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犬猫のフィラリアの症状とは?初期から末期までを解説

犬の病気の中でも、特に注意が必要なのがフィラリア感染症です。

犬だけでなく猫も感染することがあり、屋外飼いだけでなく屋内飼いでも、フィラリア幼虫を運ぶ蚊に刺されることで感染します。

このページでは、犬や猫がフィラリア症に感染したした際に見られる症状について詳しく紹介しています。

犬猫のフィラリアの症状
軽度 ・ほとんどが無症状
・咳
中程度 ・咳
・運動不耐性(運動を嫌がる、疲れやすい)
・肺音の異常
重度 ・咳
・運動不耐性
・呼吸困難
・心音および肺音の異常
・湿疹
・腹水 など

フィラリアについてあまり詳しくない方は、コチラの記事も一緒に読んでみましょう。

フィラリアの症状について

フィラリアは別名「犬糸状虫」とも呼ばれ、犬の病気として知られていますが猫も感染する病気です。

フィラリアは蚊に刺されることで感染し、犬や猫の体に入ったフィラリアが成長して心臓や血管に悪影響を及ぼします。

フィラリアの症状としては、乾いた咳やゲーッ、ゲーッと物が詰まったような咳が挙げられます。

愛犬のフィラリアのサイン

ここでは、犬のフィラリア初期症状と末期症状、猫のフィラリア症状について詳しく紹介します。

犬のフィラリア初期症状

犬のフィラリア初期症状

フィラリアに感染しても、初期は無症状です。
症状が現れないことから、感染初期にはほとんど気づけません。
そのため、飼い主さんが異変に気付くのは非常に困難と言えるでしょう。

潜伏期間にバラつきはありますが、フィラリアに感染して2~3年が経過すると、以下のような症状が現れます。

・時々咳をする
・呼吸が早くなる
・呼吸が浅くなる
・痩せてくる
・食欲がなくなる
・毛のツヤが悪くなる
・散歩や運動をすると疲れやすくなる

フィラリア感染によってこれらの症状が引き起こされている場合、既にフィラリアが心臓や肺の血管を傷付けていると言えます。

軽症であれば、早期治療によって日常生活に戻ることもできるので、早急に治療を受けさせることが大切です。

犬のフィラリア末期症状

フィラリアの末期症状には、以下のものが挙げられます。

・物が詰まったような苦しそうな咳
・多量の血が混ざった咳
・腹水(お腹に水がたまってぽっこりする)
・浮腫
・頻脈
・不整脈
・貧血
・呼吸困難
・運動時の失神
・血尿
・突然死

フィラリアは心臓や肺に寄生するため、呼吸が荒くなる・元気消失・食欲低下など心不全のような症状が現れます。

末期症状が現れる頃にはすでに重症化しているケースが多いため、すぐに獣医師の診察を受ける必要があります。

また、フィラリアの寄生数が多いと、大静脈症候群を発症する可能性が高くなります。

虫体の多くが右心室や右心房および大静脈まで侵入し、三尖弁の機能や血流に影響を及ぼすことで、溶血、肝機能障害、腎機能障害および心不全を引き起こします。

なお、フィラリア症の症状には、慢性症状と急性症状の2種類があります。
このうち、割合が高いのは慢性症状です。

慢性の場合、右心の肥大・拡張、内膜炎、三尖弁閉鎖不全などを起こします。
急性の場合は、乾性の咳以外の症状はないまま突然発症し、呼吸困難、激しい頻脈、不整脈、貧血、黄疸などの症状が現れます。

参考
犬における犬糸状虫感染症の予防・診断・治療│AHS(外部リンク)

老犬のフィラリアの症状

老犬は体力や免疫力が落ちていることが多いため、フィラリアに感染すると、症状の悪化や健康状態に悪影響を及ぼす可能性が高くなります。

フィラリアが心臓に寄生していた場合、呼吸困難などが発生するリスクもあります。

老犬の場合「もうほとんど家にいるから」「散歩に行く期間も減っているし」と、フィラリア予防は必要ないと考える飼い主さんもいますが、窓の開閉や人の出入りなどで、蚊が室内に入る可能性は0ではありません。

