犬にも寄生するマダニは、多くの病原体を媒介します。
マダニに寄生されると、致死率の高い感染症を発症するリスクもあるため危険です。
この記事では、マダニによる犬の死亡率や噛まれた際の対処法を解説していきます。
愛犬をマダニから守る方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
この記事で分かること
・マダニによる犬の死亡率
・犬がマダニに噛まれた場合の対処法
・犬のマダニ対策
目次
マダニに刺されて犬が死亡するケースがある
マダニは多くの病原体を媒介する寄生虫です。
また、犬はマダニが生息する地面に近い位置で行動するため、お散歩中などは特に寄生されるリスクが高まります。
犬はマダニに刺されると感染症を発症して、最悪の場合は死亡するケースもあるため注意しましょう。
マダニによる犬の死亡率
マダニによる犬の死亡率は、感染した病気によって異なります。
その中でも特に危険なのは「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」で、犬の死亡率は30~50%にも及びます。
重症熱性血小板減少症候群は有効な治療薬やワクチンがないため、対処療法しか受けられません。
また、危険なのは犬だけでなく人間も同じで、2024年現在マダニによる人の死亡例も報告されています。
犬も人間もマダニに刺されると、感染症によって命に関わる恐れがあるため、注意が必要です。
参考
犬の重症熱性血小板減少症候群(SFTS)症例の発生について (外部リンク)
SFTS(重症熱性血小板減少症候群)の国内の発生現状と小動物領域における課題と展望 (外部リンク)
犬がマダニに噛まれた場合の症状
犬がマダニに噛まれた場合に見られる症状は、以下の通りです。
その他にも気になる様子が見られる場合は、獣医師に相談しましょう。
- 貧血
- 噛まれた場所の赤みや炎症、腫れ
- かゆみや皮膚の不快感
- 体調不良
- 食欲不振
- 発熱など
マダニによって引き起こされる感染症
マダニは様々な病原菌を媒介するため、犬がマダニに噛まれると感染症を引き起こす可能性があります。
また、マダニによって感染症のリスクがあるのは、ペットだけではありません。
飼い主さんもマダニに噛まれると感染症リスクが伴うため、注意が必要です。
ここからは、マダニが媒介する感染症を紹介していきます。
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、マダニが保有するSFTSウイルスの感染によって起こる、致死率の高い感染症です。
イヌが感染した場合は発熱や嘔吐、腹痛や下痢などの症状が見られます。
また、ネコの致死率は60~70%とイヌよりも高いため、どちらも飼っている家庭ではより注意必要です。
感染力が非常に強くヒトにも影響があるため、飼い主さんへの感染にも気を付けなければいけません。
参考
国立感染症研究所 SFTS発症動物について(ネコ, イヌを中心に) (外部リンク)
犬バベシア症
犬バベシア症は、原虫であるバベシアによって発症する感染症です。
バベシアは体内に侵入すると赤血球に寄生し、犬の貧血を引き起こします。
犬バベシア症は2~3週間ほど潜伏期間があり、食欲低下や黄疸などの症状が確認されるようになります。
重症化すると、多臓器不全になって死亡するケースもあるため注意が必要です。
ライム病
ライム病は、ボレリア菌によって発症する感染症です。
感染した犬には、関節炎や体重減少、発熱などの症状が見られます。
病状がさらに進行した場合は、腎臓や心臓に影響を与える恐れもあります。
感染力が非常に強く、人間にも感染する病気です。
愛犬が発症した場合は、飼い主さんに感染するリスクもあるため注意しましょう。
Q熱
Q熱は、コクシエラという細菌が原因の感染症です。
犬は感染してもほとんど無症状ですが、妊娠中のメスは流産や死産を引き起こす場合もあります。
また、Q熱も感染力が強い病気のひとつで、人間も感染に注意が必要な病気です。
人間が感染した場合には頭痛や高熱など、インフルエンザのような症状が見られます。
犬がマダニに噛まれた場合の対処法
愛犬に噛みついているマダニを見つけた場合は、動物病院で処置してもらいましょう。
飼い主さんが無理に取ろうとすると、噛みついたマダニの口が犬の皮膚に残って炎症や化膿、マダニの体液が犬の体内に逆流する恐れがあるため危険です。
愛犬がマダニに噛まれた場合は、無理に取らずに動物病院を受診しましょう。
マダニから犬を守るための対策
近年は、地球温暖化や野生動物が生活する範囲の変化などによって、マダニも増加傾向にあります。
