コクシジウムは、猫の消化管の細胞に寄生する、顕微鏡で見ないとわからないくらい小さな原虫と呼ばれる寄生虫です。
コクシジウムによって引き起こされるコクシジウム症は、いわゆる日和見感染症のひとつで、猫が健康な時は感染していても発症しないことが多いものです。
しかし、ストレスなどで免疫力を低下させてしまった時などに発症し、子猫の場合は命にかかわることもあります。
治療法はありますが、消毒などを徹底しないと再発のおそれがある、とても厄介な病気です。
目次
猫とコクシジウムについて
コクシジウムとは、原虫というとても小さな寄生虫です。
コクシジウムは成熟すると、オーシストと呼ばれる子孫を生み出し、猫の糞便と共に排出されます。
排出直後のオーシストは、未成熟なため感染力を持ちません。
そのため、猫が排泄したらすぐに糞便を処理することが、この感染症の予防につながります。
コクシジウム症と診断されると、主にお薬を内服する治療が施されます。
コクシジウムの感染経路は?
コクシジウムは成熟すると、オーシストと呼ばれる子孫を生み出し、猫の糞便と共に排出されます。
また、コクシジウムに寄生されたネズミを口にしたり、すでに感染している猫の糞便に触れたり、体に付着したオーシストを経口から摂取してしまうことで感染します。
そのため、野良猫や多頭飼い、ペットショップや保護猫、すでに感染している母親から子猫にうつるなど、感染にはさまざまな経路があります。
コクシジウムの潜伏期間は?
コクシジウムは感染して3~6日の潜伏期間があります。
成猫では、感染しても症状が出ないことがあるため、判断がつきにくいこともあります。
感染した猫に現れる症状は?
- 発熱
- 泥状から水のような下痢便
- 食欲が低下し、元気が消失
- 重症の時は粘り気のある血便
感染すると、潜伏期間の後に上記のような症状がみられるようになります。
成猫が感染しても症状が出ないことが多いですが、子猫には強く出る場合があります。
特に、腸内のバランスが未発達の子猫では、命にかかわることが多いために注意が必要です。
血便が出るようなときは命にかかわることもあります。
猫のコクシジウムの治療法
便の検査をおこなって猫がコクシジウムに感染していることを確認できたら、通常は飲み薬で治療をおこないます。
近年では抗コクシジウム薬を数回投与するか、「サルファ剤」という抗菌剤を1週間程度投与するのが一般的です。
コクシジウムの診断前と治療中は糞便中のコクシジウムを確認するため、動物病院へ行く際は便をジップロックなどに採取して持参するとよいでしょう。
駆虫薬:プロコックスを使用する
本来は犬用の駆虫薬として承認されているプロコックスですが、動物病院によっては医師の判断により処方することが多くなっています。
猫には適用外のお薬ですが、近年、有効成分のトルトラズリルは猫への有効性が明らかになっており、論文も発表されています。
なお、プロコックスは、犬用のコクシジウム駆虫薬として国内で唯一承認されているお薬です。
下痢や脱水への対症療法
そのほか、下痢や脱水症状、食欲不振がみられる場合には、内服薬と併せて点滴による水分と電解質の補給がおこなわれます。
また、整腸剤の投与、消化の良いフードを与えるなどの対症療法もおこなうことがあります。
コクシジウム感染を予防する消毒方法
コクシジウムは、消毒薬に強い耐性がありますが、熱に弱いという弱点があります。
煮沸による消毒や、高温のスチームで洗浄するなどの方法が効果的です。
また、糞便中に排出されたオーシストはすぐに感染力を発揮しないため、猫が排泄したら糞をすぐに片づけるというのも予防になります。
感染してしまった場合は、トイレをすぐに片づけて、寝床やフードボウルなどをきちんと消毒するといった対応が必要になります。
消毒しておかないと、自家感染による再発(自分の便の中のオーシストにより再び感染する)が懸念され、治療してもなかなか治らないということになりかねません。
猫のコクシジウムQ&A
猫のコクシジウムについてよくある質問をまとめました。
コクシジウムは自然治癒する?
基本的には、感染すると自然治癒することはありません。
免疫の状態は個々の猫によって異なるため、ごく稀に自然治癒することがあります。
症状が出ない猫もいますし、感染しても症状が落ち着いているように見えることがあるために、自然治癒を期待して放置してしまい、下痢が長引くことはとても危険です。
少しでも異常を感じた際は、すぐに動物病院へ行かれることをおすすめします。
コクシジウムは人に感染する?
コクシジウムは猫から人に感染することはありません。
猫同士や、他の動物の接触による感染はあるため、多頭飼いしている場合などは消毒を入念におこなう必要があります。
便の状態は常にチェック
猫のコクシジウム症は、感染すると便に症状があらわれるため、便の状態を常にチェックしておきましょう。
感染経路は、猫同士や他の動物との接触にあります。
人にうつることはありませんが、外に出る習慣のある猫は知らない内に他の動物と接触する可能性があるために、感染する機会が多くなります。
また、野良猫を保護した際などもコクシジウムの感染に注意する必要があります。
潜伏期間は3~6日ほどで、成猫が感染しても症状が出ないことが多いものですが、子猫は症状が強く出る場合があり、命にかかわることもある感染症です。
普段から愛猫の観察をしっかりとおこない、コクシジウムの兆候がみられたときはすぐに動物病院へ駈け込めるようにしておきましょう。
ペットのお薬通販『ぽちたま薬局』スタッフのブログです。
このブログではペットのご飯を中心にペットの健康について考えたいと思います。