愛猫が何度もトイレに行く、おしっこに血が混じっている、排尿のときに痛そうに鳴く。
こうした様子が見られたら、膀胱炎の可能性があります。
猫の膀胱炎は珍しい病気ではなく、一度症状が治まっても再発しやすいのが特徴です。
また、膀胱炎と似た症状の中には、命に関わる「尿道閉塞」が隠れていることもあります。
この記事では、猫の膀胱炎の症状と受診の目安、原因別の治し方、治るまでの期間、再発を防ぐために飼い主さんができることを解説します。
⚠ すぐに動物病院を受診してください
何度もトイレに行くのに、おしっこが出ない・数滴しか出ない場合は、尿道閉塞の可能性があります。
命に関わることがあるため、元気や食欲があっても様子を見ず、すぐに動物病院を受診してください。夜間・休日の場合は、夜間救急の動物病院に連絡しましょう。
猫の膀胱炎とは
猫の膀胱炎とは、おしっこをためる膀胱に炎症が起こり、頻尿や血尿、排尿時の痛みなどが現れる病気です。
猫では、膀胱から尿道までに起こる病気をまとめて「猫下部尿路疾患(FLUTD)」と呼びます。
膀胱炎はその代表的な病気です。
膀胱炎の主な原因は「特発性膀胱炎」「細菌感染」「尿石症」の3つです。
なかでも最も多いのが、検査をしても明らかな原因が見つからない特発性膀胱炎です。
原因によって治療法が異なるため、詳しくは「猫の膀胱炎の原因」で解説します。
症状が似ていても、原因はひとつとは限りません。
症状だけで自己判断せず、動物病院で原因を確認することが大切です。
猫の膀胱炎の症状
猫の膀胱炎では、トイレの回数が増える、1回のおしっこの量が減る、血尿が出るなど、排尿に関する変化が現れます。
次のような様子がないか、確認してみましょう。
- 何度もトイレに行く
- 1回のおしっこの量が少ない(尿の塊が小さい)
- おしっこに血が混じる、ピンク色になる
- 排尿のときにいきむ、痛そうに鳴く
- トイレ以外の場所でおしっこをする
- 陰部をしきりになめる
- トイレの周りをうろうろする、排尿姿勢のまま動かない
初期は変化が小さく、気づきにくいことがあります。
普段からトイレの回数や尿の塊の大きさを把握しておくと、異変に早く気づけます。
痛みがあっても鳴かない猫もいるため、「鳴かないから大丈夫」とは判断できません。
また、血尿は膀胱炎だけでなく、尿石症などほかの病気でも見られます。
猫の血尿の原因や受診の目安については、以下の記事も参考にしてください。
オス猫とメス猫で違いはある?
頻尿や血尿、排尿時の痛みといった症状そのものに、オスとメスで大きな違いはありません。
ただし、オス猫は尿道が細く長いため、尿道栓や結石で尿道が詰まる「尿道閉塞」を起こしやすく、尿道閉塞のほとんどはオス猫で起こります。
メス猫でもまれに起こることがあるため、性別だけで緊急性を判断しないようにしましょう。
すぐに動物病院を受診すべき症状
頻尿や血尿などが見られたら、早めに動物病院を受診しましょう。
特に次の症状がある場合は、すぐに受診が必要です。
- 何度も排尿姿勢をとるのに、おしっこが出ない、または数滴しか出ない
- 吐いている、食欲がない
- 元気がなく、ぐったりしている
尿道閉塞が起こると、おしっこと一緒に排出されるはずの老廃物が体にたまり、腎臓の機能が低下したり、心臓に影響する電解質の異常(高カリウム血症)が起こったりします。
命に関わる状態です。
元気や食欲があっても、おしっこが出ない場合は様子を見ないことが大切です。
猫のおしっこが出ない場合の危険性や、動物病院を受診する目安については、以下の記事で詳しく解説しています。
参考
Feline Lower Urinary Tract Disease(外部リンク)
猫の膀胱炎の原因
猫の膀胱炎の主な原因は、特発性膀胱炎、細菌感染、尿石症の3つです。
原因によって治療法が変わります。
特発性膀胱炎(ストレスなどが関係)
特発性膀胱炎は、検査をしても細菌や結石などの明らかな原因が見つからない膀胱炎です。
猫の排尿トラブルの原因として、最も多いものです。
はっきりした原因は分かっていませんが、ストレスや生活環境が大きく関係していると考えられています。
発症しやすい要因として、次のようなものが報告されています。
- 室内飼育、多頭飼育
