保護猫・保護犬とは、飼い主を失ったり、外で暮らしていたりした犬や猫が、保護団体や動物愛護センターなどで保護されている状態のことです。
野良猫・地域猫との違いや、保護される理由、どんな特徴があるのかを知ることで、「保護猫とは何か」がより分かりやすくなり、迎えるかどうかの判断もしやすくなります。
この記事では、保護犬・保護猫の基本から特徴、保護が必要な背景、迎える前に知っておきたいポイントまでを分かりやすく解説します。
「いつか迎えたい」「まずは知りたい」という方も、気になるところから読んでみてください。
目次
保護犬・保護猫とは?

保護犬・保護猫とは、さまざまな事情により飼い主を失い、動物愛護センターや保護団体などで一時的に保護されている犬や猫のことです。
飼育放棄や迷子、悪質なブリーダーによる遺棄、望まれない繁殖、災害など、保護される背景は一頭一頭異なります。
こうして保護された犬や猫は、必要な医療やケアを受けながら、新しい家族と出会う機会を待ちます。
譲渡会や里親募集を通じて、条件が合えば一般家庭へ迎え入れられ、再び「家族の一員」として暮らすことが目標です。
保護猫と野良猫、地域猫の違い

保護猫・野良猫・地域猫は、見た目は似ていても置かれている立場や扱いが異なります。
この違いを知ることで、「保護猫とはどんな猫なのか」がより分かりやすくなります。
保護猫とは、飼い主を失ったり、外での生活が難しくなったりした猫を、動物愛護センターや保護団体、ボランティアなどが保護している状態の猫です。
保護後は医療ケアや人に慣れるためのサポートを受け、新しい家族(里親)を探します。
野良猫は特定の飼い主がおらず、屋外で生活している猫のこと。
地域猫は野良猫の中でも、不妊・去勢手術を行い、地域住民の協力のもとで管理・見守られている猫です。
大きな違いは、人が関わり、管理されているかどうか。
- 保護猫:保護施設や団体が管理し、里親探しを行っている
- 野良猫:誰にも管理されず、屋外で生活している
- 地域猫:地域でルールを決めて管理・見守りされている
保護犬・保護猫になってしまう理由

