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猫に抗生物質を投与した時の副作用は?種類別に副作用を解説

抗生物質は猫風邪や尿路感染症、けがの傷口感染など様々な治療に使用されています。
そんな抗生物質を猫に投与した場合、どんな副作用があるのかを詳しく紹介します。

抗生物質の種類や種類別の副作用、副作用の対処法についても掲載しているので、ぜひお役立てください。

    【この記事の結論】

  • 猫に抗生物質を投与すると、副作用が起こる場合がある
  • 副作用は特に胃腸障害(嘔吐、軟便、下痢)が多い
  • 抗生物質が猫に効くまでには約5日~1週間ほど
    (症状によって異なる)
  • 猫に抗生物質を投与する際は、途中で止めないこと
    (途中で止めると副作用を引き起こす可能性があるため)

猫の抗生物質について

抗生物質は、細菌が原因となる感染症の治療に用いられるお薬(抗菌薬)のことです。
猫に対しては不妊手術後や尿路感染症、歯周炎等の細菌感染症などの治療に使用されています。

また、細菌感染症ではないウイルス感染症による猫風邪(猫ウイルス性鼻気管支炎、猫カリシウイルス感染症)の治療や炎症(口内炎、副鼻腔炎など)、けがの傷口感染の治療にも使用されます。

なお、抗生物質は大人の猫だけでなく、免疫力が弱い子猫がかかることの多い猫風邪の治療でも使用されています。

様々な症状の治療に有効な抗生物質は、比較的副作用が少ないとされています。
ただ、全く副作用がない訳ではありません。
投与する猫の状態や体質によっては、副作用が出る場合もあります。

抗生物質の種類

抗生物質には多くの種類があり、人間に使用されている抗生物質が猫に使用されることもあります。
ここでは、抗生物質の種類を紹介します。

  • ペニシリン系アモキシシリン
    (医薬品例: サワシリン・アモキクリアなど)
  • アミノ配糖体系
    (医薬品例:カナマイシン・ストレプトマイシンなど)
  • テトラサイクリン系
    (医薬品例:ミノサイクリン錠など)
  • マクロライド系
    (医薬品例:クラリスロマイシン錠など)
  • ニューキノロン系
    (医薬品例:バイトリル錠・ゼナキル錠など)

抗生物質の中でも使用されることが多いのは、ペニシリン系のアモキシシリンです。
アモキシシリンが用いられている抗生物質で有名なのはサワシリン(人間用)で、アモキクリアは犬猫に使用されています。

なお、猫に抗生物質を投与する場合は、以下のお薬として投与されています。

・内服薬
・外用薬
・注射
・点眼薬
・点鼻薬
・点耳薬

【参考リンク】
医療用医薬品 : サワシリン
動物用医薬品等データベース:アモキクリア錠100
ゼナキル錠 | Zoetis JP
初めての犬・猫用ニューキノロン『バイトリル』

抗生物質の種類別による副作用

抗生物質は種類ごとに副作用が異なります。
それぞれの抗生物質によって起こる副作用を紹介します。

・ペニシリン系(アモキシシリン)
嘔吐、軟便、下痢、食欲減退など

・アミノ配糖体系
聴覚障害、腎臓障害

・テトラサイクリン系
・マクロライド系
嘔吐や下痢など

・ニューキノロン系
嘔吐、食欲不振、流涎、視覚障害など

注射による抗生物質の副作用

猫に対して、内服薬の抗生物質を投与することが難しい場合(お薬を飲むのを嫌がるなど)、注射によって抗生物質を投与することがあります。

投与した抗生物質の種類にもよりますが、注射による副作用では、以下の症状が起こる場合があります。

  • 下痢
  • 嘔吐
  • 元気消失
  • 食欲の減退など

また、注射による副作用の特徴として注射部位の疼痛が起こることもあります。

猫に抗生物質を投与して起こる主な副作用

猫に抗生物質を投与した際に起こる、主な副作用には以下の症状があります。

  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 下痢
  • 便秘
  • 食欲不振
  • よだれが増える
  • 体重減少
  • 口渇感

抗生物質の副作用の中では、特に胃腸障害が起こることが多いとされています。

もし猫に抗生物質を投与している時に下痢やよだれ、嘔吐、便秘などが起こった場合、抗生物質による副作用の症状と考えられます。

猫に副作用の症状が出た時は、獣医師に相談してください。
その際には、必ず抗生物質を投与していて症状が出ていることを伝えてください。

抗生物質の副作用によるよだれについて

猫に内服薬の抗生物質を投与した場合、薬の苦みが原因で過剰によだれが出ることがあります。

一時的によだれが増える症状であれば心配ないですが、猫のよだれが中々とまらない、よだれの他に嘔吐もしている場合は、動物病院で診察を受けてください。

重大な副作用

猫に抗生物質を投与した際、猫の体質や抗生物質の種類によっては、重大な副作用が起こることがあります。

  • 聴覚障害
  • 肝機能障害
  • 腎機能障害
  • アナフィラキシーショック

重大な副作用が起こった場合は、すぐに動物病院で診察を受けてください。

猫の抗生物質が効くまでの時間

猫に抗生物質を投与すると、約5日~1週間ほどで効果が見られます。
なお、それぞれの症状によって抗生物質が効くまでの時間や、投与期間は異なります。

皮膚炎の治療に抗生物質を用いる場合は2~3週間ほど使用し、中耳炎の治療には1か月以上使用する場合もあります。

猫に抗生物質を投与する際の注意点

猫に抗生物質を投与する際には、以下の注意点があります。

・絶対に自己判断で投与を中止しないこと

抗生物質の投与を自己判断で勝手に中止してしまうと、以下の問題が起こる可能性が高くなります。

  • 副作用を引き起こす
  • 症状がぶり返して悪化する
  • 抗生物質に対して細菌の耐性を増大させる

猫へ抗生物質を投与する時は、必ず決められた期間投与しましょう。

もし抗生物質の投与中に副作用が生じた場合は、動物病院で診察を受けて、獣医師に投与の継続について相談してください。

抗生物質による副作用の対処法

猫に抗生物質の副作用が出た場合に備えての、対処法を紹介します。

・抗生物質を投与する前に、必ず投与する抗生物質によって起こる可能性がある副作用について確認しておく

・抗生物質を投与中は猫の傍にいて、副作用の前兆(普段と違う様子など)に気を付ける

・副作用の前兆や副作用の症状が現れたら、自己判断で投与を中止せずにすぐ獣医師へ相談する

なお、抗生物質によって嘔吐や下痢、便秘などの副作用が出た後は以下の選択肢があるので、獣医師とよく相談して決めてください。

・休薬して様子を見る
・抗生物質の種類を変更する
・投与方法を変更する
(内服薬を嫌がる場合は注射にする)

猫の抗生物質の副作用まとめ

  • 猫に抗生物質を投与すると、副作用が起こる場合がある
  • 副作用は特に胃腸障害(嘔吐、軟便、下痢)が多い
  • 副作用でよだれが一時的に増える場合もある
  • 抗生物質が猫に効くまでには約5日~1週間ほど
    (症状によって異なる)
  • 猫に抗生物質を投与する際は、途中で止めないこと
    (途中で止めると副作用を引き起こす可能性があるため)
  • 副作用の症状が出たら、動物病院で診察を受けること

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