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犬のてんかんは、痙攣(けいれん)や意識障害などの発作が起きてしまう脳の病気です。
てんかんは発作を繰り返しますが、一度だけの発作であれば、てんかんと診断されません。
このページでは、犬のてんかんの原因や症状、診断方法、犬のてんかん治療薬について解説します。
犬のてんかんに関するよくある質問も掲載していますので、ご活用ください。
犬のてんかんの原因は「特発性てんかん」と「構造的てんかん」の2つに分けられます。
てんかんはどの犬でも発症する可能性がある病気ですが、犬に多いのは特発性てんかんです。
血液検査やMRI検査などを行っても原因が特定できない場合、「特発性てんかん」と診断されます。
犬のてんかんの多くは特発性てんかんで、生後6ヶ月~5歳で発症することが多いです。
構造的てんかんは「症候性てんかん」とも呼ばれます。
脳腫瘍や脳炎、水頭症、外傷など脳の障害や傷でてんかん発作を起こしている場合、「症候性てんかん」と診断されます。
構造的てんかんの発症時期は様々で、犬の年齢に関係なく発症します。
発作には「焦点性発作」と「全般発作」の2種類あります。
犬のてんかん症状に関する記事もご覧ください。
てんかんは、どんな犬種でも発症する可能性がある病気です。
ただし、発症には遺伝的な要因もあるとされ、以下の犬種は特に発症しやすいとされています。
犬のてんかん診断は、痙攣や震え、行動異常など、てんかんを疑う症状を問診や動画などを確認します。
次に、血液検査や心電図、超音波検査、MRI検査などを行います。
特発性てんかんの場合
6ヶ月に2回以上、てんかん発作がある場合に治療を開始することが多いです。
てんかん発作を抑える抗てんかん薬を毎日内服します。
また、定期的に血液検査を行い、血中の薬物濃度を確認する必要があります。
構造的てんかんの場合
抗てんかん薬の内服以外に、原因となっている病気の治療もあわせて行います。
てんかんの発作を繰り返すことで、脳がダメージを受けて後遺症や死につながる危険性があります。
そのため、発作の回数を減少させて、症状を軽くすることを目的として、抗てんかん薬を使います。
ゾニサミドは、犬のてんかん治療で主流になっている抗てんかん薬です。 副作用が少なく、効き始めが早いという特徴があります。
有効成分 | ゾニサミド |
---|---|
商品名 | コンセーブ、エピレス、エクセグラン |
副作用 | 嘔吐、下痢、食欲不振、活動性低下、過敏症、肝障害 など |
注意点 | 貧血、妊娠中、授乳中、6ヵ月齢未満の犬には使用できない。 |
ゾニサミドの使用開始後に、急性肝障害を起こした例があるため、定期的に診察を受ける必要があります。
臭化カリウムは、もっとも古い抗てんかん薬です。
ゾニサミドと併用することで約70~90%のてんかん発作に効果があります。
肝障害の副作用は少ないお薬ですが、効果があらわれるまでに、約2~3ヵ月ほど時間がかかります。
副作用 | 嘔吐、下痢、無気力、多飲多尿、運動失調、昏迷 など |
---|---|
注意点 | 長期使用することで、臭素中毒を起こすことがある。 |
イメピトインは、ヨーロッパで犬の抗てんかん薬として使われています。
臭化カリウムの副作用が出現した症例では、イメピトインに切り替えたことで、良好な結果が出ているという報告もあります。
デメリットは、薬代が高いことです。
有効成分 | イメピトイン |
---|---|
商品名 | ペクシオン |
副作用 | 運動失調、嘔吐、多飲多尿、無気力、下痢、流涎 など |
注意点 | 妊娠中、授乳中、6ヵ月齢未満、体重2kg未満の犬には使用できない。 |
レベチラセタムは、効き目が早く、副作用が少ない抗てんかん薬です。
肝障害や肝機能低下の犬にも使えます。
しかし、薬代が高く、1日3回投与が必要です。
有効成分 | レベチラセタム |
---|---|
商品名 | イーケプラ錠 |
副作用 | 鎮静、嘔吐 |
注意点 | 肝臓や腎臓に障害のある犬には、慎重に与えること。 |
投与開始時に、鎮静や嘔吐などの副作用があらわれることがありますが、1~2週間ほどで改善されます。
フェノバルビタールは、古くから犬のてんかん発作の約70%に対して効果が認められているお薬です。
投薬を開始しておよそ2週間で効果があらわれます。
しかし、長期使用することで効果が薄れるため、必要に応じて投与回数を増やしたり、ほかの抗てんかん薬に変更したりすることがあります。
有効成分 | フェノバルビタール |
---|---|
商品名 | フェノバール |
副作用 | 肝臓の障害、多飲多尿 |
注意点 | フェノバルビタールからゾニサミドに切り替える場合は、注意が必要。薬を切り替える際は、獣医師の指示に従うこと。 |
副作用として肝臓の障害が出やすいので、定期的に血液検査が必要です。
犬のてんかん治療で、ときどき使用するお薬は以下のとおりです。
これらは単剤で使うというよりも、ほかの抗てんかん薬と併用することが多いです。
重責状態とは
てんかん発作が5分以上続いたり、短い発作が意識の戻らないうちに繰り返し起こる状態。
群発発作とは
1日に2回以上のてんかん発作を起こした状態、数日にわたる場合が多い。
てんかん発作が5分以上続いたり、1日に2回以上の発作を起こしたりしている場合は、発作の最中に発作を止めるために、注射薬や坐薬を使います。
急にてんかんの薬をやめると、てんかん発作を起こすことがあります。
獣医師の指示に従い、時間をかけて少しずつ薬の量を減らしてください。
現在使っている薬が効かず、他の薬に切り替える際も一時併用することもあります。
犬のてんかん薬をやめる場合の注意点については、下記記事をご覧ください。
犬のてんかんに関するよくある質問をまとめました。
残念ながら、犬のてんかん発症を予防する方法はありません。
なお、てんかん発作については強い不安やストレスなどが要因となることがあります。
そのため、愛犬のストレスを減らしてリラックスできるような環境を作りましょう。
強い刺激や過度な興奮もてんかん発作を引き起こすことがあるので、避けてください。
犬のてんかん発作の原因となるストレスと対策方法は、下記記事をご覧ください。
犬のてんかんは完治させることが難しい病気ですが、お薬を使うことで発作の回数を減らし、症状を軽くすることができます。
こちらの記事もご覧ください。
てんかんの発作が起きてしまった場合は、慌てず発作が治まるまで触らずに見守りましょう。
周囲に危険なものがある場合は、ぶつからないように安全な場所へ移動させてください。
脳や脳神経にいい次のような栄養素を積極的に取り入れるといいでしょう。
・ブドウ糖、オメガ3脂肪酸、ビタミンC、ビタミンE、セレニウムなど
こちらの記事もご覧ください。
愛犬がてんかんと診断された場合は、なるべく留守番させるのは避けた方が良いです。
飼い主さんがいない間に発作を起こすと、壁や物にぶつかってケガをする可能性があります。
どうしても留守番させる必要がある場合は、なるべく短い時間にする、ケージなどを設置して動ける範囲を制限するといった対策を行いましょう。
また、見守りカメラを設置しておくことで、発作が起きていないかの確認ができます。
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