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老犬にもフィラリア予防は必要です
いきなりですが、老犬にもフィラリア予防は必要です。
「家から出ないからフィラリア予防は要らない」
「ウチの犬、寝たきりだからフィラリアにはならないと思う」
そんな理由で、老犬のフィラリア予防を先送りにしていませんか?
ここでは、老犬のフィラリア予防の大切さについて解説します。
ウチの老犬にフィラリア予防薬を投与
老犬のフィラリア予防に薬を使う時のことを考えてみましょう。
犬用フィラリア予防薬一覧
商品画像・ 詳細リンク | 効果 | 有効成分 | タイプ・剤形 | メーカー |
---|---|---|---|---|
ネクスガード スペクトラ ![]() | フィラリア予防、 ノミ・マダニ・回虫・鉤虫・鞭虫の駆除 | アフォキソラネル、 ミルベマイシンオキシム | 経口薬:ソフトチュアブル![]() | ベーリンガーインゲルハイム |
キウォフハート![]() | フィラリア予防、 回虫・鉤虫・鞭虫の駆除 | イベルメクチン、 パモ酸ピランテル | 経口薬:チュアブル錠![]() | サバベット |
ストロングホールド (レボリューション) ![]() | フィラリア予防、 ノミ・回虫・耳ダニ(ミミヒゼンダニ)の駆除 | セラメクチン | 外用薬:スポット![]() | ゾエティス |
ストロングハートプラス (ハートガードプラス、カルドメックチュアブル) ![]() | フィラリア予防、 回虫・鉤虫・鞭虫の駆除 | イベルメクチン、 ピランテル | 経口薬:ソフトチュアブル![]() | サバベット |
インターセプターS![]() | フィラリア予防、 回虫・鉤虫・鞭虫・サナダムシ・エキノコックスの駆除 | ミルベマイシンオキシム、 プラジクアンテル | 経口薬:チュアブル![]() | エランコ |
フィラリア予防薬を投与するメリット
老犬にとって、フィラリア予防薬を投与するメリットは大変大きいです。
なによりフィラリアは、フィラリア予防薬を忘れずに投与することで防ぐことのできる病気だからです。
「歳を取って家から出ないので大丈夫」
「寝たきりで動けないから蚊に刺されない」
などと考え、老犬はフィラリア症にかからないと考える飼い主さんは、実は少なくないようです。
しかし蚊は、開けた窓からも入ってきますし、高層マンションに住んでいたとしても人にくっついた状態でエレベーターを昇ってきます。
特に近年は温暖化が進み、日本では冬でも蚊が生息できる環境があります。
また、体内に感染したフィラリアが成虫となった場合は、手術で取り除く方法を取ることがありますが、老犬ではこの手術を行えるだけの体力がない場合もあります。
麻酔などに耐えられないため手術ができず、感染後の余生を苦しませながら送ることにもなりかねません。
愛犬の老後のQOL(Quality of Life:生活の質のこと)を考えても、フィラリア予防薬を投薬して老犬のフィラリア症を予防することは、リスクを上回るメリットがあると考えます。
しかし、すでに何らかの病気を患っていたり、薬剤にアレルギーがある場合などはフィラリア予防薬を投与できないことがあります。
その場合はかかりつけの獣医さんとよく相談するようにしましょう。
フィラリア予防薬を投与するデメリット
口径投与する予防薬では誤嚥性肺炎やのどの詰まりが起きやすくなったり、副作用が出やすくなったりします。
老犬は若い犬と比べると、誤嚥性肺炎などを起こしやすくなります。
犬も年を取りシニアになると、食べ物を飲み込む力が衰えます。
ふつう、犬も猫も人間も、食事の際は口の中に入った食べ物や飲み物は食道へ送り、空気は気管へと送るようにのどの奥のフタが開いたり閉じたりします。
歳を取るとこのフタがうまく機能しなくなり、食べ物や飲み物が気管に入ってしまうことがあるのです。
そのため肺炎を起こし、最悪重篤な症状に陥ることもあります。
口から投与するタイプのフィラリア薬の場合、誤って気管に入れてしまったり、のどに詰まらせることがないように、服用がおわるまで飼い主さんがきちんと見守ってあげることが必要です。
口から投与するのが不安な時は、ストロングホールドのようなスポットタイプの薬剤を背中に投与するという選択肢もあります。
逆に、皮膚炎などを発症しているために、スポットタイプの薬が使えないという老犬もいるかと思います。
愛犬にあった投与方法を選択してみてください。
フィラリア予防薬の副作用
フィラリア予防薬の副作用は、主に以下のようなものがあります。
【フィラリア予防薬の主な副作用】
・大静脈症候群
・元気喪失、食欲不振、呼吸逼迫、歩様異常、けいれん
・嘔吐、流涎、下痢(軟便)
・イベルメクチンはイベルメクチン感受性の犬に対して使用できないことがある
現在流通しているフィラリア予防薬は重篤な副作用が出たなどの報告が少なく、長い販売実績もあることから安全性は高いといえます。
また、老犬になるまでの若い内に投与して副作用が出たことがなければ、老犬になっても安心して投与して大丈夫だと思われます。
しかし、まれに上記のような副作用が強く出たり、時には重篤な症状となることがあります。
薬剤の投与後に万が一症状が現れた場合は、すぐに動物病院へ駆け込めるようにしておくとよいでしょう。
注意事項については後述します。
【イベルメクチン感受性とは】
コリーやオーストラリアン・シェパード、シェルティなどのコリー系の犬の中には、イベルメクチンの投与によって、傾眠や運動失調などの神経毒性の副作用を呈する個体がいます。
