愛猫がトイレに行ってもおしっこが出ない、おしっこの状態がいつもと違う、痛そうにしているなどの症状が見られた場合は、膀胱炎を疑った方がいいです。
猫の膀胱炎は発症しやすく再発も多い傾向があります。
また、放置すると最悪の場合、腎不全を併発して命を落とすこともあります。
この記事では、猫の膀胱炎の治療方法や治療費用、予防方法について解説します。
目次
猫の膀胱炎について
膀胱炎は、猫がかかりやすい病気の1つです。
膀胱炎は膀胱内で炎症が起こり、尿の排出に影響が生じる病気です。
痛みや不快感を伴うため、早期発見と早期治療が重要です。
猫が膀胱炎を発症する原因は、主に以下の3つに分けられます。
・細菌感染
・膀胱結石・尿道結石
・猫下部尿路疾患
(特発性膀胱炎)
細菌感染は、細菌の侵入により膀胱に炎症が起こります。
尿道・尿管結石は、膀胱や尿管の中に結石が発生することで起こります。
膀胱炎を違って検査をおこない、細菌感染や尿道結石が該当しなかった場合は、原因不明の猫下部尿路疾患 (特発性膀胱炎)と判断される場合があります。
猫の膀胱炎の診断方法
猫の膀胱炎を診断する場合、一般的には尿検査で細菌感染や結石の成分の有無を確認します。
結石の発生や膀胱の異常を確認する場合は、超音波検査やX線検査が行われます。
血液検査やレントゲン検査が行われる場合もあり、これらの検査で異常が見つからない場合は、CTやMRIが必要となることもあります。
猫の膀胱炎の治療方法
猫の膀胱炎の治療方法は、膀胱炎の原因によって異なります。
ここでは、猫の膀胱炎の主な原因である細菌感染・膀胱結石や尿道結石・特発性膀胱炎の3つの治療方法を解説します。
猫の膀胱炎は発症しやすく、完治しても繰り返しやすい傾向があります。
膀胱炎を発症する原因を解決できていない場合は再発のリスクが高まるため、原因ごとに適した治療を行うことが大切です。
細菌感染が原因の治療方法
細菌感染による膀胱炎は、膀胱内に細菌が侵入し、泌尿器が炎症を起こしている状態です。
細菌感染は免疫力が低下している場合に起こりやすく、高齢猫や病気を抱えている猫に発症しやすいとされています。
細菌感染が原因の膀胱炎は、主に抗菌薬で感染を引き起こしている細菌を死滅させる治療が行われます。
水分補給も必要な場合は、皮下補液で水分摂取量を高め、尿の排出を促す治療を行うこともあります。
また、膀胱炎が悪化している場合は他の病気を併発する恐れもあるため、入院して点滴での治療を行うケースもあります。
参考
犬・猫の細菌性尿路感染症の診断管理に関する国際コンパニオンアニマル感染症学会(ISCAID)ガイドライン(外部リンク)
膀胱結石・尿道結石が原因の治療方法
膀胱結石や尿道結石による膀胱炎は、膀胱や尿管の中に結石が発生し、尿道を傷つけたり詰まりが生じている状態で、痛みを伴う場合もあります。
結石の発生は尿の中の成分のバランスが崩れることが主な原因とされ、不規則な食事内容や生活習慣によって引き起こされると言われています。
膀胱内に結石の発生が見られた場合、尿検査により石の種類が診断され、石の種類に応じて結石を溶かす治療を行います。
また、療法食による治療が一般的ですが、療法食は再発を防止するために継続して行うこともあるため、自己判断での中止や変更などは避けましょう。
療法食の治療で改善しない場合は、石を取り除く外科手術を行うケースもあります。
特発性膀胱炎の治療方法
猫の膀胱炎は、細菌感染や結石の発生が主な原因として挙げられます。
しかし、原因が確認できなかった場合は、特発性膀胱炎と判断される場合があります。
特発性膀胱炎は原因が不明とされていますが、生活習慣やストレスなどが影響していると考えられるため、以下のような対症療法が治療の中心となります。
・清潔な水やウェットフードなどで猫の水分補給を促す
・適度な運動をさせる
・トイレを清潔に保つ
・(多頭飼いの場合)プライベートスペースを確保するなど
その他にも猫が痛みを感じている場合は痛み止めの使用や、ストレスを軽減させるためにサプリメントや抗不安薬が使用されることもあります。
猫の膀胱炎の治療費用
猫の膀胱炎の治療費は、症状の重症度や検査・治療内容により異なりますが、一般的な動物病院での費用目安を以下にまとめました。
一般的な治療費の目安 | |
---|---|
診察費(初診料・再診料) | 約1,000円~2,000円 |
尿検査 | 約3,000円~5,000円 |
エコー検査 | 約5,000円~10,000円 |
薬 | 約1,000円~3,000円 |
その他、血液検査や点滴などの追加費用が発生することもあり、全体で10,000円~30,000円を見積もる必要があります。
慢性的な膀胱炎や特発性膀胱炎の場合、治療が長期化する可能性があり、薬や定期的な検査の費用が積み重なることがあります。
その場合、月あたりの費用が数万円に達することも考えられます。
また、手術や入院が必要な場合は15万円以上かかる場合もあります。
膀胱炎の症状が深刻な場合は治療に使用する薬や投与方法も異なるため、治療費用や治療期間は変わってきます。
動物病院ごとに費用は異なるため、治療費について不安がある場合は、獣医師に事前に確認・相談しましょう。
猫の膀胱炎はどのくらいで治るのか
猫の膀胱炎は、早ければ1〜2週間で改善が見られる場合もありますが、治療期間は個々のケースによって異なります。
