最終更新日:

フィラリア注射の値段と副作用の危険性。飲み薬とどっちがいいの?

犬のフィラリア予防方法には、飲み薬や滴下(スポットタイプ)、注射があります。
フィラリア予防注射は、年に1回の接種で12ヵ月予防効果があり、投与忘れの心配がありません。

この記事では、「値段」「接種時期」「副作用」「飲み薬とどっちがいいのか」について掲載しています。

この記事の結論
・値段は、犬の体重や動物病院によって異なる
・接種時期は決まっていないが、動物病院によっては1月~5月までと期間限定で接種している
・注射薬は、以前よりも安全性は高いが、副作用が全く無いわけではない
・接種後、死亡事例もある
・注射は、フィラリア予防はできるが、ノミやダニなどの駆除はできない
・年齢や健康状態によっては接種できないことがある

犬用のフィラリア予防薬はコチラをご覧ください>>

そもそもフィラリア注射とは

そもそもフィラリア注射とは

フィラリア予防注射は、1年に1回接種することで、体内に侵入したフィラリアの幼虫を駆除し続ける予防方法です。
注射した部位に1年分の薬剤を体内に貯蓄し、徐々に体内に浸透させていきます。

モキシデックSR 1回の注射で6ヵ月間持続(年2回)
※現在使われておりません
プロハート12 1回の注射で1年間持続

モキシデックSRは、2004年9月に副作用報告数が多いことから、アメリカFDA(アメリカ食品医薬品局)の要求により、製造中止と回収を行っています。
そのため、現在はプロハート12が主流となっています。

【参考】
農林水産省│動物医薬品検査所(外部リンク)

フィラリア注射の注意点

フィラリア予防注射は、すべてのワンちゃんが接種できるものではありません。

接種できない犬

  • 6ヵ月齢未満の子犬
  • 成長期
  • シニア期
  • 妊娠中
  • 初回投与が10歳以上
  • 重い持病がある
  • 以前お薬でアレルギー反応を起こしたことがある

上記に当てはまる場合は、注射を接種することができません。
接種できない場合は、飲み薬滴下タイプのお薬でフィラリア予防を行いましょう。

その他の注意点

そのほか、フィラリア注射には以下のような注意点もあります。

  • 接種する際は、毎年血液検査が必要
  • 他の予防接種と同じ日に接種することはできない(狂犬病、混合ワクチンなど)
  • 効果はフィラリアのみで、ノミやダニなどの寄生虫には効かない
  • 食物アレルギーやアトピー、ノミアレルギー皮膚炎などの既存のアレルギー疾患のある犬は注意が必要

フィラリア予防注射する場合は、ノミダニお腹の虫の駆除薬も使う必要があります。

【参考】
ProHeart12-Drugs.com(外部リンク)

猫のフィラリア予防

フィラリア予防注射は犬用のみで、猫用はありません。
猫のフィラリア予防薬は、滴下タイプと飲み薬があります。

フィラリア注射とワクチン接種について

フィラリア予防注射とワクチン(狂犬病予防また混合ワクチン)接種を受けてもいいのか気になっている飼い主さんもいるかと思います。
同時接種を勧めていない動物病院が多いです。

ワクチンと併用すると、アナフィラキシー反応およびアナフィラキシー様反応が発生したとの報告もあります。

フィラリア予防注射とワクチンはどちらも薬なので、副作用が出る可能性があります。
そのため、ワクチン接種とフィラリア予防注射の時期が近い場合は、獣医師に相談のうえ接種日をご相談ください。

フィラリア注射の値段

フィラリア注射の値段

接種1回分の値段は、ワンちゃんの体重によって異なります。
また、動物病院ごとに設定されている金額によっても変わりますので、体重別の平均費用をまとめました。

体重 1回分の値段
5kg未満 6,920円
5~10kg未満 8,730円
11~20kg未満 12,870円
20~30kg未満 17,980円
30~40kg未満 20,910円
40~50kg未満 23,790円
50~60kg未満 24,500円
60~70kg未満 27,630円
70~80 kg未満 30,070円

※価格は病院によって異なります。
※動物病院4院の平均費用(セラピー動物病院、西湘動物病院、エルザ動物病院、しんめい動物病院)

フィラリア注射を受ける時期

フィラリア注射を受ける時期

フィラリア予防注射は1年間効果が持続するため、接種時期は特に決まっていません。

しかし、フィラリア予防注射の薬剤は、一度開封すると2ヵ月以内に使い切らないといけないという理由から、動物病院によっては1月~5月までなど期間限定で接種しているところもあります。

