柴犬は噛み癖がつきやすい犬種といわれます。
そんな柴犬との暮らしの中で、
「なんでいつも噛むの?」
「どうしたら噛まなくなる?」
と深く悩むことがあるのではないでしょうか。
柴犬が噛むとき、何かしらの理由があります。
噛む理由を理解した上で対処すれば、噛み癖は少しずつ改善していくはずです。
今回は柴犬が噛む理由やその対処法、年齢に合わせた適切なトレーニング方法をまとめて紹介します。
目次
柴犬は噛むことが多い犬種
柴犬は、日本犬特有の性質として独立心が強く、自分のパーソナルスペースをとても大切にします。
そのため、「嫌だ!」と感じると衝動的に抵抗してしまいやすいのです。
ただ一方で、柴犬の特性をデータで見てみると、意外と攻撃性が低いことがわかります。

ということは、愛犬に合わせた適切なしつけができれば、噛む行為は抑えられる可能性が高いということ。
愛犬が噛む理由や背景をしっかり理解して適切に対処すれば、少しずつ噛み癖は改善させられるはずです。
なお、柴犬の特性については、こちらのコラムで詳しく解説しています。
高圧的なしつけが本気噛みにつながる
力ずくで押さえつけたり、思わず殴ってしまったりするなど、高圧的なしつけは柴犬には逆効果です。
元々持っている防衛本能がさらに高まり、本気噛みに発展してしまいます。
また、「飼い主さん=怖い存在」と認識するようになれば、益々関係が悪化する悪循環に陥りかねません。
なぜ噛んでくるのかを考え、愛犬に合わせたしつけ方が求められます。
柴犬が噛む6つの理由
柴犬が噛むとき、そこには彼らなりの理由があります。
それらを理解して噛み癖の改善につなげるためにも、柴犬が噛む理由を整理して見ていきましょう。
縄張りを守ろうとしている

柴犬はテリトリー意識が強く、自分の安心できる場所を侵されることを嫌います。
これは「縄張り性攻撃行動」と呼ばれ、自分の城を守ろうとする防衛本能です。
- ハウス(ケージ)で寝ているときに手を突っ込んだ
- お気に入りのソファでくつろいでいるとき隣に座った
- 来客が室内(自分のテリトリー)に入ってきた
- 車で移動中、窓の外の人に興奮しているときに飼い主が制した
もし愛犬がこうした場面で噛むのなら、縄張りを守ろうとして噛んでいる可能性が高いです。
感情のコントロールができていない

「何かしたいけど、できない」「どうしていいかわからない」というストレス(葛藤)を感じたとき、行き場のない感情を“噛む”という行動として表すことがあります。
- 寝ているときに撫でられた
(寝ていたい!けど触られ続けるのはイヤ!) - おやつを目の前にして「マテ」が長すぎる
(食べたい!けど我慢しなきゃ!) - 甘えたくて興奮しているときに大きな音がした
(構ってほしい!けど音に驚いてパニック!)
こうした行動を飼い主さんが理解するのは難しいかもしれません。
しかし、「柴犬自身も混乱して噛んでしまっているのだな」とわかってあげることが、関係改善の第一歩となります。
自分の食べ物・持ち物を守ろうとしている

物に対する執着心が強いのも柴犬の特徴です。
何かを横取りされると感じると、強い警告として噛むことがあります。
- 夢中で食べているときに、フードボールの向きを変えようとした
- 大好きなガムを噛んでいるとき、そろそろ終わりだと思って取り上げようとした
- 拾い食いをしたものを無理やり口から出そうとした
- 奪われたスリッパを取り返そうと飼い主が手を出した
こうしたケースでは、「自分のモノを取らないで!」というハッキリした意思をもって噛みにくるケースが多いです。
八つ当たりしている

人や物に直接攻撃できないとき、そのイライラを近くにいる存在にぶつけることを「転嫁攻撃」といいます。
つまり、八つ当たりして噛んでいるということです。
- フェンス越しに吠え合っているとき、止めようとした飼い主の手を噛んだ
- 窓の外を通る人に威嚇したいけど、できないので近くにいる家族に噛みついた
- なかなかおやつがもらえず、近くにいる家族を噛んだ
- 掃除機の音に怒っているけど、掃除機は怖いので操作している手を噛んだ
飼い主さんとしては「なんで私が……」と理不尽に感じるかもしれません。
ですが、こうした傾向をつかむことができれば、噛まないようにする対処法が自ずと見えてくるかもしれません。
遊びがエスカレートしている

子犬期~若犬期に多いのが、遊びがエスカレートしてしまうケース。
柴犬本人は遊んでいるつもりでも、力加減がわからず、“噛む”という行動につながってしまいます。
- ロープの引っ張り合いで、勢い余って飼い主の手を噛んでしまった
- 飼い主の手を動くおもちゃだと思い、捕えようとして噛みついた
- 走って逃げる飼い主を追いかけてお尻に噛みついた
- 飼い主と戯れていたら、洋服の袖を強く噛んで離さない
特に小さいうちに親兄弟と離れた子は、噛むときの力加減がわかっていない子が多いです。
そのため、悪意がなくても強く噛んでしまうことがあります。
自分が優位な立場にいると認識している

