猫の飼い主さんによく知られている寄生虫と言えば、ノミやマダニ、フィラリアなどが挙げられます。
しかしこのほかにも数多くの寄生虫が存在しており、その症状もさまざま。
主にかゆみや貧血、下痢、嘔吐が挙げられますが、細かい症状は寄生虫によって違います。
そこで、本記事では寄生されることで引き起こされる症状や病気を、寄生虫ごとに詳しく説明します。
飼い主さんが寄生虫の症状の知識を持っていれば、すぐに動物病院を受診する判断ができたり、駆虫薬で予防ができたり、愛猫の健康を守ることができるでしょう。
猫の寄生虫については以下のコラムでも詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
目次
猫の外部寄生虫の症状
猫の寄生虫のうち、まずは「外部寄生虫」と呼ばれる寄生虫の症状を説明します。
「外部寄生虫」とは、猫の皮膚や被毛など体表に寄生する虫のこと。
主にノミやマダニ、シラミが外部寄生虫に分類されます。
ここから、それぞれに寄生されたときに起こり得る症状を説明します。
猫の外部寄生虫①ノミの症状
ノミは、猫の皮膚から血を吸うことで寄生します。
もっとも多い症状は、ノミが吸血する際の唾液が原因となるノミアレルギー性皮膚炎です。
お腹・首・背中などに激しいかゆみを引き起こし、出血するほど体を搔いてしまう猫も少なくありません。
ほかには脱毛、大量のノミに寄生された場合は血を吸われることによる貧血などの症状もあります。
また、ノミは条虫(サナダムシ)を媒介する虫です。
そのためノミに寄生されると、後述する条虫症を引き起こすこともあります。
ノミの感染経路や対策法など、症状以外については以下のコラムに掲載しているので、確認してみてください。
また、ノミ対策は「ネクスガードキャットコンボ」などの駆除薬で対策するのが効果的です。
猫の外部寄生虫②マダニの症状
マダニはノミと同様に、猫の皮膚から血を吸って寄生します。
顔、胸、股、足先、肛門付近などに寄生し、皮膚炎や貧血の症状を引き起こします。
実はマダニは、寄生によって愛猫が命を落としかねない危険な寄生虫。
多くの病原体を媒介するので、以下の感染症を引き起こすことがあります。
SFTS(重症熱性血小板減少症候群) | 発熱、嘔吐、黄疸など |
---|---|
ヘモプラズマ感染症 | 貧血、発熱など、重度の場合は黄疸や呼吸困難 |
ライム病 | 発熱など |
Q熱 | ほとんど症状がない |
マダニの症状と対処法についてはこちらのコラムでも説明していますが、SFTSは発症すると致死率が高く、命を落とす危険もあります。
また、上記4つの病気は、すべて人にも感染します。近年、猫や犬から人に感染する例も報告されているため、愛猫の予防や治療はもちろん、飼い主さんご自身の感染対策もおこないましょう。
マダニは「ネクスガードキャットコンボ」などの駆除薬を定期的に投与することで予防ができます。
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猫の外部寄生虫③ミミヒゼンダニの症状
ミミヒゼンダニはダニの一種。マダニとは異なる種類のダニです。
耳の内部に寄生し、耳ダニ症や耳疥癬(みみかいせん)と呼ばれる病気を引き起こします。
耳ダニ症になると激しいかゆみを引き起こし、自分の耳を掻くことで傷ができて出血することがあります。あまりのかゆさに、頭を振る仕草やまともに寝られないということも…。
もうひとつ特徴的な症状として、コーヒー粕のような黒い耳垢が大量に出てきます。
耳ダニ症は自然治癒することがほとんどないので、治療に駆除薬を使いますが、卵までは駆除できません。
薬を投与したときに卵だった場合は、成虫してから再度駆虫薬を投与する必要があります。
耳ダニは「ネクスガードキャットコンボ」などの駆除薬を定期的に投与することで予防ができます。
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猫の外部寄生虫④シラミの症状
シラミの中でも猫に寄生するのはネコハジラミという種類で、猫の被毛に寄生します。
シラミに寄生されても、かゆみが少ないことがほとんどなので、寄生されていることに気づきにくいです。
特徴的な症状はなく、フケ、毛ツヤが悪くなる、脱毛、丘疹(肌のブツブツ)など、さまざまな皮膚トラブルが出る程度。
愛猫の毛に、動くフケのようなものが付着しているときはシラミの可能性があるので注意しましょう。
ぽちたま薬局では、ノミ・マダニ駆除に加えてシラミの予防に効果がある「フィプロフォートプラス」も販売しています。
猫の内部寄生虫の症状
次に「内部寄生虫」と呼ばれる猫の寄生虫の症状を説明します。
皮膚や被毛などの体表に寄生する「外部寄生虫」とは異なり、「内部寄生虫」は猫の内臓に寄生します。
