モルピラビルのFIP猫への投与量と副作用

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モルヌピラビルの投与量・副作用と猫FIP治療の2025最新の知見を公開

猫が発症する猫伝染性腹膜炎、通称FIPは、これまで致死率が100%に近い死の病とされてきましたが、近年さまざまな治療薬が登場しています。

その中でも、FIPに対する有効性が明らかになったモルヌピラビルは、多くの獣医師に注目されている最新の治療薬です。

モルヌピラビルは、価格が圧倒的に安いというメリットがありますが、猫の体重や症状・経過を見ながら適切な投与量を守らなければならない薬でもあります。

そこで、モルヌピラビルの投与量、投与期間、副作用、効果を、最新の獣医学論文をもとに解説します。

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FIP猫へのモルヌピラビルの効果・有効性

モルヌピラビルは、もともと日本国内で唯一承認されている人間の新型コロナウイルス治療薬「ラゲブリオ」に含まれている有効成分です。

猫にFIPを発症させる猫伝染性腹膜炎ウイルスはコロナウイルスの一種であることから、猫に対してモルヌピラビルを使用したところ、効果があることがわかりました。

これまで使用されてきたムティアンやCFNなどのGS-441524薬と変わらない治療効果があると言えます。

モルヌピラビルの作用メカニズム

モルヌピラビルは、FIPを発症させる猫伝染性腹膜炎ウイルスのRNAという遺伝子に作用し、エラーを引き起こします。

ウイルスはRNAをコピー(複製)して増殖しますが、モルヌピラビルはその増殖を防ぎ、体内でウイルスを増殖させないようにする薬で、RNAポリメラーゼ阻害薬に分類されます。

ムティアンやCFNなどのFIP治療薬は、治療費が100万円以上の高額になることもあるため、その1/10~1/100程度に治療費を抑えられるモルヌピラビルは、今多くの方に使用されているFIP治療薬になります。

 

【最新】モルヌピラビルのFIP治療実績

2023年にFIPに対する有効性を報告した論文が発表されて以降、世界中でモルヌピラビルを使用したFIP治療が行われ、その治療実績が積み重ねられています。

モルヌピラビルのFIP治療実績の一部
  • 2024年9月発表論文
    10匹中 8匹が完治(寛解率80%)
    ※治療開始後 24時間以内に2匹死亡
  • 2024年7月発表論文
    59匹中 51匹が完治(寛解率86%)
    ※治療開始後 10日以内に5匹死亡、投薬中 2匹死亡、治療後 1匹死亡
  • 2023年8月発表論文
    18匹中 14匹が完治(寛解率77%)
    ※治療開始後 1週間以内に4匹死亡

参考
Open label clinical trial of orally administered molnupiravir as a first-line treatment for naturally occurring effusive feline infectious peritonitis [英語](外部リンク)
GS-441524 and molnupiravir are similarly effective for the treatment of cats with feline infectious peritonitis [英語](外部リンク)
Molnupiravir treatment of 18 cats with feline infectious peritonitis: A case series [英語](外部リンク)

FIPは進行が早く、治療開始時にすでに病状が悪化している場合もあるため、それを考慮するとモルヌピラビルによりFIPが完治する確率がとても高いことがわかります。

FIP猫へのモルヌピラビルの投与量

モルヌピラビルは、投与量を厳格に守ることで初めて効果を発揮します。

FIP猫へのモルヌピラビル投与のポイント
  • 猫の体重によって投与量が変わる
  • FIPの症状タイプによって投与量が変わる
  • 1日2回、84日間、投与し続ける

モルヌピラビルの投与量は、猫の体重によって変わるため、体重の変化を把握しながら投与量を調整します。

さらに、FIPは症状の違いにより3つのタイプに分類されますが、この症状タイプに応じて適切な投与量が異なります。

猫 FIP モルヌピラビル 投与量

ウェットタイプの
FIP猫への投与量
10mg/kgを1日2回
ドライタイプの
FIP猫への投与量
15mg/kgを1日2回
神経症状または眼症状のある
FIP猫への投与量
20mg/kgを1日2回

 