- 引っ越しや家族構成の変化など、生活環境が不安定
- フードを頻繁に変える
- 運動不足、肥満
- 神経質で、怖がりな性格
- 高い場所など、落ち着ける居場所がない
比較的若い〜中年齢の猫に多く見られます。
高齢の猫に膀胱炎の症状が出た場合は、ほかの原因が隠れていないか、画像検査などで詳しく調べることが一般的です。
参考
猫の特発性膀胱炎とその栄養学的管理について(外部リンク)
細菌感染(細菌性膀胱炎)
大腸菌やブドウ球菌などの細菌が尿道から膀胱に入り込み、炎症を起こすものです。
健康な成猫では、細菌感染が原因の膀胱炎は多くありません。
一方で、10歳以上の猫や、慢性腎臓病・糖尿病などの持病がある猫では起こりやすくなります。
持病のある猫は、日頃から排尿の様子に注意しておきましょう。
細菌感染かどうかは、尿検査や、必要に応じて尿の細菌培養検査で確認します。
尿石症(膀胱結石・尿道結石)
尿に含まれるミネラルが結晶や結石になり、膀胱や尿道の粘膜を傷つけて炎症を起こすものです。
結石が膀胱にあるものを膀胱結石、尿道にあるものを尿道結石と呼びます。
猫に多い結石は「ストルバイト」と「シュウ酸カルシウム」の2種類で、種類によって治療法が異なります。
結石や結晶が尿道に詰まると尿道閉塞につながるため、特にオス猫は注意が必要です。
ストルバイト結石が治らない原因や治し方は、以下の記事で解説しています。
猫の膀胱炎の治し方は?

猫の膀胱炎の治し方は、原因によって異なります。
動物病院で原因を確認したうえで、原因に合った治療を受けることが大切です。
| 猫の膀胱炎の原因別・主な治し方 | |
|---|---|
| 原因 | 主な治し方 |
| 特発性膀胱炎 | 痛みや炎症を和らげる薬、ストレスを減らす生活環境の見直し、水分摂取を増やす工夫など |
| 細菌感染 | 尿検査・細菌培養検査の結果に基づく抗生物質(抗菌薬)の投与 |
| 尿石症 | ストルバイト結石は療法食で溶かす治療。溶けない結石は手術などで取り除く |
| 尿道閉塞(緊急) | カテーテルで詰まりを取り除く処置、点滴など |
すべての膀胱炎に抗生物質が必要なわけではありません。
最も多い特発性膀胱炎には抗生物質は効かないため、細菌感染が確認された場合に使うのが基本です。
治療は主に、投薬、療法食、外科手術、点滴を原因に合わせて組み合わせて行います。
投薬
痛みや炎症を和らげる薬を中心に、原因に応じた薬を使います。
細菌感染が確認された場合は、抗生物質を使います。
症状が治まったからといって自己判断でやめると、細菌が残って再発したり、薬が効きにくい菌(耐性菌)が生まれたりする原因になります。
獣医師に指示された期間は、飲み切るようにしましょう。
飲み薬を飲ませるのが難しい猫には、注射で投与することもあります。
■猫の細菌性膀胱炎で処方されることのある抗生物質の一例
いずれも獣医師の診断と処方に基づいて使うお薬です。
参考
犬と猫における尿路感染症の治療のための抗菌剤使用ガイドライン(外部リンク)
療法食
療法食とは、特定の病気の治療や管理のために、栄養素の量やバランスを調整したフードです。
尿石症では、ストルバイト結石を溶かすための療法食や、再発を防ぐための療法食が使われます。
特発性膀胱炎でも、水分摂取を増やす目的で、ウェットタイプの療法食がすすめられることがあります。
療法食は、獣医師の指示のもとで使いましょう。
目的に合わないフードを続けると、別の種類の結石ができやすくなることがあります。
フードの選び方や食事の注意点については、以下の記事で詳しく解説しています。
外科手術
シュウ酸カルシウム結石のように療法食では溶けない結石や、大きな結石がある場合は、手術や内視鏡などで取り除きます。
手術の前には、レントゲン検査や超音波検査で結石の位置や大きさを確認します。
手術後も、再発を防ぐための食事管理や水分摂取が欠かせません。
手術費用は、検査や入院日数などによって大きく変わります。
治療費の目安は、以下の記事で解説しています。
点滴
脱水している場合や、尿道閉塞の処置後などに点滴を行います。
尿の量を増やし、膀胱の中を洗い流す効果も期待できます。
水をあまり飲まない猫では、点滴で水分を補うこともあります。
猫の膀胱炎は何日で治る?
