膀胱炎は、猫が非常に発症しやすい病気。
治療が遅れると重症化するリスクがあるうえに、一度でも発症すれば再発を繰り返すことも多々あります。
愛猫が膀胱炎になってしまった場合、動物病院での治療はもちろん、飼い主さんによる自宅ケアも非常に重要です。
そこで、この記事では猫の膀胱炎の治し方や、飼い主さんが自宅でできるケアについて紹介していきます。
目次
猫の膀胱炎の治し方は?
猫の膀胱炎の治療では、主に4つの方法があります。
まずは、それぞれの詳しい治し方について確認していきましょう。
今回は膀胱炎の症状については触れていません。症状も気になる方はコチラを参考にどうぞ。
投薬
投薬治療の方針は、基本的に膀胱炎の痛みや不快感を取り除いてあげること。
血尿には止血剤、頻尿に対しては消炎剤、発熱がある場合は解熱剤などを使用し、抗生物質と併用しながら治療します。
なお、投薬治療では飲み薬を使用することが一般的ですが、投与自体がストレスになってしまう猫には、注射を用いる場合もあります。
■猫の膀胱炎治療に用いられるお薬の一例
普段から使用しているお薬がある場合は、手元に常備しておくと安心ですね。
参考
犬と猫における尿路感染症の治療のための抗菌剤使用ガイドライン(外部リンク)
療法食
療法食とは、特定の病気に対して食事療法するために開発されたフード。
膀胱炎には治療用のフードと、治療後の再発防止や現状維持を目的としたものがあり、栄養素の含有量や比率が調整されています。
猫の膀胱炎治療において食事の管理は、最も重要といっても過言ではありません。
手作りのフードが絶対にダメとはいえませんが、実際に与えるとなると緻密な計算が必要なのでかなり大変です。
外科手術
結石が原因で膀胱炎を引き起こしている場合、手術が選択される場合もあります。
通常は療法食や薬で溶解させますが、結石が大きな場合や溶けない種類の結石であれば早期に摘出することが最善です。
エコー検査やレントゲンで結石の有無を確認し、全身麻酔下のもとで手術を行います。
手術費用は、入院や検査もすべて含めて12~14万円ほどが相場です。
結石は主に2種類あります。ストルバイト結石に関してはコチラの記事を参考にどうぞ。
参考
膀胱結石の猫(外部リンク)
点滴
膀胱炎になった猫は、お水をたくさん飲んで膀胱内を綺麗にすることが大切です。
お水をあまり飲んでくれない子には点滴を用いて、脱水を改善したり、膀胱を洗浄したりする場合があります。
猫の膀胱炎はどのくらいで治る?
猫が膀胱炎になった場合、どのくらいで治るかは原因や症状によってさまざま。
年齢や基礎疾患にもよっても異なるため、一概にはいえません。
ただし、軽度の膀胱炎で早期に治療を行えば、1~2週間で改善に向かう可能性があります。
発見が遅れてしまい症状が進行している場合は、数ヶ月を要する場合もあります。
膀胱炎は自然に治る?
