猫に食べさせてはいけないものを、緊急度で分けて整理しました。
すでに食べてしまった場合は、まず「今すぐ動物病院へ」の一覧を確認してください。
猫は苦しみを外に出さない動物です。「元気そうだから大丈夫」は、猫ではとくに通用しません。

猫の食べ物コラム一覧
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次の4つは、量にかかわらず、症状が出ていなくても連絡してください。
| 量の目安と、症状が出るまでの時間 | ||
|---|---|---|
| 食材 | 量の目安 | 症状まで |
| 玉ねぎ ネギ類 |
5g/kg 加熱した玉ねぎ 小さじ1杯未満 |
24時間以内に変化 3〜5日で溶血 |
| チョコレート ココア |
犬では20mg/kg 猫の基準は 示されていません |
6〜12時間 |
| ぶどう レーズン |
量の基準なし 猫でも報告あり |
1〜3日で腎不全 |
| アルコール | 少量でも | 30分〜数時間 |
数値は Merck Veterinary Manual による。
玉ねぎ・ネギ類
原因は有機チオ硫酸化合物です。「アリルプロピルジスルフィド」と書かれていることがありますが、これは古い情報です。
Merckは「猫がもっとも感受性が高く、次いで犬」としています。猫では加熱した玉ねぎ小さじ1杯未満で中毒が報告されています。
加熱しても毒性は消えません。刻む・加熱する・噛むという機械的な破壊で成分が放出されるためです。スープや煮汁は、成分が溶け出した液体そのものです。
Merckは、犬猫のネギ類中毒が乾燥フレーク・粉末・スープの素といった濃縮された形態と結びつくことが最も多いとしています。
症状が見えるのは3〜5日後です。体の中では24時間以内に赤血球の損傷が始まっていますが、外からは分かりません。食べた直後に元気でも、安心材料にはなりません。
チョコレート・ココア
カカオに含まれるテオブロミンが原因です。もっとも濃いのはココアの粉で、ミルクチョコレートの12倍以上あります。
猫は甘みを感じませんが、乳脂肪やバターの匂いに引き寄せられます。
※Merckが示している中毒量(20mg/kgで軽い症状)は犬のデータです。猫についての基準は示されていません。
ぶどう・レーズン
犬で急性腎障害を起こすことで知られていますが、Merckには猫でも報告があります。
原因物質として酒石酸が有力視されています。犬は有機酸を排泄する仕組みを欠くため、腎臓に蓄積します。
猫にも与えないでください。
アルコール
猫にはアルコールを分解する酵素がありません。摂取したアルコールが無害化されず、体内を長く循環します。
蓄積すると脳や心肺の機能が抑えられます。料理酒、みりん、ラム酒入りの菓子にも注意してください。
連絡して判断を仰ぐ
次の4つは、食べた量と状況によって対応が変わります。自己判断せず、動物病院に電話して指示を受けてください。
| 生のパン生地 | 意外な盲点です。イースト入りの生地は、暖かく湿った胃の中でさらに膨らみます。膨張した胃が血流を妨げ、呼吸が苦しくなります。 さらに発酵でエタノールが作られ、アルコール中毒にもなります。 パンを焼く家庭では、発酵中の生地から目を離さないでください。 |
|---|---|
| カフェイン | コーヒー、紅茶、緑茶、エナジードリンク。チョコレートと同じメチルキサンチンです。 猫はアルカロイドを分解しにくく、成分が体内に長く留まります。淹れた後のコーヒーかすや茶葉にも注意してください。 |
| マカダミア ナッツ |
Merckによると症状が報告されているのは犬だけで、猫での報告はありません。 ただしナッツ類は脂質が多く、丸呑みすると詰まります。与える理由はありません。 |
| 銀杏 | ギンコトキシンという成分が、けいれんや嘔吐を起こすとされています。 ※猫での中毒量は確認できませんでした。 ベランダや庭に落ちた実を口にすることがあります。 |
猫だけに注意したいもの

