保護犬・保護猫とは?保護の必要性や処分の背景を解説

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保護犬・保護猫とは?保護の必要性や処分の背景を解説

昨今、犬猫を飼うなら、保護犬・保護猫を迎えるのが新たな選択肢として広まりつつあります。

しかし、保護された子たちがどこから、またどんな事情で保護されてくるのかはご存知ですか?

そもそもなぜ彼らの保護が必要なのでしょうか?

この記事では、保護犬・保護猫についてあまり詳しく知らないという方に知ってほしい、彼らを取り巻く背景について紹介していきます。

保護犬や保護猫を家族に迎えたいと考えている方にも、ぜひ知っておいてほしい重要な内容となっています。

命を託される責任を伴うからこそ、慎重に考えながら読んでください。

保護犬・保護猫とは?

保護犬・保護猫とは

保護犬、保護猫とは、飼い主に放棄されて家を失った子、または劣悪な環境で飼育されていた子たちが一時的に保護され、自治体や施設で生活している犬猫のことです。

迷子のほか、悪質なブリーダーにより飼育放棄された子、望まない繁殖によって生まれ遺棄された子、災害などで居場所を失った子など、保護されるいきさつはさまざま。

これらの理由で保護された犬や猫は、新しい飼い主を見つけるために、譲渡活動などを通じ、縁があれば里親に引き渡されます。

保護犬・保護猫になってしまう理由

保護犬・保護猫になってしまう理由

保護犬や保護猫たちは、具体的にどういった事情からそうなってしまうのでしょうか。

上記のようにさまざまな理由がありますが、基本的にはどれも人間の身勝手な理由によるもの。

野良犬・野良猫だったから

施設にレスキューされる割合として多いのが、飼い主が分からない犬や猫を保護するケースです。

迷子のほかにも、飼い主に意図的に捨てられた場合もあったりと、その背景はさまざま。

遠くの場所で迷子になり、見知らぬ場所で保護される場合や、行方不明になったまま飼い主がその消息を知らない場合もあります。

1年間で保護される犬の約90%は、飼い主が不明のまま保護されている現状もあり、野良猫や野良犬の保護は深刻化しています。

参考
環境省_統計資料 「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況」 [動物の愛護と適切な管理](外部リンク)

飼い主による飼育放棄、持ち込み

悲しいことに、経済的な部分や、飼育責任を果たせないといった身勝手な理由によって、ペットが保護施設に持ち込まれることもあります。

引っ越しや生活環境の変化などに伴い、ペットの世話が難しくなり飼育放棄するケースです。

飼い主の高齢化や病気による入院など、やむをえない理由もありますが、ほとんどは飼い主の身勝手な判断によるものです。

ペットが保護施設に置き去りにされる背後には、その他にもさまざまな複雑な事情が絡んでいる場合があります。

悪質なブリーダーの遺棄・多頭飼育崩壊

近年では、劣悪な環境で無理やり繁殖をおこなうブリーダーが後を絶たず、社会的な問題になっています。

経営の行き詰まりなどが原因で廃業し、多頭飼育崩壊の現場が明るみに出た結果、大量の犬猫が保護されるケースも増加しているのです。

2022年には、悪質なブリーダーを排除するための規制が適用されましたが、その一方で、行き場を失う犬猫がいることも事実です。

参考
第3次答申(動物愛護管理法の飼養管理基準に関する省令)の概要(外部リンク)

多頭飼育崩壊は犬猫たちの体調にも深刻な悪影響を与え、瘦せ細っていたり、重篤な皮膚病や感染症、内臓疾患にかかっている場合も多いです。

ペットショップで売れ残った

もともとは血統書付きの犬や猫であっても、買い手がつかずペットショップで売れ残り、飼育がしきれなくなり保護施設に預けられる場合もあります。

もちろんペットショップが最後まで責任を持ち、ブリーダーに返還したり、里親を探したり、お店で飼い続けることもあるでしょう。

ただすべての犬や猫に対してできるかといったら、厳しい現実もあるようです。

保護犬・保護猫の特徴

保護犬・保護猫の特徴

ここで、保護犬・保護猫の特徴をいくつか紹介します。

もちろん、さまざまな境遇の子が保護されるため、これらが全て当てはまるわけではないことは先にお断りしておきます。

人への警戒心が強い子が多い

前の飼い主やブリーダーから十分な愛情を注がれなかったり、虐待を受けていた子などは、人間に恐怖心を抱いていることがあります。

重い病気や怪我を抱えている場合がある

病気が原因で飼育放棄されたり、先天性の障害で買い手が付かなかったリ、外で交通事故にあったりなど、健康を理由に保護されるケースは多いです。

落ち着きがなく臆病

虐待などのトラウマを抱えていたり、生活環境に問題があり子犬・子猫の頃に十分な社会学習ができなかった子も多く、そういった子は落ち着きのない性格になりやすいと言われています。

そもそもなぜ保護が必要なの?

そもそも保護犬・保護猫はなぜ保護しなくてはいけないのでしょうか?

