総合栄養食のキャットフードを食べていれば、栄養は足りています。
猫は絶対肉食動物です。必要な栄養素の一部は、動物性の食材からしか摂れません。野菜や果物で栄養を補うことはできません。
この記事は「与えたほうがいい食材」の紹介ではなく、「与えても大丈夫な食材と、その量」の一覧です。

猫の食べ物コラム一覧
その他
猫が「絶対肉食動物」である意味
「猫は肉食だから野菜を消化できない」と説明されることがありますが、これは正確ではありません。
消化はできます
Merck Veterinary Manual によると、猫は植物由来の栄養素を含む食事も進んで食べ、加熱したデンプンなどを犬と同様に効率よく消化・吸収できます。
つまりかぼちゃやいちごを少し与えること自体に、消化上の問題はありません。
問題は「必要な栄養素が植物に無い」こと
猫が絶対肉食動物と呼ばれるのは、消化能力の問題ではなく、動物組織を含む食事でしか満たせない栄養要求があるからです。
| 猫が食事から摂る必要があるもの | ||
|---|---|---|
| 栄養素 | 猫 | 犬 |
| タウリン | 食事から必須 | 合成できる |
| アラキドン酸 | 食事から必須 | リノール酸 から作れる |
| ビタミンA | 食事から必須 | βカロテン から作れる |
| ナイアシン | 要求量が高い | トリプトファン から作れる |
Merck Veterinary Manual による。
とくにアラキドン酸について、Merckは「植物油や植物性脂肪には含まれず、肉・鶏肉・卵の脂肪に含まれる」としています。
「にんじんやかぼちゃでビタミンAが摂れる」は、猫には当てはまりません。
犬はβカロテンをビタミンAに変換できますが、猫はこの変換ができません。猫にはあらかじめビタミンAの形になっているもの(動物性の食材)が必要です。
だから、野菜や果物で栄養は補えません
猫に野菜や果物を与えることは、栄養補給にはなりません。
与える理由は「喜ぶから」「水分を摂らせたいから」で十分です。「体にいいから」という理由で量が増えないようにしてください。
参考:Merck Veterinary Manual「Nutritional Requirements of Small Animals」(外部リンク)
体重別・食材ごとの量
世界小動物獣医師会(WSAVA)は、おやつや主食以外の食べ物を1日に必要なカロリーの10%未満に収めることを推奨しています。
これをもとに、24食材を体重別に計算しました。数値はすべて日本食品標準成分表(八訂)増補2023年から取っています。

