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愛犬がフィラリアに感染!フィラリア症は治る?フィラリアの治療について

愛犬がフィラリアに感染してしまったとき、どんな治療を行うのか。
またフィラリア症は治る病気なのか。

そんな疑問にお答えします!

    【この記事の結論】 

  • フィラリア症に感染すると、完全に治ることはありません
  • 予防することで、100%防げる病気です
  • フィラリアは犬だけでなく、人間にも感染します

そもそもフィラリアについてあまり知らない…という方は、コチラの記事も参考にどうぞ。

フィラリア症は治るか?治らないか?

犬のフィラリア症は、完全に治ることはありません。

フィラリアに一度感染された臓器は、残念ながら完全に元の状態に戻ることはないのです。
そのため、肺や心臓などに寄生されていた場合、フィラリアをすべて取り除いたとしても、肺や心臓の治療を継続していく必要があります。

もちろん、体内に寄生したフィラリアの数が少なく、心臓などの臓器が障害を起こしていない場合は、虫を取り除いてしまえば日常生活に支障もなく、普通に生活していけるしょう。

フィラリア症は、予防をすることで100%防げる病気です。

かわいい愛犬のことを考えれば、寄生虫なんかに愛犬の大切な肺や心臓の血管を傷つけられてたまるものか!という気持ちになれますよね。

犬フィラリア症、こんな症状が出たら末期です

冒頭でもお話しました通り、犬フィラリア症の初期の症状は、ほとんどが無症状ですので、ここでは末期症状のみをご紹介いたします。

・咳(他に思い当たる病気をしていない)
・元気がない
・散歩を嫌がる
・運動中に失神
・お腹が膨れる(腹水)
・血尿

これらの症状は、すでに肺や心臓の血管に、相当数のフィラリアが寄生することで、肺や血管にダメージを受けたことがきっかけで発症する症状です。

見過ごしてしまいがちな初期の症状で、唯一気づきやすいのは、「咳」です。

毎日愛犬の体調に気を付け、少しでもいつもと様子が違うようであれば、動物病院で獣医師さんに診てもらうように心がけましょう。

フィラリア症の診断

フィラリア症の疑いがある場合は、次のような検査を行い診断します。

・抗原検査、ミクロフィラリア検査
フィラリア症の疑いがある場合は、抗原検査と顕微鏡下でのミクロフィラリア検査を行います。

・心臓の超音波検査
咳や心雑音などといった症状がある場合は、超音波検査を行います。
心臓の超音波検査を行うことで、犬の心臓内にフィラリアが寄生していないか確認します。

