「無治療だと致死率ほぼ100%」といわれてきた猫FIP(猫伝染性腹膜炎)は、この数年で新しい治療薬が登場し、治る病気へと変わりつつあります。
ただ、その治療薬はペット医療の中でも特に高額で、基本的に保険も適用されないため、費用が払えず治療をあきらめる飼い主さんも少なくありません。
しかし、そんなFIP治療は現在、5万円以内で済むモルヌピラビルが主流で、検査費用などをあわせた治療費は10~20万円ほどに抑えられるようになっています。
| 治療薬 | モルヌピラビル | レムデシビル | ムティアン (Mutian) |
CFN (CHUANFUNING) |
|---|---|---|---|---|
| パッケージ | ![]() |
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| タイプ | 錠剤 ※調剤が必要 |
注射薬 錠剤 液体 ※調剤が必要 |
錠剤 ※調剤が必要 |
錠剤 ※調剤が必要 |
| 効果 | 猫FIP治療(抗ウイルス薬) | |||
| 特色 | 他の薬と同様の効果・安全性があり、価格も安い新薬 | 海外での実績があり効果と安全が高いが、価格も高い | 効果と安全性は高いが、非常に高額 | |
| 治療費 | 約3~5万円 | 約60~120万円 | 約100~200万円 | |
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この記事ではペットのくすりを取り扱うぽちたま薬局スタッフが、最新のFIP治療薬の種類と費用を比較しながら、FIPの治療費を解説します。
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目次
猫FIPの治療費、治療薬の値段を徹底比較【2025最新】
猫FIPの治療薬は、動物用医薬品として日本で認可されたものがまだありません。
FIPが保証対象になっている保険でも、未認可薬を使用した場合、その薬代までは保険適用されません。
基本的に薬代は全額自己負担となるため、治療薬でどのくらい費用がかかるのかについて知り、どの薬を使用するか判断することが重要です。
ここでは現在、主に使用されている4種類の猫FIP治療薬を比較・解説します。
| 治療薬 | モルヌピラビル | レムデシビル | ムティアン (Mutian) |
CFN (CHUANFUNING) |
|---|---|---|---|---|
| パッケージ | ![]() |
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| タイプ | 錠剤 ※調剤が必要 |
注射薬 錠剤 液体 ※調剤が必要 |
錠剤 ※調剤が必要 |
錠剤 ※調剤が必要 |
| 効果 | 猫FIP治療(抗ウイルス薬) | |||
| 特色 | 他の薬と同様の効果・安全性があり、価格も安い新薬 | 海外での実績があり効果と安全が高いが、価格も高い | 効果と安全性は高いが、非常に高額 | |
| 治療費 | 約3~5万円 | 約60~120万円 | 約100~200万円 | |
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モルヌピラピル
モルヌピラビルは、日本国内で唯一承認されている人間の新型コロナウイルス治療薬「ラゲブリオ」に含まれている有効成分です。
猫にFIPを発症させる猫伝染性腹膜炎ウイルスはコロナウイルスの一種であることから、同じ哺乳類の猫にも転用することで治療が試みられました。
その結果、FIPを完治・寛解させた症例が多く見られ、2023年に研究論文が発表されて以降、FIP治療で主流となりつつある薬です。
2023年以降、世界中でモルヌピラビルを使用したFIP治療が行われ、その治療実績が積み重ねられています。
- 2024年9月発表論文
10匹中 8匹が完治(寛解率80%)
※治療開始後 24時間以内に2匹死亡 - 2024年7月発表論文
59匹中 51匹が完治(寛解率86%)
※治療開始後 10日以内に5匹死亡、投薬中 2匹死亡、治療後 1匹死亡 - 2023年8月発表論文
18匹中 14匹が完治(寛解率77%)
※治療開始後 1週間以内に4匹死亡
これまで使用されてきた高額なムティアンやCFNと変わらない治療効果があることがわかってきています。
モルヌピラビルの作用メカニズム
モルヌピラビルは、FIPを発症させる猫伝染性腹膜炎ウイルスのRNAという遺伝子に作用し、エラーを引き起こします。
ウイルスはRNAをコピー(複製)して増殖しますが、モルヌピラビルはその増殖を防ぎ、体内でウイルスを増殖させないようにする薬で、RNAポリメラーゼ阻害薬に分類されます。
また、副作用に関しては、以下のことが確認されています。
- 発がん性は認められない
- 糖尿病は認められない
- 急性腎不全は認めらない
- 白血球減少は、高用量で使用した際に見られることがある
- 催奇形性は確認できていない(2歳以下の猫がほとんどで、妊娠猫に投与するケースがないため)
モルヌピラビルに関して、とくに発がん性や催奇形性が取り上げられることが多いですが、実際の治療において確認された事例はありません。