老犬だからとフィラリア予防を止めてしまうと、フィラリアに感染し症状が深刻化するリスクが高くなるため、老犬にもフィラリア予防は必要です。

子犬のフィラリアの症状

子犬もフィラリアに感染するケースがあり、健康状態に悪影響を与える可能性が高くなります。

子犬がフィラリア感染した場合、元気消失や食欲がなくなるといった症状が現れる可能性があります。

子犬は成犬と比べると免疫力が弱く寄生虫に感染しやすいため、早期の治療が必要になります。

猫のフィラリア症状

成虫のフィラリアを宿した猫は、以下の症状が見られます。

・咳
・喘息
・嘔吐
・食欲がなくなる
・痩せてくる
・呼吸困難
・突然死

ただし、猫はフィラリアに感染しても、3割は無症状と言われています。
そのため、無症状のまま進行して突然死を起こすことがあります。

また、猫は犬と違って抗原検査やミクロフィラリア検査を行っても、なかなか見つけられません。
症状があられても、喘息やアレルギー性気管支炎と誤診されることもよくあるようです。

これらのことから、突然死の後、解剖によって死因がフィラリアだと判明することが多いようです。

なお、猫の突然死のうち1割はフィラリアが原因であると言われています。
猫のフィラリアについては、下記の記事で詳しく紹介しています。

【参考】
猫の犬糸状虫症の2例(外部リンク)

フィラリアの症状はいつ現れる?

フィラリアの症状が現れるタイミングは、感染から6ヶ月後からです。
初期の段階では症状がほとんど見られず、フィラリアが成長し、数が増えてくると徐々に症状が現れ始めます。

犬の場合、フィラリアの症状が現れるのは感染から数年後であることが多く、10年以上経って現れる場合もあります。

数年たたないと目立った症状が現れないため、その間にフィラリアによる影響で心臓や血管が傷つけられ、症状が現れた頃には重症化しているケースも少なくありません。

猫の場合は、はっきりとした症状が現れないことが多いです。
犬と同じく症状が現れる頃には重症化していることが多く、突然死を起こすこともあります。

参考
若齢猫にみられた犬糸状虫感染症の1例(外部リンク)

動物病院を受診する目安

フィラリア予防や検査を行っていない場合、以下のような症状が見られたら、フィラリア感染の疑いがあります。

・食欲がない
・元気がない
・お腹が膨らんできた
・咳が出る
・呼吸が苦しそう
・尿が赤くなる(血色素尿)

フィラリア症は、早期発見と治療が重要です。
これらの症状を見逃さず、異変に気づいたら早めに動物病院を受診しましょう。

フィラリアにかかった犬や猫の寿命は?

フィラリアにかかった犬の寿命

フィラリアに感染してしまった犬や猫の寿命は、どう変わってくるのでしょうか。

細かい寿命については、フィラリアの数や犬・猫の基礎疾患の有無によっても変わるため、フィラリアにかかった犬や猫の寿命は何年と、明確には決まっていません。

ただし、犬・猫どちらもフィラリアに感染してしまった場合、フィラリアに感染していない健康な犬・猫と比べると寿命が短くなるリスクが高まります。

なお、体内に寄生しているフィラリアの寿命は犬だと約5~7年、猫では約2~3年です。

参考
犬糸状虫症(外部リンク)

犬の場合

犬の場合、フィラリアが肺動脈から心臓の右心室に移動して循環障害を起こす「大静脈症候群(Caval Syndrome)」に陥ると、数時間~数日で死亡するケースがあります。

その一方で、感染したまま10年以上生きる場合もあるなど個体差があります。

■軽度の感染
治療した場合:早期に適切な治療を受けることで、通常の寿命を全うすることができます。

治療を受けなかった場合:症状が進行し、心臓や肺にダメージが蓄積される可能性があるため、数年以内に症状が悪化することがあります。

■重度の感染
治療を受けた場合:感染が重度であっても治療を受けることで症状を改善させ、寿命を延ばすことができることがあります。
すでに心臓や肺にダメージがある場合、その影響で寿命が短くなることもあるのです。

治療を受けなかった場合:治療せず放置することで、心臓や肺の機能が急速に悪化し、命に関わる合併症(大静脈症候群など)が発生する可能性が高まります。
そのため、治療を受けなかった場合は1~2年以内に死亡することも。