FIPの症状に応じてモルヌピラビルの投与量が変わる理由

症状によってモルヌピラビルの投与量が変わる理由は、それぞれの病変によって薬剤の効きにくさに差があるからです。

FIPの症状に応じた投与量
  • ウェットタイプFIPのモルヌピラビル投与量
    →免疫とFIPウイルスの複合体が血管壁に沈着、滲出液(胸水・腹水)や血管炎を引き起こす。
    FIPウイルスが腹水や胸水の中に拡散して存在する状態。
    全身に広がりやすい=進行が早いが、薬剤は効きやすいため、投与量は少なく済む。
  • ドライタイプFIPのモルヌピラビル投与量
    →ウイルス感染に対する免疫応答が肉芽腫を形成させる。
    肉芽腫は血流が制限される(免疫がウイルスを閉じ込めている状態)。
    これにより薬剤の到達効率が低下するため、投与量はウェットタイプよりも多くする必要がある。
  • 神経症状または眼症状のあるFIPのモルヌピラビル投与量
    →脳や眼には外部からの物質に対して保護する構造があり、薬剤の到達効率が大きく低下するため、高用量の投与が必要になる。

このように、さまざまな症状を引き起こすFIPだからこそ、その症状を的確に見極めて、適切な量のモルヌピラビルを投与する必要があります。

この投与量を決定する判断を誤ると、投与量の不足による完治の遅れや再発に繋がってしまいます。

なお、猫FIPの症状について詳しくはこちらのコラムをご覧ください。

 

FIPの症状・体重別のモルヌピラビル投与量

体重別・症状別に、1回の投与量84日分の投与量ぽちたま薬局で販売中のモルヌピラビル何本分かを表にしました。
※モルヌピラビルの価格は2024年10月25日時点のものです。

猫の体重 ウェットタイプ
の投与量
ドライタイプ
の投与量
神経症状
眼症状
の投与量
1kg 1回:10mg
84日間:1,680mg
(1本:5,800円)
1回:15mg
84日間:2,520mg
(1本:5,800円)
1回:20mg
84日間:3,360mg
(1本:5,800円)
2kg 1回:20mg
84日間:3,360mg
(1本:5,800円)
1回:30mg
84日間:5,040mg
(1本:5,800円)
1回:40mg
84日間:6,720mg
(1本:5,800円)
3kg 1回:30mg
84日間:5,040mg
(1本:5,800円)
1回:45mg
84日間:7,560mg
(1本:5,800円)
1回:60mg
84日間:10,080mg
(2本:11,600円)
4kg 1回:40mg
84日間:6,720mg
(1本:5,800円)
1回:60mg
84日間:10,080mg
(2本:11,600円)
1回:80mg
84日間:13,440mg
(2本:11,600円)
5kg 1回:50mg
84日間:8,400mg
(2本:11,600円)
1回:75mg
84日間:12,600mg
(2本:11,600円)
1回:100mg
84日間:16,800mg
(3本:17,400円)
7kg 1回:70mg
84日間:11,760mg
(2本:11,600円)
1回:105mg
84日間:17,640mg
(3本:17,400円)
1回:140mg
84日間:23,520mg
(3本:17,400円)
10kg 1回:100mg
84日間:16,800mg
(3本:17,400円)
1回:150mg
84日間:25,200mg
(4本:23,200円)
1回:200mg
84日間:33,600mg
(5本:29,000円)

このように投与量が厳格に定められているため、FIPの症状タイプの適切な診断と、毎日の体重測定を行うことが非常に重要です。

投与量が誤っていた場合、FIPの症状が進行したり、モルヌピラビルの副作用が生じたりするリスクが上がります。

モルヌピラビルの投与量を誤るケース
  • そもそもFIPの診断が誤っていた場合
  • 毎日の体重測定や経過観察を怠っていた場合

FIPの治療薬としてモルヌピラビルの投与を検討している場合、FIPの診断・治療実績が豊富な動物病院を受診することをおすすめします

モルヌピラビルは日本で動物用医薬品として認可されておらず、動物病院も国外から輸入したものを処方しているため、診断と治療方針が確定すれば、モルヌピラビル自体は個人輸入の形でお安く購入することもできます

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FIP猫へのモルヌピラビルの投与期間

FIP猫へのモルヌピラビルの投与期間は、84日間となります。

近年登場しているFIP治療薬は、基本的に84日投与し続ける必要があり、この点では他の治療薬と変わりません。

猫のFIP症状が改善したからといって途中でやめてしまうと、FIPが再発する可能性があるため、必ず84日間の投与期間を守りましょう

モルヌピラビルの投与期間のポイント
  • 投与期間は、84日間
  • 途中で投薬をやめた場合、再発のリスクがある

なお、2024年の研究で、ムティアンやCFNなどの「GS-441524」薬を42日間だけ投与した場合の治療結果が報告されています。

FIP治療薬はここ数年で登場したものばかりで、今はまだ発展途上。今後、安全性や治療効果が研究されれば、モルヌピラビルの投与期間も84日間より短くなる可能性もあるでしょう。

