フィラリアが心臓に与える影響

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フィラリアが心臓に与える影響について

フィラリアは、犬や猫に寄生すると心臓などに影響を与える恐ろしい寄生虫です。
心臓の働きを低下させたり、血液循環を悪化させたりして、さまざまな症状を引き起こします。

飼い主として、フィラリア症がどのようなものか知っておくことも大切です。

この記事では、フィラリア症が犬や猫の心臓に与える影響について解説していきます。

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フィラリアとは

フィラリアは、成虫になると30cmにもなる寄生虫で、犬糸状虫(いぬしじょうちゅう)とも呼ばれます。
非常に細く白い寄生虫で、尾の部分は螺旋状に巻いており、オスよりもメスの方が大きいというのが特徴。

また、メスが産んだミクロフィラリアは0.3㎜ほどの大きさなので、顕微鏡で見なければ確認できません。
ミクロフィラリアは、蚊が感染犬の血を吸うことで蚊の体内に入り、その蚊がフィラリアに感染していない犬に吸血することで感染します。

フィラリアは心臓のどこにいる?

フィラリアは心臓のどこにいる

フィラリアは、心臓の右心室から肺動脈に寄生します。
しかし、蚊に刺されてすぐにフィラリアが心臓に寄生するわけではありません。

まずは、感染犬の血を吸うことで蚊の体内にミクロフィラリアが入り、幼虫まで育ちます。
その後、他の犬へ蚊が幼虫を媒介すると、感染は成立です。

犬の体内に侵入したミクロフィラリアは2~3ヶ月ほど皮膚などで発育を続けた後、血管に入って移動を続けます。
心臓まで移動した後は、右心室と肺動脈あたりに寄生して3~4ヶ月ほどで成虫になり、ミクロフィラリアを産むようになります。

フィラリアが心臓に与える影響

フィラリアが心臓に与える影響

フィラリアは、心臓に寄生すると右心房や右心室、肺動脈などを閉塞する恐れがあります。
また、血液循環の悪化も引き起こすので、体調に変化が現れ始めます。

■心臓の血管の塞栓
フィラリアは心臓や肺の大静脈に寄生し、血管を塞ぐことがあります。
これにより血液の流れが阻害され、心不全を引き起こすことがあります。

■三尖弁の機能不全
フィラリアが三尖弁(右心房と右心室の間にある弁)に絡みつくと、弁が正常に閉じなくなります。
これにより血液が逆流し、心臓の負担が増え、最終的に心不全につながります。

しかし、症状は寄生しているフィラリアの数や感染している期間、寄生している場所によっても異なるのでさまざまです。

一般的に、寄生数が少ない初期は体調に変化はあまりないですが、寄生数が増えると急性フィラリア症や慢性フィラリア症を引き起こして、放置した場合は死に至ります

具体的な事例

ある研究では、151例の犬が大静脈塞栓症(心臓の大静脈を塞いでしまう症状)に対する治療、頸静脈からフィラリアを取り除く手術が行われました。

しかし、手術後1年以内に39例が心不全で死亡した事例があります。

そのうち、手術中または術後に心臓の三尖弁(右心房と右心室の間にある弁)の異常音(収縮期心雑音)が確認された8例のうち、6例でフィラリアが三尖弁の腱索(弁を支える細いひも)に絡みついていることが明らかに。
この絡みつきが弁の機能不全を引き起こし、心不全に繋がったと考えられます。

また寄生虫の数が少なくても、腱索に絡みつくと、三尖弁の閉鎖不全(弁がちゃんと閉じない状態)を引き起こし、予後が悪くなるようです。

もう少し簡単に説明すると、フィラリアが心臓の弁を支えるひもに絡みつくと、弁が正しく閉じなくなり、その結果、心臓に問題が生じてしまい、治療しても予後が悪いということです。

参考
犬糸状虫の三尖弁腱索てん絡例(外部リンク)

症状

犬の心臓にフィラリアが寄生した場合の症状は、以下の通りです。

・心雑音
・労作時呼吸困難
・胸水による呼吸困難
・腹水や腹囲膨満
・元気や食欲の低下
・頸静脈怒張
・皮下浮腫

上記以外には、ベナケバ症候群によって虚脱やショック、重度の溶血性貧血や血尿、黄疸などが現れる恐れもあります。

また、猫が感染した場合は無症状であることが多く、独自の免疫作用によって心臓に寄生した成虫を殺してしまう可能性があるので、突然死するケースも少なくありません。

フィラリア症の治療法

フィラリア症の治療法

フィラリア症は手術や対処療法、駆除薬など、感染の程度によって治療法が異なります。

感染が重度の場合は、手術でフィラリアを摘出することもありますが、特殊な器具を使用するため、どこの動物病院でも受けられる治療ではありません。

また、手術に耐えられないと判断された場合は対処療法になるので、フィラリアには対処をせず苦痛を緩和させるなどの治療のみです。

フィラリアの寄生数が少ないケースでは、駆除薬を使用する場合もありますが、リスクも伴います。
体内でフィラリアが死んだ場合は、肺動脈などに詰まってアナフィラキシーショックを引き起こす恐れもあるため危険です。

フィラリア症は手術や対処療法、駆除薬などで治療を行いますが、危険が伴うので感染させないことが大切です。

フィラリア予防の重要性

フィラリア症は、蚊に刺されることで寄生する感染症です。
感染すると心臓や肺動脈に寄生するため、心臓の動きが低下して全身の血液循環の悪化を引き起こし、最悪の場合は死に至ります。

犬への感染は、寄生数が多いケースの治療にはリスクが伴い、猫に関しては安全な治療法も確立されていません。

近年は、地球温暖化による影響で1年中活動している蚊がいます。
地域や涼しい季節、完全室内飼育の猫や外出の機会が少ない犬でも感染リスクはあるため、しっかり予防してあげることが大切です。

恐ろしい寄生虫ではありますが、フィラリア予防薬を正しく投与することでフィラリア症は100%防げます。
対策はしっかり行い、フィラリアから愛犬や愛猫を守ってあげましょう。

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