ペットの手作りご飯の入門編としまして、「市販のペットフードから手作りご飯に切り替える4ステップ」では、ペットフードのトッピングの材料として食材をいくつか紹介しました。
今回は犬に限定して、与えるべき有益な食材を取り上げてみます。
犬は肉食?雑食?
そもそも論になりますが、犬に与える食材を考える上で、犬の食性が肉食なのか雑食なのかをハッキリさせておく必要があります。
結論を先に申しますと、犬は肉食動物ではありますが、やや雑食寄りの肉食動物です。
事実、犬の祖先であるオオカミも基本的に哺乳類を狩る肉食動物ですが、獲物が得られないときには魚や爬虫類、両生類、死肉を食べたり、トウモロコシやリンゴ、ナシなどの植物も少量食べることがあるそうです。
1万年以上前から家畜化されてきた犬であれば、餌として人間の残飯(デンプン質を含んだ食べ物)に適応し、更に雑食化が進んでいます。
実際、犬は臼歯を上あごに4本、下あごに2本持っています。
また、完全肉食の猫と比較して、体長に対する腸の長さの比率が大きく、野菜などの植物や米などの穀物を消化するのにも十分です。
ただし、犬の唾液にはデンプン質の消化酵素であるアミラーゼがほとんど含まれておらず、やはり基本的には肉食と言えます。
ですので、市販でも手作りでも肉の割合を高くしたご飯が良いようです。
とはいえ、せっかく植物食にも適応しているのですからその恩恵に預からない手はありません。
実際に肉以外にも犬の健康維持に重要な食材がたくさんあるのです。
犬に食べさせたい食材
雑食に近い肉食動物の犬は野菜なども食べることができます。
肉以外の食材から食物繊維やビタミンなど体に良い栄養素を摂取できるのは犬の利点です。
特に犬の必須栄養素であるビタミンEは、光合成をする生物だけが作り出せるため、野菜はぜひ積極的に与えたいところです。
肉類
動物の肉は犬にとって最も重要な栄養素である動物性タンパク質の供給源です。
皮膚や被毛の健康のためには脂質もある程度必要なのですが、豚肉と鶏肉以外の脂肪は必須脂肪酸であるオメガ6とオメガ3をほとんど含まず、与えても余分なカロリーになるだけですので、なるべく脂肪のついてない赤身肉を選ぶようにしましょう。
肉は生で与えることで酵素や乳酸菌を摂取することができますが、豚肉は寄生虫の問題があり、鶏肉はサルモネラ菌の危険があるため、必ず加熱します。
また、週に1回はレバーや腎臓などの内臓を与えることが推奨されます。内臓はタンパク質だけでなくミネラル、ビタミンが豊富です。
タンパク質や脂質・鉄分などがバランスよく摂取できます。
ロースやモモなど、高タンパクで脂質が少ない赤身のお肉がおススメです。
高タンパク高カロリーの代表食材のイメージが強い豚肉。ビタミンB群が豊富含まれており、疲労回復などに効果があります。
脂身の少ないロースであればカロリーや脂質も気になりません。
また豚のヒレ肉は鶏の胸肉に匹敵する高タンパク低カロリーな部位です。
高タンパクで脂質が少なくおススメです。皮を剥がせば更に脂質を少なくすることができます。
脂質やナトリウム、リンやカリウムが含まれており、犬にとっては非常に重宝できます。
手羽先なども、圧力鍋で茹でることで骨が指で折れるくらいまで柔らかくすることができるので、
どの部位もOKと言えます。しかも他の肉に比べてリーズナブル!
