フィラリア予防薬は成犬には当然のように定期的に与えますが、
「生後2ヵ月の子犬にあげても大丈夫?」
「今あげなくても良いなら成犬になってから与えよう」
という考えが頭をよぎる方もいるのではないでしょうか。
体が小さく臓器が未発達の子犬への、食べ物や医薬品の扱いは慎重になるので、そう思われるのも仕方ありません。
結論としては、子犬のうちからフィラリア予防薬を与えられます。
フィラリア予防薬は、離乳中の子犬にも安全性が確認されているためです。
目次
子犬にもフィラリア予防薬を与えましょう
寄生虫のフィラリアが体内で育つのを防ぐために、ミクロフィラリアの状態で駆除できる予防薬を与えます。
駆虫薬といっても、子犬への安全性は確立されています。
これからの健康維持のためにも、子犬の時期からフィラリア予防薬は与えましょう。
フィラリア症を予防しワンちゃんの健康を守ろう
フィラリアに感染した蚊に刺されることで、幼虫が犬の体に育ち、心臓や肺動脈に寄生しますが、これがフィラリア症です。
もし感染してしまうと、成虫の寿命が来るまで治療が続き、生活が制限されてしまいます。
寄生虫が心臓や血管を傷つけると、心不全や肺水腫などといった深刻な症状を引き起こしてしまうためです。
しかも、症状があらわれた頃には成虫になっていることも多いです。
フィラリアの症状
■成虫が成長した症状初期
咳をする、運動を嫌がるようになる、呼吸が浅く・早くなるなど
■成虫が成長し、増えた症状後期
貧血、腹水がたまる、血尿が出るなど
フィラリア予防薬で駆除できるのは、犬の体に入った後60~90日(2~3ヵ月)のミクロフィラリアまでです。
たとえフィラリア症と診断されても日常生活を送ることはできますが、傷ついた心臓や血管は元にもどりません。
また、予防できる病気になり、発症数が減っているのは良いことなのですが、そのためにフィラリアの吊り出し法外科手術ができる獣医師も少なくなってきています。
そのため、フィラリア予防薬で幼虫を駆除し、成虫になるのを防ぐのが一番なのです。
フィラリア症の症状は以下の記事で詳しく確認できます。
6週齢、8週齢から与えられるフィラリア予防薬
フィラリア予防薬は先発薬から安価なジェネリックまで豊富な種類があります。
子犬に与えられる種類は、大きく「6週齢から」と「8週齢から」の2つに分かれています。
ぽちたま薬局で取り扱いのある薬を例にすると、以下のようになります。
※価格は、その商品でもっとも軽い体重用の商品を参考にしています。
6週齢(生後42日)から使える薬
商品画像 | ||||||||
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商品名 | ストロングホールド | レボリューション | カルドメックチュアブル | センチネルスペクトラム | ハートプロテクトプラス | セラフォーテ | キウォフハート | ストロングハートプラス |
タイプ | スポットタイプ | スポットタイプ | おやつタイプ | おやつタイプ | おやつタイプ | スポットタイプ | チュアブル | おやつタイプ |
フィラリア 駆除成分 |
セラメクチン | セラメクチン | イベルメクチン | ミルベマイシンオキシム | イベルメクチン | セラメクチン | イベルメクチン | イベルメクチン |
内容量 | 3本 | 3本 | 6錠 | 3錠 | 6錠 | 6本 | 6錠 | 6錠 |
価格 | 5,600円 | 4,500円 | 5,700円 | 9,300円 | 2,900円 | 5,300円 | 3,400円 | 3,700円 |
商品詳細 | ストロングホールドの通販ページ | レボリューションの通販ページ | カルドメックチュアブルの通販ページ | センチネルスペクトラムの通販ページ | ハートプロテクトプラスの通販ページ | セラフォーテ の通販ページ |
キウォフハート の通販ページ |
ストロングハートプラスの通販ページ |
8週齢(生後56日)から使える薬
商品画像 | ||||
---|---|---|---|---|
商品名 | ネクスガードスペクトラ | コンフォティスプラス | クレデリオプラス | シンパリカトリオ |
タイプ | おやつタイプ | チュアブル | おやつタイプ | おやつタイプ |
フィラリア 駆除成分 |
ミルベマイシンオキシム | ミルベマイシンオキシム | ミルベマイシンオキシム | モキシデクチン |
内容量 | 3錠 | 6錠 | 6錠 | 3錠 |
価格 | 6,900円 | 14,200円 | 13,200円 | 6,000円 |
商品詳細 | ネクスガードスペクトラの通販ページ | コンフォティスプラスの通販ページ | クレデリオプラス の通販ページ |
シンパリカトリオ の通販ページ |
8週齢以降の子犬に使用可能なフィラリア予防薬は、回虫・線虫駆除やノミ・ダニ駆除の成分も含まれているオールインワンタイプがほとんどです。
ちなみに、スポットタイプはありません。
以下のお薬は少し投与可能な週齢の条件が違うので、注意が必要です。
投与可能な 週齢 |
2週齢(14日)以上 | 7週齢(49日)以上 | 7週齢(49日)以上 | 14週齢(98日)以上 |
---|---|---|---|---|
商品画像 | ||||
商品名 | ミルプラゾン | プリノケート | アドボケート | インターセプターSチュアブル |
タイプ | 錠剤タイプ | スポットタイプ | スポット | おやつタイプ |
フィラリア 駆除成分 |
ミルベマイシンオキシム | モキシデクチン | モキシデクチン | ミルベマイシンオキシム |
内容量 | 2錠 | 3本 | 3本 | 6錠 |
価格 | 2,400円 | 3,300円 | 4,600円 | 7,800円 |
商品詳細 | ミルプラゾン の通販ページ |
プリノケート の通販ページ |
アドボケート の通販ページ |
インターセプターSチュアブルの通販ページ |
以上のフィラリア予防薬はすべてぽちたま薬局で取り扱っているお薬です。
子犬にフィラリア予防薬はいつから与える?