犬ではあまり問題にならないのに、猫では注意が必要なものがあります。
アワビの肝 ──「猫が食べると耳が落ちる」
東北地方に「猫がアワビを食べると耳が落ちる」という言い伝えがあります。これは事実に基づいた伝承です。
アワビの肝にはピロフェオホルバイドという成分が含まれています。これを多く食べた状態で日光に当たると、光線過敏症を起こします。
日光の当たりやすい耳や顔面に皮膚炎が出て、かゆみで掻くことで悪化し、耳の皮膚が壊死して剥がれることがあります。
サザエやトコブシなど、巻貝類の肝も同様です。身の部分ではなく、肝が問題です。
生の青魚 ── 黄色脂肪症
アジ、サバ、サンマ、イワシ、マグロといった青魚には不飽和脂肪酸が多く含まれます。
酸化しやすく、日常的に摂り続けると腹部や胸部の皮下脂肪が酸化して炎症を起こします。これが黄色脂肪症(イエローファット)です。
問題になるのは生の青魚を主食として日常的に与えた場合です。キャットフードに魚が使われていても、ビタミンEなどを加えて酸化を防ぐ設計になっています。市販のフードを食べている猫で心配する必要はありません。
生のイカ・タコ・貝
チアミナーゼという酵素がビタミンB1を壊します。不足すると、ふらつきや後ろ足に力が入らない神経症状が出ます。
「猫がイカを食べると腰を抜かす」という言い伝えは、これを指しています。
加熱すれば失活します。ただし猫は奥歯で食べ物をすりつぶせないため、加熱しても丸呑みして詰まるリスクが残ります。
与えないほうがよい
中毒を起こすとは限りませんが、与える理由がない、または別のリスクがあるものです。
| スパイス 香辛料 |
コショウ、とうがらし、カレー粉、タバスコなど。胃腸炎や内臓障害の原因になるアルカロイドを含みます。 匂いが強いので猫が自分から口にすることは少ないものの、人の料理に混ざった形で口にすることがあります。 |
|---|---|
| シナモン | 人には生薬として使われますが、クマリンという成分が肝毒性と腎障害を起こします。 お菓子に使われることが多く、バターや卵の匂いで猫が寄ってきます。 |
| アボカド | Merckが感受性のある動物として挙げているのは馬・ウサギ・モルモット・鳥類・魚などで、猫は含まれていません。 ただし脂質が非常に多く、種は喉や腸に詰まります。 |
| 生肉・生魚 | サルモネラやリステリアのリスクがあります。飼い主自身が感染することもあります。 |
| 牛乳 | 猫は乳糖を分解しにくく、下痢を起こすことがあります。中毒ではありませんが、水分補給なら水で足ります。 |
| 人間用の 加工品 |
ハム、ソーセージ、ツナ缶、かまぼこ、はんぺん。塩分と添加物が多すぎます。 |
犬とは違うところ
犬猫を両方飼っている家庭では、違いを知っておくと管理しやすくなります。
| 同じ食材でも、影響が違います | ||
|---|---|---|
| 食材 | 猫 | 犬 |
| 玉ねぎ | 5g/kg (3倍弱い) |
15〜30g/kg |
| キシリトール | リスクなし | 100mg/kgで 低血糖 |
| マカダミア | 報告なし | 犬だけに報告 |
| アワビの肝 | 光線過敏症 | 報告は少ない |
キシリトールは意外に思われるかもしれません。Merckは「犬は、キシリトール中毒が報告されている唯一の家畜種である。猫はリスクがない」としています。
ただし犬がいる家庭では、猫用と分けて管理してください。
食べた後に見る症状
- 繰り返し吐く、食欲がない
- ぐったりしている、動かない
- 歯ぐきや目の裏の粘膜が白っぽい(貧血)
- 白目や皮膚が黄色い(黄疸)
- 赤茶色や濃い色の尿が出る
- ふらつく、後ろ足に力が入らない
- 呼吸が速い、けいれんしている
猫は具合が悪くても、いつもの場所で静かにしているだけのことがあります。
「元気そう」は判断材料になりません。食べたことが分かっているなら、症状を待たずに連絡してください。
病院に伝えること
- 何を食べたか(商品名、パッケージがあれば持参)
- どのくらいの量か
- いつ食べたか
- 猫の体重
- 今の様子(症状の有無)
やってはいけない対処
| 様子を見る | いちばんやってはいけないことです。玉ねぎの症状が見えるのは3〜5日後。そのときには溶血が進んでいます。 |
|---|---|
| 自分で 吐かせる |
猫に使える催吐薬は限られており、獣医師が判断して行う処置です。自宅での催吐は、誤嚥や胃の損傷につながります。 |
| 塩水を 飲ませる |
絶対にやめてください。吐かなかった場合、塩がそのまま体に入り、塩中毒という別の問題を起こします。 |
| 牛乳を 飲ませる |
毒を薄める効果はありません。猫は乳糖を分解しにくく、下痢で状態を悪くすることがあります。 |
防ぐためにできること

- 調理中はキッチンに入れない── 刻んだ玉ねぎが落ちます
- 鍋や食器を流しに放置しない── 煮汁が残っています
- 扉のある場所にしまう── 猫は高い場所にも登ります
- ゴミ箱に蓋をする── 玉ねぎの皮、魚の内臓
- 食卓を離れるときは覆いをする
- 家族全員で共有する
猫は犬と違い、高い場所に登れます。「棚の上だから大丈夫」は通用しません。扉のある場所か、重い蓋のある容器に入れてください。
まとめ
- 玉ねぎ・チョコ・ぶどう・アルコールは、量にかかわらずすぐ連絡
- 玉ねぎは5g/kg(加熱した玉ねぎ小さじ1杯未満)で中毒の報告がある
- 加熱しても毒性は消えない。スープや煮汁は成分が溶け出した液体
- 症状が見えるのは3〜5日後。食べた直後に元気でも安心できない
- 猫は苦しみを外に出さない。「元気そう」は判断材料にならない
- 猫だけに注意したいのはアワビの肝・生の青魚・生のイカ
- キシリトールは、猫ではリスクがないとされている(犬とは逆)
- 「様子を見る」「自分で吐かせる」「塩水」は、やってはいけない
猫はキッチンに上がりますし、興味を持ったものには近づきます。完全に防ぐのは難しいものです。
だからこそ「これは危ない」という感覚を家族で共有しておくことが備えになります。冷蔵庫に貼っておけるくらいの一覧として、この記事を使ってもらえたらうれしいです。

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