総合栄養食のドッグフードを食べていれば、栄養は足りています。他の食材から摂らなければならない栄養は、基本的にありません。
この記事は「与えたほうがいい食材」の紹介ではなく、「与えても大丈夫な食材と、その量」の一覧です。
おやつや主食以外の食べ物は、1日に必要なカロリーの10%未満に。これが世界小動物獣医師会(WSAVA)の推奨です。

犬の食べ物コラム一覧
体重別・食材ごとの量
「少量なら大丈夫」とよく言われますが、その「少量」が何gなのかは、あまり書かれていません。
WSAVAの10%ルールをもとに、34食材を体重別に計算しました。数値はすべて日本食品標準成分表(八訂)増補2023年から取っています。

| 体重別・1日の上限(34食材・カロリーで計算) | |||
|---|---|---|---|
| 食材 | 2kg | 5kg | 10kg |
| 果物 | |||
| いちご | 61g | 121g | 203g |
| すいか | 46g | 91g | 154g |
| メロン | 42g | 83g | 140g |
| なし | 50g | 99g | 166g |
| もも | 50g | 99g | 166g |
| ブルーベリー | 39g | 78g | 131g |
| みかん | 38g | 76g | 129g |
| キウイ | 37g | 73g | 123g |
| りんご (皮なし) |
36g | 71g | 119g |
| かき (甘がき) |
30g | 59g | 100g |
| さくらんぼ | 29g | 59g | 98g |
| バナナ | 20g | 40g | 68g |
| 野菜・いも | |||
| きゅうり | 145g | 288g | 484g |
| だいこん | 126g | 250g | 420g |
| トマト | 94g | 187g | 315g |
| キャベツ | 82g | 163g | 274g |
| にんじん | 59g | 117g | 197g |
| ブロッコリー | 51g | 101g | 170g |
| かぼちゃ (ゆで) |
24g | 47g | 79g |
| さつまいも | 15g | 30g | 50g |
| 肉・魚介 | |||
| たら | 26g | 52g | 87g |
| 鶏ささみ | 19g | 38g | 64g |
| イカ (ゆで) |
19g | 38g | 64g |
| 鶏むね (皮なし) |
18g | 36g | 60g |
| さけ | 15g | 30g | 51g |
| 豚もも (赤身) |
14g | 27g | 46g |
| 牛もも (赤身) |
11g | 22g | 37g |
| 乳製品・その他 | |||
| ヨーグルト (無糖) |
34g | 67g | 112g |
| 牛乳 | 31g | 61g | 103g |
| 木綿豆腐 | 26g | 51g | 86g |
| ゆで卵 | 14g | 28g | 47g |
| ごはん | 12g | 24g | 40g |
| 納豆 | 10g | 20g | 34g |
| プロセス チーズ |
6g | 12g | 20g |
算出方法:安静時エネルギー要求量(RER)=70×体重(kg)の0.75乗、1日に必要なカロリー=RER×1.6(避妊去勢済みの健康な成犬の係数)として計算し、その10%を各食材のカロリーで割ったものです。日本食品標準成分表(八訂・増補2023年)の値を使用しています。重さは、かぼちゃとイカは加熱後、それ以外は生の状態のものです。
この数字は「上限」であって「目安」ではありません
おやつ枠をひとつの食材で使い切ると、他のおやつが与えられなくなります。
実際に与える量は、この半分以下で十分です。目安としては次のくらいです。
・果物なら一口サイズを2〜3個
・野菜なら3cm角を2〜3個
・いちごなら小型犬で1粒
水分の多い食材(トマト、メロン)は、カロリーより先にお腹がゆるくなるほうが限界になります。
2種類あげるなら、合計で考えます
表の数字は1つの食材だけで枠を使い切ったときの量です。実際には何種類かあげることのほうが多いと思います。
体重5kgの犬の枠は1日37kcal。たとえばこう組み合わせると、それだけで埋まります。
| 体重5kgの犬・1日37kcalの使い方の例 | ||
|---|---|---|
| 食材 | 量 | カロリー |
| りんご | 20g(薄切り2枚ほど) | 約11kcal |
| ヨーグルト | 15g(大さじ1) | 約8kcal |
| ゆで卵 | 14g(4分の1個) | 約19kcal |
| 合計 | — | 約38kcal |
りんごを薄切りで2枚、ヨーグルトを大さじ1、ゆで卵を4分の1。これで1日ぶんです。多いと感じるか少ないと感じるかは、ふだん与えている量と比べてみてください。
与えるときの共通ルール
| 初めては 少量から |
アレルギーの有無は与えてみないと分かりません。一口だけにして、その日のうちに様子を見てください。口のまわりのかゆみ、皮膚の赤み、下痢、嘔吐が出たら中止して獣医師に相談を。 |
|---|---|
| 味付けは しない |
人間用の料理は与えないでください。塩分と糖分が多すぎます。とくに玉ねぎが入っている料理は中毒を起こします。 |
| 小さく 切る |
犬は食べ物をよく噛まずに飲み込みます。喉に詰まる大きさで与えないでください。ミニトマトやさくらんぼは半分に切ってください。 |
| 種・皮・芯を 取り除く |
種は詰まります。皮は消化がよくありません。とうもろこしの芯、桃やさくらんぼの種は、腸閉塞の代表的な原因です。 |
| フードの量を 調整する |
おやつを与えた日は、その分フードを減らしてください。足し算だけしていると太ります。 |
| 持病がある 犬は相談を |
腎臓病、心臓病、糖尿病、膵炎の既往がある犬は、療法食の設計を崩さないために、主治医に確認してから与えてください。 |
食材別の詳しい記事