2023年は登場したばかりの新薬で価格も他の薬と比べて驚くほど安かったため副作用を心配する声が多くありましたが、現在は安全性も高さが認められています。
モルヌピラビルを使用した場合の治療費
モルヌピラビルが注目された理由のひとつとして、治療費の安さが挙げられます。
ムティアンやCFNなどのFIP治療薬は、治療費が100万円以上の高額になるため、その1/10~1/100程度に治療費を抑えられるモルヌピラビルは、今多くの方に使用されているFIP治療薬になります。

モルヌピラビルは国内正規品(人間用のラゲブリオ)を使用する場合で約10~30万円となり、ムティアンやCFNの約1/10の治療費で済みます。
しかし、それでもまだ高額なため、現在ほとんどの動物病院では海外製のモルヌピラビルを個人輸入する形で治療に用いています。
海外製のジェネリック薬では治療費3~5万円ほどで済むため、これまでクラウドファンディングを募るほど高額な治療費が必要だった猫FIPにおいて、多くの飼い主さんが愛猫の治療に踏み切れる金額になっています。
ぽちたま薬局でも、海外製のジェネリック薬のモルヌピラビルを取り扱っているので、ぜひご覧ください。
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レムデシビル
人間用の新型コロナウイルス治療薬として承認されているレムデシビルは、猫に投与した場合、体内で代謝によりFIPに効果がある「GS-441524」に変化します。
イギリスやオーストラリアでは猫用に調剤されたレムデシビルが広く使用されています。
レムデシビルは他のFIP治療薬と異なり、注射薬なので効きが早く、1~2週間で急速に悪化して死亡する猫FIPに対して有効な初期治療薬といえます。
注射薬以外に錠剤タイプも液体(懸濁液)タイプも販売されており、ご家庭での治療に使用することもできます。
日本ではFIP猫に対してレムデシビルを66頭に投与し、94%の生存率という結果が報告されています。
レムデシビルを使用した場合の治療費
レムデシビルは、日本国内では未承認の動物用医薬品です。
そのため保険適用できず、約60~120万円の高額な治療費が必要になります。
ぽちたま薬局でもレムデシビルの錠剤タイプを取り扱っておりますが、受注発注商品となっています。
ムティアン、CFN
FIP研究者により2019年に開発されたFIPを完治させる薬剤「GS-441524」が治療薬として発売されなかったため、中国の会社が無断で非合法にコピーしてサプリメントとして発売したのが、ムティアンやCFNというFIP治療薬です。
ほかにも多数の「GS-441524」治療薬が存在しますが、成分や効果等はほぼ同じとされています。
日本で2019年6月~2020年12月に、ムティアンを141匹の猫に投与した結果を報告した論文によると、116/141頭が生存し、生存率は82.2%と有効性の高さを示しています。
「GS-441524」の投与後に軽度の下痢などの消化器症状と肝機能障害が観察されましたが、重篤な副作用はありませんでした。
ただし、最新の2024年の報告では、「GS-441524」を投与された猫から尿路結石が発見されたことが報告されています。
ムティアン、CFNを使用した場合の治療費
ムティアンやCFNなど「GS-441524」治療薬は、開発・販売元により高額な価格設定がなされています。
猫の体重や症状により変わりますが、約100~200万円の治療費がかかります。
なお、「GS-441524」薬は、84日間投与し続ける必要がありますが、最新の研究では42日間の投与でも有用性が示されたことが発表されており、今後より効率的で費用負担の少ない治療法の確立が期待されています。
猫FIPの治療費が払えない!どうしたらいい?
ここまでみてきたように、FIP治療薬は100万円を超えることがあります。
こうした多額の治療費に対応するためには、分割払いやクラウドファンディングの利用のほか、場合によっては治療費そのものを抑えることも可能です。
- 動物病院に分割払いができないか相談する
- クラウドファンディングで治療費を募る
- 金融機関のペット医療ローンを利用する
- 費用を抑えた治療薬を選択する
とくに、費用を抑えた治療薬として価格の安い「モルヌピラビル」を選択した場合、分割払いや医療ローンとは違って“支払う金額そのものを減らせる”というメリットがあります。
さらに、「モルヌピラビル」にはジェネリック版があり、こうしたジェネリック医薬品を海外から個人輸入できれば、さらなる費用負担の軽減が可能です。
たとえば4kgの猫の場合、モルヌピラビル(ジェネリック)で治療すると、薬代は1万円未満に抑えることができます。

※価格は「ぽちたま薬局」における2025年10月現在のものです。
検査費用などを含めても数万円ほどに収まるため、医療ローンやクラウドファンディングに頼らずとも、FIP治療が一気に現実的なものになってくるのではないでしょうか。
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治療しない場合の余命は?
