真っ白な被毛が印象的な「マルチーズ」。
そんなマルチーズは、一般的に小型犬がなりやすいとされる病気に注意が必要です。
こうした病気の症状や治療費のほか、病気を防ぐ予防法や愛犬の健康のために意識したいポイントについて紹介します。
愛犬の長生きのために役立つ情報を探している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
マルチーズの特徴・性格
マルチーズは、純白のシルクのような美しい被毛が特徴。
その名称は、原産地である地中海に囲まれた「マルタ島」に由来しています。
体高20~25cm、体重3~4kgほどの小型犬で、用心深い性格のため、些細なことでよく吠えてしまいがち。
飼い始めたら、きちんと無駄吠えや要求吠えをしないよう教えることが大切です。
また、被毛が真っ白であるため、目の周りの汚れがとても目立ちます。
飼い主さんによる毎日のケアが欠かせないことも、マルチーズの特徴といえるでしょう。
マルチーズの平均寿命は13.6歳
マルチーズの平均寿命は13.6歳で、人間でいうと70歳ほど。
小型犬としては平均的であるといえます。
犬の年齢まとめ表
なお、ギネス記録は見つかりませんでしたが、国内で確認された最高齢のマルチーズは、24歳ともいわれています。
マルチーズの病気のなりやすさは『中程度』
犬種ごとの年間診療費から、病気のなりやすさを試算してみると、マルチーズは中程度(Bクラス)となりました。
ただし、上記の表をみると、中程度のなかでも病気リスクは高いほうに位置していることがわかります。
そのため飼い主さんは、愛犬の体調の変化に対して、常に目を光らせておく必要がありそうです。
マルチーズがなりやすい病気ランキング
ペット保険の請求実績をもとに算出した、マルチーズの病気ランキングはこちらです。
ランキングを見ると、マルチーズ特有の病気というよりも、小型犬が一般的に発症しやすいといわれている病気が多いです。
具体的な病気でみると、以下のようになります。
病名 | 病気の特徴 | おもな症状 | 治療法 | 予防法 |
---|---|---|---|---|
外耳炎 | 外耳に炎症が起きて痒みなど不快な症状が出る | ・かゆみ ・赤み ・耳の悪臭 ・耳垂れ |
・点耳薬 ・耳洗浄 |
・適切な耳掃除 ・ノミ・ダニ予防 |
僧帽弁閉鎖不全症 | 心臓の僧帽弁に異常が起きて血液が逆流する | ・心雑音 ・咳など |
・血管拡張薬 ・強心剤 ・利尿剤 |
早期治療で寿命を延ばす |
流涙症 | 涙が過剰に出て被毛の変色や炎症が起こる | ・被毛の変色 ・炎症 |
・洗浄 ・鼻涙管のマッサージ ・手術 |
・目の周りのケア ・目の周りの被毛を短くカットする |
眼瞼炎 | 眼瞼(まぶた)に炎症が起きる | ・目の腫れ ・赤みなど |
・抗生剤 ・抗真菌薬 ・寄生虫駆除薬など |
・エリザベスカラーで搔き壊しを防ぐ ・早期治療で進行を抑える |
気管虚脱 | 気管が変形して呼吸に支障が出る | ・咳 ・喉からの異音 |
・気管支拡張薬 ・咳止め ・手術など |
・ハーネスの利用 ・激しい呼吸を避ける ・肥満を予防する |
膝蓋骨脱臼 (パテラ) |
ひざの骨が脱臼する | ・後ろ足をつけない ・関節が伸ばせない ・歩行異常 |
・鎮痛剤 ・サプリメント ・運動制限や減量 ・手術 |
・肥満を避ける ・床に滑り止めを施す |
参考
アニコム家庭どうぶつ白書(外部リンク)
犬の遺伝性疾患について|公益社団法人埼玉県獣医師会(外部リンク)
1位:耳の病気
マルチーズは垂れ耳であるうえに、耳の中の被毛が多いため通気性が悪く、耳の病気になりやすいとされます。
とくに、多くの犬がかかる外耳炎には注意が必要です。
外耳炎
外耳炎は、耳の入り口から鼓膜付近までの「外耳(がいじ)」という部位に炎症が起こる病気です。
この病気は、犬種を問わず多くの犬が悩まされる病気で、アレルギーやアトピーから誘発されるケースや、細菌・寄生虫が原因であることもあります。
おもな症状としては、かゆみや赤み、耳の悪臭、耳垂れなどが起こります。
治療法は、鼓膜付近まで洗浄して汚れを取り、点耳薬で炎症を抑える方法が一般的です。
そんな外耳炎を防ぐには、適切な耳掃除により汚れをためないことが重要です。
また、寄生虫が原因となるケースもあるため、毎年のノミ・ダニ予防は欠かさずおこなうようにしましょう。
外耳炎
- 治療法:点耳薬、耳洗浄
- 治療費:およそ19,000円(年間)
- こんな症状に注意!
