フィラリア予防の時期が近づくと、「フィラリア予防薬を飲ませてない」、「本当に飲ませる必要はあるのか」と気になっている方も少なからずいるかと思います。
ネット上では「必ずしも必要ではない」、「絶対に必要」など、真逆の意見も散見されます。
このページでは、フィラリア予防薬を飲ませていないとどうなるのか、フィラリア予防の必要性について解説します。
この記事の結論
目次
フィラリア予防薬を飲ませてない場合のリスク
フィラリア予防薬を飲ませていないと、フィラリア症の感染リスクが高まります。
フィラリア症に感染してしまった場合、最初は軽度の症状であることが多いのですが、末期症状では重度の窒息や心筋疾患により突然死する可能性があります。
フィラリア症感染のリスクが非常に高まる
想像するのも非常に恐ろしいですが、予防しないままひと夏を越した犬の38%がフィラリア症に感染するというデータがあります。
上記のデータは、この地域でフィラリア症に感染している犬が多かった可能性も考えられます。
フィラリア症は、蚊を媒介して感染するため、屋外で飼っている犬猫だけではなく、室内で飼っている犬猫も注意が必要です。
すぐ近くにフィラリア症に感染している犬猫の血を吸った蚊がいた場合、お散歩などで外に出たタイミングで、愛犬愛猫がこの蚊に刺されてしまう可能性もあります。
その他にも、室内に蚊がいることもあるため、飼育環境に関係なくフィラリア予防は必要です。
フィラリア症は、毎月の予防薬投与で防ぐことができます。
フィラリア症の危険性
フィラリア症とは、蚊の媒介によってフィラリアという寄生虫が心臓や血管に寄生する病気です。
フィラリア症に感染すると、次のような症状が見られます。
犬の場合
■軽度
・咳が出る
■中等症
・貧血
・被毛粗剛(毛艶がなく、毛並みが荒れる)
・呼吸困難
・運動後の失神 など
重症化した場合、「腹水」「貧血」「血尿」「臓器の機能不全」など、命にかかわる症状を発症し、死亡率も高くなります。
猫の場合
・呼吸困難
・食欲低下
・嘔吐
・下痢 など
猫の場合ははっきりとした症状がなく、フィラリア症に感染しているのか診断が難しいとされています。
症状があらわれた時には重症化しているケースもあり、突然死することもあります。
フィラリア症になる確率
蚊が出現する季節に、フィラリア予防を行っていない場合の感染確率は次のとおりです。
予防していない期間 | 1年間 | 2年間 | 3年間 |
---|---|---|---|
感染率 | 38% | 89% | 92% |
フィラリア予防を行わずに過ごしていくと、年々感染率が高くなります。
【参考】
不二動物病院│フィラリア症について
フィラリア症の予防法と費用
フィラリア症は命にかかわる病気ですが、予防薬によって確実に予防できます。
一般的には蚊が活動する4~11月に、フィラリア予防薬を月1回投与します。
蚊が常在するような沖縄などの暖かい地域では、通年投与が必要です。
フィラリア予防薬にはいくつか種類があり、費用も異なります。
フィラリア予防薬の種類
フィラリア予防薬には、次のような種類があります。
種類 | 投与方法 |
---|---|
飲み薬 (おやつタイプ、錠剤、チュアブル錠) |
月1回、経口投与 |
滴下 (スポットタイプ) |
月1回、背中の肩甲骨間に薬剤を垂らす |
皮下注射 | 半年または年に1回接種 |
フィラリア予防薬の費用
フィラリア予防薬は、動物病院と通販で購入できますが、費用が異なります。
通販 | 動物病院 | |
---|---|---|
薬代 | 約1,500円/月 | 約2,700円/月 |
診察料 | なし | 約1,000円(初回) |
合計 | 約1,500円/月 | 約3,700円/月 |
予防薬の購入は、動物病院で処方してもらうよりも、通販で購入した方が費用を抑えることができます。
通販の注意点
通販で購入したお薬は、手元に届くまでに約2週間かかります。
また、フィラリア予防薬の投与を開始する際は、事前に動物病院でフィラリアの検査を行う必要があります。
