ジャックラッセルテリアは、とても元気で活発な小型犬です。
活発だからこそ、ケガや足腰の病気に注意しなければなりません。
年齢別にみると、子犬期からシニア期にわたって以下のような病気になりやすい傾向にあります。
この記事では、ジャックラッセルテリアが注意すべきケガや病気について紹介します。
他にも発症した際にみられる症状や予防方法なども紹介するので、愛犬の健康を守りたい飼い主さんは参考にしてください。
目次
ジャックラッセルテリアの特徴・性格
原産国 | イギリス |
---|---|
サイズ | 小型犬 |
体高・体重 | 25~30cm・5~6kg |
毛質 | ダブルコート |
身体的特徴 | 体高より体長がやや長い 骨太で筋肉質 |
平均寿命 | 約14.5歳 |
病気のなりやすさ | 低い |
気をつけたい病気 | 咬傷・外傷、十字靭帯損傷・断裂、アレルギーなど |
ジャックラッセルテリアは、細身でありながら筋肉質な体格が特徴。
体重5~6kgの小型犬で、垂れ耳と半直立耳(半分垂れている耳)の2タイプがいます。
好奇心旺盛で友好的な性格ですが、冷静沈着な面も。
大型犬並みにエネルギッシュなので、十分な運動量を確保する必要があります。
ジャックラッセルテリアの平均寿命は14.5歳
ジャックラッセルテリアの平均寿命は14.5歳で、人間でたとえると74歳ほど。
犬全体の平均寿命からみても、長生きしやすい傾向があります。
犬の年齢まとめ表
最高齢のギネス記録はありませんが、日本では21歳が最高齢との情報もあるようです。
ジャックラッセルテリアは病気になりにくい
犬種ごとの診療費で病気のなりやすさを調べると、ジャックラッセルテリアは病気になりにくいと考えられます。
他の犬種と比べると、とくに注意すべき病気はそれほど多くありません。
体が丈夫な犬を迎えたいと思う方にとっては、最適な犬種といえるでしょう。
ジャックラッセルテリアがかかりやすい病気・ケガ
ペット保険の請求実績を参考に、ジャックラッセルテリアが注意したい病気やケガはこちらです。
ジャックラッセルテリアは活発で動きが激しいので、筋骨格の病気やケガが多い傾向があります。
またアレルギーも起こしやすいので、皮膚の病気にも注意が必要。
詳しくは以下のとおりです。
病名 | 病気の特徴 | おもな症状 | 治療法 | 予防法 |
---|---|---|---|---|
咬傷・外傷 | ケンカによる傷や強い力がかかって爪が折れるなど | ・出血 ・傷口が膿むなど |
・消毒、塗り薬 ・抗生剤、抗炎症剤 ・皮膚縫合 |
・激しいケンカをさせない ・定期的に爪を切る |
アレルギー | アレルゲンに免疫が過剰に反応して皮膚炎などがおこる | ・皮膚のかゆみや赤み ・下痢、嘔吐など |
・食事療法 ・シャンプー ・室内の掃除など |
・こまめな掃除 ・アレルゲンの除去 |
ノミ・マダニなどの 外部寄生虫症 |
ノミやマダニなどの寄生虫に噛まれて皮膚炎がおこる | ・皮膚のかゆみ ・皮膚の炎症 ・脱毛 |
・ノミ・ダニ駆除薬 | 毎年のノミ・ダニ対策を欠かさない |
タンパク喪失性腸症 | 腸の炎症などで腸粘膜からタンパク質が漏れ出す | ・慢性的な下痢 ・体重減少 ・嘔吐 ・脱水 |
・抗炎症薬 ・免疫抑制剤 ・食事療法 |
早期発見を心がける |
十字靭帯損傷・断裂 | 後ろ足の十字靭帯が損傷して歩行に異常を来たす | ・片足を浮かせる ・歩き方がおかしい ・ふらふらする |
・手術 | ・肥満予防 ・床の滑り止め |
肥満細胞腫 | 免疫細胞の一種である肥満細胞が腫瘍化する | ・しこりができる | ・外科手術 ・放射線治療 ・内科治療 |
日々しこりがないかチェックする |
肝炎 | 肝臓に炎症が起きて細胞が壊死する | ・元気がない ・食欲低下 ・嘔吐、下痢など |
・点滴 ・制吐剤 ・抗生剤など |
・ワクチン接種 ・拾い食いを防ぐ |
遺伝性消化管 ポリポーシス |
JRT特有の遺伝性疾患で、胃や腸にポリープができる | ・嘔吐 ・血便 ・貧血など |
・除去手術 | 早期発見を心がける |
参考
アニコム家庭どうぶつ白書(外部リンク)
咬傷・外傷
先述のとおり、ジャックラッセルテリアはエネルギッシュで活発なので、傷を負いやすい犬種です。
とくに多いのが、ケンカなどで噛まれてできる咬傷や、強い力が加わって爪が折れる爪折れです。
傷口から細菌に感染すると膿んでしまうため、放置をせず、適切な処置をする必要があります。
まずは消毒や塗り薬で治療をおこない、傷が深い場合は抗生物質や抗炎症薬をあわせて使用します。
皮膚が大きく裂けているケースでは、皮膚縫合で傷口をふさぐ処置がおこなわれます。
できるだけケガをさせないように、犬同士の激しいケンカをさせないこと、定期的に爪切りをして爪折れを防ぐことを心がけましょう。
咬傷・外傷
- 治療法:消毒、塗り薬
- 治療費:およそ18,000円(年間)
- こんな症状に注意!