最も多い特発性膀胱炎では、多くの場合2〜7日ほどで症状が落ち着きます。
細菌感染や尿石症では、原因によって治療期間が異なります。
- 特発性膀胱炎:2〜7日ほどで症状が落ち着くことが多い。ただし再発しやすい
- 細菌性膀胱炎:獣医師が指示した期間、抗生物質を投与する
- 尿石症(療法食で溶かす場合):数週間ごとに検査をしながら、結石が溶けるまで続ける
症状が治まっても、原因が残っていれば再発することがあります。
治療が終わるまでは、獣医師の指示に従って通院や検査を続けましょう。
膀胱炎は自然に治る?
特発性膀胱炎は、治療をしなくても数日で症状が落ち着くことがあります。
ただし、その間も猫は痛みや不快感を抱えています。
また、症状だけでは特発性膀胱炎なのか、細菌感染や尿石症なのか、尿道閉塞が起きかけているのかを見分けることはできません。
自然に治ることを期待して様子を見るのではなく、動物病院で原因を確認しましょう。
治りかけのサイン
膀胱炎がよくなってくると、次のような変化が見られます。
- トイレの回数が普段どおりに戻ってくる
- 1回のおしっこの量が増え、尿の塊が普段の大きさに戻る
- 血尿が見られなくなる
- 排尿のときに痛がる様子が減る
- トイレ以外の場所でおしっこをしなくなる
ただし、症状が落ち着いても、完全に治ったとは限りません。
治療中の場合は、自己判断で薬をやめず、獣医師の指示に従いましょう。
膀胱炎を繰り返す原因
猫の膀胱炎、特に特発性膀胱炎は再発の多い病気です。
膀胱炎を繰り返す主な理由は、次のとおりです。
- 特発性膀胱炎:ストレスや生活環境が変わらないままだと、再発しやすい
- 尿石症:食事や飲水量が見直されないと、結石が再びできやすい
- 細菌感染:持病がある場合や、治療を途中でやめた場合に繰り返しやすい
以前と同じ症状が出ていても、原因が同じとは限りません。
繰り返す場合は、以前の残りの薬を使うのではなく、動物病院で改めて検査を受けましょう。
猫の膀胱炎がなかなか治らない原因や、抗生物質が効かない場合の対処法については、以下の記事も参考にしてください。
再発を防ぐために飼い主さんができること

再発を防ぐには、原因に合わせた治療に加えて、飲み水・トイレ・ストレスの見直しが基本になります。
再発を防ぐために、飼い主さんが日頃からできることを紹介します。
水分の摂取量を増やす
水をたくさん飲むと尿の量が増え、膀胱の中が洗い流されます。
水分摂取を増やすことは、再発予防に役立つと考えられています。
- 新鮮な水を、家の中の複数の場所に置く
- 流れる水を好む猫には、循環式の給水器を使う
- ドライフードの一部をウェットフードに切り替える
また、寒い時期は活動量が減り、水を飲む量も減りやすくなります。
暖かく過ごせる居場所を用意し、飲み水の工夫を続けましょう。
トイレの環境を整える
猫はトイレの汚れや置き場所に敏感で、気に入らないとおしっこを我慢してしまうことがあります。
- こまめに掃除して、清潔に保つ
- 人通りが少なく、静かで落ち着ける場所に置く
- 猫の頭数より1つ多く設置する
- 固まるタイプの猫砂を使う
ストレスを減らす
ストレスは、特発性膀胱炎の大きな要因と考えられています。
生活環境を見直してストレスを減らすことは、特発性膀胱炎の再発予防の基本です。
| 猫のストレス要因と対策の一例 | |
|---|---|
| ストレス要因 | 対策 |
| 安心できるスペースがない | 隠れられる場所や、高い場所(キャットタワーなど)を用意する |
| 運動不足・退屈 | 知育トイやおもちゃで遊ぶ時間をつくる |
| 予測できない人との関わり | 嫌がる猫を無理に抱かない、大きな声や音で驚かせない |
| 多頭飼育 | 食器・水飲み場・トイレ・寝床を猫ごとに分けて用意する |
| 嫌いな匂い | 香りの強い芳香剤やアロマを使わない |
これらはあくまでストレスと対策の一例となります。
猫はとても繊細な動物で、人にとっては些細なことでもストレスになることがあります。
急な環境の変化も、できるだけ避けましょう。
適正体重を保つ
肥満や運動不足は、膀胱炎のリスクを高める要因です。
食事量を管理し、遊ぶ時間を確保して、適正体重を保ちましょう。
定期的に検査を受ける
