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犬が何回も吐く…危険な嘔吐との見分け方

ご飯を食べすぎたり、お腹がすきすぎたりすると、犬はよく吐きます。

1度吐いたくらいではそこまで心配することはありませんが、何度も吐くようであれば、病気が原因かもしれません。

ここでは1度だけでなく、何度も吐く場合について説明したいと思います。

繰り返す嘔吐の危険度合い一覧表

何度も嘔吐を繰り返す場合、危険な嘔吐かどうかを見極めるための表を掲載しています。
以下の表をもとに判断してください。

チェック項目 危険な嘔吐 考えられる病気 様子見で良い嘔吐
年齢 全年齢 ・子犬
・老犬
嘔吐のタイミング ・1日に3~5回吐く
・毎日吐いている
・嚥下障害
・感染症
・早食いの後
・環境や季節の変わり目
・乗り物に乗った後
・薬を飲み始めてから
吐しゃ物 ・異物がある
・便臭がする
・濃い茶色~黒色の液体
・ピンク色の液体
・寄生虫がいる
・胃炎
・胃潰瘍
・感染症
腸閉塞
・中毒症状

・食道の炎症
・寄生虫感染
・毛玉
・透明な液体
・白い泡が混じっている液体

・黄色い液体
他の症状 ・嘔吐の他に下痢や発熱がある
・吐かないが何度もえずいている
・大腸炎
・ウイルス性疾患

・寄生虫感染
・胃捻転
・他の症状はなく吐いてもけろっとしている

もし毎日吐いている場合や、吐しゃ物が悪臭を放っている、吐いた後に目がうつろ、ぐったりして立てない状態になっていたら、すぐに獣医師の診断を受けてください。

危険な嘔吐のケース

犬は人間よりも吐きやすい体の作りになっていますが、何回も吐いている場合危険な嘔吐の可能性があります。

以下に記載している嘔吐を繰り返している場合は、すぐに動物病院で診察を受けてください。

1日に3回以上吐く

1日に1~2回の嘔吐で、特に体調にも問題が無さそうなら心配する必要はありません。
ただし、3回以上となると体のどこかに異常がないか疑った方が良いです。

飲み込むことが苦手な「嚥下(えんげ)障害」の場合もあるので、異常がないか1度獣医師に相談しましょう。

毎日吐いている

回数は少なくても2日以上連続で毎日吐いている、吐くだけでなく好物のおやつもあまり食べないという場合、消化器の病気や異物の誤飲、感染症に感染している可能性があります。

毎日吐いていて具合が悪そうな場合は、すぐに獣医師に相談しましょう。

また、犬が未消化のフードを吐き出し、それを再び食べようとする場合は、嘔吐ではなく吐きだしという行動です。珍しいことではありませんが、隠れた病気がないか獣医師に診てもらいましょう。

異物を吐いている

吐いたものの中にフード以外のもの(おもちゃの破片など)が混ざっている場合は、誤って異物を誤飲している可能性があります。

異物を誤って飲み込んだ場合は、腸閉塞や中毒症状など命に関わる症状を引き起こす可能性があるので、すぐ病院へ連れて行ってください。

吐しゃ物から便臭がする

吐き戻したものから便臭がする場合は、食糞の可能性が高いです。
しかし、食糞をしていないのに便臭がする場合は腸が詰まっている腸閉塞が考えられるので、早急に獣医師の診断を受けてください。