フィラリア予防注射の接種を希望している場合は、動物病院に問い合わせてみると良いでしょう。

フィラリア注射の副作用

フィラリア予防注射「プロハート12」の副作用は、下記のとおりです。

・アレルギー反応または、アナフィラキシーショック
・注射部位の腫脹
・食欲不振

モキシデックSRよりも安全性は高いことが確認されていますが、副作用がまったく無いわけではありません。

2013年~2023年7月までに報告されている副作用は、下記のとおりです。

・嘔吐
・下痢
・呼吸促迫
・心拍・血圧低下
・虚脱
・可視粘膜蒼白
・顔面腫脹
・蕁麻疹
・掻痒
・発熱
・意識消失 など

また、コリー犬およびその系統の犬種は、アベルメクチン系薬剤によって神経毒性を示したとの報告があるので注意が必要です。
コリー種に投与できるフィラリア予防薬は、下記の記事で詳しく説明しています。

【参考】
ゾエティス│注射用プロハート12(外部リンク)

接種後の死亡事例

2013年1月~2023年7月まであった死亡報告数は61件。

以前のフィラリア注射(モキシデックSR)よりも、副作用や死亡例の報告は少ないようです。
しかし、ごく稀に接種後、死亡の報告がありますが、因果関係ははっきりしていません。

2023年の死亡事例:7件
犬種・年齢 健康状態・既往歴 因果関係
ビーグル(12歳) 健康状態:良好
既往歴:あり
因果関係がないとはいえない
ミニチュアダックスフンド(12歳) 健康状態:良好
既往歴:不明
不明
コーギー(12歳) 健康状態:良好
既往歴:不明
不明
柴犬(4歳) 健康状態:不明
既往歴:不明
不明
パグ(3歳) 健康状態:不良
既往歴:外耳炎、接種する1ヶ月前に軟口蓋切除、鼻腔内拡大手術を避妊手術と一緒に行った
因果関係がないとはいえない
ポメラニアン(2歳) 健康状態:良好
既往歴:なし
因果関係があると考えられる
チワワ(11歳) 健康状態:不良
既往歴:2022/11から心臓病を治療中
不明

【参考】
農林水産省│動物医薬品検査所(外部リンク)
注射用プロハート12-動物用医薬品等データベース(外部リンク)

フィラリア注射と飲み薬どっちがいい?

注射と飲み薬、どちらもメリットとデメリットがあります。

注射のメリット・デメリット
飲み薬のメリット・デメリット

注射のメリット・デメリット

メリット デメリット
・投薬忘れの心配がなく、より確実に予防できる
・投薬時の手間を省くことができる
・通院回数を減らせる
・ノミやマダニなどの駆除はできない
・成長期や妊娠中、老犬などは接種できない
・注射を導入していない動物病院もある
・動物病院によって接種できる期間が異なる
・ごく稀に接種後の死亡例がある

フィラリア注射の一番のメリットは、1年に1回の接種で済むことです。

飲み薬のメリット・デメリット

フィラリアの飲み薬

メリット デメリット
・価格が安い
・薬の種類が豊富
・フィラリア予防と同時に回虫や鉤虫、鞭虫などお腹の虫も駆除できる
・オールインワンタイプなら、ノミやマダニの駆除もできる
・副作用が少ない
・予防期間中は、毎月投薬する必要がある

飲み薬のメリットは、種類が豊富でフィラリア予防と同時に他の寄生虫も駆除できることです。
オールインワンタイプと呼ばれている飲み薬なら、ノミやマダニといった厄介な寄生虫も同時に駆除することができます。

注射と飲み薬の価格比較

注射と飲み薬の価格を比較してみました。

体重 5kg未満 5~10kg 10~20kg 20~30kkg 30~40kg
注射 6,920円 8,730円 12,870円 17,980円 20,910円
飲み薬(7ヵ月) 6,160円 7,700円 9,240円 9,240円 12,320円
飲み薬(12ヵ月) 10,560円 13,200円 15,840円 15,840円 21,120円

※価格は病院によって異なります。
※飲み薬は、ペット予防医療センターの価格を参考に掲載しています。
※ペット予防医療センターでは、7ヵ月から通年投与を推奨しているため、飲み薬は7ヵ月分と12ヵ月分の価格を掲載しています。

飲み薬を7ヵ月間使った方が安く、通年予防する場合は注射の方が安いです。

しかし、フィラリア予防注射はフィラリアの予防はできますが、ノミやマダニなどの寄生虫の駆除はできません。
そのため、注射とは別でノミやマダニの駆除・予防薬を投与する必要があります。