山や緑の少ない首都圏であっても、マダニによる寄生リスクはあるため、愛犬への対策は欠かせません。
ここからは、マダニの脅威から愛犬を守るために有効とされる、以下の対策を紹介していきます。
マダニ駆除薬の投与
マダニ駆除薬の投与は、対策として最も確実な方法です。
定期的に駆除薬を投与すれば、マダニに噛まれても確実に駆除できます。
マダニ駆除薬には、食べるタイプや滴下タイプがあります。
食べるタイプは、犬が好んで食べるように工夫がされているものが多いため、比較的投与の負担がありません。
一方、滴下タイプはアレルギーがある場合も使えること多く、価格も安価です。
最近はマダニだけでなく、ノミや他の寄生虫もまとめて駆除できるオールインワンタイプの駆除薬が主流となっており、人気を集めています。
マダニ駆除薬は愛犬に適したタイプを選んで、確実に予防してあげましょう。
ブラッシングの徹底
マダニ対策には、徹底したブラッシングも有効です。
お散歩中や緑が多い場所への外出は、マダニに寄生されるリスクが高まります。
そのため、家の中に入る前にブラッシングを行い、マダニが付着していないか確認することが大切です。
特に毛に付着している吸血前のマダニは、ブラッシングによって体から落とせる可能性があります。
幼ダニにも気づきやすくなるので、愛犬には外出後のブラッシングを徹底してあげましょう。
草むらに注意
草むらはマダニが生息しやすいため注意しましょう。
犬は草むらなどが大好きなので、お散歩中に顔を近づけてしまう可能性があります。
お散歩はマダニが多く潜んでいる緑がある場所を避けたコースにする、草むらに近づかないなど工夫してあげましょう。
部屋の掃除、庭の手入れ
部屋の掃除や庭の手入れをして、マダニ対策を強化しましょう。
マダニが家の中に1匹でも侵入した場合は、室内で繁殖する恐れがあります。
また、庭に草が生い茂っている場合は、マダニが生息しやすくなります。
室内の掃除や犬が使用する布やベッドの洗濯、庭は草刈りや除草などを行いましょう。
よくある質問
ここからは、マダニに関するよくある質問を紹介します。
飼い主さんとして、マダニに対する疑問を解決し知識を持っておくことは大切です。
愛犬に何かあったときに、対応できるようにしておきましょう。
犬のマダニが人にうつることはある?
犬のマダニは、人間にもうつります。
マダニに寄生されることで危険が及ぶのは、ペットだけではありません。
マダニは人間にも病原体を媒介します。
マダニによる感染症の中には有効な治療法がなく、対処療法しか受けられない危険なものもあるので日頃からの注意と対策が重要になります。
マダニを見つけて犬の体から取ってしまったけど大丈夫?
見つけたマダニを取ってしまった場合は、動物病院を受診してください。
基本的に、犬に噛みついているマダニを取ってはいけません。
取ってしまった場合は、犬の皮膚の中にマダニの頭部や口器が残り、体液が流れ込んでいる可能性もあります。
犬の体からマダニを取ってしまった場合は、動物病院を受診しましょう。
犬からマダニが落ちてたのを見つけた時はどうすればいい?
犬から落下したマダニを見つけた場合は、動物病院を受診しましょう。
落下しているマダニは、吸血が終わっている状態です。
マダニは落下した後に産卵するため、家の中で繁殖している可能性があります。
さらに繁殖する恐れもあるため、マダニが落ちていた場合は、対策として紹介した室内の掃除などを徹底してください。
また、愛犬が他のマダニにも寄生されている可能性があるため、速やかに動物病院を受診しましょう。
犬のマダニはシャンプーで取れる?
シャンプーだけでは、犬に寄生したマダニを取ることはできません。
マダニを駆除するには、動物用医薬品であるマダニ駆除薬の投与が確実な方法です。
なお、定期的にシャンプーをすることで犬の体にマダニがついていないか確認できるので、マダニ対策の一つの方法としてシャンプーは有効です。
まとめ
マダニは、犬や人間に多くの感染症を媒介する危険な寄生虫です。
特に犬は草むらの香りなどを嗅ぎたがり、鼻を近づけることで顔の周辺を噛まれやすいため注意が必要です。
愛犬のお散歩は草むらを避ける、コースを見直すなど、マダニに噛まれないための対策を行いましょう。
また、マダニへの確実な対策はマダニ駆除薬の投与です。
愛犬と飼い主さんの健康を守るためにも、定期的な駆除薬やお散歩後のブラッシングを徹底しましょう。
ペットのお薬通販『ぽちたま薬局』スタッフのブログです。
このブログではペットのご飯を中心にペットの健康について考えたいと思います。