耳を痒がる、耳が臭い、耳垢が増える、頭をよく振る
2位:循環器の病気
一般的に小型犬は、心臓病のリスクが高い傾向にあります。
マルチーズも例外ではなく、なかでも僧帽弁閉鎖不全症という心臓の病気に注意が必要です。
僧帽弁閉鎖不全症
僧帽弁閉鎖不全症は、心臓内の僧帽弁に異常が起こり、血液が逆流してしまう病気です。
放置すると命を落とす危険があり、シニア期の小型犬がとくに発症しやすいとされます。
初期ではほとんど症状はありませんが、だんだん心雑音が聞こえるようになり、咳をする様子もみられるようになります。
さらに悪化すると心臓の肥大や肺水腫を起こし、心不全に陥る危険もあります。
治療薬には血管拡張薬、強心剤、利尿剤があり、これらを組み合わせて治療をおこないます。
なお、この病気を完全に予防することは困難です。
しかし、いち早く治療をすれば寿命を延ばせることが報告されているため、健康診断などで早期発見を心がけることが重要になります。
僧帽弁閉鎖不全症
- 治療法:血管拡張薬、利尿剤の使用など
- 治療費:およそ170,000円
- こんな症状に注意!
咳をする、あまり動かなくなる
参考
ベトメディン|ベーリンガーインゲルハイムベトメディカ社(外部リンク)
3位:目の病気
マルチーズは、目の病気にも注意が必要です。
なかでも流涙症や眼瞼炎になりやすいため、普段から目に異変がないか観察してあげましょう。
流涙症
流涙症は、涙が過剰にあふれて炎症などが起こる病気です。
目の周りが黒っぽい赤褐色に変色する、いわゆる「涙やけ」の状態になるため、被毛が真っ白なマルチーズはとくに目立ちます。
目と鼻を通る鼻涙管が詰まって涙が過剰に出るケースでは、鼻涙管の辺りをマッサージして症状改善を促します。
また、目にまつ毛が刺さって涙が出ているなら、外科手術で原因を除去することもあります。
予防するには、目の周りの被毛を短くカットして、毎日のケアを続けることが有効です。
流涙症
- 治療法:涙を拭き取る、鼻涙管のマッサージなど
- 治療費:およそ21,000円
- こんな症状に注意!
涙があふれる、目周りの被毛が変色する
眼瞼炎
眼瞼(がんけん)とはまぶたのことで、眼瞼炎はまぶたに炎症が起こる病気をさします。
目の腫れや赤みが出ることが多く、なかにはまぶたの痙攣や痛み、脱毛、涙を流すといった症状もあらわれます。
放置すると目を掻くことで傷ができ、さらに悪化してしまうため、早めの治療が必要です。
治療法は原因によって異なり、原因が細菌感染なら抗生剤、真菌(カビ)なら抗真菌薬、寄生虫感染なら寄生虫の駆除薬というように、原因に応じたお薬が使われます。
確実な予防策はありませんが、もし目に異常が出て愛犬が気にしているようなら、エリザベスカラーで掻き壊しを防ぎつつ、早めに受診しましょう。
眼瞼炎
- 治療法:抗生剤、ノミ・ダニ予防薬など
- 治療費:およそ18,000円
- こんな症状に注意!
まぶたが腫れぼったい。まぶたが赤い、涙が多い
4位:呼吸器の病気
小型犬は、小さな体ゆえに気管が狭く、呼吸器の病気にかかりやすいとされます。
なかでもマルチーズは、気管虚脱という呼吸器疾患に要注意です。
気管虚脱
気管虚脱とは、気管が変形して呼吸がしにくくなる病気です。
マルチーズのような短頭種に多く、頻発する乾いた咳や、喉からの「ブーブー」「ガーガー」といった異常な呼吸音が特徴です。
完治を目指すなら手術が必要となりますが、軽度の場合や手術を望まないときは、気管支拡張薬や咳止めなどをもちいた内科的治療が選択されます。
この病気は、気管への負担を避けることが大切です。
首輪ではなくハーネスを使用する、高温多湿や過度な興奮を避けて呼吸が激しくならないようにする、適正体重を維持するなどにより、しっかり予防してあげましょう。
気管虚脱
- 治療法:内服薬、手術
- 治療費:およそ65,000円
- こんな症状に注意!
