「犬の病気と思われがちな「フィラリア」。
実は、人間に感染するフィラリアも存在します。
人間が感染すると、皮膚の腫れや重度のむくみ(象皮病)を引き起こすこともあり、海外では今も発症例が報告されています。
また、犬のフィラリアが人間にうつることもあります。
ただし、犬のフィラリアが人間に感染しても、犬のようにフィラリア症を発症することはありません。
この記事では人間が感染するフィラリア症の種類をはじめ、実際の症状や検査方法、予防策について詳しく解説します。
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目次
フィラリアとは?人間が感染する種類と特徴
フィラリアは寄生虫の一種で、主に犬や猫、人間など哺乳類の体内に寄生します。
しかし、感染するフィラリアの種類や影響はそれぞれ異なります。
「犬糸状虫(Dirofilaria immitis)」に感染します。
心臓や肺に寄生してフィラリア症を引き起こすため、命に関わります。
猫も犬糸状虫に感染しますが、犬ほど多くはありません。
発症した場合も、症状は軽いケースがほとんどですが、突然死することもあるため油断は禁物です。
犬糸状虫に感染することはほぼありません。
しかし、バンクロフト糸状虫(Wuchereria bancrofti)などが原因で、リンパ系フィラリア症を発症することがあります。
フィラリアはいずれも蚊を媒介として感染します。
日本では人間のフィラリア症はほぼ根絶されているものの、海外では今でも注意が必要です。
人間が感染するフィラリア症の種類

フィラリア症にはいくつかの種類がありますが、人間が感染する主なものはリンパ系フィラリア症です。
この病気の原因となるのは、バンクロフト糸状虫やマレー糸状虫などの寄生虫です。
これらの幼虫は蚊を媒介として人間の体内に侵入し、リンパ管に寄生します。
やがて成虫に成長すると、リンパ管の詰まりや炎症を引き起こします。
リンパ系フィラリア症を発症すると発熱、リンパ管炎、リンパ節炎のほか、脚や陰部の重度の腫れといった症状が現れることがあります。
この病気はアフリカ、東南アジア、アメリカ大陸の亜熱帯地域などで今も報告されていますが、日本ではすでに撲滅されているため、国内での感染リスクはありません。
ただし、流行地域に渡航する際は注意が必要です。
日本での発生状況
日本では、人間のリンパ系フィラリア症はほぼ根絶されています。
ただし犬のフィラリア症は現在も発生しており、特に温暖な地域では注意が必要です。
また、海外でリンパ系フィラリア症に感染し日本に持ち込まれるケース(輸入感染例)が報告されています。
例えば、アフリカや中南米で流行するオンコセルカ症(河川盲目症)は、皮膚や眼に影響を与え、重症化すると失明に至ることもあります。
実際に、過去にはギニアで感染した日本人の症例が報告されています。
その他にも、ロア糸状虫症や常在糸状虫症の輸入例があり、これらは皮膚の腫脹やかゆみを引き起こします。
日本国内での感染リスクは低いものの、海外での感染リスクは依然として存在します。
特に熱帯地域への渡航時には、蚊に刺されないための対策が重要です。
※犬のフィラリアの症状や寿命については、コチラの記事で解説しています。
犬のフィラリアも人間に感染する

実は犬のフィラリア(犬糸状虫)は、人間にも感染します。
日本国内では、1964年に人への感染第1例が報告されて以来、現在まで90例を超える報告があります。
・肺への寄生(肺犬糸状虫症) 約75%
・肺以外への寄生例(肺外犬糸状虫症) 約21%
・その他 約4%
昔は人に寄生するリンパ系フィラリア症も全国的に広がっていましたが、日本国内のお医者さんや製薬会社による治療薬の研究・開発が成功し、地域住民とも協力しあい1970年に根絶しています。
仮に犬がフィラリアに感染していたとしても、犬から直接的にフィラリアが人間にうつることはありません。
なので感染犬とスキンシップを取っても、健康には何ら問題はありません。
しかし感染犬の血を吸った蚊がフィラリアを媒介し、人間の体内に入ることは考えられます。
ですが人間はフィラリア本来の宿主でないため、フィラリアは人間の体内では犬のように成虫まで成長できません。
そのため、ほとんどの場合症状が現れることはありません。
よって、人間に感染して問題となるケースは非常に「稀」です。
※犬がフィラリアになる確率については、コチラの記事を参考にどうぞ。
リンパ系フィラリア症の症状
※日本では根絶された病気です。
リンパ系フィラリア症は、蚊が媒介した蠕虫(ぜんちゅう)が病原体となる感染症です。
感染しても初期の段階ではあまり症状が出ないため、多くの方が感染に気がつきません。
感染後、大人になってからリンパ節炎やリンパ管炎を伴う発熱を繰り返します。
慢性状態になると四肢が腫れて象のような状態(象皮病)になったり、陰嚢が腫れて大きくなったり(陰嚢水腫)します。
犬や猫が感染するフィラリアは人間が感染するフィラリアと違い、糸状の寄生虫のため犬糸状虫症(いぬしじょうちゅうしょう)とも呼ばれます。
犬糸状虫症(いぬしじょうちゅうしょう)に感染すると初期の段階ではほとんど無症状ですが、2~3年経過すると以下の症状が現れます。
・痩せてくる
・ときどき咳をする
・呼吸が早くなる
・食欲が落ちる
感染経路
リンパ系フィラリア症の原因となる寄生虫は、以下の3種類です。
なお、90~95%の割合でバンクロフト糸状虫によって感染が起こるとされています。
・バンクロフト糸状虫
・マレー糸状虫
・チモール糸状虫
フィラリアに感染した人の血を蚊が吸うと、蚊の体内でフィラリアの子供(ミクロフィラリア)が感染力のある幼虫へと成長します。
体内にこの幼虫を持つ蚊が他の人を刺した際に、幼虫が人の体内に侵入します。
幼虫が人の体内で成長すると、また何千ものミクロフィラリアを産み、感染者の体内を巡ります。
さらに感染者の血を蚊が吸うことで、感染を広げていきます。
フィラリアの診断・検査方法
人間のリンパ系フィラリア症では、主に血液検査や画像診断によって診断されます。
血液検査では、ミクロフィラリア(幼虫)の有無を確認するために夜間に採血します。
これは、一般的にミクロフィラリアが夜間に末梢血管へ移動する習性があり、検査の精度にも影響を与えるためです。
また、画像診断検査では超音波やX線、CTスキャンを使い、リンパ管の腫れや寄生虫の存在を確認することもあります。
さらに抗原・抗体検査が補助的に用いられ、感染の有無をより正確に判断します。
※フィラリアの検査については、コチラの記事で解説しています。
フィラリアの治療方法