柴犬は、「誰が群れのリーダーか」をよく観察しています。
自分より下だと思っている存在に対して、噛むことで拒否感を示すことがあります。
- 一緒にソファに座っていたが、立ち上がって移動しようとしたら行かせまいと噛まれた
- 抱っこしようとしたら噛んできた
- 散歩のコースを変えようとしたら、唸って噛もうとした
- 新入りの猫がしつこく絡んでいたら、噛みつこうとした
特に、愛犬に対して怯えた態度をとりがちな人ほど注意が必要です。
>>詳しい対処法はこちら
家族の中の特定の人だけ噛まれるという場合は、後述の「家族の中で自分だけ噛まれるのはなぜ?」も参考にしてください。
このほか、柴犬特有の困りごとをまとめたコラムはこちらです。
理由がないのに噛むのは病気の可能性も
ここまで挙げた理由がまったく思い当たらないときは、病気が原因で噛んでいるのかもしれません。
特に、何の前触れもなく突発的に激しく噛む場合や、性格が変わったように突然攻撃的になった場合は要注意です。
てんかんなどの脳の機能異常や神経疾患のほか、どこかに強い痛みを抱えている可能性もあります。
場合によっては薬物療法が必要になることがあるので、早めに動物病院に相談してください。
柴犬が気をつけたい病気は、こちらのコラムにまとめています。
子犬期の甘噛みをやめさせるトレーニング
ここからは、噛み癖を治す方法をご紹介していきます。
まずは子犬期の甘噛みへの対処です。
子犬の甘噛みは決して珍しくありませんが、本気噛みに発展させないためにもしっかりトレーニングを行いましょう。
子犬期の甘噛みには「カムアットトレーニング」が効果的です。

1:甘噛みされたら「あ!」と大きな声を出して噛んだことを印象づける
2:すぐに立ち上がって、30秒ほど犬が見えない場所に隠れる
3:犬が落ち着くのを待って遊びを再開する
これを繰り返すことで、「歯が当たる=大好きな飼い主さんと遊べなくなる」と学習していきます。
かなり根気のいるトレーニングですが、愛犬と一緒にがんばりましょう。
このほか、柴犬を飼い始めたときの注意点についてはこちらで詳しくご紹介しています。
柴犬の噛み癖への対処法
次は、成犬となった柴犬への対処法です。
対処法は大きく3つ。愛犬が慣れるまで根気強く繰り返しましょう。
噛むシチュエーションをつくらない(環境改善)
まずは、愛犬が噛む状況を作らないよう徹底しましょう。
噛む機会をゼロに近づけることで、噛み癖の定着を防ぎます。
- ハウスに近づくと噛まれる場合
・愛犬がハウスにいるときは手を突っ込まない。
・人の通り道にならない静かな場所に設置する。 - 食事中に噛まれる場合
・フードボールは途中で動かす必要がないよう安定した場所に置く
・食事中は近づかない - 窓の外の通行人に興奮して家族を噛む
・犬が外を覗けないよう衝立などで目隠しをする
・通行人が多い時間はカーテンを閉めておく
愛犬が噛もうとするシチュエーションを思い出して、同じ状況をつくり出さないよう工夫してみてください。
“噛む”という行動を修正させる(行動修正)
噛む動機をなくすように、ポジティブな方法で行動を上書きします。
「噛む理由(嫌なこと)」を「良いことが起こすサイン」に変えるのがポイントです。
(例)ブラッシングが嫌で噛む場合
- ブラシを見せて、威嚇しなければおやつをあげる
- 次にブラシを体に当てさせたら、おやつをあげる
- そしてひと撫でできたら、おやつをあげる
このように1ステップずつ、時間をかけて「ブラシ=おやつがもらえるサイン」と学習させます。
1週間~数週間は根気強く続けましょう。
このとき与えるおやつは小さくカットしたものを用意して、カロリーを摂りすぎないように気をつけてあげてください。
噛む前兆があらわれたら距離をとる

柴犬が噛みつくとき、事前に「やめてほしい」というサインを出します。
このサインに気づいたら、すぐに距離をとりましょう。
- 鼻にシワを寄せる
- 牙をむく
- 低く「ウー」と唸る
- 耳を後ろにピタッと倒す
- 動きが止まり、体を硬直させる
人間が離れることで、柴犬としては噛む理由がなくなります。
また、「噛んだら人間が言うことをきいた!」という成功体験を積ませることも防ぐことにもつながります。
柴犬の噛み癖が治った!飼い主が語る体験談

