猫の食欲増進剤について

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猫の食欲増進剤について

食欲増進剤は、さまざまな原因で低下した食欲を向上させ、栄養摂取をサポートする効果が期待できるお薬です。

高齢の猫は腎臓病や肝臓病の発症リスクが高く、それに伴い手術後や病気の治療中に食欲の低下が生じることがあります。
食欲の低下は病気を悪化させ、体力の低下にもつながるため、できるだけ早く回復させる必要があります。

この記事では、猫の食欲増進剤と、使用上の注意点などについて詳しく解説していきます。

猫に使用する食欲増進剤の種類

猫に使用する食欲増進剤には、「シクロへプタジン」「ミルタザピン」「カプロモレリン」があります。

ただし、カプロモレリン以外の食欲増進効果は本来の作用ではなく、副作用を利用したものです。

食欲不振が生じ、さまざまな工夫をしても食事を摂らない猫に対して使用され、とくに軟膏のミルタザピンは投与のしやすさで注目されています。

以下では、それぞれの有効成分について詳しく紹介していきます。

参考
食欲不振のメカニズムと食欲増進薬(外部リンク)

シクロへプタジン

シクロへプタジンは、アレルギーを引き起こすヒスタミンの働きを抑制する作用があり、皮膚の痒みや鼻水などの症状を改善する抗ヒスタミン剤です。
ヒスタミンは、副作用として食欲増進が起こることがあり、この副作用を利用して食欲増進剤としても使用されます。

シクロへプタジンを有効成分として含む製品には、「ペリアクチン」があります。
ペリアクチンは本来、人間のアレルギー改善に用いられる治療薬ですが、動物用の食欲増進剤としても使用されています。

食欲を増進させる効果は比較的少ないとされていますが、副作用がほとんどなく、犬よりも猫に適しているとされています。

剤形は錠剤となっており、投薬が難しい場合は砕いておやつなどと一緒に与えるなどの工夫が必要です。

ミルタザピン

ミルタザピンは、人間の医療において主に、抗うつ薬として使用される有効成分です。
また抗ヒスタミン作用により、食欲やエネルギーバランスに影響を与え、人の食欲不振に対する治療薬としても広く使用されています。

獣医療でも同様の目的で使用されており、ミルタザピンを投与した猫において、食欲増進効果が認められた研究結果も存在します。

副作用として、夜鳴きや徘徊、興奮気味になるなどが発現する可能性がありますが、これらの症状はお薬の効果とともに減少していきます。

ミルタザピンを有効成分として含む製品には、「レメロン」「リフレックス」「ミラタズ」があります。

剤形において、日本では錠剤が主流ですが、猫の耳に塗る軟膏を海外から輸入して処方している動物病院も多くあります。

>>ミラタズ軟膏の詳細はこちら

参考
意図しない体重減少を起こした猫を対象とした体重増加薬であるミルタザピン経皮軟膏を評価するための二重盲検プラセボ対照無作為化研究(外部リンク)

カプロモレリン

カプロモレリンは、猫の食欲を増進させるために開発された有効成分のひとつです。

シクロへプタジンやミルタザピンは、副作用を利用して食欲を増進させますが、カプロモレリンは猫や犬の食欲増進を主作用としています。

カプロモレリンは、グレリンと呼ばれる天然ホルモンの作用を模倣し、猫の食欲を増進させ、代謝に影響を与えることで体重増加を引き起こす効果が期待できます。
この効果により、慢性的な腎臓病や肝臓病で食欲や体力が低下している猫に使用されることも。

カプロモレリンを有効成分として含む製品には、「エルーラ」があります。
剤形はバニラフレーバーの液体で、比較的スムーズに投与しやすい特徴がありますが、場合によっては苦手と感じ唾液が出ることもあります。

参考
猫の健康的な生活を支援する – FDA が承認した猫用医薬品に関する情報(外部リンク)

猫が食欲低下する原因

猫が食欲低下する原因

食欲が低下する原因として、以下の病気が考えられます。

・肝臓病
・腎臓病
・糖尿病
・口内炎
・発熱
・胃腸炎

そのほかにも、ストレスや加齢などが原因となる場合もあり、食欲の低下は猫にとって異常が起きているサインとなります。

食欲不振を感じた場合、フードの風味を変えたり、ドライタイプからウェットタイプにしたり、変化をつけるなどの工夫が必要です。

ただし、工夫をしても改善せず、一日中食欲が回復しない場合は、病気などが関与していないか検査することをおすすめします。

猫の食欲増進剤に関する注意点

食欲増進剤は、腎臓病や肝臓病などの病気や、それらの術後に起こる食欲不振に対して使用されることがありますが、飼い主の判断だけで投与することは避けてください。

カプロモレリン以外の食欲増進剤は、基本的に副作用を利用したものとなるため、使用方法によっては猫に良くない反応をもたらす可能性があります。

また、過剰な投与は猫の健康に悪影響を与える可能性があるため、適切な投与量を厳守してください。
食欲増進剤を使用しているあいだは、猫の状態をモニタリングしながら適切な投与量を見極め、過剰な投与は絶対に避けてください。

食欲増進剤は栄養補助療法とは異なり、効果の持続時間が短いため、補助的な手段として考えるようにしましょう。

まとめ

食欲の低下は、猫の健康状態の妨げになるだけではなく、病気を悪化させる可能性もあります。

食欲増進剤を使用して一時的に食欲を回復させることで、食べるリズムが整えられ、お薬を使用しなくても食べられるようになる場合もあります。

腎不全の治療をしている猫の食欲が低下した場合、体重を増加させることは容易ではなく、栄養が不足することにより体力も低下していきます。
食欲増進は延命効果にもつながるため、猫の状態を見極めながら、積極的に投与を検討する必要があります。

投与をおこなう場合は、必ず獣医師へ相談のうえ検討するようにしましょう。

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