人間が感染するリンパ系フィラリア症の治療は、駆虫薬を使用します。
WHOが推奨している駆虫薬は、以下の3種類です。
・ジエチルカルバマジン
・アルベンダゾール
・イベルメクチン
これらは体内に寄生している成虫への効果は限定されていますが、血液中のミクロフィリアの数を効果的に減らしてくれるため、蚊を媒介とした人から人への感染を防ぎます。
特にイベルメクチンは日本人によって開発されており、感染すると失明する可能性のある「オンコセルカ症(回旋糸状虫症)」の特効薬としても知られています。
また、イベルメクチンは人間にも動物にも使用できる優れた駆虫薬です。
※フィラリアの治療については、コチラの記事で解説しています。
人間のフィラリア症は予防できる?
現在、人間のフィラリア症を防ぐためのワクチン(予防接種)はありません。
そのため、蚊に刺されないようにすることが最も重要な予防策となります。
日本では人間の感染リスクは極めて低いものの、フィラリアを媒介する蚊は存在します。
また、犬や猫が感染源となる可能性もゼロではないため、ペットへの予防薬投与も大切です。
ここからは、人間のフィラリア症を防ぐための具体的な対策を紹介します。
蚊にさされないようにする
フィラリア症は蚊に刺されることで感染するため、蚊を避けることが最も効果的な予防策です。
以下の対策を取り入れ、蚊の被害を減らしましょう。
特に夏場や蚊が多い地域に行く際は、しっかり対策することが重要です。
- 虫除けスプレーを使う
- 蚊取り線香や電気蚊取りを使用する
- 蚊が発生しやすい場所(茂みや水場)を避ける
- 長袖や長ズボンを着用し、肌の露出を減らす
ペットにフィラリア予防薬を投与する
犬や猫に感染する犬糸状虫(犬フィラリア)が人間に感染することは極めてまれですが、可能性がゼロではありません。
もし、フィラリアに感染した犬や猫の血を吸った蚊が人間を刺すと、幼虫が体内に入るリスクがあります。
犬・猫のフィラリア予防を行うことは、蚊を介した人間への感染リスクを防ぐことにも繋がります。
ペットのフィラリア予防が飼い主さんの身を守ることにもなるため、以下の対策は必ず行いましょう。
- 犬猫へ毎月1回、忘れずにフィラリア予防薬を投与
- 犬のお散歩時には、蚊が多くいる草むらなどは避ける
- 室内飼いだからとフィラリア予防薬を投与していない場合は、予防薬の使用を
※ペットのおすすめフィラリア予防薬については、コチラの記事を参考にどうぞ。
※猫のフィラリア予防薬の必要性や感染リスクについては、コチラの記事を参考にどうぞ。
まとめ
フィラリアは犬の病気として有名ですが、人間にも感染する種類があります。
人間に感染するのは「リンパ系フィラリア症」で、日本では現在ほぼ根絶されていますが、海外では今も感染リスクがあります。
人間のフィラリア症の最も効果的な予防策は「蚊に刺されないこと」です。
そのため、虫除けスプレーの使用や、肌の露出を減らす工夫が大切になります。
また、犬や猫を飼っている場合は、フィラリア予防薬を定期的に投与し、ペットの健康を守りましょう。
人間への感染リスクは低いものの、正しい知識を持ち、適切な対策を心がけることが大切です。
自分や大切な家族を守るために、しっかりとフィラリア症の予防をしていきましょう。
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