フィラリア予防薬の副作用

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フィラリア予防薬の副作用│ぐったり・下痢・嘔吐の対処法と抗生物質との併用

犬・猫の飼い主さんにとって、投与する機会が多いフィラリアの予防薬。

そんなフィラリア予防薬にも副作用があり、投与する薬のタイプによって異なる副作用が現れます。

そのほとんどが一過性のものですが、中には動物病院を受診すべき症状もあるので注意が必要です。

そこで、ペットのくすりを扱うぽちたま薬局スタッフが、フィラリア予防薬のタイプごとの副作用や、動物病院へ連れていくべき副作用の症状について解説します。

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フィラリア予防薬の副作用

フィラリア予防薬は各タイプによって副作用の症状が異なるので、タイプ別にフィラリア予防薬の副作用を解説します。

錠剤・おやつタイプの副作用

「ネクスガードスペクトラ」や「クレデリオプラス」など、錠剤やおやつなど内服するタイプのフィラリア予防薬には、以下の副作用があります。

・嘔吐
・下痢
・意識障害
・食欲不振
・よだれ
・ぐったりして元気がなくなる、など

他にも食物アレルギーを持つ犬の場合、フィラリア予防薬にアレルギーを起こす食べ物(豚肉や牛肉、大豆など)が含まれていると、嘔吐や下痢などの症状を引き起こすことがあります。

フィラリア予防薬を飲ませた後に下痢や嘔吐を起こすと、薬が十分に吸収されないまま排出されてしまい、フィラリアの予防効果が得られない可能性があります。

フィラリア予防薬を投与した当日・翌日に下痢や嘔吐をした場合は、排泄物や嘔吐物に予防薬が残っていないかよく観察するようにしましょう。

錠剤やおやつタイプのフィラリア予防薬を飲ませると、下痢や嘔吐をしてしまうという場合は、翌月から違う種類の薬に変更してみるといいでしょう。

滴下タイプの副作用

滴下タイプのフィラリア予防薬には、以下の副作用があります。

・薬を垂らした部位の刺激
・赤みが出るなどの炎症
・脱毛など

その他、薬を垂らした部位を犬や猫が舐めてしまった場合は、嘔吐や食欲不振などの症状を引き起こすこともあります。

副作用を防ぐための対処法には、エリザベスカラー等を使用して舐めるのを防ぐ、液剤が流れないよう被毛を掻き分けて根元に投与するなどがあるので、参考にしてください。

また、多頭飼いの場合は、他の動物が薬剤を舐めてしまわないよう注意が必要です。
お互いが舐め合わないよう、フィラリア予防薬を投与した後は、薬剤が乾くまで別々の場所で過ごさせましょう。

注射タイプの副作用

注射タイプのフィラリア予防薬には、以下の副作用があります。

・ミクロフィラリア(フィラリアの幼虫)反応
・アナフィラキシーなどのショック反応
・発熱や顔のむくみ(ムーンフェイス)
・注射を打った部位にしこりができるなど

もしフィラリアに感染している場合にフィラリア予防の注射を受けると、体内のミクロフィラリア(フィラリアの幼虫)が薬によって急激に死滅することで、アレルギー反応や、血圧低下・意識障害などのアナフィラキシーを引き起こす可能性があります。

また、薬で死滅したミクロフィラリアが肺・腎臓などの臓器や毛細血管に詰まる危険もあります。

なお、フィラリア予防薬の注射を受けられない犬もいます。

愛犬が下記に該当する場合、注射タイプによる投与は避けてください。

注射タイプを避けたほうがよいケース
  • 過去にアレルギー経験がある
  • 成長期
  • 妊娠中
  • 老犬
  • 重い病気を抱えている

フィラリア注射については、以下の記事で詳細を解説していますのでご活用ください。

フィラリア予防薬と抗生物質や他の薬との併用はできる?

