猫のストルバイト結石は、発症する子が多くて再発もしやすい厄介な病気。
「治らない!」と嘆く飼い主さんも、少なくありません。
しかし、ストルバイト結石は適切な治療と再発予防を行うことで、愛猫の負担を軽減できます。
この記事では、猫のストルバイト結石がなかなか治らないといわれる理由や治し方、飼い主さんができる再発予防を紹介します。
目次
猫のストルバイト結石が中々治らないのはなぜ?
猫がストルバイト結石になると、「治らない!」と嘆く飼い主さんがたくさんいます。
その理由には再発しやすいことや、治療期間が長いことなどが影響しているかもしれません。
再発しやすい
猫のストルバイト結石は再発リスクが高く、慢性化しやすい病気。
発症には食事が大きく影響しますが、猫がもともと砂漠地の帯出身なので水をあまり飲まず、おしっこを凝縮して出すという体質も関係しています。
そのため、治っても再発を繰り返す猫が多いことから「治らない!」と思われている可能性があります。
治療期間が長い
ストルバイト結石の治療期間は、発生場所や進行度で差があります。
軽度であれば数週間で完治する場合もありますが、症状が進行している場合は数ヶ月かかることも。
そのため、治療期間がながくなることで「中々治らない!」と思われている可能性があります。
猫のストルバイト結石の治し方は?
- 投薬治療
- 療法食で溶解させる
- 手術
猫がストルバイト結石になったときの治し方について、それぞれ確認していきましょう。
投薬治療
ストルバイト結石の原因が細菌の場合、抗生剤が主に使用されます。
これは尿路内の細菌を減らすことが目的なので、強い炎症を伴うときは抗炎症薬を併用する場合もあります。
■細菌感染に使用されるお薬の一例
上述した通り、ストルバイト結石は再発しやすい病気。
症状が治まったからと、投薬を自己判断で中止すれば抗生物質が効きにくい細菌を生み出し、治りにくい状況に陥ってしまう恐れも。
そうならないためにも、治療する際は獣医師さんの指示を必ず守り、適切に投薬することが重要です。
療法食で溶解させる
療法食は、病気や健康状態に合わせて必要な栄養素が調整されているフードです。
猫がスルバイト結石になるのは、おしっこがアルカリ性に傾きやすくなることで、その中に含まれる成分が結晶化することが原因。
スルバイト結石専用の療法食は、結石の原因となるリンやマグネシウムなどが調整されている点が特徴です。
状況に応じて、ストルバイト結石を溶かすものと、再発防止を目的とするもの2種類から選べます。
どちらのフードも、結石ができないようにしたり、自然に体外へ排出するようサポートしたりしてくれます。
なお、療法食は多くのメーカーが販売しており、種類も豊富です。
また、食事とは別に尿を酸性に近付けるph調整剤が用いられる場合もあります。
■ストルバイト結石の治療に用いられる尿ph調整剤
商品名 | |
---|---|
パッケージ | |
効果 | ストルバイト結石の溶解 |
手術
スルバイト結石になっても、基本的に治療すれば結石は溶けます。
しかし、放置すると膀胱炎になる可能性があり、さらに悪化すると膀胱結石や腎結石、尿管結石になるリスクも。
そのようなときは、次のような手術が必要になる場合もあります。
手術の種類と費用の目安
- ・膀胱切開:35,000円
- ・腎臓切開:62,500円
- ・尿管切開:62,500円
- ・尿道切開:35,000円
- ・尿道切開(会陰尿道瘻):62,500円
手術では、上記以外にも麻酔や点滴、入院処置などの費用がかかります。
すべての費用を合わせると、15~20万円ほどになることも珍しくありません。
猫のストルバイト結石はどのくらいで治る?