傷をしきりに舐める、出血している
アレルギー
アレルギーは、免疫機能が過剰に反応して、皮膚炎などのさまざまな症状があらわれる病気です。
アレルゲン(原因物質)となるのは、以下のようなものが挙げられます。
アレルゲン | 具体的な例 |
---|---|
食べ物 | 牛肉・鶏肉・豚肉・乳製品などのたんぱく質 小麦・とうもろこしなどの植物性たんぱく質 |
植物 | スギ(2~4月) ヒノキ(3~5月) イネ(5~10月) ブタクサ(8~11月) |
ハウスダスト | ノミ・ダニの死骸など |
こうしたアレルゲンに反応してしまうと、皮膚のかゆみや赤み、下痢、嘔吐などがあらわれます。
アレルギーを起こす食材を取り除く食事療法を基本として、シャンプーや保湿ケア、掃除によるアレルゲンの除去も検討されます。
かゆみが強い場合は、アポキルなどのかゆみ止めが処方されるケースも多いです。
ちなみに、混合ワクチンや狂犬病ワクチンにアレルギーを起こすことがあります。
ワクチン接種後に顔がパンパンに腫れるなどのアレルギー反応が出たら、ショック状態から死に至る危険があるので、直ちに動物病院に連絡してください。
すぐに対処してもらえるよう、ワクチン接種は午前中に済ませることをおすすめします。
アレルギー
- 治療法:食事療法、シャンプーなど
- 治療費:およそ30,000円
- こんな症状に注意!
体をよく掻く、下痢や嘔吐をする、顔が腫れる
ノミ・マダニなどの外部寄生虫症
ノミやマダニといった寄生虫に噛まれて、皮膚にかゆみや炎症、脱毛が起こります。
散歩中に寄生されることが多く、とくにマダニは命にかかわる感染症を引き起こすため注意が必要です。
寄生が発覚したら、ノミ・ダニ駆除薬で駆虫して治療をおこないます。
この病気を防ぐためには、散歩中は草むらや茂みに入らないように注意することに加えて、毎年のノミ・ダニ予防を欠かさないことが重要です。
スポットタイプや服用タイプ、フィラリアを同時に予防できるタイプなど、さまざまな予防薬があるので、獣医師さんと相談しながら愛犬に合ったお薬を選びましょう。
ノミ・マダニなどの外部寄生虫症
- 治療法:ノミ・ダニ駆除薬
- 治療費:およそ9,900円
- こんな症状に注意!
かゆそうにしている、脱毛している
タンパク喪失性腸症
タンパク喪失性腸症とは、腸粘膜の炎症により腸内からタンパク質が漏れ出てしまい、体内のタンパク質が低下する病気です。
この病気になると下痢や軟便が慢性化することが多く、ほかにも体重減少や食欲不振、元気がないなどの症状があらわれます。
悪化すると血中のアルブミンというタンパク質が低下して、血液内に水分をとどめておくことができず、腹水や胸水が起こって命にかかわる事態になりかねません。
治療は原因に沿っておこなわれ、低脂肪食などの食事療法、炎症を抑えるステロイド、腫瘍がある場合は抗がん剤などが選択されます。
予防することは難しいので、愛犬が軟便を繰り返すようなら早めに獣医師さんの診察を受けましょう。
タンパク喪失性腸症
- 治療法:食事療法、投薬
- 治療費:およそ110,000円(年間)
- こんな症状に注意!