濃い赤色~黒茶色の液体を吐く

体のどこかで出血して時間が経っている場合は、血液が赤から茶色になるため、茶色い液体を吐く場合があります。

しかしドックフードの色が混ざって茶色に見える場合もあるので、吐いたものをよく観察する必要があります。

吐いたものが濃い赤色または黒茶色の場合は、粘膜から出血している可能性があります。
出血の可能性が見られる場合は、早急に獣医師の診断を受けてください。

ピンク色の液体を吐く

吐いたものがピンク色の液体の場合、血が混じっている可能性があります。

口の中や食道、胃にできた腫瘍から出血してすぐの場合だと赤い鮮血になり、ピンクだと少量の出血なので食道などの炎症が考えられます。

もし鼻からも同じようなピンク色の液体が出てきたら、心臓性肺水腫の可能性もあるので、早急に獣医師の診断を受けてください。

吐しゃ物に寄生虫がいる

吐いたものの中に動くものがいたら、寄生虫の可能性があります。

寄生虫は便に混ざって排出されることも多いので、便の中に潜んでいないかも確認してみてください。
なお、寄生虫の感染は子犬に多く見られま。

他の症状と一緒に吐く

吐くだけではなく下痢や発熱も伴う場合は、胃腸や大腸炎などの内臓系の病気、寄生虫感染、ウイルス性疾患が疑われます。

なお、ウイルス性疾患の1つである「犬レプトスピラ病」は、犬だけではなく人を含めたさまざまな哺乳類に感染する疾患です。

感染した犬の吐しゃ物や排泄物などから人に感染する可能性があるので、吐しゃ物や排泄物は必ず手袋をつけて片づけましょう。

また、ワクチンをまだ摂取していない場合は「犬パルボウイルス感染症」にも要注意です。

嘔吐だけでなく血便の症状も引き起こし、最悪の場合だと1~2日で死に至ることもあるので、疑わしい場合はすぐに獣医師の診断を受けてください。

吐かないが何度もえずいている

吐こうとしても吐けず何度もえずいている場合、胃がたくさんのガスで膨れる「胃拡張」や胃がねじれてしまった「胃捻転」の可能性があります。

胃拡張や胃捻転は胸が深い大型犬に多い病気で、発見が遅れてしまうと死に至る疾患です。

吐かないけれど何度もえずいているという状態を見かけたら、すぐに獣医師の診断を受けてください。

犬が何回も吐く場合に疑われる病気

犬が何回も吐く場合、消化器系や腹腔内、代謝性の病気、感染症、ストレス、寄生虫感染などによる病気が考えられます。

消化器系の病気

犬が何回も吐く場合に疑われる消化器系の病気として、以下が考えられます。

・胃の炎症
・腫瘍
・胃潰瘍
・胃捻転
・胃の出口が狭くなる幽門部の狭窄

腹腔内の病気

犬が何回も吐く場合に疑われる腹腔内の病気として、以下が考えられます。

・膵炎(膵臓の炎症)
・腹膜炎(お腹の腹膜の炎症)
・臓器の腫瘍(胃、肝臓、脾臓、腸管、腎臓など)

代謝性の病気

犬が何回も吐く場合に疑われる代謝性の病気として、以下が考えられます。

・腎不全(血液のろ過がうまくできなくなる)
・肝不全(肝機能が低下)
・慢性的に高血糖が続く糖尿病
・副腎皮質機能の低下など

嚥下障害

犬が食べ物がうまく飲み込めないことから何回も吐いてしまう場合、嚥下(えんげ)障害が考えられます。

・うまく飲み込めず吐き気をもよおす
・飲み込んでも咳が出たり、逆流して吐いてしまう

感染症

犬が何回も吐く場合に疑われる感染症として、以下が考えられます。

・犬パルボウイルス感染症(下痢の症状が現れる)
・犬コロナウイルス性腸炎など

ストレス

犬が何回も吐く場合に疑われるストレスとして、以下が考えられます。

・飼い主とのスキンシップが減少
・心因性のストレス(同居人と合わないなど)
・痛めている関節や骨の痛みなど

寄生虫感染

犬が何回も吐く場合、寄生虫の犬回虫が考えられます。

回虫は犬の吐しゃ物や便と一緒に排泄されることもあるため、吐しゃ物や便の中にそうめんまたはミミズを白くしたようなものが動いていた場合、回虫に感染しています。

回虫は人間にも感染する人獣共通感染症であるため、早急に対処が必要です。
回虫を発見したら、すぐに動物病院の診察を受け治療を開始してください。

なお、回虫を見つけたら採取しておき、動物病院を受診した時に獣医師に見せましょう。

動物病院で伝えること

犬が嘔吐を繰り返していて、その嘔吐が危険な嘔吐に当てはまる場合、すぐに動物病院へ連れていきましょう。

また、動物病院では以下のポイントを獣医師に伝えてください。

  • 吐くタイミングについて(食前、食後)
  • 吐いたものの内容(未消化されていないフードなのか、胃液なのか)
  • 現在服用している薬やサプリメントについて
  • 嘔吐以外の他の症状も伴っているのか(発熱や下痢など)

