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フィラリア予防薬の副作用・種類別対処法について解説!

フィラリア予防薬の副作用について

「フィラリアは予防薬で防げる」と聞いたことはあっても、
「フィラリア予防薬って本当に安全?」
「副作用は大丈夫なの?」

といった点は、飼い主さんにとって非常に気になることだと思います。

この記事では、犬のフィラリア予防薬の種類ごとの副作用と対処法について、詳しく解説します。
フィラリア予防薬の副作用について気になっている飼い主さんは、ぜひご活用ください。

>>【犬用】フィラリア予防薬の詳細はこちら

犬用フィラリア予防薬の種類

フィラリア予防薬にはどんな種類があるのか、一覧表で紹介します。

メリット デメリット 副作用
錠剤タイプ 食物アレルギーのある犬にも投与できる 味に敏感な子は飲んでくれない 嘔吐、吐き気、鬱、無気力、食欲不振、下痢など
おやつタイプ 薬と気づかず食べてくれる 含まれている成分に食物アレルギーがあると投与できない 下痢、嗜眠、食欲不振、嘔吐など
滴下タイプ 錠剤・おやつタイプと違って薬を吐き出す心配がない 活発に動き回る子や皮膚の病気がある子には不向き 投与部位の炎症、一過性の脱毛、まれに嘔吐や下痢など
注射タイプ 1回の注射で1年間予防できる 注射できない犬がいる
動物病院でしか接種できない
ミクロフィラリア反応、アナフィラキシーショックなど

フィラリア予防薬の選び方については、以下の記事で詳しく解説しています。

フィラリア予防薬の副作用

フィラリア予防薬の副作用について解説します。
フィラリア予防薬は各タイプによって副作用の症状が異なるので、参考にしてください。

錠剤・おやつタイプの副作用

錠剤やおやつなど内服するタイプのフィラリア予防薬には、以下の副作用があります。

・嘔吐
・下痢
・意識障害
・食欲不振
・よだれ
・ぐったりして元気がなくなる、など

食物アレルギーがある犬の場合、該当する材料が含まれている(例:牛肉、豚など)フィラリア予防薬を投与すると、嘔吐や下痢などの症状を引き起こすこともあります。

フィラリア予防薬を飲ませた後に下痢や嘔吐をしてしまうと、薬が十分に吸収されず、予防効果が得られないこともあります。
下痢や嘔吐をしてしまう場合は、翌月から違う種類の薬に変更してみるといいでしょう。

滴下タイプの副作用

滴下タイプのフィラリア予防薬には、以下の副作用があります。

・薬を垂らした部位の刺激
・赤みが出るなどの炎症
・脱毛など

その他、薬を垂らした部位を犬や猫が舐めてしまった場合は、嘔吐や食欲不振などの症状を引き起こすこともあります。
多頭飼いの場合は、他の動物が薬剤を舐めてしまわないよう注意が必要です。

注射タイプの副作用

注射タイプのフィラリア予防薬には、以下の副作用があります。

・ミクロフィラリア(フィラリアの幼虫)反応
・アナフィラキシーなどのショック反応
・発熱や顔のむくみ(ムーンフェイス)
・注射を打った部位にしこりができるなど

もしフィラリアに感染している場合にフィラリア予防の注射を受けると、体内のミクロフィラリア(フィラリアの幼虫)が薬によって急激に死滅することで、アレルギー反応や、血圧低下・意識障害などのアナフィラキシーを引き起こす可能性があります。

また、薬で死滅したミクロフィラリアが肺・腎臓などの臓器や毛細血管に詰まる危険もあります。

なお、フィラリア予防薬の注射を受けられない犬もいます。
愛犬が下記に該当する場合、注射タイプによる投与は避けてください。

  • 過去にアレルギー経験がある
  • 成長期
  • 妊娠中
  • 老犬
  • 重い病気を抱えている

フィラリア注射については、以下の記事で詳細を解説していますのでご活用ください。

コリー系統の犬種の副作用について

ボーダー・コリーやイングリッシュ・シェパードなど、コリー系統の犬種はフィラリア予防薬に含まれる成分(イベルメクチンやミルベマイシンなど)に弱く、副作用が出やすいです。

イベルメクチンやミルベマイシンオキシムによる主な副作用は、歩様蹌踉(ほようそうろう)や散瞳、昏睡、けいれんなどの神経症状があらわれるほか、最悪の場合は死に至ることもあります。

【コリー系統の犬種】
・コリー
・ボーダー・コリー
・ホワイトスイスシェパード
・オーストラリアンシェパード
・イングリッシュ・シェパード
・シェットランド・シープドッグ
・オールド・イングリッシュ・シープドッグ

コリー系統の犬種は、一定数がMDR1遺伝子を欠損しています。

このMDR1遺伝子は薬が脳に作用しないようバリアをする役割があるのですが、欠損していると薬が脳に作用することで強い影響を受け、重大な副作用を引き起こしてしまいます。