| 体重別・1日の上限(24食材・カロリーで計算) | |||
|---|---|---|---|
| 食材 | 3kg | 4kg | 5kg |
| 動物性(ここが中心) | |||
| たら | 27g | 33g | 39g |
| 鶏ささみ | 20g | 24g | 29g |
| イカ (ゆで) |
20g | 24g | 29g |
| 鶏むね (皮なし) |
18g | 23g | 27g |
| かつお | 18g | 22g | 26g |
| まぐろ (赤身) |
17g | 21g | 24g |
| さけ | 15g | 19g | 23g |
| ゆで卵 | 14g | 18g | 21g |
| 豚もも (赤身) |
14g | 17g | 20g |
| 牛もも (赤身) |
11g | 14g | 17g |
| かつお節 | 6g | 7g | 8g |
| 乳製品(少量なら) | |||
| ヨーグルト (無糖) |
34g | 42g | 50g |
| 牛乳 | 31g | 39g | 46g |
| カテージ チーズ |
19g | 24g | 28g |
| プロセス チーズ |
6g | 8g | 9g |
| 植物性(栄養のためではなく) | |||
| きゅうり | 147g | 183g | 216g |
| キャベツ | 83g | 103g | 122g |
| にんじん | 60g | 74g | 88g |
| ブロッコリー | 52g | 64g | 76g |
| 木綿豆腐 | 26g | 33g | 38g |
| かぼちゃ (ゆで) |
24g | 30g | 35g |
| さつまいも | 15g | 19g | 22g |
| ごはん | 12g | 15g | 18g |
| 焼きのり | 6g | 8g | 9g |
算出方法:安静時エネルギー要求量(RER)=70×体重(kg)の0.75乗、1日に必要なカロリー=RER×1.2(避妊去勢済みの健康な成猫の係数)として計算し、その10%を各食材のカロリーで割ったものです。重さは、かぼちゃとイカは加熱後、それ以外は生の状態のものです。
この数字まで与えないでください
これは「上限」であって「目安」ではありません。おやつ枠をひとつの食材で使い切ると、他のおやつが与えられなくなります。
現実的な量は、次のくらいです。
・焼きのりなら切手ほどの大きさでひとかけら(全型1枚は約3g)
・チーズなら5mm角を1〜2個
・ヨーグルトなら小さじ1〜2杯
・加熱したイカなら小さじ1杯
猫は体が小さいぶん、少量でもカロリーの影響を受けます。
2種類あげるなら、合計で考えます
表の数字は1つの食材だけで枠を使い切ったときの量です。猫の枠は体重4kgで1日24kcalしかありません。
たとえばこう組み合わせると、それだけで埋まります。
| 体重4kgの猫・1日24kcalの使い方の例 | ||
|---|---|---|
| 食材 | 量 | カロリー |
| 鶏ささみ | 10g(小さく切って3切れ) | 約10kcal |
| ヨーグルト | 10g(小さじ2) | 約6kcal |
| かつお節 | 2g(ひとつまみ) | 約7kcal |
| 合計 | — | 約22kcal |
ひとつまみのかつお節だけで、1日の枠の3割近くを使います。かつお節は水分が飛んでいるぶん、同じ重さのささみの3倍以上のカロリーがあるためです。
「ちょっとだけ」のつもりが、重ねると枠を超えます。何種類かあげる日は、ひとつずつを半分にしてください。
食材別の詳しい記事

