犬にチーズを与えること自体は問題ありません。中毒を起こす成分は含まれていません。
ただし種類によってナトリウムが5倍以上違います。
カッテージチーズが最も少なく、プロセスチーズ・パルメザン・6Pチーズは多いほうです。量の目安は体重5kgの犬で1日6g程度(スライスチーズなら3分の1枚ほど)。
心臓病・腎臓病のある犬には与えないでください。塩分の制限がかかっている場合、チーズは想像以上に負担になります。
人間用のチーズでも、種類を選んで少量なら問題ありません。「犬用」でなければならないわけではありません。

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チーズは種類で中身がまったく違う
「犬にはカッテージチーズかモッツァレラチーズを」という説明をよく見かけます。ただ、この2つはまったく違う性質を持っています。
| チーズの種類別(可食部100gあたり) | |||
|---|---|---|---|
| 種類 | kcal | 塩分 (Na) |
Ca |
| プロセス | 313 | 1,100 | 630 |
| モッツァ レラ |
269 | 70 | 330 |
| カテージ | 99 | 400 | 55 |
単位:エネルギーはkcal、ナトリウムとカルシウムはmg。日本食品標準成分表(八訂・増補2023年)より。
塩分で選ぶなら、モッツァレラ
モッツァレラのナトリウムは100gあたり70mg。プロセスチーズ(1,100mg)の約16分の1です。
チーズの中では例外的に塩分が低く、心臓病や腎臓病でナトリウムを制限している犬でも、獣医師に確認したうえでなら選択肢に入りやすいチーズです。
カロリーで選ぶなら、カテージチーズ
カテージチーズは99kcal。モッツァレラ(269kcal)の3分の1ほどです。ダイエット中の犬に向いています。
ただしナトリウムは400mgで、モッツァレラの5.7倍あります。「フレッシュタイプだから塩分が少ない」とは限りません。
プロセスチーズは、どちらも高い
スライスチーズやベビーチーズなど、いちばん身近なプロセスチーズが、実はカロリーも塩分も最も高い種類です。
スライスチーズ1枚(約18g)に含まれるナトリウムは、およそ198mgになります。総合栄養食のフードにもナトリウムは含まれているので、そこに上乗せされる形です。
パルメザンチーズのように塩水を刷り込んで熟成させるタイプは、さらに塩分が高くなります。粉チーズをフードに振りかけるのは避けてください。
種類別・与えていいか
| チーズの種類別・犬への可否 | ||
|---|---|---|
| 種類 | 可否 | 理由 |
| カッテージ チーズ |
◎ | 最も塩分が少なく、脂質も低い。犬に与えるならこれが第一候補です。 |
| モッツァレラ チーズ |
○ | 塩分が比較的少なめ。水分が多く、乳糖も少なめです。 |
| スライス チーズ |
△ | プロセスチーズの一種。1枚そのままは多すぎます。小型犬なら3分の1枚程度に。 |
| 6Pチーズ ベビーチーズ |
△ | プロセスチーズ。1個が約15〜18gと、犬にはかなりの量です。 |
| さける チーズ |
△ | 塩分が多めです。細く裂けるので量の調整はしやすいのが利点。 |
| パルメザン 粉チーズ |
× | 塩分が非常に多い。少量でもナトリウムの量が大きくなります。 |
| スモーク チーズ |
× | 塩分が多いうえ、燻製の工程で味付けが加わっているものがあります。 |
| クリーム チーズ |
△ | 塩分は少なめですが脂質が高い。膵炎のリスクがあります。 |
| ブルーチーズ 青カビ |
× | 塩分が非常に多いため避けてください。ただし「青カビの毒で危険」という説明は、獣医学の記述と食い違います(下記)。 |
「犬用チーズ」でなければならないわけではありません。
種類を選び、量を守れば、人間用のチーズでも問題ありません。犬用の製品は塩分を抑えてある点が利点ですが、カッテージチーズを少量与えるのとリスクは大きく変わりません。
カビが生えたチーズは、種類に関係なく危険です
「ブルーチーズは青カビの毒が危険」という説明をよく見かけます。この説明は、正確ではありません。
ブルーチーズの青カビが作るのはロケフォルチンCという物質です。ただしMerck Veterinary Manual は、ロケフォルチンCはマウスへの投与であまり毒性を示さず、振戦の兆候も観察されなかったとしています。そして「重要な振戦原性物質ではない可能性がある」と明記しています。
では何が危険なのか。ペニトレムAです。
Merckによると、致死例の剖検で脳から検出されたのはペニトレムAだけでした。この物質は血液脳関門を通過できます。
ペニトレムAは、食品にカビ(とくにペニシリウム属)が生えることで作られます。
Merckが挙げている発生源は、くるみ、ピーナッツ、乳製品、パスタ、コンポストです。
症状は嘔吐、よだれ、ふるえ、ふらつき、発熱、けいれん。摂取から1〜2時間で出ることがあります。
つまり問題は「ブルーチーズかどうか」ではなく、「カビが生えているかどうか」です。
冷蔵庫で古くなってカビの生えたチーズを、犬が食べないようにしてください。
種類は関係ありません。スライスチーズでも、プロセスチーズでも、カビが生えていれば同じです。
生ゴミやコンポストに近づけないことも、同じ理由で重要です。
なおブルーチーズを与えない理由は、別にあります。塩分が非常に多いためです。青カビの毒を心配する前に、こちらを理由に避けてください。
参考:Merck Veterinary Manual「Tremorgenic Neuromycotoxicosis in Dogs」(外部リンク)
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犬にくるみは大丈夫?──くるみも、Merckが挙げているカビ毒の発生源のひとつです。
犬にチーズを与えていい量の目安
世界小動物獣医師会(WSAVA)は、おやつや主食以外の食べ物を1日に必要なカロリーの10%未満に収めることを推奨しています。
| 体重別・1日の上限 | |||
|---|---|---|---|
| 体重 | プロ セス |
モッツァ レラ |
カテージ |
| 2kg | 約6g | 約7g | 約19g |
| 5kg | 約12g | 約14g | 約38g |
| 10kg | 約20g | 約23g | 約64g |
| 20kg | 約34g | 約39g | 約107g |
| 30kg | 約46g | 約53g | 約145g |
算出方法:安静時エネルギー要求量(RER)=70×体重(kg)の0.75乗、1日に必要なカロリー=RER×1.6(避妊去勢済みの健康な成犬の係数)として計算し、その10%を各チーズのカロリーで割ったものです。