フィラリア予防薬は、下記の薬と併用した場合に神経系の毒性を生じる場合があるため、注意するとともに獣医師と相談のうえ使用するようにしてください。

フィラリア予防薬との併用に注意が必要な薬
  • ケトコナゾール
    →マラセチア皮膚炎の薬など
  • シクロスポリン
    →アトピー性皮膚炎など免疫系疾患の薬
  • キニジン
    →不整脈など心血管系疾患の薬

また、フィラリアに感染てしまった場合は、フィラリア予防薬と抗生物質を併用したボルバキア治療を行うのが主流となっています。

フィラリア予防薬で体内の幼虫を駆除しつつ、成虫に対しては共生関係にあるボルバキアという菌を抗生物質で除去することで、時間をかけて体内からフィラリアを除去していく治療法です。

フィラリア予防薬と抗生物質を併用した治療については、こちらの記事で詳しく解説しています。

副作用が出た場合の対処法

フィラリア予防薬の副作用は、基本的には一過性のものがほとんどです。
しかし、以下の反応が出た場合は、動物病院を受診するようにしましょう。

・皮膚に赤みや脱毛が発生した
・呼吸が早く、様子がおかしい
・よだれをダラダラ流す
・ぐったりして動かない
・痙攣を起こす

アレルギーやショック反応は危険な状態に陥ることもあります。

特に初めてフィラリア予防薬を投与した後であれば、しばらく愛犬の様子を注意深く見守るようにしましょう。

上記に当てはまらない場合も何か気になる症状が出ている、不調が続くという時は、早めに動物病院で診察を受けてください。

なお、フィラリアの薬を1ヶ月に2回とか2日連続など、多く飲ませてしまった場合でも基本的には問題ありませんが、大量に飲んでしまった場合には動物病院で獣医師の診察を受けましょう。

詳しくはこちらの記事で詳しく解説しています。

フィラリア予防薬の副作用を防ぐための注意点

フィラリア予防薬を安全に使用するためにも、使用前に必ず血液検査を受けましょう。

検査を受ける必要があるのは、ショック反応などの副作用を防ぐためです。

気づかない内に愛犬がフィラリアに感染している状態でフィラリア予防薬を使用すると、体内のフィラリアが一気に死滅することで、ショック反応が起こる可能性があります。

ショック反応が激しい場合は死に至ることもあるので、絶対に検査なしに自己判断で投与しないでください。

フィラリア検査の方法と費用については、以下の記事で詳しく紹介しています。

コリー系統の犬種の副作用について

ボーダー・コリーやイングリッシュ・シェパードなど、コリー系統の犬種はフィラリア予防薬に含まれる成分(イベルメクチンやミルベマイシンなど)に弱く、副作用が出やすいです。

イベルメクチンやミルベマイシンオキシムによる主な副作用は、歩様蹌踉(ほようそうろう)や散瞳、昏睡、けいれんなどの神経症状があらわれるほか、最悪の場合は死に至ることもあります。

コリー系統の犬種
  • コリー
  • ボーダー・コリー
  • ホワイトスイスシェパード
  • オーストラリアンシェパード
  • イングリッシュ・シェパード
  • シェットランド・シープドッグ
  • オールド・イングリッシュ・シープドッグ

コリー系統の犬種は、一定数がMDR1遺伝子を欠損しています。

このMDR1遺伝子は薬が脳に作用しないようバリアをする役割があるのですが、欠損していると薬が脳に作用することで強い影響を受け、重大な副作用を引き起こしてしまいます。

成分イベルメクチンについては低用量の投与であれば副作用の可能性は低い、とされていますが、副作用の可能性はゼロではありません。

万が一のリスクを考えるのであれば、有効成分に気を付けて薬を選ぶと良いでしょう。

コリー種に投与できるフィラリア予防薬をお探しなら、コチラの記事も参考にどうぞ

【参考リンク】
コリーにおけるIvermectinの安全性の評価
コリー, シェルティ及び日本犬雑種における血漿ミルベマイシンD濃度

老犬にフィラリア予防薬を投与した場合の副作用

老犬は若い犬と比べると、体力や抵抗力が落ちていたり、他の病気を治療していたりすることもあります。

そのため「体力がないのにフィラリア予防薬を使って大丈夫?副作用は?」と心配になると思います。

確かに、老犬で体力が衰えていたり体が弱っていたりすると副作用のリスクは存在し、下痢や嘔吐といった症状が現れる場合もあります。

ただし、老犬であってもフィラリア予防はやっておくことをお勧めします。

「老犬で散歩の機会が減ったから、フィラリアの可能性は低い」
「寝たきりでずっと家にいるから、フィラリアにはなってない」

と思っていても、蚊は外だけでなく室内にも侵入してくるため、感染のリスクはゼロではありません。確実に予防するなら、フィラリア予防薬は使用した方が良いです。

なお、どうしても副作用が気になるという場合は、以下の対処法を参考にしてください。

①普段から犬の健康状態を観察し、記録しておく。
②フィラリア予防薬を投与した日は、外出せずに犬の傍で様子を見守る。
③投与後、もし何らかの変化があったらすぐに動物病院へ行く。

