フィラリアは人間にも感染する?犬のフィラリアは人にうつる?

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フィラリアは人間にも感染する?犬のフィラリアは人にうつる?

フィラリアは人間にもうつります。感染して発症すると足、腕、胸、陰茎や陰嚢が腫れあがる象皮病を引き起こすことで知られています。

といってもこれはリンパ系フィラリアというリンパ系に寄生する亜熱帯のフィラリアによるもの。犬のフィラリアとは別の種類で、日本では撲滅された病気ですので安心してください。

実は犬のフィラリアも人間にうつることがあるのですが、人間は終宿主ではないため、実際には人が犬のフィラリア症を発症することはまずありません

フィラリアについてあまり詳しく知らない方は、コチラの記事も参考にどうぞ。

人間にも感染するフィラリアとは

フィラリアとは線形動物門双腺綱旋尾線虫亜綱旋尾線虫目糸状虫上科に属する寄生虫1種で、その名の通り糸のような長細い寄生虫であり、成虫はリンパ系(リンパ管とリンパ節)、血管系、皮下組織などに寄生します。

日本では犬の寄生虫として犬糸状虫が知られていますが、人間にも寄生するバンクロフト糸状虫やマレー糸状虫、ロア糸状虫、アフリカのオンコセルカなども存在します。

バンクロフト糸状虫とマレー糸状虫はかつては日本にも存在していたフィラリアでリンパ系に寄生して象皮症を引き起こしします。
現在の日本では撲滅されていますので、安心してください。

犬のフィラリアも人間に感染する

実は犬のフィラリア(犬糸状虫)は人間にも感染します。

日本国内では、1964年に人への感染第1例が報告されて以来、現在まで90例を超える報告があります。
そのうち

・肺への寄生(肺犬糸状虫症) 約75%
・肺以外への寄生例(肺外犬糸状虫症) 約21%
・その他 約4%

となっています。

昔は人に寄生するリンパ系フィラリア症も全国的に広がっていましたが、日本国内のお医者さんや製薬会社による治療薬の研究・開発が成功し、地域住民とも協力しあい1970年に根絶しています。

参考
人と動物の共通感染症に関するガイドライン│環境省(外部リンク)

リンパ系フィラリア症の症状

※日本では根絶された病気です

リンパ系フィラリア症は、蚊に媒介されて蠕虫(ぜんちゅう)が病原体となる感染症です。
感染しても初期の段階ではあまり症状が出ないため、多くの方が感染に気がつきません。

感染後、大人になってからリンパ節炎やリンパ管炎を伴う発熱を繰り返します。
慢性状態になると四肢が腫れて象のような状態(象皮病)になったり、陰嚢が腫れて大きくなったり(陰嚢水腫)します。

犬や猫が感染するフィラリアは人間が感染するフィラリアと違い、糸状の寄生虫のため犬糸状虫症(いぬしじょうちゅうしょう)とも呼ばれます。
感染すると初期の段階ではほとんど無症状ですが、2~3年経過すると以下の症状があらわれます。

・痩せてくる
・ときどき咳をする
・呼吸が早くなる
・食欲が落ちる

参考
日本におけるリンパ系フィラリア症の根絶(外部リンク)

感染経路

リンパ系フィラリア症の原因となる寄生虫は、以下の3種類です。

・バンクロフト糸状虫
・マレー糸状虫
・チモール糸状虫

しかし90~95%の割合で、バンクロフト糸状虫によって感染が起こるとされています。

◇感染経路
リンパ系フィラリア症に感染した人の血を蚊が吸血する

蚊の体内でフィラリアの子ども(ミクロフィラリア)が幼虫となる

蚊が他の人を刺した際に、体内へ幼虫が侵入

幼虫が体内で成虫に成長

成虫がリンパ管に移動し、何千ものミクロフィラリアを産む

フィラリアに感染した人の血を蚊が吸うことで、蚊の体内でフィラリアの子供であるミクロフィラリアが感染力のある幼虫へと成長します。
その幼虫が体内で成長すると、また何千ものミクロフィラリアを産み、感染者の体内をめぐります。
そしてまたその感染者の血を蚊が吸い、別の未感染の方の血を吸う際に感染させ、広げていきます。

フィラリアは犬から人間にうつる?

フィラリアは犬から人間にうつる?
犬がフィラリアに感染していたとしても、犬から直接的にフィラリアが人間にうつることはありません。
なので、感染犬とスキンシップを取っても、健康には何ら問題はありません。

しかし、感染犬の血を吸った蚊がフィラリアを媒介し、人間の体内に入ることは考えられます。
ですが上述した通り、人間はフィラリア本来の宿主ではありませんので、ほとんどの場合症状が現れることはありません。

フィラリアの治療方法

フィラリアの治療方法

人間が感染するリンパ系フィラリア症の治療は、駆虫薬を使用します。
WHOが推奨している駆虫薬が以下の3種類です。

・ジエチルカルバマジン
・アルベンダゾール
・イベルメクチン

これらは体内に寄生している成虫への効果は限定されていますが、血液中のミクロフィリアの数を効果的に減らしてくれるため、蚊を媒介とした人から人への感染を防ぎます。

特にイベルメクチンは日本人によって開発されており、感染すると失明する可能性のある「オンコセルカ症(回旋糸状虫症)」の特効薬としても知られています。
人間にも動物にも使用できる優れた駆虫薬です。

フィラリアの予防方法

フィラリアに感染しないためには、フィラリア症の犬猫自体を減らすことが重要です。

蚊にさされないようにする
人間もそうですが、犬や猫を飼っている場合は、草が生い茂った場所や森の中など、蚊がたくさん生息していそうな場所には近づかない方がよいです。
室内飼いの場合も、蚊取り用品を使用するなどして、蚊に刺されないように気をつけましょう。

フィラリア予防薬を投与する
犬や猫を飼っている場合は、月1回フィラリア予防薬を投与しましょう。
フィラリア症の犬猫自体を減らすことができれば、フィラリアの幼虫を持つ蚊がいなくなります。
投与時期は、蚊の発生した1ヶ月後から、蚊がいなくなって1ヶ月後までとなるため、地域によって違いがあります。
沖縄のように年中蚊のいる地域に住んでいる方は、1年を通して投薬するとよいでしょう。

>>犬のフィラリア予防薬はこちら

まとめ

主に犬の感染症として知られているフィラリアですが、猫も感染します。
しかし犬から人へ、猫から人へ感染することはないため、愛犬や愛猫がフィラリアに感染したからといって、飼い主様への感染は心配する必要はありません。

しかしフィラリアは犬や猫が一度感染してしまうと、体内から除去することや治療が難しいため、予防が大切です。

1ヶ月に1回の投与で済むため、愛犬や愛猫との幸せな時間を守るためにも、積極的に予防しましょう。

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