脳の病気である犬のてんかんは、基本的に完治させることは難しいと言われています。
てんかんを発症した犬は、脳へのダメージを最小限にするために投薬を続けるケースがほとんどです。
しかし、てんかん発作の頻度が低い場合は、お薬がかえって負担になる可能性も。
愛犬への負担を減らすために、てんかん薬を途中でやめることは可能なのでしょうか。
この記事では、犬のてんかん薬はやめられるのか、やめる場合の注意点などについて解説していきます。
目次
犬のてんかんについて
犬のてんかんは、脳の神経細胞が異常に興奮することで、てんかん発作を引き起こす病気です。
意識障害や全身の激しいけいれんなど、さまざまな症状を引き起こします。
犬のてんかんは原因によって、以下のような種類に分けられます。
■症候性てんかん
脳の異常や構造などが原因。
腫瘍や炎症、外傷や神経細胞の変性など、細かい原因は多岐にわたる。
■特発性てんかん
てんかん特有の異常は脳波検査で検出されるが、原因を特定できず発作を繰り返す。
遺伝的要因が疑わしいものも含む。
犬のてんかんの症状
犬のてんかんの症状には、以下のものが挙げられます。
意識消失、体の一部がけいれんする、手足を突っ張って硬直するなど。
てんかん発作が起きている犬に対し、呼びかけたり触れるなどの刺激はさらなる発作を誘発する恐れがあるため、危険です。
愛犬の発作に関する情報は動物病院で診察する際に助けになるので、動画やメモに記録を残しておくとよいでしょう。
犬のてんかんの症状については、以下の記事で詳しく解説しています。
犬のてんかんの治療方法
犬のてんかんの治療方法は、お薬を投与するケースがほとんどです。
抗てんかん薬を用いて、てんかん発作による脳へのダメージを最小限に抑えます。
てんかん発作は完全になくすことが難しいため、投薬でのコントロールが大切です。
発作によるダメージを減らすためにも、てんかんの犬は必ず投薬治療を行いましょう。
犬のてんかん治療を始めるタイミング
犬のてんかん治療を始めるタイミングは、発作の頻度によって異なります。
てんかん発作は月に1回以上、または止まらないなどの場合に、すぐ治療を開始するのが一般的です。
しかし、初めて起きたケースでも同じ日に何度もてんかん発作があれば、脳にダメージが生じるため治療をすぐに開始します。
適切なタイミングで治療を開始するためにも、てんかん発作が起きたらメモを残して、獣医師さんに正確に伝えられるように記録しておくことが大切です。
犬のてんかん薬
犬のてんかん薬による治療の目的は、発作の回数を減らすことや症状を軽減して脳の損傷を防ぐことです。
特発性てんかんは、抗てんかん薬を投与することで症例の約70%が発作をコントロールできると言われています。
ここからは、犬のてんかんに用いられる代表的な抗てんかん薬3種類について紹介していきます。
ゾニサミド
ゾニサミドは、犬のてんかん治療で主流の抗てんかん薬です。
脳の神経細胞の過剰な興奮を抑えて、発作で見られるけいれんや意識消失などの症状を幅広く抑制する効果が期待できます。
ゾニサミドはてんかんの第一選択薬として使用されており、即効性に優れていることや副作用が少ないこともメリットです。
臭化カリウム
臭化カリウムは最も古い抗てんかん薬です。
ゾニサミドで効果が得られなかった場合に併用することも可能で、その場合は約70~80%のてんかん発作に有効とも言われています。
しかし、臭化カリウムは食欲増加の副作用が報告されていることや、効果が発現するまで約2~3ヶ月かかるという点には注意してください。
ガバペンチン(ガバペン)
ガバペンチン(ガバペン)は、他のお薬と併用されることが多い抗てんかん薬です。
ゾニサミドや臭化カリウムのように単独ではあまり使用されませんが、他の抗てんかん薬と併用して補助的な役割を果たします。
抗てんかん薬としての使用以外にも、椎間板ヘルニアや脊髄空洞症による神経性の疼痛コントロールなどに用いられます。
犬のてんかん薬はやめることができる?
完治が難しいと言われる犬のてんかん治療。
お薬を飲ませて発作の頻度を減らす、発作を軽度に抑えるなど、発作のコントロールが治療の目的となります。
お薬の量を減らして投与を中止したり、休薬できたりするケースもまれにはあります。
しかし、てんかんの犬は投薬による治療を生涯継続することがほとんどです。
発作の頻度と犬の体の負担によっては経過観察
てんかん発作の頻度や犬の体への負担によっては、お薬を中止して経過観察する場合もあります。
先述した通り、犬のてんかんは発作による脳のダメージを抑えるために、基本的には投薬の継続が必要です。
しかし、抗てんかん薬は副作用が生じる可能性もあるので、発作の頻度が低く飲み続けることが体の負担になる犬には、経過観察を行う動物病院もあります。
犬のてんかん薬をやめる場合の注意点
犬のてんかん薬をやめる場合の注意点は、飼い主さんが自己判断しないことです。
獣医師さんからの指示がないのに、治療途中でお薬をやめる行為は絶対にいけません。
勝手にやめると、さらなる発作の誘発や脳へのダメージが大きくなるだけでなく、今までのお薬で抑えられない可能性や、最悪の場合はそのまま死に至る恐れもあります。
犬の抗てんかん薬をやめる場合は、必ず獣医師さんに相談して適切な判断をすることが重要です。
よくある質問
ここからは、犬の抗てんかん薬についてよくある質問を紹介していきます。
飼い主さんとしては、愛犬がてんかん発作を起こしてしまうと心配になるのは当然です。
抗てんかん薬に関する気になる疑問を解消して、正しい知識で愛犬に適切な治療を行いましょう。
犬がてんかん薬を飲まないとどうなる?
犬がてんかん薬を飲まないとどうなるのか、については以下のリスクが挙げられます。
・後遺症が残る
・お薬が効かなくなる
・死亡する
てんかんの犬が抗てんかん薬を飲まない場合、発作を繰り返すことで脳はダメージを受けます。
これにより後遺症が残るケースもあり、最悪の場合は愛犬が死亡する恐れがあるため、お薬は必ず飲ませてあげましょう。
犬のてんかん薬をやめるとどうなる?
犬のてんかん薬をやめるとどうなるかという疑問に対しては、病状が悪化する危険性があります。
抗てんかん薬は、発作をコントロールする目的で投与するため、中止すればてんかん発作は酷くなる可能性が考えられます。
お薬を勝手にやめると危険が伴うので、副作用が心配であれば獣医師さんに必ず相談しましょう。
犬がてんかんにならないようするにはどうしたらいい?
残念ながら、現時点でてんかんに対する有効な予防方法はありません。
てんかんを発症した犬は抗てんかん薬で発作の頻度を減らしていきますが、てんかん発作はストレスが引き金となって誘発されるとも言われています。
愛犬にストレスがかからないよう注意し、発作が起きた時は動画やメモに状態を記録して、動物病院に相談しましょう。
まとめ
犬のてんかんは、完治が難しい病気です。
てんかんの犬は、基本的に生涯にわたって投薬治療を行い、発作をコントロールします。
頻度が低いてんかん発作がある犬は経過観察するケースもありますが、抗てんかん薬の使用中止は絶対に自己判断してはいけません。
勝手に中止するとお薬が効かなくなる可能性や、最悪の場合は死亡させてしまう恐れもあります。
お薬の副作用が気になる場合は、必ず獣医師さんに相談しましょう。
ペットのお薬通販『ぽちたま薬局』スタッフのブログです。
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