量にかかわらず、動物病院に連絡してください。
とくにココアの粉は、チョコレートのなかで最も濃いものです。体重3kgの猫なら、小さじ1杯(約2g)で症状が出うる量に届きます。
ミルクチョコレートなら約26g、高カカオ70%なら約6gが同じ目安です。ココアは、ミルクチョコレートの12倍以上の濃さがあります。
動物病院に伝えること
- 何を口にしたか(ミルク/ダーク/高カカオ/ココアの粉)
- どのくらいの量か(パッケージが残っていれば持参)
- いつ口にしたか、猫の体重は何kgか
猫は体が小さいぶん、同じ量でも犬より危険度が高くなります。

猫の食べ物コラム一覧
その他
いちばん危ないのはココアの粉です
チョコレートが猫に危険な理由は、カカオに含まれるテオブロミンとカフェインです。この2つをまとめてメチルキサンチンと呼びます。
猫はこれらを分解する能力が低く、体内に長くとどまります。犬でのデータでは、テオブロミンの半減期は17.5時間です。肝臓で代謝された後に腸から再吸収される「腸肝循環」も起こすため、長く体に残ります。
そして重要なのが、カカオの量によって濃さが桁違いに変わることです。
| 100gあたりのメチルキサンチン量 | |
|---|---|
| ココア パウダー |
2,850mg(28.5mg/g)── 最も濃い |
| 製菓用 (無糖) |
1,550mg(15.5mg/g) |
| ダーク セミスイート |
530〜560mg(5.3〜5.6mg/g) |
| ミルク | 230mg(2.3mg/g) |
| ホワイト | 4mg(0.04mg/g)── ほぼ含まれません |
ココアの粉はミルクチョコレートの12倍以上です。飲み物のココアだけでなく、粉の状態で床やテーブルに飛び散ったものにも注意してください。被毛についた粉を、毛づくろいのときに舐めてしまうことがあります。
高カカオ製品はパッケージの%から計算できます
Merck Veterinary Manual には、カカオの割合から含有量を求める方法が示されています。
メチルキサンチン量(mg/g)= 15.5 × カカオの割合
たとえば86%カカオのチョコレートなら 15.5 × 0.86 = 約13.3mg/g で、ミルクチョコレートの約6倍になります。
チョコレート以外にも気をつけたいもの
メチルキサンチンは、カカオ以外の食品にも含まれます。
- コーヒー(豆・粉・インスタント・淹れた後のかす)
- お茶(玉露、緑茶、抹茶、紅茶、ウーロン茶。茶葉そのものも)
- コーラ、栄養ドリンク、エナジードリンク
- 抹茶入りやコーヒー入りのお菓子、チョコがけの菓子類
猫がこぼれた飲み物を舐める、カップの縁を舐めるという場面は起こりえます。飲みかけを置いたまま席を離れないでください。
体重別・目安になる量
Merck Veterinary Manual は、犬がメチルキサンチンを摂取した場合について次の目安を示しています。
| 摂取量と症状の目安(犬のデータ) | |
|---|---|
| 20mg/kg | 嘔吐、下痢、水をたくさん飲むなどの軽い症状が出ることがある |
| 40〜50mg/kg | 心臓への影響が出る |
| 60mg/kg以上 | けいれんが起こる |
この数値は犬のデータです。Merck は「チョコレート中毒は犬で最も多く起こるが、多くの動物種が感受性を持つ」としており、猫について同等の閾値は示していません。以下の表は、犬の基準を猫の体重に当てはめた参考値として読んでください。
| 体重別・参考値(20mg/kgに相当する量) | |||
|---|---|---|---|
| 体重 | ミルク | 高カカオ 70% |
ココア |
| 3kg | 約26g | 約6g | 約2g |
| 4kg | 約35g | 約7g | 約3g |
| 5kg | 約43g | 約9g | 約4g |
算出方法:20mg/kg × 体重 ÷ メチルキサンチン含有量(ミルク 2.3mg/g、70%カカオ 10.85mg/g、ココアパウダー 28.5mg/g)。犬の閾値を猫の体重に当てはめた参考値です。