「フィラリア予防薬で駆除できるのは、犬の体に入った後60~90日のミクロフィラリアまで」と説明しましたが、それならできるだけ早く与えたいという方もいるかもしれません。
しかし、上に挙げた表からも分かるように、まだ離乳もしていない生後60日も経過していないうちからフィラリア予防薬を与えることは難しいです。
子犬から飼っている経験のある方、獣医師の指導内容を調査し、子犬にはいつからフィラリア予防薬を与えればいいのかまとめてみました。
投与を始める時期
子犬にフィラリア予防薬を投与するのは、以下の時期が望ましいです。
・夏に生まれた子犬は生後2~3ヵ月後(60日~90日後)に初めて投与する
・冬生まれ、蚊が発生するのが遅い地域にいる子犬は成犬と同じ季節に投与開始
成犬でいえば、フィラリアの投与時期は以下です。
・フィラリアの感染源である蚊が発生する1ヵ月前~蚊が発生しなくなった1ヵ月後
・蚊が年中発生する地域は通年投与する
蚊に刺されただけでフィラリアに感染するわけではありません。
しかし、フィラリアに感染した蚊を見分けることは不可能なので、蚊の発生する時期で投与する期間を決めます。
では子犬はどうでしょうか。
上記に挙げた薬の投与できる時期を見ると、6週齢(42日)から与えられる薬があります。
犬に投与する際の注意事項としては
「離乳前の子犬には与えないでください。」
と書かれているので、これを守れば投与が可能です。
先に挙げたように、12月~4月上旬の冬の時期、蚊の発生しない地域に生まれた子犬には、あわてて投与する必要はありません。
夏に生まれた犬は蚊に刺される確率はぐっと上がります。
フィラリア予防薬には生後2週齢(14日)以降に、ある程度体重があれば与えられる薬もあるので、獣医師と相談しながら適切な薬を与えるようにしましょう。
獣医師によって推奨時期は異なる
子犬を飼い始めた方々の口コミを見ていると、
「子犬なのに予防薬を飲ませる前に動物病院で血液検査した」
「子犬だから検査は必要ないと獣医師に言われた」
「フィラリア予防薬は一年中与えるという獣医師もいれば、そうでない人もいる」
などといった口コミがあり、獣医師によってそれぞれの意見があることが分かります。
海外ではフィラリア予防薬はドラッグストアで医師の診断なしに購入できるものでもあり、取扱いの基準が厳密に決まっているわけではありません。
大切なのは、獣医師の意見を聞き、納得した上でフィラリア予防薬を与えることです。
複数の獣医師の意見を聞いて、通いやすい動物病院を見つけておくのも今後のために良いでしょう。
子犬がフィラリアにかかっている確率
例えば生後2ヵ月の子犬に、フィラリア症の症状が出ることはありません。
フィラリアが成虫になり症状が出るまでには、180日程度の時間が必要だからです。
しかし、夏生まれの外で飼育している子犬の場合、フィラリアに感染した蚊に刺されている可能性はぐっと高まります。
この場合、幼虫の段階で駆除すれば問題はありません。
フィラリア予防薬を投与せずに、3年以上屋外で飼育している場合のフィラリアへの感染率は、92%にもなるため、予防薬の投与は必須です。
気になる症状がある場合
もし「フィラリアの症状が出てるかも?」と心配になった場合、子犬であればそれは別の病気の可能性があります。
例えばフィラリアの症状である「咳」。
子犬が咳をする、といえばケンネルコフかもしれません。
ケンネルコフは生後6週(42日)から、半年の子犬がかかりやすい病気で、ウイルスや細菌が原因です。
症状は他にも
・苦しそうな呼吸
・食欲不振
などのフィラリアに似た症状があります。
しかし、ケンネルコフの場合だと発熱や肺音の異常があり、これはフィラリアの症状ではないので見分ける基準となるでしょう。
子犬はまだ免疫がついてないので、「いつもと違う」と感じたら、すぐに動物病院を受診することをおすすめします。
フィラリア検査で確認
定期的なフィラリア予防薬の投与をする前に、成犬であれば必ずフィラリアに感染していないか検査します。