そのため、投与開始する月は動物病院で1ヵ月分のみ処方してもらい、その後は通販で同じお薬を購入すると良いでしょう。
フィラリア予防薬の副作用
どんなお薬にも副作用がつきもので、フィラリア予防薬にも副作用が現れてしまうことがあります。
フィラリア予防薬の主な副作用は、次のとおりです。
種類 | 副作用 |
---|---|
錠剤タイプ | 嘔吐、吐き気、鬱、無気力、食欲不振、下痢 など |
おやつタイプ | 下痢、嗜眠、食欲不振、嘔吐 など |
滴下タイプ | 投与部位の炎症、一過性の脱毛、嘔吐、下痢 など |
皮下注射 | アナフィラキシーショック など |
フィラリア予防薬の副作用と対処法については、下記記事で詳しく解説しています。
妊娠中・授乳中のフィラリア予防について
妊娠中・授乳中の犬猫に、フィラリア予防薬を投与してもいいのか気になりますよね。
健康状態にもよりますが、妊娠中・授乳中でも予防薬は投与した方がいいでしょう。
その理由は、妊娠・授乳期間中にフィラリアが成長してしまう可能性があるからです。
犬の妊娠期間は58日~68日、猫の妊娠期間は62日~67日。
体内に入ったフィラリアの幼虫が成虫になるまで、およそ50日~60日です。
そのため、自己判断で投薬を止めてしまうと、フィラリア症に感染する確率は上がってしまいます。
しかし、妊娠中は副作用が出やすくなることもあるので、投薬前に必ず獣医師さんにご相談ください。
妊娠中の犬猫に投与する際の注意点
妊娠中の犬猫に使用できないフィラリア予防薬もあります。
たとえば、注射タイプのフィラリア予防薬は、アナフィラキシーショックの副作用が報告されているため、妊娠している犬は接種できません。
※猫用の注射はありません。
その他にも、ノミ・ダニの駆除も同時にできるオールインワンタイプの予防薬もあります。
必ずしもオールインワンタイプの予防薬が使えないというわけではありませんが、妊娠中に使用できない成分もあるので注意が必要です。
妊娠中の犬猫に対して安全性が確認されている成分は「セラメクチン」です。
妊娠中、授乳中の犬に使用できるフィラリア予防薬
妊娠中・授乳中の犬猫に使用できるフィラリア予防薬は、レボスポットです。
特徴
・肩甲骨の間に薬剤を垂らすだけで投与完了
・フィラリア予防、ノミ・耳ダニの駆除が同時にできる
子犬・子猫もフィラリア予防薬は必要
フィラリア予防薬を投与せず、3年以上屋外で飼育している場合、フィラリア症の感染率は92%というデータもあります。
フィラリア症の感染は、室内で飼っている犬猫も注意が必要です。
フィラリア症に感染しないためにも、子犬・子猫の時期からフィラリア予防薬を与えましょう。
生後6週齢の子犬・子猫にも使用できるフィラリア予防薬は「レボスポット」です。
フィラリア予防薬を老犬に投与する場合
外出する機会が減った老犬も、フィラリアの予防は必要です。
しかし、飲み込む力が衰えた老犬は、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)にかかりやすくなります。
そのため、飲み薬よりも滴下タイプの予防薬を使うと良いでしょう。
フィラリア予防薬の必要性に関するQ&A
今まで一度もフィラリア予防薬を飲ませてないけど、今からでも飲ませた方がいい?
猫はフィラリアにかかることが少ないようだけど、フィラリア予防薬は本当に必要?
フィラリア予防薬を嫌がるので投薬が大変。どうしたらいい?
フィラリア予防薬の必要性のまとめ
・フィラリア予防薬を飲ませていないと、感染リスクが高まる
・フィラリア症に感染すると、命にかかわる症状を発症し、死亡率も高くなる
・妊娠中、授乳中、子犬、子猫もフィラリア予防は必要
・老犬もフィラリア予防は必要で、飲み薬よりも滴下タイプがおすすめ
ぽちたま薬局のメルマガ担当。
手術しても再発する愛犬の腫瘍に悩まされていましたが、ご飯を手作りに変えてから病気の改善を目の当たりに。
それから5年、手作りご飯のチカラを信じて毎日レシピとメルマガ企画を考える日々を過ごしています。