膀胱炎の原因や猫の健康状態、治療への反応によって、治療期間は大きく変動します。
膀胱炎には細菌感染が関係している「細菌性膀胱炎」と、ストレスや食事が関与または原因がはっきりと分かっていない「特発性膀胱炎」があります。
細菌性膀胱炎であれば、抗生物質による治療で1~2週間。
ストレスが原因の場合は、長期的な管理が必要となる場合があります。
猫の膀胱炎は原因を特定し、原因に応じた適切な治療を行うことが、治療期間の短縮に繋がります。
猫は膀胱炎は繰り繰り返すことが多い
猫の膀胱炎は完治しても再発しやすいため、膀胱炎を繰り返す傾向があります。
特に原因不明で発生する特発性膀胱炎は癖になりやすく、1年以内に約半数の猫が再発すると言われています。
特発性膀胱炎は原因不明とされますが、多くはストレスが原因とも考えられています。
猫の膀胱炎は完治しても油断せずに予防を行うことが大切です。
猫の膀胱炎の予防方法
猫の膀胱炎は発再発しやすいので、発症させないために予防しましょう。
猫の膀胱炎の予防するには、以下の方法があります。
・日頃から猫の飲水量を増やす
・ウェットフードなどを取り入れて水分摂取を促す
・部屋やトイレなど生活環境を清潔に保つ
・肥満を防ぐ食事管理
・適度な運動
・猫にストレスを与えない環境づくり
また、動物病院での定期的な健康診断も重要です。
猫の膀胱炎は、早期発見・早期治療によって重篤な合併症も防ぐこともできます。
よくある質問
猫の膀胱炎に関する、よくある質問を紹介します。
愛猫に膀胱炎を疑うような症状が現れて不安を感じていたり、膀胱炎を予防したい飼い主さんは参考になさってください。
猫の膀胱炎の治療で抗生物質はどれくらいで効く?
猫の細菌性膀胱炎の治療には抗生物質が投与されます
抗生物質を投与することで細菌を死滅させ、症状を改善します。
抗生物質は通常2週間ほど継続して投与する必要があります。
投与している期間に膀胱から細菌がなくなれば、治療は完了となります。
ただし、慢性的な細菌性膀胱炎の場合は、急性的な膀胱炎に比べて長期間の治療が必要となる場合があります。
猫の膀胱炎の治療で抗生物質が効かない場合は?
膀胱炎の原因が細菌によるものではない場合、抗生物質が効かないことがあります。
猫の膀胱炎にはいくつかの原因が考えられますが、すべてが細菌感染によるものではありません。
特に、特発性膀胱炎の場合は細菌性ではなく、抗生物質が効果を示さないことが多いです。
特発性膀胱炎の場合は、ストレスや生活環境の変化が主な原因であり、治療には環境の改善やストレスの軽減が必要です。
抗生物質が効かない主な理由
①特発性膀胱炎
このタイプの膀胱炎は、猫の膀胱に炎症があるものの、細菌が原因ではありません。
そのため、抗生物質を使用しても症状が改善しないことが多いです。
②細菌の耐性
抗生物質が効かないもう一つの原因として、細菌の薬剤耐性が挙げられます。
細菌が特定の抗生物質に耐性を持つ場合、別の薬剤が必要となることがあります。
猫の膀胱炎は治らないって本当?
猫の膀胱炎は治らないのかについては、適切な治療が行われていれば完治します。
ただし、原因不明で発生する特発性膀胱炎は、治療しても再発する可能性があります。
また、特発性膀胱炎以外の膀胱炎でも再発を繰り返す場合は、慢性腎臓病など別の病気が影響している可能性も考えられます。
その場合は、検査を受けて早めに原因を確認しましょう。
猫の膀胱炎は自然に治ることもある?
猫の膀胱炎が自然に治ることはありますが、注意が必要です。
特発性膀胱炎など、一部の膀胱炎は軽度であれば一時的に症状が和らぎ、治癒する場合もあります。
しかし、治療せず膀胱炎を放置すると、猫は痛みや不快感を抱えたまま日々を過ごすことになります。
膀胱炎が自然に治るのを待つということは、猫にとって苦痛を長引かせるだけでなく、病状の悪化や重症化のリスクを伴います。
自然治癒のリスク
膀胱炎を放置してしまうと、細菌感染や尿路の閉塞、腎臓への影響といった深刻な合併症を引き起こす可能性があります。
特に、膀胱炎が慢性化した場合、治療がより困難になることがあり、猫の生活の質に大きく影響します。
猫の膀胱炎はそのままにしておくとどうなるの?
猫の膀胱炎をそのままにすると、猫にとってストレスを感じる状態が続くため、健康面・精神面の両方に悪影響を与え膀胱炎が悪化するリスクもあります。
特に雄猫の場合、膀胱炎の影響で尿道が詰まり尿道閉塞を起こすと、急性腎不全になるリスクが高まり、最悪の場合は死に至ることもあります。
愛猫がトイレに行ってもおしっこが出ないなど、膀胱炎を疑う症状が現れた場合は、そのままにせずに速やかに動物病院で検査を受けてください。
まとめ
膀胱炎は猫がかかりやすい病気のひとつで、一度発症すると完治しても再発しやすい傾向があります。
猫の膀胱炎には細菌や結石などが原因で起こるものや、原因不明の特発性膀胱炎を発症することもあります。
猫の膀胱炎は原因によって治療方法も異なりますが、どの原因であっても別の病気を併発するリスクが存在します。
膀胱炎を疑うような症状が現れた場合は、放置せずに動物病院で診察を受けましょう。
膀胱炎と診断されたら、早めに治療することで猫ちゃんの負担も減らせます。
ペットのお薬通販『ぽちたま薬局』スタッフのブログです。
このブログではペットのご飯を中心にペットの健康について考えたいと思います。