適切な治療を行わないとフィラリアは確実に心臓や肺にダメージを与え、犬の寿命を縮めてしまいます。
フィラリアは感染が分かった時点で、早期に治療を始めることが肝心です。

参考
犬と猫の大静脈症候群│PubMed(外部リンク)

猫の場合

猫は本来フィラリアが寄生するのに適さない宿主のため、猫に寄生したフィラリアの多くは発育できない場合が多いです。

しかし、一度感染すると症状が重篤になることがあります。

■軽度の感染
治療を受けた場合:猫は犬よりも治療が難しいですが、早期に発見し、症状に対する対症療法を行うことで、ある程度の寿命を保つことができます。

治療を受けなかった場合:症状が進行し、慢性的な呼吸器疾患や心臓病を引き起こし、寿命が縮む可能性があります。

■重度の感染
治療を受けた場合:心臓や肺に深刻なダメージを与えている場合、治療を受けても予後は厳しいことがあります。

治療を受けなかった場合:重度の感染では、呼吸困難や突然死のリスクが高く、数ヶ月以内に命を落とす可能性があります。

生存率はさまざまですが、フィラリアに感染した猫の25%~50%が生き残ると推定されています。
ただし、治ったとしても肺や心臓に永続的な損傷が残る場合があります。

参考
猫のフィラリア症│メルク獣医マニュアル(外部リンク)

フィラリアに感染する確率は?

フィラリア予防を全くしなかった場合、犬は約40%、猫は約10%の確率で感染します。

犬の場合10頭いたら4頭、猫の場合10頭いたら1頭が感染しているため、フィラリアになる確率は決して低くありません。

フィラリアは治る?

フィラリアは1度感染すると完治することはありません。
自然に治ることがないため、フィラリアに感染した場合は治療が必要となります。

なお、治療してフィラリアを駆除できても、フィラリアによって傷つけられた臓器や血管は戻らず、体にダメージが残り続けます。

また、犬は治療方が確立していますが、猫は治療法が確立していないため、対症療法が中心となります。
犬・猫どちらもフィラリア治療は負担を伴うため、フィラリアに感染させないために予防することが重要となります。

フィラリアは人間にもうつる?

フィラリアは人間にうつる?

フィラリアは人間に感染することもありますが、感染しても重症化することはありません。
症状が現れることもほとんどないですが、稀に以下の症状が現れる場合があります。

・咳
・胸の痛み
・咳と共に血を吐く
・眼、脳、精巣にこぶを形成

ちなみに、フィラリアに感染しても人間から人間へ感染が拡がることはありません。
また、フィラリア症に感染した犬や猫から人間にうつることもありません。

万が一、人間がフィラリアに感染しても自然に治るため、治療は不要とされています。

フィラリアの治療法

フィラリアに感染した際、無症状または軽度の場合は、運動制限を行えば通常は問題なく治療を行うことができます。

一方、中程度から重度または併発症がある場合は、治療が難しくなります。

治療法には主に「外科手術」「駆虫薬の使用」「予防薬の投与」が挙げられますが、いずれの治療法を行ったとしても犬や猫の体への負担は避けられません。

フィラリアの治療法については、以下の記事で詳しく解説しています。

フィラリア予防薬で確実な対策を

フィラリアは、一度感感染すると完全に治ることはありません。
フィラリアを駆除できても、傷ついた心臓などの治療が必要となるからです。
また、治療自体が犬や猫の体に負担となることもあります。

そのため、一番重要なのはフィラリアに感染させないことです。
フィラリアは予防すれば防げる病気のため、確実な治療法は予防薬の投与であり動物病院でも推奨されています。

フィラリアは治療しないと突然死するの?

フィラリアに感染した後、適切な治療を行わなかった場合は症状が悪化し、突然死を起こす可能性があります。

特に猫の場合、目立つ症状が出ることなく突然死することがあり、犬よりもリスクが高いと言われています。

まとめ

  • フィラリア感染初期は、犬も猫もほとんど症状が現れない
  • 感染後、数年経ってから咳や食欲がなくなるといった症状が現れる
  • 末期症状は物が詰まったような咳、腹水、呼吸困難など
  • フィラリアは人に感染しても重症化しない

>>犬のフィラリア予防についてはこちら

>>猫のフィラリア予防についてはこちら

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