便がゆるい状態が続く、体重が減る、食欲が落ちる
十字靭帯損傷・断裂
十字靭帯損傷・断裂は、後ろ足の膝関節をつなぐ十字靭帯が損傷・断裂して、歩行に障害を来たす病気です。
損傷・断裂が起こると、炎症や痛みが生じるだけでなく、脛骨(すねの骨)を支えられず、足に体重をかけられなくなります。
そうすると、負傷した足をかばう歩き方や、片足を浮かせるようになってしまうのです。
一度切れた十字靭帯は元には戻らず、炎症が悪化して関節炎や変形性骨関節症を併発する可能性があります。
治療は基本的に外科手術となり、人工靭帯で膝関節を安定させる従来の術式のほか、最近ではインプラントを用いて脛骨の角度を調整することで早期回復を目指す術式も広くおこなわれるようになっています。
この病気を予防するには、膝関節にかかる負担を減らすことがなによりも重要。
体重管理や滑りやすい床への滑り止め施工など、生活環境の見直しが必要です。
十字靭帯損傷・断裂
- 治療法:手術
- 治療費:およそ370,000円(年間)
- こんな症状に注意!
片足をかばう、歩き方がおかしい
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肥満細胞腫
肥満細胞腫は、免疫細胞のひとつである肥満細胞が腫瘍になってしまう病気。
犬の皮膚にできる悪性腫瘍(癌)の中でも多くみられる病気で、悪性度はグレード1~3に分けられます。
- グレード1
最も悪性度が低い。皮膚の表面に1cm以下のしこりができ、簡単な手術で切除できる。 - グレード2
中間くらいの悪性度。転移は少ないが周囲に浸潤はするため、手術するときは周囲の組織を広く切除する必要がある。 - グレード3
最も悪性度が高く、進行が速い。すでにリンパ節や臓器に転移していることが多く、手術で切除しただけでは完治しない。
治療方法はグレードや進行度合いに応じて選択され、外科手術や放射線治療、内科治療を組み合わせながら進めます。
有効な予防方法はないので、愛犬とのスキンシップを通して日ごろから皮膚をチェックして、できものや異変に早く気づけるようにしましょう。
肥満細胞腫
- 治療法:手術、放射線治療、投薬など
- 治療費:およそ150,000円(年間)
- こんな症状に注意!
皮膚の下にしこりが触れる
参考
犬の肥満細胞腫|北海道大学動物医療センター外科/腫瘍診療科(外部リンク)
肝炎
肝炎とは、何らかの原因により肝臓に炎症が起こり、細胞が壊死する病気です。
急激に悪化する「急性肝炎」と、炎症が継続して徐々に進行する「慢性肝炎」に分けられます。
症状としてみられるのは、元気がない、食欲の低下、嘔吐、下痢、水をたくさん飲む、おしっこが増えるなど。
進行すると黄疸や腹水がみられ、重症化すると肝不全を引き起こし、細胞が壊死して機能不全を起こすためたいへん危険です。
治療は内科的な処置が中心で、点滴による対症療法で体力の回復を目指します。
このほか、症状に応じて制吐剤や抗生剤、ビタミン剤などで治療を進めます。
急性肝炎の原因の1つに、犬アデノウイルス1型という感染症があります。
この感染症はワクチンで予防できるため、毎年のワクチン接種をおこなうことが肝炎予防の一助になります。
また、腐敗物や除法剤の誤食も原因となるため、拾い食いさせないよう注意しましょう。
肝炎
- 治療法:点滴、投薬など
- 治療費:およそ87,000円(年間)
- こんな症状に注意!