ノミやマダニと違って「内部寄生虫」は目に見えないことがほとんど。また猫が寄生されても無症状であるため、寄生されていることに気づきにくいです。
人間にうつる寄生虫もいるうえ、放置すると重篤化のリスクも……。
そのため愛猫のちょっとした症状も見逃さないようにしましょう。
猫の内部寄生虫①フィラリアの症状
犬に寄生するイメージが強いフィラリアですが、実は猫にも寄生します。
犬の場合はフィラリアが心臓や肺の血管に成虫が詰まり、咳や心臓発作など特徴的な症状があらわれますが、実は猫は症状が出てもほかの病気と見分けがつかないこともあります。
そのためフィラリアに気付いたときにはすでに重篤化している、最悪の場合は突然死なんて事態も起こしかねません。
猫はフィラリアの幼虫が肺の血管に到達することで症状が出ると言われています。
症状としては嘔吐や咳、呼吸困難、食欲不振、元気消失など。愛猫に異変を感じたら必ず動物病院を受診しましょう。
フィラリアはとても危険もある寄生虫。普段から予防薬の投与を徹底し、寄生されていないか一度検査をしておくと安心です。
猫のフィラリアについては以下のコラムでも詳しく解説しています。
フィラリアは「ネクスガードキャットコンボ」などの予防薬で対策しましょう。
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猫の内部寄生虫②条虫の症状
条虫は、サナダムシとも呼ばれている寄生虫です。
感染経路はさまざまですが、主に猫の小腸に寄生し、下痢や嘔吐などの消化器症状を引き起こします。
条虫にも多くの種類が存在しており、猫に寄生する主な種類は以下の3つです。
それぞれの寄生虫の症状を説明します。
サナダムシの感染経路や治療法・予防法などを以下のコラムでも詳しく説明しています。
瓜実条虫症の症状
瓜実条虫(うりざねじょうちゅう)は、ノミを媒介して猫の小腸に寄生します。
猫が瓜実条虫症に寄生されても、多くの場合が無症状と言われています。
しかし、大量に寄生されると下痢や血便を起こすことも……。注意したいのは体力のない子猫。成猫に比べて子猫は症状が顕著に出るとされています。
また、感染した猫は、米粒のような瓜実条虫の一部が糞便とともに排出され、肛門に付着することがあります。これにより寄生が発覚することも多いです。
瓜実条虫症の治療は、駆虫薬に加えて原因となるノミの駆除もおこなう必要があります。ノミの駆除薬を定期的に投与することは、瓜実条虫症の予防にもつながるのです。
「ネクスガードキャットコンボ」はノミと条虫の駆除が同時にできます。
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マンソン裂頭条虫症の症状
マンソン裂頭条虫は、ヘビやカエルを猫が口にすることで感染し、猫の小腸に寄生します。
多くの場合は無症状で、感染に気付かないまま体内に保有し続けることもあります。
ただその場合でも、マンソン裂頭条虫は60~280cmもの長さがあるため、小腸で栄養の吸収を阻害し、食欲はあるのに体重が増えないといった症状が現れます。
また、大量に寄生されると慢性的な下痢を引き起こす場合もあるので注意しましょう。
ほかにも糞便と一緒にマンソン裂頭条虫の一部(きし麺のような形)が出てくることもあります。
マンソン裂頭条虫の治療には駆虫薬を投与しますが、寄生力が強く高容量の薬が必要で、愛猫の身体の負担も大きいです。
そのため、寄生されないよう定期的な駆虫薬の投与で予防をすることが大切です。
マンソン裂頭条虫について、感染経路や予防法などを以下のコラムで詳しく解説しています。
マンソン裂頭条虫の駆除薬には「ドロンシット錠」というものがあります。
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エキノコックス症の症状
条虫の一種であるエキノコックスは、ネズミを媒介して猫に感染します。
猫が寄生されても、軟便や下痢といった症状がまれに出るくらいで無症状の場合がほとんど。
そもそもエキノコックスにとって、猫の小腸は発育に不向きとされていました。
しかし2007年に北海道で飼い猫の糞からエキノコックスが排出された事例が確認されています。
猫から人にうつる可能性はゼロではないため、ほかの寄生虫同様、感染予防が必要と言えるでしょう。
エキノコックスについては、人に感染したときの致死率や症状などを以下のコラムで解説しています。
猫の内部寄生虫③線虫類の症状
線虫類には、猫回虫(ねこかいちゅう)、猫鉤虫(ねここうちゅう)、鞭虫(べんちゅう)などがおり、主に猫の小腸に寄生します。
それぞれの症状は、以下のようになっています。
回虫症 | 下痢や便秘、嘔吐など |
---|---|
鉤虫症 | 慢性的な貧血、軟便、黒色タール便など |