もしフィラリア症と診断された場合は、さらに詳しく血液検査、レントゲン検査、超音波検査を行い、重症度を判定します。

犬フィラリア症の治療方法

運動や興奮および体温が上昇すると、合併症を引き起こす可能性があるため、フィラリア症と診断された犬は運動制限します。

フィラリア症の治療の目標は、治療による合併症を最小限に抑えながら症状を改善し、発育期にあるフィラリアを駆除することです。

なお、フィラリア症を発症してしまった犬の治療法は、犬の年齢や症状、臓器へのダメージの度合い、感染フィラリア数の多さによって異なります。

ここでは、フィラリア症の治療方法をご紹介いたします。

内科療法

下記は、AHS(米国犬糸状虫学会)が推奨するフィラリア症の治療プロトコールです。

日程 治療内容
0日目 ・フィラリア症と診断されたら、運動制限をする。
・症状がある犬の場合、プレドニゾロンを処方
 1週目:0.5mg/kg 1日2回投与
 2週目:0.5mg/kg 1日1回投与
 3~4週目:0.5mg/kg 2日に1回投与
1日目 ・フィラリア予防薬を投与する。
陽性の場合、アナフィラキシーショックを起こす危険性を低減するために、フィラリア予防薬の投与前に抗ヒスタミン薬および糖質コルチコイド(※プレドニゾンを投与していない場合)を投与。
最低8時間以上,副作用の観察をする。
1~28日目 ・ドキシサイクリン(抗生剤)10mg/kgを1日2回、4週間投与
 死滅虫体による影響を軽減。
 フィラリアの広がりを止める。
30日目 ・フィラリア予防薬を投与する
・蚊に刺されることを避けるために、殺虫作用のあるEPA承認の犬用外用剤を投与。
31~60日目 ドキシサイクリン投与後、メラルソミンを投与するまで1ヶ月の待機期間を設ける
61日目 ・フィラリア予防薬を投与する。
・1回目のメラルソミン(砒素剤)2.5mg/kgを筋肉内に投与
・プレドニゾンを処方
 1週目:0.5mg/kgを1日2回
 2週目:0.5mg/kgを1日1回
 3~4週目:0.5mg/kgを2日に1回処方
・運動をさらに制限する。
90日目 ・フィラリア予防薬を投与する。
・2回目のメラルソミン2.5mg/kgを筋肉内に投与。
・プレドニゾンを処方
 1週目:0.5mg/kgを1日2回
 2週目:0.5mg/kgを1日1回
 3~4週目:0.5mg/kgを2日に1回処方
91日目 ・3回目のメラルソミン2.5mg/kgを筋肉内に投与。
・最後のメラルソミン投与後、6~8週間は運動制限を続ける。
120日目 ・フィラリア検査を行う。
 陽性の場合は、ミクロフィラリア駆除薬を投与し、4週間後に再検査を行う。
・フィラリア予防薬の通年投与を行う。
365日目 ・最後にメラルソミンを投与した9ヶ月後に抗原検査とミクロフィラリア検査を行う。
・抗原陽性の場合は、ドキシサイクリンを再投与し、メラルソミンを24時間間隔で2回投与。

参考
犬における犬糸状虫感染症の予防・診断・治療 最新ガイドライン│AHS(外部リンク)

駆除薬の投与

一度に死滅した大量のフィラリアが肺の血管に詰まることで、アナフィラキシーショックを引き起こす可能性があるため、投薬前の事前検査により、寄生数などを調べ、慎重な判断の上行います。

※フィラリア成虫に対し駆虫効果のある有効成分「イミトサイド」は、日本で数年前に販売中止となっています。現在は在庫が残っている動物病院のみでの取り扱いとなります。

長期間の予防薬投与

寄生している成虫の数が少なく、フィラリアの症状が出ていない場合は予防薬を長期間投与することで、自然な減少を待つ治療方法を行います。

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対症療法

外科手術に耐える体力がないと判断された場合、体内に寄生しているフィラリアに対しては何もせず、発症している症状に対して「対症療法」を行います。

咳がひどい場合は咳止め、腹水でお腹が膨らんでいるのであれば、腹水の除去などです。

しかし、すでに臓器に深刻なダメージを受けているため、激しい運動を避け、栄養バランスの良い手作りの食事を心がけるなど、愛犬の心臓や臓器に負担をかけないような日頃のケアも大事になってきます。

外科手術

麻酔のリスクがあるため、若い犬や体力のある犬であれば行うことができます。

頸動脈から鉗子(かんし:ものをつかんだりするのに使用するハサミのような形状の器具。手術用の器具)を入れて、寄生しているフィラリアの成虫をつり出す処置をします。

フィラリアは人間にも感染します

フィラリアは犬だけでなく、人間にも感染する「ズーノーシス(人獣共通感染症)」です。

犬フィラリア症はペットブームに伴い、犬や猫の飼い主さんであれば、だれでも知っている病気といっても過言ではありません。

しかし、実はわが国では2004年までの間に、約100名の人間への症例が報告されています。

ほとんどは無症状ですが、咳、血痰、腰痛、呼吸困難などがみられることがあり、まれにリンパ系が大きくダメージを受けることで、足が大きく腫れる病気、象皮病など、身体障害を引き起こす場合があります。

まとめ

・犬がフィラリア症を発症すると、完全に治ることはない

・フィラリア症の治療は、犬の年齢や症状、臓器へのダメージの度合いなどにより異なる

・運動や興奮および体温上昇すると、合併症を引き起こす可能性があるため、フィラリア症と診断された犬は運動制限する

・フィラリア症の治療の目標は、治療による合併症を最小限に抑えながら症状を改善し、発育期にあるフィラリアを駆除すること

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