フィラリア予防をしていなかった場合、犬がフィラリア症に感染する確率は最大で40%を超えるというデータがあります。
これは1年間フィラリア予防を行わなかったケースの数字であり、予防しない状態が続くと、感染リスクは年々さらに高まることもわかっています。
油断して予防を怠ると、思わぬリスクに直面することも。
「うちは室内飼いだから大丈夫」と思っていても、蚊は窓のすき間からも侵入します。
完全に防ぐのは難しく、決して安心とは言えません。
この記事では、犬がフィラリアに感染する確率や、室内犬でもなぜ予防が必要なのか、感染するとどうなるのかなどを解説します。
まだフィラリア予防をしたことがないという方向けに、予防薬の種類や選び方もこちらの記事で紹介しています。
どんな種類があるか気になる方は、ぜひご覧ください。
目次
予防しなかった際の感染確率は86.2%
フィラリア予防をしていない犬は、非常に高い確率で感染しています。
たとえば、岩手県北盛岡地区で行われた調査では、予防をしていなかった犬の86.2%がフィラリアに感染していたという結果が出ています。
また、同じ調査では室内飼育でも3.1%が感染していたことが明らかに。
「家の中だから安全」という油断が、思わぬリスクにつながることがあるのです。
このデータは岩手県の一地域での結果ですが、自然が多く蚊の発生が活発な地域では、同様のリスクが十分に考えられます。
地域差はあるものの、予防なしではどの犬にも感染の危険があるといえます。
予防しないまま3年で90%以上
フィラリア予防をしないままでいると、感染リスクは年を追うごとに高くなっていきます。
東京都内で行われた調査では、1年目で38%、2年目で89%、3年目にはなんと92%の犬が感染していたという報告があります。
この結果は、「今年は大丈夫だったから、来年も…」という油断が大きなリスクにつながることを示しています。
感染を防ぐためには、1年たりとも予防を欠かさないことが重要です。
一度感染すると治療は困難になるため、愛犬をフィラリアから確実に守るには予防しかありません。
室内飼育でも予防なしに感染は防げない?
前述したように、「室内飼いだから大丈夫」と思っていても、フィラリア感染のリスクがゼロになるわけではありません。
蚊は玄関の開け閉めや窓の隙間から家の中に入り込み、室内でも犬が刺されるケースがあります。
また、毎日の散歩やドッグランなど、外出時にも蚊に刺される可能性は十分あります。
たとえ短時間でも、予防をしていなければ感染リスクは常にあるということです。
室内飼育だからといって油断せず、きちんと予防を続けることが、愛犬を守るための第一歩です。
フィラリアに感染した犬はどうなる?
フィラリアは、犬の心臓や肺の血管に寄生する寄生虫です。
体内で成虫になると、命を脅かす深刻な症状を引き起こします。
主な症状は以下のとおりです。
- 散歩を嫌がるようになり、すぐに疲れてしまうなど、元気がなくなる
- 咳が長引き、特に運動後にゼーゼーと苦しそうな呼吸をする
- 食欲がなくなる
- お腹だけが異様にふくらんでくる(腹水の可能性)
- 赤みを帯びた尿が出るなど、血尿が見られる
重症化すると、突然倒れる・急死することもあり、寿命を大きく縮めてしまうケースもあります。
さらに、フィラリア症は「治療が難しい病気」としても知られています。
体に寄生していた期間が長いほど、心臓・血管・肝臓・腎臓などへのダメージが蓄積し、治療後も後遺症が残ることがあります。
治療には時間と費用がかかり、状態によっては外科手術が必要になる場合も。
「もっと早く予防しておけばよかった」と後悔しないためにも、感染前の対策が何より重要です。
発症後の予防薬投与はできません
フィラリア予防薬は、「フィラリア症に感染している犬」に使えるお薬ではありません。
正しくは、“体内に侵入してから約60~90日以内のフィラリア幼虫(ミクロフィラリア)を駆除するお薬”です。
つまり、犬の体にフィラリアが入ってから2〜3ヶ月以内であれば予防薬で駆除できますが、それを過ぎて成虫になってしまうと、予防薬では効きません。
さらに、成虫や大量の幼虫がすでに寄生している状態で予防薬を投与すると、幼虫が一度に死滅し、体内でショック症状を起こす危険性もあります。
フィラリア症は、一度発症すると治療が難しく、犬の命に関わる深刻な病気です。
予防薬は「元気なうち」に始めることが重要。
「症状が出てからでは遅い」ということを理解し、定期的な予防で大切な愛犬を守ってあげましょう。
予防薬を使用した際の感染確率は?
フィラリア予防薬を正しく使っていれば、感染確率はほぼ0%です。
実際に、ミルベマイシンオキシムという予防薬を毎月1回、30日間隔で6〜7回投与した試験では、100%の予防効果が確認されたという研究結果もあります。
つまり、「きちんと決められた間隔・期間で予防薬を飲ませる」ことさえ守れば、フィラリアから愛犬を守ることができます。
ただし、次のような場合には注意が必要です。
- 投薬の間隔が空きすぎた
- うっかり飲ませ忘れてしまった
- 予防期間が終わる前に、自己判断で投薬をやめてしまった
(例:11月まで必要なのに9月で終了)
このようなケースでは、体内でフィラリア幼虫が成長し、予防薬の効果が得られない可能性があります。
「正しく使えばほぼ100%予防できる」というのは、大きな安心材料。
大切なのは、毎月きちんと継続して投与することです。
おすすめの予防薬は、こちらの記事で紹介しています
フィラリアに感染する確率が上がる要因
フィラリア感染のリスクは、住んでいる地域や犬の過ごし方によって大きく変わります。
特に以下のような環境や行動があると、感染確率が高まる傾向にあります。
- 気温の高い地域に住んでいる(例:西日本、温暖な沿岸部など)
- 公園・河川敷・草むらなど、自然の多い場所へ頻繁に出かける
- 散歩や庭・ベランダなど、屋外で過ごす時間が長い
暖かくて自然の多い場所には蚊が発生しやすく、フィラリア感染のリスクも比例して上がります。
また、都市部であっても油断は禁物です。
ビルやアスファルトが多い場所は昼間の熱が夜まで残りやすく、蚊の活動が活発になる原因に。
蚊がいる場所に長くいるほど、愛犬がフィラリアに感染する可能性も高まります。
「うちは室内犬だから大丈夫」と思わず、生活環境に合わせたしっかりした予防を心がけましょう。
フィラリアの感染を防ぐ方法
フィラリアを防ぐには、まずは日常生活の中でできる対策をしっかり行うことが大切です。
- 窓や玄関に網戸を設置し、蚊の侵入を防ぐ
- 散歩の際は、蚊が多い草むらや湿った場所を避ける
- 犬用の虫よけスプレーやウェアなど、蚊よけグッズを活用する
- 庭やベランダに水たまりをつくらず、蚊の発生源を減らす
こうした対策を行うことで、蚊に刺されるリスクはある程度抑えられます。
ただし、どれだけ気をつけていても「完全に防ぐ」ことは難しいのが現実です。
だからこそ必要なのが、フィラリア予防薬の力。
体内に侵入したフィラリアの幼虫を駆除できる唯一の手段です。
愛犬が元気に過ごし続けるためには、日常の予防+予防薬での対策が欠かせません。
「うちの子にはどんな予防薬が合うの?」と気になった方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
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ぽちたま薬局のライターです。
実家では猫を飼っています。
これまでに犬やインコ、ウーパールーパーなど、動物に囲まれて暮らした経験があります。