保護犬や保護猫たちは、具体的にどういった事情からそうなってしまうのでしょうか。
上記のようにさまざまな理由がありますが、基本的にはどれも人間の身勝手な理由によるもの。
野良犬・野良猫だったから
施設にレスキューされる割合として多いのが、飼い主が分からない犬や猫を保護するケースです。
迷子のほかにも、飼い主に意図的に捨てられた場合もあったりと、その背景はさまざま。
遠くの場所で迷子になり、見知らぬ場所で保護される場合や、行方不明になったまま飼い主がその消息を知らない場合もあります。
1年間で保護される犬の約90%は、飼い主が不明のまま保護されている現状もあり、野良猫や野良犬の保護は深刻化しています。
飼い主による飼育放棄、持ち込み
悲しいことに、経済的な部分や、飼育責任を果たせないといった身勝手な理由によって、ペットが保護施設に持ち込まれることもあります。
引っ越しや生活環境の変化などに伴い、ペットの世話が難しくなり飼育放棄するケースです。
飼い主の高齢化や病気による入院など、やむをえない理由もありますが、ほとんどは飼い主の身勝手な判断によるものです。
ペットが保護施設に置き去りにされる背後には、その他にもさまざまな複雑な事情が絡んでいる場合があります。
悪質なブリーダーの遺棄・多頭飼育崩壊
近年では、劣悪な環境で無理やり繁殖をおこなうブリーダーが後を絶たず、社会的な問題になっています。
経営の行き詰まりなどが原因で廃業し、多頭飼育崩壊の現場が明るみに出た結果、大量の犬猫が保護されるケースも増加しているのです。
2022年には、悪質なブリーダーを排除するための規制が適用されましたが、その一方で、行き場を失う犬猫がいることも事実です。
参考
第3次答申(動物愛護管理法の飼養管理基準に関する省令)の概要(外部リンク)
多頭飼育崩壊は犬猫たちの体調にも深刻な悪影響を与え、瘦せ細っていたり、重篤な皮膚病や感染症、内臓疾患にかかっている場合も多いです。
ペットショップで売れ残った
もともとは血統書付きの犬や猫であっても、買い手がつかずペットショップで売れ残り、飼育がしきれなくなり保護施設に預けられる場合もあります。
もちろんペットショップが最後まで責任を持ち、ブリーダーに返還したり、里親を探したり、お店で飼い続けることもあるでしょう。
ただすべての犬や猫に対してできるかといったら、厳しい現実もあるようです。
そもそもなぜ保護が必要なの?
保護犬・保護猫の「保護」とは、ただ連れ帰ることではなく、犬や猫が安全に暮らせる環境を整え、必要なケアにつなげることを指します。
外での生活は、病気やケガ、交通事故、暑さ寒さなどのリスクが高く、特に子犬・子猫や体力の落ちた個体にとっては命に関わることもあります。
また、望まれない繁殖が続けば行き場のない命が増え、結果として不幸な犬猫を減らすことが難しくなります。
人と犬猫が共に暮らすためにも、適切な保護と管理が大切です。
以下で詳しく説明します。
病気を持っている可能性が高い
屋外で暮らす犬や猫は、寄生虫や感染症にかかっている可能性があります。
十分な医療を受けられない環境では、体調不良やケガが悪化しやすく、見た目では分かりにくい病気を抱えていることも少なくありません。
また、なかには人にも感染する病気があるため、犬猫自身の健康だけでなく、人の安全を守る意味でも適切な保護と医療ケアが必要です。
保護することで、治療や予防が可能になり、安心して共に暮らせる環境につながります。
安全に暮らせる環境がない
屋外での生活は、犬や猫にとって常に危険と隣り合わせです。
交通事故や自然災害、暑さや寒さといった過酷な環境にさらされるほか、十分な食事や清潔な寝場所を確保することも難しくなります。
特に子犬・子猫や高齢の犬猫、体調を崩している個体にとって、屋外で暮らし続けることは大きな負担です。
保護されることで、安全な場所で休み、必要なケアを受けながら体力を回復させることができます。
望まれない繁殖を防ぐため
屋外で暮らす犬や猫は、不妊・去勢手術を受けていない場合が多く、繁殖を止めることができません。
その結果、生まれた子犬や子猫が十分なケアを受けられず、過酷な環境で命を落としてしまうケースもあります。
保護活動を通じて適切な管理や不妊・去勢手術を行うことは、これ以上行き場のない命を増やさないための大切な取り組みです。
人の暮らしを守るためだけでなく、犬や猫が不幸な状況に置かれ続けないようにするためにも、保護は必要とされています。
人と犬猫が共に暮らすため
人と犬や猫が同じ地域で暮らしていくためには、互いに無理のない関係を保つことが大切です。
屋外で暮らす犬猫が増えすぎると、十分なケアが行き届かず、犬猫自身が不幸な状況に置かれてしまうこともあります。
保護活動や適切な管理を行うことで、犬猫の健康や安全を守りながら、人の生活環境とのバランスを保つことができます。
人と犬猫が安心して共に暮らしていくためにも、状況に応じた保護や支援が必要とされています。
保護犬・保護猫の特徴

ここで、保護犬・保護猫の特徴をいくつか紹介します。
もちろん、さまざまな境遇の子が保護されるため、これらが全て当てはまるわけではないことは先にお断りしておきます。
人への警戒心が強い子が多い
前の飼い主やブリーダーから十分な愛情を注がれなかったり、虐待を受けていた子などは、人間に恐怖心を抱いていることがあります。
重い病気や怪我を抱えている場合がある
病気が原因で飼育放棄されたり、先天性の障害で買い手が付かなかったリ、外で交通事故にあったりなど、健康を理由に保護されるケースは多いです。
落ち着きがなく臆病
虐待などのトラウマを抱えていたり、生活環境に問題があり子犬・子猫の頃に十分な社会学習ができなかった子も多く、そういった子は落ち着きのない性格になりやすいと言われています。
保護犬・保護猫を飼うメリット・デメリット
保護犬・保護猫を家族として迎えることには、命を救うという大きな意義があります。
一方で、保護された背景や性格、健康状態には個体差があり、事前に理解しておきたい注意点もあります。
メリットとデメリットの両方を知ることで、自分や家族に合った選択がしやすくなります。
ここでは、保護犬・保護猫を迎える前に知っておきたいポイントを簡潔に紹介します。
保護犬・保護猫を飼うメリット
保護犬・保護猫を迎える最大のメリットは、行き場を失った命に新たな居場所を用意できることです。
多くの保護犬・保護猫は一度人と暮らした経験があり、成犬・成猫の場合は性格や生活リズムが分かりやすい点も安心材料になります。
また、譲渡前に不妊・去勢手術やワクチン接種、健康チェックが行われていることが多く、初期医療の負担が抑えられるケースもあります。
命を大切にする選択肢として、保護犬・保護猫を迎える人が増えています。
保護犬・保護猫を飼うデメリット・注意点
保護犬・保護猫の中には、過去の経験から人に慣れるまで時間がかかる子や、病気・ケガ、心のトラウマを抱えている子もいます。
そのため、すぐに理想の関係を求めず、犬や猫のペースに合わせて向き合う姿勢が必要です。
また、譲渡には条件や審査、トライアル期間が設けられていることが多く、誰でもすぐに迎えられるわけではありません。
保護犬・保護猫を飼うことは「助ける」気持ちだけでなく、最後まで責任を持つ覚悟が求められます。
保護された犬猫はどうなるの?