柴犬に噛み癖をやめさせるテクニックはたくさんあります。
でも実際のところ、本当に治るものなのでしょうか?
ここでは、試行錯誤しながら“シバ噛み”を治した当編集部スタッフ(30代男性)に詳しく聞いてみました。
――飼い始めたときは噛まれましたか?
スタッフ「とにかく噛み癖がひどくて悩まされました。本当に毎日、手に傷を作ってましたね」
――どのように噛み癖を治していったんですか?
スタッフ「まずは『噛みつき日記』をつけました。「いつ・どこで・誰が・どんなときに噛まれたか」をメモしたんです。すると、妻より私に原因がありそうなことがわかりました(笑)私が撫でると噛むので、妻の撫で方を参考に撫でる場所や力加減を調整するようにしたりして。次第に私が撫でても噛まなくなりましたね」
スタッフ「あとは『ご褒美ランキング』を作りました。うちの子はミートボールよりチーズが好きなんですが、わりと簡単な訓練ならミートボール、ちょっと難しいときはチーズを使ったりして工夫しましたね」
――どんなときにチーズが登場しましたか?
スタッフ「ハーネスを着けるときですね。なかなか噛むことをやめようとしなかったので、大好物のチーズを投入しました。ハーネスに片足を通したらチーズ。もう片方も通したらチーズ。ベルトを締められたらチーズ。といった感じで、ちょっとずつ慣らしていきました。我慢するとチーズがもらえると覚えてくれたようで、そのうちチーズなしでも噛まなくなりました」
――どのくらいで噛み癖はなくなっていきましたか?
スタッフ「全ての噛み癖が落ちついたのは、1~2年くらいでしょうか。気づいたら『そういえば最近噛まないかも』と思うようになってました。うちはまだ小さかったから比較的早く治ったように思うんですが、成犬だともうちょっとかかるかもしれませんね」
この体験談からわかることは、「しっかり原因を探ること」と「ご褒美を上手に使い分けること」の大切さです。
無理やり抑え込むのではなく、愛犬の気持ちを想像しながら、愛犬と二人三脚で噛み癖を治していくことが大切なのかもしれません。
この体験談をもっと深く知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。
柴犬が噛んで困るときによくある疑問
最後に、柴犬の噛み癖に関する疑問をまとめて解消していきましょう。
柴犬が噛んできたら叱っていい?
柴犬が噛んできたときは、叱るのではなく、できるだけ反応しないようにしましょう。
「噛んでも状況は変わらない」と愛犬に学ばせるためです。
もし反射的に声が出てしまいそうなら、できるだけ低い声で「痛い」「NO」と短く伝えてその場を離れます。
このとき、高い声だと「反応してくれた!」と思われてしまいます。
自分が出せる一番低い声の、さらにワントーン低い声を出すイメージで言うようにしてみてください。
噛まれてケガしたらどうしたらいい?
犬に噛まれると細菌感染を起こすことがあります。
そのため、まずは水道水で傷口をしっかり洗い流しましょう。
出血量が多い場合は、傷口を強く圧迫して止血します。
その後は、できるだけ早く形成外科を受診してください。
家族の中で自分だけ噛まれるのはなぜ?
もし家族の中で特定の人だけ噛まれるときは、その人が次のような接し方をしていないかチェックしてみてください。
- 犬の気持ちが読めていない
犬がゆっくりしたいときに構おうとしていませんか? - 大げさに反応したり、犬に怯えたりしている
噛まれるたびに高い声で反応していると、犬は喜んでいると勘違いします - 要求に応えすぎている
例えば、足拭き中に噛まれてそのままやめてしまうと、噛めば要求が通ると思われてしまいます
これらの原因が思い当たるときは、以下の行動をとることを心がけましょう。
- 犬の気持ちを推測しながら接する
触ってほしくなさそうなときはそっとしておきましょう - 噛まれたら低い声で「痛い」と短く言う
自分が思う低い声より、ワントーン低い声を出せるよう練習しましょう - 「痛い」と大きな声を出して立ち去る
カムアットトレーニングを参考にしましょう
どうしても噛み癖が治らないときは?
いろいろな対処法を試しても一向に噛み癖が治らないときは、ドッグトレーナーや獣医師などプロに相談してみましょう。
特に、尋常ではないほどひどい噛み癖が続くときは、病気が関係していることがあります。
その場合、飼い主さんだけで解決することは難しいです。
適切なお薬を使って治療することで、穏やかな愛犬の姿を取り戻せるかもしれません。
愛犬が噛む理由を考えて対策してみよう
柴犬が噛む行動の裏には、縄張り意識や葛藤などの理由が隠れていることが少なくありません。
「いつ・何がきっかけか」を見極め、原因に合った対策を選びましょう。
ただし、改善が難しいときは無理をせずに、獣医師やドッグトレーナーに頼るのも大事なことです。
結果的に、その選択が大切な家族である愛犬と飼い主さんの幸せな暮らしにつながります。
ぽちたま薬局では、保護犬猫への支援を実施中!支援をお考えの方は、ぜひご覧ください。
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また、犬種ごとの注意したい病気に関するコラムも発信しているので、参考にしてくださいね。
▼犬種別かかりやすい病気を見る▼
参考サイト

ペットのお薬通販『ぽちたま薬局』スタッフです。
10年以上の犬の飼育経験と動物介護士の知識をもとに、ペットの病気やお薬の情報を発信します。






