鞭虫症 | 出血性の下痢など(犬にみられる症状) |
回虫症、鉤虫症、鞭虫症は無症状の場合も多いですが、大量に寄生されると症状が現れます。
さらに、体力の少ない子猫だと重症化する危険性があるので注意しましょう。
また、鞭虫症は主に犬がかかる病気ですが、稀に猫にもみられます。
回虫、鉤虫、鞭虫は虫下しで対策しましょう。
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猫の内部寄生虫④原虫の症状
原虫は、猫の腸内に寄生する微生物レベルの単細胞生物。
主にジアルジア、トリコモナス、コクシジウムなどの種類がいます。
感染猫の糞便とともに排出された幼虫や虫卵を口にすることで感染してしまいます。
虫卵は地面や土壌に残って生存している場合もあるので、外に出たときなどに猫が食べないよう注意が必要です。
それぞれの原虫の症状を説明します。
ジアルジア症
猫がジアルジアに感染しても、多くの場合は無症状です。
ただ、体力が少ない子猫や高齢猫では、慢性的な下痢、軟便、食欲不振などを引き起こすジアルジア症を発症することがあります。
下痢が続くと栄養が吸収できなくなるため栄養不良になったり、嘔吐などから脱水症状を引き起こしたりする可能性があります。
ジアルジア症は人にもうつる病気なので、無症状だからといって油断はできません。定期的な検査や駆除薬の投与で、しっかり対策をしましょう。
ジアルジア症の治療法や予防法などは、以下のコラムで詳しく説明しています。
ジアルジア症には「フラジール」などの原虫駆除薬を使います。
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トリコモナス症
トリコモナス症の症状には、下痢や血便、軟便などがあります。
成猫だと症状が出ないことがほとんどですが、免疫力が未熟な子猫は症状が現れやすいです。
トリコモナスは完全駆虫まで時間がかかるため、治ったと思ったら腸内に残っていたトリコモナスが再び増殖して下痢に……を繰り返して、慢性的に症状が出ることも。
猫の腸に寄生するのは、腸トリコモナスという種類で、人の性器に寄生する膣トリコモナスとは種類が異なります。
ただし、猫が膣トリコモナスを保有していた場合は人にうつる可能性もあるので、無症状であっても定期的な検査をしておくと安心です。
トリコモナス症の治療法や予防法などは、以下のコラムで詳しく説明しています。
トリコモナス症には「フラジール」などの原虫駆除薬を使います。
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コクシジウム症
最後に、主に子猫がかかりやすいコクシジウム症について説明します。
成猫ではコクシジウムに感染しても症状が出ない場合も多くありますが、免疫力や体力のない子猫は要注意。
発熱、下痢、食欲不振、嘔吐といった症状が出ることがあります。
下痢は軟便だったり、血が混ざったものであったりとさまざま。症状が重くなると、下痢による脱水症状や食欲低下により体重が減ることにもつながります。
子猫はもちろん、症状が出にくい成猫であっても検査は定期的に行い、少しでも愛猫に異常がみられた場合は動物病院を受診して、治療を行ってください。
コクシジウム症の感染経路や治療方法・対策法については、こちらの記事で詳しく説明しています。
猫を寄生虫から守るなら室内飼いと定期検査を
猫を寄生虫から守りたいなら、まずは室内飼いを徹底することが大切です。
外部寄生虫、内部寄生虫ともに、外に出ることで感染リスクが高まります。
とはいえ、完全室内飼いであっても油断はできません。
ノミやマダニのように、人間に付着することで外から寄生虫を運んでしまうケースもあります。
また、迎えたばかりの子猫は、ペットショップやブリーダーの環境中で感染していることも。
一度の検査で発見することが困難な寄生虫も多いので、定期的な検査を行って、寄生虫の早期発見につなげましょう。症状が出る前に駆除できれば、愛猫が苦しむこともありません。
ここで紹介したのは最低限おこなってほしい対策です。
寄生虫を予防するための対策はほかにもたくさんあります。詳しくは各寄生虫のコラムを参考にしてください。
まとめ
猫の寄生虫は、種類は症状もさまざまです。なかには感染しても無症状のままで気づきにくいといったこともあるでしょう。
しかし代表的な寄生虫の症状を知っておけば、愛猫が体調を崩したとき、ちょっとした仕草・異変などに気付けるはず。
飼い主さんの知識が寄生虫の早期発見・治療につながり、愛猫の健康を守ることになるでしょう。
猫の寄生虫の症状について、ぜひ覚えておいてくださいね。
ペットのお薬通販『ぽちたま薬局』スタッフのブログです。
このブログではペットのご飯を中心にペットの健康について考えたいと思います。