フィラリア予防薬の副作用Q&A

フィラリア予防薬の副作用について、よくある質問を紹介しています。
気になる点がある方はぜひ参考にされてください。

フィラリア予防薬を飲ませたら必ず副作用は出る?

必ず副作用が起こる訳ではありません。
副作用が出ない、出たとしても一時的な症状の場合もあります。

ただし、すでにフィラリアに感染している犬にフィラリア予防薬を飲ませると、副作用が現れるリスクが高くなります。
副作用を避けるためにも、フィラリア予防薬の投与前に必ずフィラリア検査を受けましょう。

フィラリア予防薬を飲ませた後、薬を吐き出してしまったら?

基本的にフィラリア予防薬を投与後、3時間以上経っていれば、薬の成分は吸収されていると考えられます。
そのため、吐き出してしまった時間によって対処法が異なります。

すぐに吐き出した場合…フィラリア予防薬を再度投与してください。
1~2時間以内に吐いた場合…成分が吸収されていない可能性があるので、動物病院を受診し再投与が必要かご相談ください。
3時間以上経過して吐いた場合…成分は吸収されていると考えられますが、念のため動物病院に事情を伝えてご相談ください。

フィラリア予防薬を飲ませたらぐったりしてしまった。これって副作用?

フィラリア予防薬の副作用が考えられます。また、愛犬の体調不良の可能性もあります。

いずれにしても、気になる症状があった場合は動物病院で診察を受けてください。

去年買ったフィラリア予防薬の残りを飲ませても大丈夫?副作用が出たりする?

残っているフィラリア予防薬を飲ませるのは危険です。

去年の分が残っている場合、余分に買いすぎたとか、フィラリア予防薬を投与し忘れた月があるといったケースが考えられます。

薬を投与し忘れた場合、フィラリアに感染している可能性があり、検査をせずに飲ませるとフィラリアの幼虫が大量に死滅することでショック反応などの副作用を起こす場合があります。
フィラリア予防薬が残っていても、検査をせずに飲ませるのは控えましょう。

まずは動物病院で血液検査を受け、検査結果を確認してから、残っているフィラリア予防薬を使用してください。

狂犬病のワクチン接種とフィラリア予防薬の投与は同じ日に行っても大丈夫?副作用が出る?

狂犬病のワクチン接種とフィラリア予防薬の投与を同じ日に行った場合、副作用で体調を崩した時にどちらが原因なのか分かりづらくなるため、日にちはずらした方が良いです。

フィラリア予防薬は狂犬病のワクチン接種を受けた日の翌日、または2、3日後に様子を見ながら投与してください。

まとめ

  • フィラリア予防薬は副作用が出る場合もあるが、ほとんどは一過性のもの。
  • フィラリア予防薬は各タイプ(錠剤・おやつ、滴下、注射)によって副作用の症状が異なる
  • フィラリア予防薬を初めて使用する場合は、使用前に血液検査を受けることでショック反応などの副作用を防げる
  • フィラリア予防薬を投与後、嘔吐や下痢、ぐったりしていて元気がないなど気になる症状が出た場合は、動物病院で診察してもらう

フィラリア予防薬にはアレルギーや下痢、嘔吐などの副作用がありますが、必ず現れるものではありません。

全く症状が出ない場合もありますし、愛犬の健康状態が影響して副作用が起こるケースもあります。

フィラリア予防薬は薬であるため、副作用の可能性はゼロではありません。

けれど、愛犬をフィラリアから守る確実な方法として獣医師からも推奨されています。

フィラリア予防薬を安全に使用するためも、使用前には必ず血液検査を行ってください。

また、フィラリア予防薬を投与した後は愛犬の体調の変化を見守り、副作用と思われる症状が出たら、すぐに動物病院で診察を受けましょう。

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