ココアパウダーは小さじ1杯でおよそ2gです。体重3kgの猫なら、小さじ1杯で参考値に届きます。
Merck は、重篤な症状や死亡ははるかに低い用量でも起こりうること、感受性には個体差があることを明記しています。「この量以下なら安全」という読み方はしないでください。
症状はいつ出るのか
犬でのデータでは、症状は通常6〜12時間以内に現れ、重症例では72時間続くことがあります。
初期は水をたくさん飲む、嘔吐、下痢、落ち着きがないといった様子です。進行すると、過度に動き回る、ふらつく、体がこわばる、震え、けいれんが起こります。
食べた直後に元気でも、油断しないでください。
参考:Merck Veterinary Manual「Chocolate Toxicosis in Animals」(外部リンク)
ホワイトチョコなら大丈夫か
テオブロミンという観点では、ホワイトチョコレートはほぼ問題になりません。Merck の数値で0.04mg/g、「無視できる供給源」とされています。
ただし、脂質と糖分は他のチョコレートと変わりません。Merck は、チョコレート製品の高い脂肪含量が膵炎を引き起こすことがあると述べています。
猫は犬より体が小さく、同じ量の脂肪でも体への負担は大きくなります。「ホワイトだから」と与えてよい理由にはなりません。
甘味を感じない猫が、なぜ寄ってくるのか

人がチョコレートを食べていると、猫が寄ってくることがあります。不思議なのは、猫は甘味を感じないことが分かっているという点です。
猫の甘味受容体は、遺伝子レベルで壊れています
2005年にPLOS Geneticsで発表された研究で、その理由が分かっています。
哺乳類の甘味受容体は、T1R2とT1R3という2つのたんぱく質が組み合わさってできています。猫ではT1R2をつくる遺伝子(Tas1r2)が壊れており、機能する甘味受容体を作れません。研究チームは、この遺伝子がイエネコ6頭すべて、さらにトラとチーターでも同じように壊れていることを確認しています。
つまり、猫がチョコレートに反応しているのは甘さではありません。
猫は味より匂いで判断しています
猫が食べ物を選ぶとき、味覚より嗅覚のほうが大きく働きます。
チョコレート菓子には、カカオ以外にもバターや卵、乳製品が使われています。猫が反応しているのは、こうした動物性の脂肪やたんぱく質の匂いだと考えられます。
チョコがけのクッキーであれば、クッキー部分のバターの匂いに惹かれている可能性が高くなります。同じ研究は、猫がアミノ酸に対して嗜好性を示すことにも触れています。
ここから先は推測になりますが、飼い主が食べているものへの興味も大きいと思われます。猫は「いま人が口に入れているもの」に反応することがよくあります。
置き場所を決めておく
猫は跳躍力があるため、「高い場所に置く」だけでは足りないことがあります。
- 扉のある戸棚や引き出し、冷蔵庫にしまう
- 引き出しを開けられる猫には、さらに缶や密閉容器に入れる
- 袋のままにしない(かじって中身を出すことがあります)
- ココアの粉をこぼしたら、すぐに拭き取る(被毛について毛づくろいで舐めます)
- 食べかけ、飲みかけを置いたまま席を離れない
- バレンタインの時期は、いただきものが増えるので特に注意する
まとめ
- 口にしたら、量にかかわらず動物病院へ連絡する
- いちばん濃いのはココアの粉(ミルクチョコの12倍以上)
- 体重3kgの猫なら、ココアパウダー小さじ1杯が参考値に届く
- Merckの閾値は犬のデータ。猫の数値は確立されていない。参考値として読む
- 高カカオはパッケージの%から計算できる(15.5 × カカオの割合)
- ホワイトチョコはテオブロミンが少ないが、脂質と糖分で膵炎のリスクがある
- 症状は6〜12時間以内に出ることが多い。食べた直後に元気でも油断しない
- 猫は甘味を感じない。反応しているのはバターや乳製品の匂い
2月はチョコレートが家に増える季節です。猫の日もこの時期にありますね。
いただいたチョコレートは、まず置き場所を決めてから。ココアを淹れたときは、粉のこぼれにも目を向けてあげてください。

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