていると、においに気づいて寄ってくる子がいますよね。輪切りを2〜3切れなら、なんの問題もありません。
気をつけたいのは、夏場です。バナナは熱中症対策にはなりません。涼しい部屋と、いつでも飲める水。それがいちばん確実です。

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