感染している状態で予防薬を飲めば、強いアナフィラキシーショックを起こすからです。
生まれたばかりの子犬はフィラリアが育っている可能性は少ないので、検査は受けなくても良い、という獣医師もいます。
しかし、
「冬に生まれてしばらく経過しているので、念のため感染していないか確かめたい」
など事情がある方はフィラリア検査をします。
フィラリア検査の種類は以下の通りです。
検査の種類 | 検査名 |
---|---|
子虫検査 | 直接法、ヘマトクリット法、フィルター集虫法、アセトン集虫法 |
親虫検査 | 抗原検査 |
この中で、子虫検査は安く簡単な検査方法です。
しかし、成虫がまだミクロフィラリアを生んでいない状態であれば、検出ができないという問題点があります。
他の検査よりも値段は高くなりますが、フィラリアの成虫がいるかを確認する、抗原検査なら成虫が1匹だけでも検出できるので、フィラリアを見つける精度は高くなるでしょう。
フィラリア検査の詳細や費用については以下のページをご覧ください。
子犬にフィラリア予防薬を与えるコツ
これから様々なお薬に触れていくことになるので、お薬の与え方のコツを覚えておくと良いです。
おやつタイプかスポットタイプを選ぶ
子犬がお薬を飲むとき、シロップで出してくれる動物病院もありますが、フィラリア予防薬にはシロップはありません。
「錠剤だと与えるのが難しい…」
とお考えの方はおやつタイプかスポットタイプを検討してください。
・おやつタイプ
味がついていておやつのような形状なので食いつきが良い
・スポットタイプ
首の後ろに垂らすだけ。塗布した直後は舐めないように気を付けなければならない
以上の特徴があるので、与えやすいものを選ぶと良いです。
見た目が錠剤の、チュアブル錠のなかにも、味つけがされているものがあります。
回虫駆除も一緒に済ませたい場合は内服させるタイプが良いです。
与えるときの注意点
子犬にも安全に与えられるフィラリア予防薬ですが、注意点があるので事前に確認してください。
・6週齢から、8週齢から、といった予防薬で設定されている週齢を必ず守る
・コリー犬はイベルメクチンに過剰に反応する可能性がある
獣医師から必ず与えられる週齢について説明があるので、用法用量は守ってください。
個人輸入される場合にも、商品詳細をよくお読みください。
イベルメクチンに過敏反応する犬種といえば、コリー系統のシェルティ、コリー、ボーダーコリーなどがいます。
用量に注意すれば与えることは問題ありません。
フィラリア予防薬の成分はいくつかあるので、「6週齢、8週齢から与えられるフィラリア予防薬」の表を参考にできます。
与え方のコツ
子犬だとお薬に慣れていないとすんなり飲んでくれる子もいますが、体が小さいので与えにくいケースもあります。
錠剤や唾液に溶けるタイプのチュアブルを与える場合は、「小さく砕いて」あげましょう。
他のお薬だと丸のみでも良いのですが、フィラリア予防薬の内服薬の場合、噛んでから飲みこむことが推奨されています。
丸のみしてしまうと、成分が十分に体に吸収されません。
おやつタイプの味を嫌がってしまう子なら、ちぎって食べ物に混ぜると良いです。
フィラリア予防薬以外で、薬の飲ませ方を今のうち習得したいという方は以下の記事をチェックしてみてください。
まとめ
記事の内容をまとめると以下です。
・子犬にもフィラリア予防薬は与えるべき
・生後2~3ヵ月から投与開始できる
・予防薬は生後6週齢や8週齢以降から与えるものが主流
・気になる症状がある場合は必ず検査や診断を行う
子犬のうちはフィラリアにかかっていなくても、将来的にフィラリアにかかる可能性は十分あります。
フィラリア予防薬の定期的な投与をスムーズに始められるように、適切なタイミングを図ってください。
ぽちたま薬局では動物病院で処方されているのと同じフィラリア予防薬を個人輸入できます。
ぽちたま薬局のライター。犬も猫も大好き!
猫を三匹飼っていて、過去にはうさぎ飼育経験も。