定期的な健康診断や尿検査は、膀胱炎の早期発見や、再発の兆候に気づくきっかけになります。
持病のある猫や高齢の猫は、特に定期的な検査がおすすめです。
再発予防の一環として、サプリメントも選択肢
再発防止には、普段からのケアも重要です。
生活習慣や食生活の見直しに加えて、サプリメントも選択肢として選ばれています。
海外には、膀胱の粘膜ケアや泌尿器の健康維持に配慮した成分を配合したサプリメントがあり、日々のケアとして取り入れられています。
サプリメントは治療の代わりになるものではないため、治療中の場合は獣医師に相談してから取り入れましょう。
愛猫の状態や目的に合わせてサプリメントを選びたい方は、以下のページで選び方のフローチャートや売れ筋ランキングを紹介していますので、参考にしてみてください。
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>>猫用の膀胱ケアサプリの売れ筋ランキング・選び方も紹介
膀胱炎の治療を進める上での注意点

膀胱炎の治療中に、飼い主さんが気をつけたいことを紹介します。
膀胱炎にマッサージは危険
インターネット上では、おしっこを出すためのマッサージを紹介する情報も見られます。
しかし、膀胱におしっこがたまった状態でお腹を圧迫すると、膀胱を傷つけたり、尿道閉塞を起こしている場合には膀胱が破裂したりするおそれがあり、大変危険です。
マッサージは治療にはなりません。
自己判断で行わないようにしましょう。
むやみに市販薬を使用してはいけない
膀胱炎の原因は複数あり、原因によって必要な薬は異なります。
原因に合わない薬を使っても効果はなく、かえって悪化させてしまうことがあります。
特に、次のような使い方は避けましょう。
- 以前の膀胱炎で処方された薬の残りを、自己判断で使う
- ほかの猫や犬に処方された薬を使う
- 症状が治まったからといって、指示された期間より前に薬をやめる
お薬の種類や量、使う期間は、必ず獣医師の判断に従ってください。
当サイトで扱うお薬は、獣医師から処方・継続投与を指示されている場合にご利用ください。
よくある質問
猫の膀胱炎について、よくある質問をまとめました。
猫の膀胱炎は元気があっても受診すべき?
元気や食欲があっても、頻尿や血尿、排尿時の痛みなどが見られる場合は、動物病院を受診しましょう。
特に、何度もトイレに行くのにおしっこが出ない場合は、元気があっても緊急受診が必要です。
猫の膀胱炎はストレスが原因になる?
最も多い特発性膀胱炎には、ストレスや生活環境が関係していると考えられています。
ただし、細菌感染や尿石症など、ストレス以外の原因もあります。
ストレスが原因だと決めつけず、動物病院で検査を受けましょう。
猫は膀胱炎で亡くなることもある?
膀胱炎などに伴って尿道閉塞が起こると、命に関わることがあります。
おしっこが出ない状態は緊急事態です。
何度も排尿姿勢をとるのにおしっこが出ない、または数滴しか出ない場合は、すぐに動物病院を受診してください。
猫の膀胱炎の治療費はどのくらい?
治療費は、原因や検査の内容、治療方法によって大きく異なります。
尿検査と飲み薬で済む場合もあれば、尿道閉塞の処置や結石の手術、入院が必要になる場合もあります。
検査や治療ごとの費用の目安は、以下の記事で詳しく解説しています。
まとめ
猫の膀胱炎では、頻尿や血尿、排尿時の痛み、トイレ以外での排尿など、排尿に関するさまざまな症状が見られます。
- 何度もトイレに行くのにおしっこが出ない場合は、尿道閉塞の可能性があるため、すぐに受診する
- 主な原因は特発性膀胱炎・細菌感染・尿石症の3つで、原因によって治し方が異なる
- すべての膀胱炎に抗生物質が必要なわけではない
- 特発性膀胱炎は2〜7日ほどで落ち着くことが多いが、再発しやすい
- 再発予防には、水分摂取・トイレ環境・ストレス対策の見直しが基本
膀胱炎は一度治っても繰り返しやすい病気です。
原因に合った治療を受けるとともに、日頃からトイレの回数やおしっこの様子を確認し、愛猫が快適に過ごせる環境を整えてあげましょう。
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このブログではペットのご飯を中心にペットの健康について考えたいと思います。


