猫のストルバイト結石がどのくらいで治るかは、年齢によっても異なるため一概には言えません。
しかし基本的には、早期に発見できて症状が軽度であれば数週間、膀胱内尿石では1~4ヶ月で完治するとされています。
ただし、進行して腎結石なっている場合は、もっと長い期間が必要です。
治療を諦めると命の危険も
猫のストルバイト結石は、治療が長期にわたるケースも珍しくありません。
そのため、なかなか治らないことで治療を怠ってしまう飼い主さんもいます。
しかし、放置すれば尿管や尿道に結石が詰まり、尿道閉塞や急性腎不全に発展してしまうリスクも。
最悪の場合は、半日~1日という短時間で命を落とす状況に陥ってしまう場合もあるのです。
再発予防に飼い主さんができること
- 水を飲めるような工夫
- 食事の管理
- トイレ環境を整える
- 猫にとって快適な室温に
- 定期的な検査を受けさせる
ここからは、自宅で飼い主さんができる再発予防を紹介します。
水を飲めるような工夫
ストルバイト結石の予防では、水を飲むことで排尿を促し、膀胱におしっこをためないことが大切です。
しかし、そもそも猫は水をあまり飲んでくれません。
そんなときは、次のような工夫を取り入れてみましょう。
- ウェットフードを与える
- 水を入れたボウルの設置場所を増やす
- 好きなフリーズドライフードを探し、ふやかして与える
- 浄水器を使って水道水を飲みやすくする
- 流水式の飲水ボウルを活用する(自動給水器など)
- 冬の寒い時期には、お水を40度程度に温めるなど
食事の管理
ストルバイト結石には、食事の内容が大きく関係します。
食べたあと、おしっこはアルカリ性になるので、食事の回数が増えると良くありません。
食事は1日2回を守り、間隔を約12時間しっかりとって空腹な時間を作ると、おしっこは酸性に傾きます。
そのため、おやつを催促されても与えないように注意してください。
併せて、ストルバイト結石の再発予防を目的とした療法食に切り替えるなど、食事内容も対策してあげましょう。
トイレ環境を整える
猫は、トイレ環境に対して神経質な子がたくさんいます。
トイレの砂や形が気に入らないと、排尿を渋る子もいるほど。
また、汚れているトイレでの排泄していると、膀胱炎のリスクが高まります。
そのため、排泄をしたらすぐに片づけるなど、清潔な環境を整えることが理想です。
もし仕事などで対応が難しい場合は、常に綺麗なトイレを使えるように設置場所を増やしてあげましょう。
トイレの砂は、種類によって交換する頻度が違いますが、少なくても週1回はすべて交換して容器も綺麗にしてあげてください。
猫にとって快適な室温に
冬は、猫の健康診断に力を入れる動物病院もあるほど、とくに結石が増えやすくなる季節です。
猫は、生活環境が寒いと動きたくなくなり、飲み水も冷たくなるので最低限の量しか飲んでくれません。
そうなるとおしっこが凝縮され、結石ができやすい状況に陥ってしまうのです。
猫が過ごす部屋は、快適とされる20~25℃前後を保ってあげてください。
水がたくさん飲めるような環境を整えて、ストルバイト結石にならないようにしましょう。
定期的な検査を受けさせる
愛猫に異常を感じた際は、もちろん動物病院に連れていくでしょう。
しかし、定期的な検査を受けさせることも大切です。
ストルバイト結石が治ったあとも、尿検査は3~6ヶ月ごとに受けることが推奨されています。
再発しやすい病気ではありますが、初期の軽度なときに見つけられれば治療期間は短くなり、愛猫の負担も軽減できます。
ストルバイト結石に関するよくある質問
最後に、猫のストルバイト結石に関するよくある質問を紹介します。
猫ストルバイト療法食だけしかダメなの?
ストルバイト結石は、療法食以外を与えることで再発リスクが高まります。
同じ理由で、おやつを与えることもおすすめできません。
ストルバイト結石の療法食や専用のおやつには、複数の種類があります。
いくつか用意しておき、愛猫が飽きないように使い分けると効果的です。
ストルバイト結石は猫の寿命に関係する?
ストルバイト結石は、猫の寿命に直接影響するとは言われていません。
ただし、放置すれば危険な病気に発展してしまう恐れはあります。
寿命に関係しなくても、痛みや不快感などが伴う場合もあるので、猫の生活の質には大きく影響するでしょう。
猫のストルバイト結石の治療は根気が必要
猫のストルバイト結石は、なかなか治らない厄介な病気。
再発や治療期間が長引く状況を改善するためには、まず結石ができてしまう理由を知ることが大切です。
愛猫の生活を見直しながら、発症しにくい環境を整えてあげてください。
ペットのお薬通販『ぽちたま薬局』スタッフのブログです。
このブログではペットのご飯を中心にペットの健康について考えたいと思います。