参考
Short Treatment of 42 Days with Oral GS-441524 Results in Equal Efficacy as the Recommended 84-Day Treatment in Cats Suffering from Feline Infectious Peritonitis with Effusion—A Prospective Randomized Controlled Study [英語](外部リンク)

 

FIP猫へのモルヌピラビルの投与方法

モルヌピラビルは、先ほど解説した投与量を1日2回(12時間ごとに)投与します。

しかし、モルヌピラビルはもともと人間用のコロナウイルス治療薬として開発された経緯があるため、1カプセル200mgなどの単位でしか取り扱いがありません。

ぽちたま薬局で猫FIP治療薬として取り扱っているモルヌピラビルも、1カプセル200mgが40錠入っているものになります。

モルヌピラビル 猫 投与量

このままだと200mg単位でしか投与できないため、mg単位で投与量を調節しなければならない猫の場合、カプセルの中のモルヌピラビル粉末を計量して投与する必要があります。

実際に、モルヌピラビルによる猫FIP治療の第一人者、獣医師の佐瀬興洋先生は、次のような方法でモルヌピラビルをFIP猫に投与したと論文に掲載しています。

市販のモルヌピラビル200 mgカプセル20個から粉末を取り出し、微結晶セルロース粉末を加えて合計12gの粉末を作りました。

粉末は乳鉢と乳棒(松吉医科器械株式会社)を使用して混合し、中国製の汎用錠剤成形機またはLFA Machines Oxford Ltd.を使用して、割線付きの幅6mmの錠剤約200錠に成形しました。

各錠剤にはモルヌピラビル20mgが含まれていました。

投与量の計量には、1mg=0.001g単位まで測れる電子はかり粉末を乗せる薬包紙を使用します。

モルヌピラビルによるFIP治療の第一人者でもある、千葉県佐倉市ユーミーどうぶつ病院の佐瀬院長は、このように計量したモルヌピラビルを錠剤に形成して投与していたと論文で発表しています。

ご自身でモルヌピラビルを投与する場合は、計量を行ってモルヌピラビルの投与量を調節する必要があるということに注意してください。


※猫FIPに対するモルヌピラビルの有用性を日本で最初に発表したのは千葉県佐倉市ユーミーどうぶつ病院の佐瀬興洋院長が、同病院で2020年6月から2023年8月までの間、FIPの疑いと診断した猫59匹に対してモルヌピラビルを投与した結果をもとにしています。

参考
GS-441524 and molnupiravir are similarly effective for the treatment of cats with feline infectious peritonitis[英語](外部リンク)

 

モルヌピラビルの副作用

モルヌピラビルは他のFIP治療薬と異なり、もともと人間用の治療薬として開発された薬です。

猫FIPの治療に使用されるようになったのも2022年からなので不明確な点もありますが、適切な投与量を守って使用することで、副作用が出ることはほとんどないことがわかっています。

モルヌピラビルによる猫FIP治療の第一人者、千葉県佐倉市ゆユーミーどうぶつ病院の佐瀬院長は、3年間で約500頭を治療し、副作用について以下のように確認しています。

モルヌピラビルの副作用
  • 発がん性は認められない
  • 糖尿病は認められない
  • 急性腎不全は認めらない
  • 白血球減少は、高用量で使用した際に見られることがある
  • 催奇形性は確認できていない(2歳以下の猫がほとんどで、妊娠猫に投与するケースがないため)

モルヌピラビルに関して、とくに発がん性や催奇形性が取り上げられることが多いですが、実際の治療において確認された事例はありません。

モルヌピラビルは、人はもちろん猫などの哺乳類に対する使用も問題ないものと考えられています。

参考
新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)|厚生労働省(外部リンク)

これらのことから、モルヌピラビルは適切な投与量を守ることができれば安全性が高く、安価で効果も高い薬と言えます。

ただ、投与期間が84日間の長期にわたるため、その間も体重や症状の変化など、猫の状態を管理・把握できる動物病院にかかることが重要です。

モルヌピラビルによるFIP治療を検討している飼い主さんは、治療実績から信頼できる動物病院を受診し、獣医師の適切な指導のもと投与することで副作用のリスクを低減できると考えましょう。

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まとめ

一般にFIPの治療には100万円程度かかるものですが、モルヌピラビルの投与なら薬代だけなら15,000円程度(前述の投与方法の場合)ですむことになります。

モルヌピラビルは、高額な医療費からFIPの治療を諦めていた多くの飼い主さんにとって、愛猫を救う希望となる治療薬と言えます。

モルヌピラビルを用いた治療法を試す場合は、必ず獣医師の指導のもと行ってください。

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