食材ごとに、注意すべき部位や量、食べてしまった時の対処をまとめています。
果物
| いちご | ヘタを取って小さく切れば問題ありません。「キシリトールが危険」という話は、根拠が確認できませんでした。 >>犬にいちごを与えていい量 |
|---|---|
| メロン | 赤肉と緑肉でβカロテンが約26倍違いますが、カロリーと糖分は同じです。種・皮・ワタは取り除いてください。 >>犬にメロンを与えていい量と部位 |
| 桃 | 果肉は問題ありません。種を飲み込んだ場合、本当のリスクは詰まることです。 >>犬に桃を与えていい量 |
| さくらんぼ | 種にシアン配糖体が含まれますが、丸呑みなら中毒は予期されないとされています。 >>さくらんぼの種のこと |
| みかん | 薄皮と白い筋は取り除いてください。柑橘類は種類によって扱いが変わります。 >>柑橘類の種類別の可否 |
野菜
| かぼちゃ | 加熱してやわらかくしてください。スーパーの西洋かぼちゃは、日本かぼちゃの約2倍のカロリーがあります。 >>犬にかぼちゃを与えていい量 |
|---|---|
| とうもろこし | 粒は問題ありませんが、芯は腸閉塞の代表的な原因です。絶対に与えないでください。 >>とうもろこしの芯のリスク |
| トマト | 赤く熟した実は無毒とされています。危ないのはヘタ・葉・茎・青い実です。家庭菜園に注意。 >>犬にトマトを与えていい量 |
乳製品
| ヨーグルト | 無糖のプレーンなら問題ありません。キシリトール入りは避けてください。 >>効く・効かないの整理 |
|---|---|
| チーズ | 種類で塩分が大きく違います。カッテージチーズはモッツァレラの5.7倍、さけるチーズは約11倍のナトリウムを含みます。>>犬にチーズは1日何gまでか |
| 牛乳 | 薄めることには条件つきで意味があります。器の中身を牛乳半分+水半分にするなら乳糖は減ります。 >>犬に牛乳は何mlまでか |
魚介類・その他
| エビ・カニ | 加熱すれば問題ありません。「チアミナーゼが含まれる」という説明は、根拠が確認できませんでした。 >>エビ・カニの検証 |
|---|---|
| イカ | 生は与えないでください。加熱すれば少量は問題ありませんが、消化はよくありません。 >>犬にイカを与えていい形態と量 |
| くるみ | 積極的にすすめられる食材ではありません。カビ毒(アフラトキシン)のリスクがあります。 >>くるみのカビ毒 |
| 骨 | 加熱した骨は与えないでください。縦に割れて鋭く尖ります。硬い骨は歯を折ります。 >>骨の種類別の危険度 |
| 生肉 | すすめられません。FDAの検査では生ペットフード196検体中47検体から細菌が検出されています。 >>犬に生肉を与えていいか |
「与えたほうがいい」わけではありません
ここまで食材と量を紹介してきましたが、これらは「与えなければいけないもの」ではありません。
総合栄養食で足りています
総合栄養食のドッグフードは、犬に必要な栄養素が過不足なく入るように設計されています。ビタミン、ミネラル、たんぱく質、脂質。どれも他の食材から補う必要はありません。
よく見かける「この食材はビタミンCが豊富で免疫力を高める」といった説明には、注意が必要です。
犬はビタミンCを体内で合成できます。Merck Veterinary Manual は、犬猫が肝臓でブドウ糖からビタミンCを合成できるため、AAFCOによる食事中の要求量が設定されていないとしています。
人での栄養学を、そのまま犬に当てはめることはできません。
参考:Merck Veterinary Manual「Nutritional Requirements of Small Animals」(外部リンク)
では、なぜ与えるのか
理由は「喜ぶから」で十分です。
飼い主が食べているものに興味を示す、季節の果物を一緒に楽しむ、夏に水分を摂らせたい。そういう理由で少し分けることに、問題はありません。
大事なのは、「体にいいから」という理由で量が増えないことです。栄養目的で与える必要がないと分かっていれば、自然と適量に収まります。
与えないという選択も正しい
「おやつをあげないとかわいそう」ということはありません。総合栄養食だけで、健康に過ごせます。
とくに持病がある犬、療法食を食べている犬、太り気味の犬では、与えないほうがよい場面が多くあります。
与えてはいけない食材は別記事に

この記事は「与えていい食材」をまとめたものです。与えてはいけない食材については、別の記事に詳しくまとめています。
とくに次の4つは、量にかかわらず、食べてしまったらすぐに動物病院へ連絡してください。
- 玉ねぎ・ネギ類 ── 加熱しても毒性は消えません
- チョコレート・ココア ── ココアの粉がもっとも濃い
- ぶどう・レーズン ── 体重4.5kgあたり1粒超でリスク
- キシリトール ── 30分以内に低血糖を起こすことがあります
まとめ
- 総合栄養食を食べていれば、栄養は足りています
- おやつや主食以外は、1日に必要なカロリーの10%未満に
- 体重5kgの犬なら、かぼちゃ47g、メロン83g、桃99gが上限
- 実際はその半分以下で十分。果物なら一口サイズを2〜3個
- 初めては一口から。味付けはしない。小さく切る。種・皮・芯は取る
- 「ビタミンCが豊富だから体にいい」は、犬には当てはまりません
- 与える理由は「喜ぶから」で十分。与えないという選択も正しい
季節の果物を切っているとき、足元で待っている顔があると、つい分けたくなりますよね。
一口サイズを2〜3個なら、なんの問題もありません。体にいいからではなく、一緒に楽しむために。そのくらいの距離感がちょうどいいのだと思います。

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