オールインワンタイプのフィラリア予防薬

フィラリア予防と同時に、ノミ、マダニ、お腹の寄生虫も駆除できるお薬のことを「オールインワンタイプ」といいます。

注射とノミ・マダニ駆除薬を1年間使った時の価格と、オールインワンタイプを使った時の価格を比較してみました。

体重 5kg未満 5~10kg 10~20kg 20~30kkg 30~40kg
注射+ノミ・マダニ駆除薬 22,760円 27,210円 33,990円 41,740円 44,670円
オールインワンタイプ(7ヵ月) 16,940円 18,480円 20,020円 21,560円 21,560円
オールインワンタイプ(12ヵ月) 29,040円 31,680円 34,320円 36,960円 36,960円

※価格は病院によって異なります。
※価格は病院や薬の種類によって異なります。
※ノミ・マダニ駆除薬とオールインワンタイプは、ペット予防医療センターの価格を参考にしています。

オールインワンタイプのフィラリア予防薬で代表的なお薬は、「ネクスガードスペクトラ」で、ぽちたま薬局でも購入できます。


ネクスガードスペクトラ

ネクスガードスペクトラ
1箱内容量:3錠
1箱価格:7,200円~
年間価格:28,800円~
特徴:食いつきが良く、投薬しやすいおやつタイプ


犬用のフィラリア予防薬はコチラをご覧ください>>

注射と飲み薬の比較まとめ

メリット デメリット
注射 ・投薬忘れの心配がなく、より確実に予防できる
・投薬時の手間を省くことができる
・通院回数を減らせる
・ノミやマダニなどの駆除はできない
・成長期や妊娠中、老犬などは接種できない
・注射を導入していない動物病院もある
・動物病院によって接種できる期間が異なる
・ごく稀に接種後の死亡例がある
飲み薬 ・価格が安い
・薬の種類が豊富
・フィラリア予防と同時に回虫や鉤虫、鞭虫などお腹の虫も駆除できる
・オールインワンタイプなら、ノミやマダニの駆除もできる
・副作用が少ない
・予防期間中は、毎月投薬する必要がある

■注射はこんな犬・飼い主におすすめ
・飲み薬が苦手なワンちゃん
・飲ませ忘れを防ぎたい

■飲み薬はこんな犬・飼い主におすすめ
・注射が苦手なワンちゃん
・ノミやマダニも同時に駆除したい

注射と飲み薬、どちらもメリットとデメリットがあります。
どちらがいいのか悩んだ際は、獣医師さんに相談し、ワンちゃんに最適なフィラリア予防薬を選択すると良いでしょう。

フィラリア注射に関するQ&A

フィラリア注射は年に何回接種したらいい?

年に1回の接種で問題ありません。
ただし、犬の年齢や健康状態によっては接種できないことがあります。

フィラリア注射接種前に、フィラリア抗原検査は必要?

フィラリア予防注射を接種する前に、必ずフィラリア抗原検査を受ける必要があります。
犬がフィラリア症に感染していないことを確認したうえで、注射接種が可能です。

フィラリア予防注射を接種後に、散歩しても大丈夫?

注射後、散歩しても問題ありません。
ただし、注射後に蕁麻疹や呼吸困難、腫れなどのアレルギー反応を起こす場合があります。
これらの症状が現れた場合は、すぐに動物病院に連絡してください。

まとめ

  • 値段は、犬の体重や動物病院によって異なる
  • 接種時期は決まっていないが、動物病院によっては1月~5月までと期間限定で接種している
  • 注射薬は、以前よりも安全性は高いが、副作用が全く無いわけではない
  • 接種後、死亡事例もある
  • 注射は、フィラリア予防はできるが、ノミやダニなどの駆除はできない
  • 年齢や健康状態によっては接種できないことがある
フィラリア予防薬の通販

アーカイブ

  1. ネクスガードスペクトラ-体重ギリギリ時の使用

    ネクスガードスペクトラ-体重ギリギリ時の使用について
  2. 市販のペットフードから手作りご飯に切り替える4ステップ
  3. 犬と猫の手作りご飯のすすめ
  4. 譲渡会とはどんなところ?譲渡会の流れやルール、里親になるための条件をご紹介
  5. 【地域別】フィラリア予防薬の投与期間

    フィラリア予防薬の投与期間は具体的にいつからいつまで必要?
PAGE TOP