咳をする、呼吸時に異音がする
5位:筋骨格の病気
マルチーズは、骨や関節の病気にも注意が必要です。
とくに「パテラ」と呼ばれる膝蓋骨脱臼の発症リスクが高いため、注意しましょう。
膝蓋骨脱臼(パテラ)
膝蓋骨脱臼は、膝の正常な位置から膝蓋骨(ひざのお皿のような骨)が外れる病気で、「パテラ」とも呼ばれます。
遺伝的な要因が強く、とくに小型犬は子犬のころに発症することが多いようです。
この病気になると、後ろ足をつけない、関節が伸ばせない、歩行異常がみられるといった異変が起こります。
治療法としては、鎮痛剤やサプリメントを活用しながら、運動制限や減量をおこなう保存療法のほか、根治を目指す外科手術があります。
予防するには、膝への負担を減らすことが最も重要です。
もしパテラをもった子をお迎えするときは、肥満を避ける、床が滑らないように工夫する、足裏をこまめにカットするといった対策を心がけましょう。
膝蓋骨脱臼(パテラ)
- 治療法:鎮痛剤、運動制限、手術など
- 治療費:およそ80,000円
- こんな症状に注意!
後ろ足をひきずる、うまく歩けない
▼犬種別かかりやすい病気を見る▼
マルチーズに多い死因
マルチーズに特化したデータはありませんが、犬に多い死因に関する調査では、以下のような結果となっています。
- 腫瘍
- 循環器系の疾患
- 泌尿器系の病気
人間と同じように、犬も死亡する原因としては「腫瘍」が多いようです。
2位は循環器の病気となっており、これにはマルチーズがなりやすい心臓病も該当するため、注意する必要があります。
些細な変化にも気づけるよう、日ごろから健康チェックを欠かさないようにしたいですね。
参考
動物病院カルテデータをもとにした日本の犬と猫の寿命と死亡原因分析(外部リンク)
マルチーズの健康寿命を延ばすポイント
愛犬の健康を守るためには、具体的に何をすればよいのでしょうか。
ここからは、マルチーズの健康寿命を延ばすために意識したい、4つのポイントについてみていきましょう。
耳・目周りのケアをする
マルチーズは耳や眼の病気になりやすいため、しっかりケアしてあげることが大切です。
- ガーゼやコットンに洗浄液を含ませる
- 耳の入り口を優しく拭き取る
このとき、綿棒で無理やり奥まで掃除しようとすると、かえって汚れを押し込んでしまうことがあります。
耳掃除には、ガーゼやコットンを使うのがおすすめです。
なお、しっかり奥まで掃除したいときは、専用の洗浄液を耳にたっぷり入れておこなう方法もあります。
>>ビルバック製のイヤークリーナーはコチラに取り扱いがございます
また、耳とあわせて目周りもケアしてあげましょう。
- お湯に濡らしたコットンを用意する
- 毛を逆立てるように拭き取る
涙や汚れが皮膚にとどまって炎症を起こさないよう、毛を逆立てて根本からしっかり拭き取るのがコツです。
なお、目周りをケアする際は、鼻涙管の詰まりを解消するように、鼻の付け根から目頭の近くを優しくマッサージしながらおこなうとより効果的です。
また、目頭の被毛を短くカットしておくと、さらにケアが楽になります。
アレルゲンを避ける
マルチーズは、アレルギーが起きやすい犬種です。
原因となるアレルゲンは、なるべく遠ざけてあげましょう。
たとえば、こまめに部屋の掃除をして、ホコリやダニを減らすことは大事なアレルギー対策の1つです。
また、ほかにもアレルギーを示すものがないか、注意深くチェックすることも大切。
「これを食べると体をよく掻く」「このおもちゃを使うと口の周りが痒そう」など、愛犬の様子をよく観察してみましょう。
年1~2回の健康診断は欠かさない
マルチーズが注意したい病気のなかには、心臓病のように初期段階では異変に気づきにくいものがあります。
早期に治療をスタートさせて健康寿命を延ばすためにも、定期的な健康診断は欠かせません。
1歳を過ぎたら年に1回、シニア期は年に2回の健康診断を受けるのが理想的です。
マルチーズは小型犬特有の心臓病や呼吸器の病気に注意
マルチーズが注意すべき病気をみてみると、犬種特有の遺伝性疾患というよりは、一般的に小型犬が注意すべき病気のリスクが高いことがわかります。
外耳炎や流涙症のような病気だけでなく、心臓病や呼吸器の病気といった命に直結する病気にも注意が必要です。
愛犬の健康寿命を延ばすためにも、定期的な健康診断や日常的なケアを大切にして、早期発見を心がけましょう。
ペットのお薬通販『ぽちたま薬局』スタッフのブログです。
このブログではペットのご飯を中心にペットの健康について考えたいと思います。