このようにイベルメクチンに強い感受性を示す個体は、薬物の体内動態に関係する蛋白質の一つ、「MDR1(P-糖蛋白)」をコードする遺伝子にホモ接合性に変異を持つことがわかっています。
※カホテクノ|MDR1より引用
ウチの老犬のフィラリア予防接種
フィラリア予防には、注射を打つという選択肢もあります。
老犬のフィラリア予防を注射で行う場合は、どのようなことに気を付けたらいいのでしょうか。
フィラリア予防接種とは
フィラリア注射は、1年に1回の接種で、体内に侵入したフィラリアの幼虫(第3期幼虫といいます)を駆除し続ける予防方法です。
一度の注射で1年分の薬剤を体内に貯蔵し、徐々に体内に浸透させていきます。
現在では有効成分モキシデクチンを配合したプロハート12やモキシデックSRが主流となっています。
飲み薬のように毎月投与しなくてもいいので楽ですが、1年分の薬剤を注入するので副作用が強いのが難点です。
こちらの記事もあわせてご覧ください。
フィラリア予防接種について、くわしく解説しています。
フィラリア予防接種のメリット
【フィラリア予防接種のメリット】
・投薬忘れが無いので確実に予防できる
・薬を貰うために通院する必要がない
・投薬時の苦労がない
フィラリア予防接種のメリットは、老犬にとって大変大きいものです。
予防薬を投与するときと比べ、検査などのために体力の落ちた愛犬を何度も通院させたり、毎月薬を与えるストレスから解放してあげることができます。
なにより、1年間なにもしなくても投薬忘れの心配がなく、フィラリアの脅威から愛犬を守ることができます。
フィラリア予防接種のデメリット
【フィラリア予防接種のデメリット】
・副作用のリスクが高い
・体重の増減に弱い
・値段が高い
・老犬は接種できないことがある
・予防薬を投与するのとは違い、予防できるのは「フィラリアだけ」
フィラリアの予防接種は、老犬に打つ時だけではなく若い犬に対して打つ時でも、副作用が強く出るリスクの高いものです。
注射した薬液が1年間を通してゆっくりと浸透していくものなので、副作用のリスクを覚悟しなければなりません。
薬液の使用量は体重によって決まりますので、大型犬だと1回の注射が高額なものになります。
大型犬ではなかったとしても、そもそも1回の注射の代金がお高いものです。
また、体力のなくなった老犬には接種できないことがあります。
動物病院の方針によりますが、老犬への接種自体を実施していないこともあります。
そして、予防薬を投与するのとは違い、この予防接種で予防できるのは「フィラリアだけ」です。
老犬のフィラリア予防で留意すること
①かかりつけの動物病院を持つ
②定期的な健康診断を欠かさないようにする
③愛犬とよくコミュニケーションを取る
①かかりつけの動物病院を持つ
特に病気にかかることなく年齢を重ねてしまうと、動物病院に慣れさせることができないままに老犬になってしまうこともあると思います。
若いうちから動物病院に慣れさせ、かかりつけの獣医さんを持つようにしておくことは大切です。
しかし、歳を取った犬を保護した場合などは、そういかないこともあると思います。
そのため、地域の動物病院について、場所や電話番号などは把握しておくようにしましょう。
大型犬などで家から出すことが困難な場合は、往診に来てくれる獣医さんを調べておくと安心です。
②定期的な健康診断を欠かさないようにする
老後の犬も、人間の老後と同じように病気になりやすくなるものです。
愛犬に悪いところがないかどうか診てもらうだけでなく、いざ病気になったときに、抵抗なく獣医さんに診てもらえるよう、獣医さんに慣れさせておくためでもあります。
③愛犬とよくコミュニケーションを取る
犬は、歳を取ると眠っている時間が長くなります。
そのため「寝ているから」と、飼い主は愛犬を放置してしまいそうになりますが、犬は高齢になるほど分離不安が強くなると言われています。
声をかけたり、体に触れてマッサージをすることなどは、そんな愛犬の不安を取り除いてあげるだけではなく、目や耳の機能が衰えたことによる日頃の不安感も取り除く効果が期待できます。
また、日ごろから愛犬をよく観察しておくことで、急な体調の変化にも気づきやすくなります。
もしも老犬がフィラリアになったら
愛犬がフィラリアに感染すると、若いころと比べると体力が落ちているということに加え、とても苦しみながら老後の生活を送らなくてはならなくなります。
フィラリアは心臓に寄生します。
フィラリアが心臓の中にある組織や赤血球を壊してしまうことで、愛犬の体に充分に酸素を送れなくなります。
また、血流も悪くなるため、肺や肝臓、腎臓、血管にも悪い影響を及ぼし、重症化すると死に至ることもあります。
愛犬には、老後の余生を穏やかに過ごしてほしいと願う飼い主さんがほとんどだと思いますが、フィラリアに感染することでこのような目に遭わせてしまうのは、酷なことですね。
こちらの記事もあわせてご覧ください。
フィラリアの症状について、くわしく解説しています。
老犬のフィラリア予防についてまとめ
- 副作用を恐れてフィラリア予防をやめるよりも予防した方がよい
- 予防接種は副作用が強くフィラリアだけの予防となるため、予防薬がおすすめ
- 病院にかかったことのない犬は、この機会に病院に慣れておこう
老犬はもちろん、老犬ではなくてもフィラリア予防はきちんとしたいものです。
病院にかかったことのない犬は、この機会に病院に慣れておくのも手です。

猫が大好き!な、ぽちたま薬局ライターです。
我が家の2匹を含んだ地上にいるすべての猫たちのために!猫のための情報をおとどけします!現在は猫の食事について日々勉強中(*‘ω‘)