動物性の食材
| 加熱した肉 | 鶏肉、牛肉、豚肉。必ず火を通し、味付けはしないでください。猫に必要なタウリンやアラキドン酸は、動物性の食材に含まれます。>>猫に生肉を与えるとどうなるか |
|---|---|
| 加熱した卵 | 生卵は避けてください。Merckによると、生卵に含まれるアビジンがビオチンを壊します。加熱すればこの働きは失われます。 |
| 加熱した魚 | 生の魚にはビタミンB1を壊す酵素が含まれます。加熱してください。骨は必ず取り除いてください。 |
| イカ・タコ | 生は与えないでください。「腰を抜かす」と言われるビタミンB1欠乏の原因になります。加熱すれば少量は問題ありませんが、猫は丸呑みするので細かく刻んでください。 >>猫にイカを与えていい形態と量 |
乳製品
| ヨーグルト | 無糖のプレーンなら少量は問題ありません。ただし便秘が続いている猫は、ヨーグルトより先に受診を。 >>猫にヨーグルトを与えていい量 |
|---|---|
| チーズ | 種類で塩分が大きく違います。スライスチーズ1枚は、体重3kgの猫には約3日分にあたります。 >>猫にチーズは1日何gまでか |
| 牛乳 | 猫は乳糖を分解しにくく、下痢を起こすことがあります。水分補給なら水で足ります。低脂肪牛乳は乳糖がむしろ多めです。>>猫に牛乳は何mlまでか |
| ヤギミルク | 牛乳より乳糖が少ないとされます。猫用として市販されているものを選んでください。 |
海藻・野菜・果物
| 海苔 | 味付けのりは避けてください。焼きのりはヨウ素が多く、現実的な量は切手ほどの大きさでひとかけらです。>>猫に海苔は1日どれくらいまでか |
|---|---|
| とうもろこし | ゆでた粒は問題ありませんが、芯は腸閉塞の原因になります。缶詰は食塩が加えられており、ゆでた粒とは別物です。>>猫にとうもろこしは1日何gまでか |
| きゅうり かぼちゃ |
消化はできます。ただし栄養補給にはなりません。水分を摂らせたい、喜ぶから、という理由なら少量は構いません。 |
加工品はどうか
人が食べているもので、猫が寄ってきやすいものを整理しました。
| バター マーガリン |
積極的に与えるものではありません。脂質が非常に多く、少量でもカロリーが高くなります。 なめてしまった程度で慌てる必要はありませんが、繰り返すと肥満や膵炎のリスクになります。マーガリンにはトランス脂肪酸の問題もあります。 バターの匂いに寄ってくる猫は多いので、置きっぱなしにしないでください。 |
|---|---|
| はんぺん かまぼこ |
猫が好む匂いですが、人間用の練り物は塩分が多すぎます。添加物も含まれます。 ひとかけら程度で中毒にはなりませんが、習慣にしないでください。腎臓病や尿石症の猫には与えないでください。 |
| プルーン ドライフルーツ |
与えないでください。種にはアミグダリンが含まれ、丸呑みすると詰まります。 またドライフルーツは水分が抜けているぶん、糖分が濃縮されています。レーズンは腎障害の報告があるため、とくに避けてください。 |
| ツナ缶 | 人間用は塩分と油分が多すぎます。水煮・食塩無添加のものを、ごく少量なら。 マグロだけを与え続けると、ビタミンEが不足して黄色脂肪症になることがあります。主食にはしないでください。 |
与えるときの共通ルール
| 初めては 少量から |
アレルギーの有無は与えてみないと分かりません。ごく少量にして、その日のうちに様子を見てください。 |
|---|---|
| 必ず 火を通す |
生の魚介にはビタミンB1を壊す酵素、生卵にはビオチンを壊す成分が含まれます。猫では加熱が基本です。 |
| 味付けは しない |
人間用の料理は与えないでください。とくに玉ねぎが入っているものは中毒を起こします。 |
| 細かく 刻む |
猫には食べ物をすりつぶす奥歯がありません。基本的に丸呑みするので、詰まらない大きさにしてください。 |
| 持病がある 猫は相談を |
腎臓病、尿石症、糖尿病の猫は、療法食の設計を崩さないために主治医に確認してから与えてください。 |
与えてはいけない食材は別記事に

この記事は「与えていい食材」をまとめたものです。与えてはいけない食材は、別の記事にまとめています。
とくに玉ねぎは、猫が犬より3倍ほど弱いことが知られています。
- 玉ねぎ・ネギ類 ── 加熱した玉ねぎ小さじ1杯未満でも中毒の報告があります
- チョコレート・ココア ── ココアの粉がもっとも濃い
- ぶどう・レーズン ── 猫でも腎障害の報告があります
- アルコール ── 猫には分解する酵素がありません
まとめ
- 総合栄養食のキャットフードを食べていれば、栄養は足りています
- 猫は消化できないのではなく、必要な栄養素が植物に無い
- タウリン・アラキドン酸・ビタミンAは、動物性の食材からしか摂れません
- 「にんじんでビタミンAが摂れる」は、猫には当てはまりません(βカロテンを変換できない)
- おやつは1日に必要なカロリーの10%未満に
- 焼きのりなら切手ほどのひとかけら、チーズなら5mm角1〜2個、ヨーグルトなら小さじ1〜2杯
- 生の魚介と生卵は避ける。猫では加熱が基本
- 与える理由は「喜ぶから」で十分。栄養目的で与える必要はありません
台所に立っていると、いつのまにか足元にいる。猫と暮らしていると、よくある光景ですよね。
ひとかけら分けること自体に問題はありません。ただ「体にいいから」ではなく「一緒に楽しむために」という距離感でいるほうが、結果的に適量に収まります。

ペットのお薬通販『ぽちたま薬局』スタッフのブログです。
このブログではペットのご飯を中心にペットの健康について考えたいと思います。