吐しゃ物や吐しゃ物に紛れている寄生虫は、獣医師に提出しましょう。
すぐに動物病院に行けない場合は、写真を撮って保存しておくことをおすすめします。

また、以下に当てはまる嘔吐や症状が出ている場合も、動物病院で獣医師の診察を受けてください。

  • ・嘔吐と下痢を繰り返している
  • ・嘔吐の他に下痢や熱がある
  • ・嘔吐を繰り返して食欲・元気がない
  • ・嘔吐後、ずっとぐったりしている

犬が何回も吐くが心配ないケース

犬が1日に何度も嘔吐をしていると、心配になりますよね。
ですが、心配ないケースもあります。
以下の症状に当てはまる場合は、吐く回数が多くても心配することはありません。
乗り物酔いなど一時的な嘔吐を抑える吐き気止めはこちら。

子犬や老犬が吐く

子犬はまだ消化器官が十分に整っていないため、ちょっとしたことで吐いたりします。
老犬もまた、加齢と共に筋力や食べ物を消化する力が落ちてくるのでよく吐いたりします。

なお、老犬の場合は他の病気が関係していないか、いつもと様子が違うことはないか気を配る必要があります。

吐いた後けろっとしている

何回か吐いてしまっても、吐いた後に何ごともなかったかのようにけろっとしていて元気だったり、食欲もあって特に問題なさそうであれば大丈夫です。

早食いの後に吐いている

多頭飼いの場合、犬の本能として食べ物を取られまいとして早食いをする傾向にあります。

急いで食べた後に吐いたものの、吐いたものをもう一回食べるくらい食欲があったり、食べなくても元気に遊びまわったりしているようなら大丈夫です。

環境や季節が変わる時に吐いている

犬も人間と同じように、環境や季節の変化などでストレスを感じます。

引っ越しをした、新しい家族が増えた、毛の生え変わる時期にたくさんの毛を飲み込んだ、寒くなってきたため血行が悪くなってきたなど、理由は様々です。

ストレスを感じると自律神経が乱れて胃腸に症状が出やすくなるため、環境や季節の変わり目が原因だと思われる嘔吐は心配しなくても大丈夫です。

乗り物酔いで吐いている

人間もそうですが、犬にも乗り物が苦手な子がいます。
特に成犬に比べて三半規管が未発達な子犬は、乗り物酔いを起こしやすいようです。

乗り物に慣れれば吐くこともなくなるようですが、慣れるまでは獣医師に酔い止めの薬を処方してもらったり、乗り物に乗る前の食事は軽めにしてあげましょう。
代表的な犬の酔い止めにセレニアがあります。動物病院でも処方してくれるほか、ぽちたま薬局でも取り扱いがあります。

お引越しや動物病院など、乗り物でのお出かけが避けられないときは、あらかじめ用意しておくと良いかもしれません。

薬を飲み始めて吐くようになった

痛み止めや抗生剤を飲むと吐いてしまうことが多いようです。
もし薬を飲み始めてから吐く回数が増えた場合は、薬をやめた方が良い場合もあるので、獣医師に相談してください。

毛玉を吐いている

特に毛の生え変わりの時期などは、自分の抜けた毛を飲み込んでしまい、消化できずに便として排出するか、吐くことで体の外へ出します。

毛玉を吐くのはよくあることなので、特に心配はありません。

透明な液体や白い泡が混ざった液体を吐いている

透明な液体や白い泡が混ざった液体を吐いていることがありますが、この場合は水や胃液、または唾液の可能性が高いと思われます。

特に基礎疾患がなくても、水や胃液によって胃が刺激されて吐いてしまうことがあります。

水の場合:水を飲みすぎてしまった
胃液の場合:空腹状態だった
泡を吐く場合:乗り物酔いで唾液が出た

ということが多いようです。

黄色い液体を吐いている

黄色い液体は、食べ物を消化する時に必要な「胆汁」です。
長時間胃の中が空っぽの時に吐く場合、この胆汁を吐いています。
胆汁を吐く以外に、気になる症状がなければ大丈夫です。