しかしながら、獣医師がモルヌピラビル以外の高額な治療薬を選択すれば、その治療費は100万円を超えてきます。
また、愛猫がFIPの再発を繰り返してしまう場合も、当然トータルコストは膨れ上がっていきます。
そうなると、やむを得ず治療を断念せざるを得ないというケースも当然あります。
この場合に気になるのが、治療を行わない場合の余命ではないでしょうか。
猫FIPには主に2つの症状タイプがあり、それぞれ進行の早さが違うため余命も異なります。
| FIPの症状タイプ | ウェットタイプ | ドライタイプ |
|---|---|---|
| 進行スピード | 速い | 遅い |
| 治療しない場合の余命 | およそ2~4週間 | およそ2~6ヶ月 |
FIPは、治療を選択しなければほぼ100%死に至る病気で、早くて1ヶ月以内、遅くとも半年ほどと、短期間で命を落としてしまうことが想定されます。
しかし、FIPは2歳以下の若い猫に多い病気であるため、「もっと一緒にいたい」と強く願う飼い主さんも少なくありません。
もし、コストの問題で治療をあきらめざるを得ないときは、FIP治療薬の個人輸入も選択肢のひとつとして検討することが可能です。
信頼できる獣医師さんとしっかり相談した上で、さまざまな可能性を探ってみてはいかがでしょうか。
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なお、FIPは84日間という薬の投与期間を守らないと、再発する可能性が高い病気です。
薬剤でしっかりとウイルスを死滅させていく必要があるため、「症状がなくなった」「治ったっぽい」「寛解したっぽい」と自己判断で薬を中断せず、必ず最後まで投薬しましょう。
FIPの詳しい症状や再発については、以下のコラムをご覧ください。
猫のFIPの原因
FIPは、猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)が原因で発症します。
猫伝染性腹膜炎ウイルスは、猫コロナウイルス(FCoV)の一種です。
そして、同じく猫コロナウイルスの一緒である猫腸コロナウイルス(FECV)が猫の体内で突然変異することで、猫伝染性腹膜炎ウイルスとなりFIPを発症すると考えられています。

猫腸コロナウイルスは、家庭猫の約47%が感染しており、猫の腸の常在菌として知られています。
病原性は低いので、感染しても無症状であることがほとんど。
ただ、それが猫伝染性腹膜炎ウイルスに変わることで毒性が強くなります。
猫腸コロナウイルスが猫伝染性腹膜炎ウイルスに変異する確率は年間で10%ほどといわれていますが、その原因は解明されていないため、FIPウイルスの発症を予防することは難しいです。
猫のFIPは予防できる?
猫のFIPを予防する方法は、猫腸コロナウイルスに感染させないこと。
そのためには、「外に出させない」「多頭飼育を避ける」の2つが全てといっていいでしょう。
猫伝染性腹膜炎ウイルスに突然変異することがFIPの発症原因になるため、まずは愛猫が猫コロナウイルスを保有しているのかどうか、猫用のコロナウイルス抗原検査キットで調べてみることをおすすめします。
猫FIPウイルスはうつる?
FIPは猫伝染性腹膜炎という病名で、「伝染性」とついていますが、猫FIPが感染猫から他の猫や人にうつることはありません。
しかし、猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)の元となる猫腸コロナウイルス(FECV)は、猫から人にはうつらないものの、猫から猫にうつります。
| 猫腸コロナウイルス (FECV) |
猫伝染性腹膜炎ウイルス (FIPV) |
|
|---|---|---|
| 猫から猫 | うつる | うつらない |
| 猫から人 | うつらない | うつらない |
猫腸コロナウイルス自体の病原性は低いため、保護猫や野良猫を迎える場合や多頭飼育の場合、無症状のまま感染が広がるという感染リスクが高いことを覚えておきましょう。
ジェネリックの利用でFIP治療費は抑えられる
猫FIPは非常に危険な病気であり、発見が少し遅れただけでも生死に関わるものです。
最悪の事態を避けるには、早期発見・早期治療しか方法はありません。
また、自費診療で84日間もの投薬が必要になることから治療費が非常に高額になります。
モルヌピラビルやジェネリック薬を活用し、飼い主さんの費用負担を抑えながらFIP治療を進められることが望ましいです。
いざという場合に備えて、モルヌピラビルの購入先までチェックしておくと安心です。
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参考サイト(外部リンク)

ペットのお薬通販『ぽちたま薬局』スタッフです。
10年以上の犬の飼育経験と動物介護士の知識をもとに、ペットの病気やお薬の情報を発信します。
