上述したような事情によって保護された犬猫は、その後どうなるのでしょうか。
以下では、保護された犬や猫のその先について、詳しく解説していきます。
保健所や保護ボランティアの元に預けられる
保護された犬猫は、自治体が運営する保健所や動物愛護センター、または民間の保護ボランティアなどに一時的に預けられます。
基本的な世話に加えて、民間の保護団体やボランティアは併せて医療ケアもおこないます。
そこでケアと並行して人慣れのトレーニングを行い、里親を見つける取り組みを実施しています。
保護数は年々減少傾向にありますが、それでも2022年で犬22,392匹、猫20,401匹と、未だ多くの子たちが保護施設に引き取られています。
民間の保護施設である「保護猫シェルター」のお仕事について、こちらで紹介しています。
新たな飼い主(里親)の元へ引き取られる
迷子になった犬猫の飼い主からの連絡があった場合、必ず飼い主の事実を証明できるものとの照合がおこなわれます。
照合が成功した場合、ペットは元の飼い主に無事に戻されます。
飼い主が見つからない場合は、動物愛護団体や保護ボランティアなどが新しい里親を見つけるための活動を展開します。
それにより里親が見つかった場合は、新たな飼い主の元で生活することになります。
保護犬・保護猫を飼いたいと考えている方へ、手順や注意点などコチラの記事にまとめました。
なぜ保護犬や保護猫は殺処分されてしまうの?
保護犬や保護猫は、譲渡することが適切でないと判断されると殺処分されてしまいます。
判断基準は、怪我や病気が重く治療が困難だったり、人やほかの動物に危害を与える可能性があると判断されるといったもの。
そして犬や猫自身に問題がなくても譲渡先が見つからないまま収容可能数がなくなったときも、殺処分が検討されることもあるそうです。
保護犬・保護猫の殺処分は減ってきている

殺処分されてしまう保護犬や保護猫がいるという事実もたしかにありますが、一方で政府の働きかけにより「殺処分ゼロ」が進められているのもまた事実です。
環境省の「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」によると、平成16年度では犬・猫の引き取り数が約42万頭、殺処分数が約39万頭でした。
しかし令和4年度になると、引き取り数は約5万頭、殺処分数は約1万頭にまで減っています。
もちろん完全にゼロにするまでは、まだまだ多くの人の協力がいるでしょう。
ただ、この調子で人も動物も幸せに暮らしていける社会が実現されるといいですね。
保護犬・保護猫の里親になるには?

ペットを飼う場合、かつてはペットショップでの購入が主流でしたが、現在は保護犬や保護猫を迎える選択肢が主流となりつつあります。
里親になるためには、保健所や譲渡会で迎える方法、またはインターネットの里親募集のサイトに掲載されている保護猫たちもいます。
ただし、当日すぐに引き取れるわけではなく、飼育環境や家族構成など譲渡に当たっての条件と照らし合わせて審査がおこなわれることがほとんどです。
再び保護犬・保護猫にさせない為にも、譲り手も慎重に里親を選ぶ必要があるからです。
そのため、里親を希望する側も、本当に一生を守ることができるのか、その環境が整っているかなどをきちんと考える必要があります。
審査に通れば、トライアルと呼ばれるお試し飼育を経て正式譲渡となります。
また、里親になることが決定した場合、ワクチンや検査代などの一部を支払う必要がある場合があります。目安としては30,000~50,000円程度ですが、譲渡元によって異なります。
里親になる方法、以下の記事でも詳しく解説しています。
まとめ
保護犬・保護猫は、飼育放棄や迷子、繁殖の問題など、さまざまな事情を抱えて保護された存在です。
近年、殺処分される犬猫の数は減少していますが、今もなお行き場を失った命があるのが現実です。
保護された犬猫の多くは、心や体に不安を抱えながらも、新しい家族との出会いを待っています。
その裏では、保護団体やボランティアの人たちが、一頭一頭に向き合い、ケアや譲渡活動を続けています。
もしこの記事を読んで、保護犬や保護猫を迎えることに少しでも関心を持ったなら、譲渡会や里親募集の情報をのぞいてみるのもひとつの選択肢です。
「知ること」から始める行動が、犬猫と人のよりよい未来につながっていきます。
参考サイト(外部リンク)

ぽちたま薬局のライターです。
実家では猫を飼っています。
これまでに犬やインコ、ウーパールーパーなど、動物に囲まれて暮らした経験があります。