高タンパク低カロリー。ビタミンB1・B2・Eが皮膚や被毛を健康に保ち、老化防止も。
またL-カルニチン・不飽和脂肪酸が豊富なため、ダイエットにも最適。
体力維持や涙やけの予防に有効なタウリンも摂取できます。
低カロリーで高タンパク、さらにはエネルギー元となるグリコーゲンが豊富に含まれているため、疲労回復に役立ちます。
また、生肉で与えることもでき、酵素も摂取することができます。
魚類
魚類は良質なタンパク質の供給源であり、必須脂肪酸であるオメガ3を豊富に含んでいます。
オメガ3とはEPA、DHAのことで、抗炎症作用を持ちアトピー性皮膚炎の抑制や関節炎の症状の改善が期待できます。
特に青魚にはオメガ3が豊富ですので、ぜひ与えたところです。
お刺身用の魚でなくても生で与えることができますが、寄生虫の問題があるため、その場合はマイナス20度で20時間以上冷凍したものを解凍すれば安全です。
カルシウムや良質な脂であるオメガ3脂肪酸を豊富に含み、動脈硬化などの生活習慣病を予防します。
DHA、EPA、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンEを含んでおり、体力維持や涙やけの予防に効くタウリンも摂取できます。
良質なタンパク質を含んでいるので、筋力や免疫力を向上させることで代謝活動を促します。
また、低脂肪で消化に良いため、比較的与えやすい食材です。
タンパク質だけでなく、ヨウ素とセレンを含んでおり、アレルギーを起こしにくいのが特徴です。
また、消化にも良いので老犬でも安心して食べさせることができます。
タンパク質や脂肪、ビタミンやミネラルが豊富に含まれており、サンマほどではないですが、DHAやEPAも含まれており、秋刀魚よりカロリーが低いのでヘルシーです。
動物性たんぱく質は魚の中では一番優れており、脂肪分はタイよりも少なく低カロリーです。
鉄分だけでなく、タウリンやビタミンE、EPAやDHAも豊富に含まれおススメです。
野菜
犬も野生の頃は獲物の内臓に残った消化途中の草などから食物繊維やビタミンを摂取していました。
そのため、野菜類はフードプロセッサーなどで細かくして与えてあげると消化しやすくなります。
野菜から摂取できる栄養素は犬にとって様々なメリットがありますので積極的に取り入れたいところです。
できる限り旬な野菜を取り入れましょう。
豊富なビタミンやカロテンが含まれており、胃腸の粘膜の代謝を活発にします。
便秘解消にも効果があり、生でも加熱しても食べさせることができます。
水分が豊富でビタミン類がバランスよく含有されています。
また、イソチオシアネートというがんの予防に効果がある成分が含まれております。
豊富なビタミンと食物繊維、カルシウムの他にラクチュコピクリンという、自律神経を整える成分を含有しており、安眠効果、ストレス解消などの効果があります。
主成分は炭水化物で、他にもビタミンやカリウム、ミネラルなどが含まれており、老化防止や代謝をよくする効果があります。
他の野菜に比べると栄養素が豊富とは言えませんが、ビタミンK、ビタミンC、モリブデンや銅などが含まれています。
水分が豊富に含まれていて、がん予防や肝臓の疾患など様々な効果をもたらします。
リコピンは脂溶性なので、煮込んだり油と一緒に痛めることで吸収力が高まります。
低カロリーで栄養素も高く、歯磨きの効果もあります。
食物繊維やβカロチンも豊富なうえ、生で与えることでデンタルケアの効果も期待できます。
解毒作用、抗菌作用や血液をきれいにする成分イソチオシアネートの他、ビタミンやミネラル、カルシウムや食物繊維が含まれおり、トッピングに最適です。
ビタミンが豊富でがん予防や様々な健康効果に期待できます。
栄養素が豊富ですが、食物繊維が多く含まれているため生のままでは与えないようにしましょう。
ビタミンやカリウムが豊富に含まれ、代謝を調整してくれる効果があります。
抗酸化作用にも優れ、免疫力を高め、様々な生活習慣病の予防にも効果が期待できます。
ビタミンやカリウム、鉄分など栄養素が豊富に含まれています。
香りも良く食いつきも良いのでおススメですが、ちょっとカロリーが高めなのでダイエットには不向きです。
豊富なビタミンCをはじめとするビタミン群や免疫力向上に効果のあるβカロテンを多く含み、様々な健康効果に期待できます。殺菌効果があるため口臭予防にもおススメです。
炭水化物や食物繊維を多く含み、カリウムやビタミンC・ビタミンBなど栄養素が豊富です。
便秘改善や成長効果、がん予防などに効果があり、トッピングやおやつに最適です。
果物
果物はビタミンや食物繊維、カリウムなどのミネラルを多く含んだ栄養満点の食べ物です。
しかし、果物は糖質が多く、与えすぎると肥満や糖尿病の原因に繋がりますので、与えるのは少量に留めておきましょう。
※ブドウは犬にとても有害ですので絶対に与えないように気を付けてください。
ビタミンやポリフェノールがふんだんに含まれているので、老化防止や脂肪を減らす効果があります。
また、リンゴ酸とクエン酸が乳酸を取り除き、筋肉の疲労を回復してくれます。
ビタミンBやビタミンB1、B2、ビタミンCなどのビタミンの他、ミネラルも豊富に含まれています。
フラクトオリゴ糖が便秘改善や腸内環境を整えてくれるため、免疫力の向上に期待できます。
ビタミンCが免疫力の向上、ポリフェノールが老化防止に効果があります。
ただし、キシリトールが含有されているため、与えすぎに注意する必要があります。
主成分はビタミンCやカロテン、ペクチンやポリフェノールが配合されており、免疫力向上やがんの抑制効果に期待できます。
水分が豊富でビタミンやカリウム、アスパラギン酸の他、ショ糖、リンゴ酸、クエン酸が含まれ、疲労効果や消化や吸収を助けることで便通を改善してくれます。
まとめ
これらは犬に有益な食材のほんの一部ですが、これだけ多くの食材があれば、レシピの幅も広がりそうですね。
オメガ3、オメガ6のように特定の種類の食材からしか摂取できなものもありますので、うまく取り入れて手作りご飯を楽しみましょう!
ぽちたま薬局のメルマガ担当。
手術しても再発する愛犬の腫瘍に悩まされていましたが、ご飯を手作りに変えてから病気の改善を目の当たりに。
それから5年、手作りご飯のチカラを信じて毎日レシピとメルマガ企画を考える日々を過ごしています。