それは野良犬や野良猫のままにしておくと、いろいろな面で生活に影響があるからです。

詳しく説明します。

病気を持っている可能性が高い

野良犬や野良猫たちは寄生虫による感染症にかかっている可能性が高いです。

狂犬病や SFTSなど、なかには人に感染し命を脅かす病気もあります。

噛まれたり、あるいは無邪気に触ったりすることで感染するかもしれないのです。

畑や庭を荒らす

野良犬や野良猫が民家にやってきて、畑や庭などを荒らす可能性もあります。

せっかく育てた農作物やガーデニングがめちゃくちゃにされてしまうかもしれません。

鳴き声がうるさい

野良で気になることは、ほかにも鳴き声が挙げられます。

とくに猫の発情期は、一度でも聞いたことがあればすぐに思い出せるほど、なかなか忘れられない騒音でしょう。

繁殖して被害が広がる

野良犬や野良猫を保護せず放置していると、どんどん繁殖して上記のような被害が広がり続けます。

人間の生活を守るため、と言うと傲慢さもありますが、私たちが暮らしていくためだけでなく、野良になってしまった彼らを幸せにするためにも、保護活動は続けられているのです。

保護された犬猫はどうなるの?

保護された犬猫はどうなるの?

上述したような事情によって保護された犬猫は、その後どうなるのでしょうか。

以下では、保護された犬や猫のその先について、詳しく解説していきます。

保健所や保護ボランティアの元に預けられる

保護された犬猫は、自治体が運営する保健所や動物愛護センター、または民間の保護ボランティアなどに一時的に預けられます。

基本的な世話に加えて、民間の保護団体やボランティアは併せて医療ケアもおこないます。

そこでケアと並行して人慣れのトレーニングを行い、里親を見つける取り組みを実施しています。

保護数は年々減少傾向にありますが、それでも2022年で犬22,392匹、猫20,401匹と、未だ多くの子たちが保護施設に引き取られています。

民間の保護施設である「保護猫シェルター」のお仕事について、こちらで紹介しています。

新たな飼い主(里親)の元へ引き取られる

迷子になった犬猫の飼い主からの連絡があった場合、必ず飼い主の事実を証明できるものとの照合がおこなわれます。

照合が成功した場合、ペットは元の飼い主に無事に戻されます。

飼い主が見つからない場合は、動物愛護団体や保護ボランティアなどが新しい里親を見つけるための活動を展開します。

それにより里親が見つかった場合は、新たな飼い主の元で生活することになります。

保護犬・保護猫を飼いたいと考えている方へ、手順や注意点などコチラの記事にまとめました。

なぜ保護犬や保護猫は殺処分されてしまうの?

保護犬や保護猫は、譲渡することが適切でないと判断されると殺処分されてしまいます。

判断基準は、怪我や病気が重く治療が困難だったり、人やほかの動物に危害を与える可能性があると判断されるといったもの。

そして犬や猫自身に問題がなくても譲渡先が見つからないまま収容可能数がなくなったときも、殺処分が検討されることもあるそうです。

保護犬・保護猫の殺処分は減ってきている

殺処分されてしまう保護犬や保護猫がいるという事実もたしかにありますが、一方で政府の働きかけにより「殺処分ゼロ」が進められているのもまた事実です。

環境省の「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」によると、平成16年度では犬・猫の引き取り数が約42万頭、殺処分数が約39万頭でした。

しかし令和4年度になると、引き取り数は約5万頭、殺処分数は約1万頭にまで減っています。

もちろん完全にゼロにするまでは、まだまだ多くの人の協力がいるでしょう。

ただ、この調子で人も動物も幸せに暮らしていける社会が実現されるといいですね。

参考
環境省 統計資料 「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」 (外部リンク)

保護犬・保護猫の里親になるには?

保護犬・保護猫の里親になるには?

ペットを飼う場合、かつてはペットショップでの購入が主流でしたが、現在は保護犬や保護猫を迎える選択肢が主流となりつつあります。

里親になるためには、保健所譲渡会で迎える方法、またはインターネットの里親募集のサイトに掲載されている保護猫たちもいます。

ただし、当日すぐに引き取れるわけではなく、飼育環境や家族構成など譲渡に当たっての条件と照らし合わせて審査がおこなわれることがほとんどです。

再び保護犬・保護猫にさせない為にも、譲り手も慎重に里親を選ぶ必要があるからです。

そのため、里親を希望する側も、本当に一生を守ることができるのか、その環境が整っているかなどをきちんと考える必要があります。

審査に通れば、トライアルと呼ばれるお試し飼育を経て正式譲渡となります。

また、里親になることが決定した場合、ワクチンや検査代などの一部を支払う必要がある場合があります。

目安としては30,000~50,000円程度ですが、譲渡元によって異なります。

里親になる方法、以下の記事でも詳しく解説しています。


まとめ

あらゆる理由で保護された犬猫は、最悪の場合殺処分となります。

その数は年々減少傾向ではあるものの、完全にゼロにするには至っていません。

いちど放棄された犬猫は、体だけでなく心にも傷を負っています。

そして、その子たちを保護して、懸命にケアをして新しい家族の元に繋げようと努力する保護団体、保護ボランティアの方々がいます。

そんな子たちを幸せにしてあげたい。

あなたがそう感じたのなら、一度譲渡会に足を運んでみてはいかがでしょうか?

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