犬が何回も吐いた後の対処法

犬が何回も吐いた後、スッキリした様子だったり、回復して元気になっていれば、しばらく様子を見てください。
ただし、すぐに水やご飯を与えるのは避けてください。

基本的に、犬が吐いた後は半日~1日ほど絶食します。
水を飲むと飲んだ刺激でさらに吐き気を催す場合があるため、吐き気が落ち着くまでは水も与えない方が良いです。

吐き気がなくなったら少量の水を与えて、問題なければ水の量を増やしましょう。
その後は、胃に負担のかからない食事(ドライフードを水で柔らかくしたものなど)を少量ずつ与えてください。

また、食事も1日の所持量を3~4回に分けて与えていき、徐々に普段の食事に戻していきましょう。

吐しゃ物の掃除方法

犬の吐しゃ物を掃除する際は、素手で行わずゴム手袋を使って掃除しましょう。
掃除方法は以下の手順になります。

①プラスチック製のカード(下敷きなど)やへらで嘔吐物(固形物)をすくいあげる
※ペットシーツでつかみ取るでもOK
②水で濡らした雑巾を硬く絞り、残った吐しゃ物(液体)を拭き取る
③拭き取り後、雑巾に中性洗剤または弱アルカリ性洗剤をつけて拭き取る
④最後に洗剤が残らないようしっかり拭き取る

犬が何回も吐かないためにできること

飼い主さんが工夫することで、愛犬の嘔吐の回数を減らすことができます。

空腹の時間を短くする

空腹が原因で白い泡や黄色、または緑色の胆汁が混ざった胃液を吐いている場合は、空腹の時間を短くしてあげましょう。

1回あたりの食事量を減らす代わりに、1日あたりの食事の回数は増やします。

いままで1日朝晩の2回だった場合は、寝る前に1回食事の回数を増やして3回にします。
もし空腹の時間を短くしても吐く場合は、獣医師に相談しましょう。

早食いを防ぐ

吐き戻したものが未消化のフードなど、たくさんの餌を一気に食べ過ぎて吐いてしまう早食いが原因の嘔吐では、早食いさせない工夫が必要です。

一度にたくさん食べすぎないように餌の量を調整する、食事の回数自体を増やすなど、早食いしなくても大丈夫という環境を作って安心させてあげましょう。

誤食を避ける

おもちゃなどを誤って誤飲・誤食した場合、異物が胃の出口を塞いだり、腸を塞いで嘔吐と下痢を繰り返すことがあります。

たばこや人間用の薬、ペットシーツ、洋服のボタン、観葉植物、段ボールなどは誤飲・誤食に繋がりやすいので、愛犬の届かない場所に置きましょう。

また夏場のフードはドライタイプでも酸化したりカビや虫などが湧いたりするので、
・早めに使い切る
・密封できる容器に入れる
・食べきれなかったフードはすぐに破棄する

など、きちんと管理しましょう。

ストレスを避ける

空腹ではないはずなのに、空腹の時に吐き戻す内容物(白い泡や黄色、緑色の胆汁が混ざった胃液)と同じものを吐く場合は、ストレスが原因の嘔吐の可能性があります。

・最近引っ越しをした
・新しい家族を迎え入れた
・飼い主さんとのスキンシップの時間が減った

など、思い当たる原因がある場合はできるだけ取り除いてあげましょう。

まとめ

犬が何回も吐く場合、危険な病気が隠れている可能性があります。

必ずしも病気が原因とは限りませんが、病気や寄生虫感染の発見につながります。少しでも違和感を感じた場合はすぐに動物病院で診察を受けてください。

また、嘔吐以外の気になる症状があった場合も、動物病院で獣医師に相談することをおすすめします。
しゃべれない愛犬の健康状態は、飼い主さんが気にかけてあげましょう。

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