元気がない、食欲が落ちる、よく水を飲む
ジャックラッセルテリアの遺伝性疾患『遺伝性消化管ポリポーシス』
「遺伝性消化管ポリポーシス」は、2020年に新しい遺伝病として発表された病気です。
ジャックラッセルテリア特有の遺伝病とされ、胃や腸にポリープができるのが特徴です。
嘔吐や血便などのほか、ポリープが多発していると重度の貧血を起こすこともあります。
外科手術でポリープを除去することになりますが、再発するケースが多く、根本的な治療法はないのが現状です。
死に直接つながる病気ではないと考えられていますが、遺伝性疾患であるため予防法はありません。
今後、遺伝子検査で確定診断が下せるようになれば、より適切な治療ができるようになると考えられています。
また、繁殖時に遺伝子検査を取り入れることで、この病気をもつ子を減らしていく取り組みが期待されています。
参考
新規の遺伝性疾患であるジャック・ラッセル・テリアの遺伝性消化管ポリポーシスに関する研究(外部リンク)
▼犬種別かかりやすい病気を見る▼
ジャックラッセルテリアに多い死因とは
ジャックラッセルテリア独自のデータはないものの、犬全体の死因として最も多いのは腫瘍です。
- 腫瘍(癌など)
- 循環器系の疾患
- 泌尿器系の疾患
ジャックラッセルテリアがなりやすい「肥満細胞種」も死亡リスクをはらむ病気なので、注意が必要といえます。
ただし、ジャックラッセルテリアは病気のリスクが比較的低い犬種。
あまり過剰に心配する必要はないでしょう。
まずは、愛犬が健康的で快適に過ごせるような環境を整えてあげてくださいね。
参考
動物病院カルテデータをもとにした日本の犬と猫の寿命と死亡原因分析(外部リンク)
ジャックラッセルテリアが健康に長生きするために
ジャックラッセルテリアは病気になりにくい犬種ですが、健康維持をサポートしてあげることは大切です。
ここからは愛犬を長生きさせるコツを紹介しますので、ぜひお役立てください。
運動は十分におこなう
ジャックラッセルテリアはパワフルなので、大型犬並みの運動量が必要です。
運動不足は肥満リスクを高めるだけでなく、ストレスによって皮膚炎などの病気につながる恐れがあります。
十分な散歩時間を確保するほか、雨で散歩に行けないときは自宅でしっかり遊ばせてあげましょう。
ちなみに散歩時間は、少なくとも1日1時間は必要。
小型犬のように短い距離を散歩するだけでは足りないことが多いので、ジャックラッセルテリアを飼うときは散歩時間の確保を念頭に置いておきましょう。
滑り止め対策をする
フローリングなどの滑り止め対策も、筋骨格の病気を防ぐためには重要です。
ジャックラッセルテリアは活発なので、滑りやすい床で激しく走ると足腰や膝に負担がかかります。
こうした負担は、ジャックラッセルテリアがなりやすい十字靭帯の損傷・断裂や、パテラといわれる膝の骨が脱臼する病気につながります。
フローリングに滑り止め加工をする、コルク素材のジョイント式マットを敷くなど、愛犬が滑りにくいよう対策しましょう。
うんちをチェックする
ジャックラッセルテリアは、腸に関わる病気が多い犬種です。
毎日のうんちにみられる変化は、愛犬の健康を判断するためにも重要です。
以下のような点をチェックしてあげましょう。
・軟らかすぎたり硬すぎたりしていないか
・色はいつもと同じか
・いつもと違う臭いがしないか
・うんちの量や回数は食事量に見合っているか
・寄生虫がうんちに混じっていないか
・うんちするときの様子はいつもと同じか
異変があるときは、早めに動物病院へ連れていくことをおすすめします。
その際は、できればうんちをもっていきましょう。
診断の助けとなり、適切な処置をしてもらいやすくなります。
年1回は健康診断を受ける
定期的に健康診断を受けることは、病気の早期発見につながります。
元気であれば動物病院に行くきっかけも少ないですが、病気によっては症状がなく血液検査などで見つかる場合もあります。
理想的な頻度は、1歳以上で年に1回、7歳以上のシニア期には年2回です。
春と秋にキャンペーンをしている動物病院も多いので、こうした機会を上手に利用するのもおすすめです。
活発なジャックラッセルテリアはケガに注意
ジャックラッセルテリアは病気になりにくく長生きする傾向のある犬種ですが、活発な分、思いがけないケガに注意が必要です。
家の中は遊びやすいスペースを用意する、散歩中は他の犬とケンカにならないようにするなど、ケガを予防してあげてください。
できる範囲で健康診断も受けながら、愛犬の健康寿命を延ばしてあげましょう!
ペットのお薬通販『ぽちたま薬局』スタッフのブログです。
このブログではペットのご飯を中心にペットの健康について考えたいと思います。