膀胱炎になった猫は、自然に治る場合もあります。
しかし、治るまではずっと痛みや不快感が続いたり、悪化して治療期間が延びたりする可能性があります。
愛猫のためを思うなら、自然治癒を期待すべきではありません。
膀胱炎は繰り返すことが多い
膀胱炎にかかった猫のうち、半数は1年以内に再発するといわれています。
発症を繰り返す要因は、生活習慣や基礎疾患が隠れている、原因を取り除けなかったなど、さまざま。
膀胱炎になった経験がある猫は再発リスクに備えて、お薬を手元に置いておくと安心です。
飼い主さんができること
ここからは、膀胱炎の再発を防止するために、飼い主さんができることを紹介します。
これらのポイントについて、詳しく紹介していきます。
再発を防止するには、原因を知ることも重要です。膀胱炎の原因について詳しくはコチラ。
水分の摂取量を増やす
お水をたくさん飲むことは、おしっこの量を増やして膀胱を洗浄することにつながります。
猫はあまり水を飲まない子が多いため、以下のような工夫を取り入れてあげましょう。
- 新鮮な水が飲めるようにする(流水タイプの自動給水機もおすすめ)
- 水飲み場を増やす
- ドライフードからウェットフードに切り替える
ストレスを取り除く
ストレスは、猫が膀胱炎になる原因で最も多く、全体の半数を占めています。
膀胱炎になった猫は、以下のような対策を取り入れて、ストレスを取り除いてあげましょう。
ストレス要因 | 対策 |
---|---|
安心できるスペースがない | ・隠れられる場所などを用意する |
運動不足など | ・知育トイなどを使って狩猟本能を刺激する ・キャットタワーを設置する |
予測できない人との交流 | ・人見知りの猫を無理に引っ張り出さない ・大きな声を出して驚かせない |
嫌いな臭い | ・匂いが強いアロマなどは使わない |
これらはあくまでストレスと対策の一例となります。
猫はとても繊細な動物なので、私たち人間にとっては些細なことでも大きなストレスを感じている場合があります。
上記の表を参考に生活を振り返り、猫にとって快適な環境になっているかを考えてみましょう。
トイレの環境を整える
猫は綺麗好きで、とくにトイレに対しては神経質。
トイレに汚れや不便さがあれば、我慢してしまう子もいるほどです。
設置場所はできるだけ人通りが少なく、静かで暗く落ち着くところを選んであげましょう。
常に清潔な状態にするため、猫の頭数よりひとつ多く設置してあげることもおすすめです。
室温を適切に保つ
寒い時期になると、猫はあまり動かなくなり、水を飲む量も減ります。
すると膀胱内に尿が長く滞留することになり、細菌が繁殖しやすくなってしまいます。
そのため、1年を通して猫が快適に過ごせるように室温には気を付けましょう。
快適と思える温度は猫によっても違いますが、一般的は21~28℃前後が適切とされています。
適正体重を保つ
猫の膀胱炎においては、発症リスクを高める肥満を防ぐことも大切です。
肥満の猫は、尿の通り道が圧迫されて膀胱炎を引き起こしやすくなります。
適正体重を保てるように、運動不足にならないように注意し、食事量にも気をつけてあげましょう。
定期的な検査を受ける
定期的な検査や健康診断は、膀胱炎の早期発見や予防として役立ちます。
もし再発してしまっても、発見が早ければすぐ治療を始められるので、治療期間も短くて済むでしょう。
さらに、膀胱炎には基礎疾患や腫瘍などがかかわっているケースもあるため、定期的な検査が重要です。
膀胱炎の治療を進める上での注意点
次に、膀胱炎の治療を進めていくうえで、飼い主さんが注意すべきことを確認しておきましょう。
膀胱炎にマッサージは危険
インターネットでは、膀胱炎におしっこを促すマッサージを推奨する情報も散見されます。
しかし、膀胱におしっこがたまった状態で下腹部を圧迫すると、おしっこの逆流や膀胱破裂を引き起こす恐れもあり大変危険です。
治療にはならず、自己判断でマッサージすると非常に危険なので、膀胱炎の猫へのマッサージはおすすめできません。
むやみに市販薬を使用してはいけない
猫が膀胱炎になった場合、むやみに市販薬を使用してはいけません。
膀胱炎には、複数の原因があります。
治療する際は、原因に応じて適切なお薬を使用しなければ効果はありません。
正しいお薬を使わなければ、改善するどころか悪化させてしまう可能性もあります。
お薬の使用量などについても、必ず獣医師さんの判断が必要です。
■猫の膀胱炎治療に用いられるお薬の一例
膀胱炎は軽視してはいけない!
猫の膀胱炎は、自然に治る場合もあります。
しかし絶対に治るとは言い切れず、治るまで痛みや不快感は続く可能性があります。
そうなれば、愛猫の生活の質が著しく低下するうえに、悪化して手術が必要になる場合もあり危険です。
一度でも、膀胱炎になった猫は再発を繰り返しやすいため、治療と再発予防が欠かせません。

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