スライスチーズ1枚で考えると
スライスチーズ1枚はおよそ18gです。表と照らすと、こうなります。
・体重2kgの犬 ── 3分の1枚で上限
・体重5kgの犬 ── 3分の2枚で上限
・体重10kgの犬 ── 約1枚で上限
これは「おやつ枠をすべてチーズで使い切った場合」です。ほかにおやつを与えているなら、そのぶん減らしてください。
脂質と膵炎のこと
チーズのリスクとして、塩分と並んで重要なのが脂質です。
脂肪分の多い食べ物を一度に大量に摂ると、膵炎を起こすことがあります。膵炎は激しい腹痛や嘔吐をともない、重症化すると命に関わる病気です。
普段のフードで管理されている犬が、急に脂肪分の多いものを食べたときに起こりやすくなります。「ちょっとだけ」のつもりが、体重2kgの犬にとってはスライスチーズ1枚が3日分になることを思い出してください。
次のような犬では、とくに注意してください。
- 過去に膵炎を起こしたことがある犬
- 肥満の犬
- 脂質の制限を受けている犬
- シニア犬、消化器に持病のある犬
乳糖はどうか
犬は乳糖を分解する酵素(ラクターゼ)が少なく、牛乳を飲むとお腹を壊すことがあります。
チーズは製造の過程で乳糖の多くが取り除かれるため、牛乳ほどの問題にはなりません。熟成タイプでは発酵によってさらに減ります。
ただし「チーズなら絶対にお腹を壊さない」とは言えません。乳糖が完全にゼロになるわけではなく、そもそも脂質の多さだけでも下痢の原因になります。初めて与えるときは少量にしてください。
乳製品アレルギーがある犬の場合は、乳糖の量に関係なく反応します。与えないでください。
混ざっていると危ないもの

チーズそのものより注意したいのが、加工品に混ぜられているものです。
| チーズ製品で気をつけたい材料 | |
|---|---|
| レーズン ドライ フルーツ |
絶対に与えないでください。ぶどう・レーズンは犬に急性腎障害を起こすことが知られています。おつまみ用のチーズによく入っています。 |
| ガーリック オニオン |
与えないでください。ネギ類は犬に中毒を起こします。味付きのクリームチーズやディップに使われています。 |
| ナッツ入り | 避けてください。ナッツは脂質が非常に高く、種類によっては別のリスクもあります。 |
| 燻製・ スモーク |
避けてください。塩分がさらに高くなっています。 |
| カビの タイプ |
避けてください。ブルーチーズなどは塩分が高く、犬に与える理由がありません。 |
チーズを渡すときは、必ず原材料を確認してください。「チーズだから大丈夫」と思い込んで、レーズン入りのものを渡してしまう事故が起こりえます。
チーズが役に立つ場面
薬を飲ませるとき
錠剤を嫌がる犬は少なくありません。においに敏感なぶん、フードに混ぜても薬だけきれいに残すことがあります。
チーズで錠剤を包むと、においが隠れて飲んでくれることがあります。投薬に苦労している場合は試してみてください。
使う量はごく少量で済むので、カロリーや塩分の心配も小さくなります。
しつけのごほうびとして
チーズは犬にとって嗜好性が非常に高い食べ物です。日常的に与えていると、普通のおやつに見向きもしなくなることがあります。
だからこそ、特別な場面にとっておくほうが効果的です。苦手なことを我慢できたとき、何かを頑張ったときのごほうびにすると、次への動機づけになります。
食欲がないとき
においの強さを利用して、食欲が落ちているときにフードの香りづけに使う方法もあります。フードと一緒に密閉袋に入れて、においを移すだけでも食いつきが変わることがあります。
まとめ
- チーズは犬に与えて問題ない。ただし種類で中身がまったく違う
- プロセスチーズは塩分がモッツァレラの約16倍(1,100mg vs 70mg)
- 塩分で選ぶならモッツァレラ、カロリーで選ぶならカテージチーズ
- 「フレッシュタイプ=低塩分」ではない。カテージはモッツァレラの5.7倍
- スライスチーズ1枚は、体重2kgの犬には3日分にあたる
- 脂質が多く、膵炎のリスクがある
- 乳糖は少ないが、ゼロではない。初回は少量から
- レーズンやガーリック入りのチーズは絶対に与えない
- 薬を飲ませるときや、しつけのごほうびとして使うと効果的
チーズを出すと足元に飛んでくる、というのは多くの飼い主さんが経験していることですよね。あの反応を見ると、つい一口あげたくなります。
一口あげること自体は問題ありません。気をつけるのは「どのチーズか」と「どれくらいか」の2点だけです。
犬用のチーズという選択肢
塩分とカロリーを調整した犬用のチーズなら、量の計算に悩まずに済みます。
ぽちたま薬局では、ふりかけタイプの犬用チーズを取り扱っています。いつものフードに手軽にトッピングでき、食欲がないときや服薬の補助としても使えます。

ペットのお薬通販『ぽちたま薬局』スタッフのブログです。
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