成分イベルメクチンについては低用量の投与であれば副作用の可能性は低い、とされていますが、副作用の可能性はゼロではありません。

コリー系統の犬種にフィラリア予防薬を投与するなら、イベルメクチンやミルベマイシン以外の成分が含まれている薬を選びましょう。

また、上記以外にも慎重投与が必要な成分や注意が必要な成分もあるため、薬選びには気を付けてください。

【参考リンク】
コリーにおけるIvermectinの安全性の評価
コリー, シェルティ及び日本犬雑種における血漿ミルベマイシンD濃度

老犬にフィラリア予防薬を投与した場合の副作用

老犬は若い犬と比べると、体力や抵抗力が落ちていたり、他の病気を治療していたりすることもあります。
そのため「体力がないのにフィラリア予防薬を使って大丈夫?副作用は?」と心配になると思います。

確かに、老犬で体力が衰えていたり体が弱っていたりすると副作用のリスクは存在し、下痢や嘔吐といった症状が現れる場合もあります。
ただし、老犬であってもフィラリア予防はやっておくことをお勧めします。

「老犬で散歩の機会が減ったから、フィラリアの可能性は低い」
「寝たきりでずっと家にいるから、フィラリアにはなってない」

と思っていても、蚊は外だけでなく室内にも侵入してくるため、感染のリスクはゼロではありません。確実に予防するなら、フィラリア予防薬は使用した方が良いです。

なお、どうしても副作用が気になるという場合は、以下の対処法を参考にしてください。

①普段から犬の健康状態を観察し、記録しておく。
②フィラリア予防薬を投与した日は、外出せずに犬の傍で様子を見守る。
③投与後、もし何らかの変化があったらすぐに動物病院へ行く。

副作用が出た場合の対処法

フィラリア予防薬を投与後、副作用が出た場合の対処法について解説します。

投与してすぐに吐いてしまった場合の対処法

錠剤やおやつなど内服するタイプのフィラリア予防薬を投与後、すぐに吐いてしまった場合は薬を再度投与すれば大丈夫です。

ただし、再度投与しても連続で吐いてしまう場合は、薬のタイプが体質に合っていない可能性があります。
その場合は内服タイプから滴下タイプに変えるなど、犬の体質や状態に合わせて薬を変更してください。

投与して1~2時間以内に吐いてしまった場合の対処法

錠剤やおやつなど内服するタイプのフィラリア予防薬を投与後、1~2時間以内に吐いてしまった場合は、予防薬の成分が吸収されずに吐きだされている可能性があります。

この場合は、動物病院で診察を受けてください。
投与して1~2時間以内に吐いてしまったことを伝え、獣医師に追加で投与した方が良いか相談しましょう。

投与して3時間以上経ってから吐いてしまった場合の対処法

錠剤やおやつなど内服するタイプのフィラリア予防薬を投与後、3時間以上経っていれば予防薬の成分は吸収されていると考えられます。

しかし、3時間以上経っていても薬が吐きだされてしまう場合があります。
3時間以上経って吐いてしまった場合は、念のため動物病院へ事情を伝えて相談してください。

アレルギーやショック反応があった場合の対処法

錠剤やおやつなどの服薬タイプや滴下タイプは、まれにアレルギー反応で以下の副作用を起こす場合があります。

  • ぐったりして動かない
  • 呼吸が早く、様子がおかしい
  • 動きたがらない
  • よだれをだらだら流す
  • けいれんする

これらの副作用が出た際には、直ちに動物病院を受診してください。

また、動物病院でフィラリア予防の注射を接種した際にショック反応(血圧低下、意識障害など)が起こった場合は、その場で獣医師に対処してもらってください。

アレルギーやショック反応は危険な状態になる場合もあります。
特に初めてフィラリア予防薬を投与した後は、しばらく愛犬の様子を注意深く見守っておくことをおすすめします。

滴下タイプで赤みなどの症状が出た場合の対処法

滴下タイプのフィラリア予防薬を投与後、赤みや脱毛など気になる症状が出た場合は動物病院で診察を受けてください。

なお、塗布した部位を舐めてしまった場合、嘔吐や食欲不振などの副作用を引き起こすことがあります。
また、予防薬が乾く前に舐めることで効果が十分に出ない可能性があります。

気になる症状が出た時だけでなく、乾く前に薬を舐めてしまった場合も動物病院の診察を受けて相談してください。

フィラリア予防薬を安全に使用するための注意点

フィラリア予防薬を安全に使用するためにも、使用前に必ず血液検査を受けましょう。
検査を受ける必要があるのは、ショック反応などの副作用を防ぐためです。

気づかない内に愛犬がフィラリアに感染している状態で予防薬を使用すると、体内のフィラリアが一気に死滅することで、ショック反応が起こる可能性があります。

ショック反応が激しい場合は死に至ることもあるので、絶対に検査なしに自己判断で投与しないでください。

フィラリア予防薬のメリットと副作用のリスクについて

フィラリア予防薬を投与する上で、副作用のリスクは少なからずあります。
しかし、フィラリアは予防薬の投与によって確実に防げる病気です。

逆に予防を行わずに放置していると感染するリスクの方が高くなり、感染して悪化した場合は最悪死に至るケースもあります。

フィラリア予防薬は副作用が全く出ない訳ではありませんが、フィラリアを予防できるというメリットは大きいので、使用することをお勧めします。

気になる点がある場合は獣医師に相談を

「フィラリア予防薬を初めて使う」
「愛犬に持病がある」
「老犬だから体力が持つか心配」

など、フィラリア予防薬の副作用について不安や心配な点がある場合は、獣医師に相談したうえで決めることをお勧めします。

なお、フィラリア予防は毎年行う必要があるので、かかりつけの動物病院や獣医師を決めておくとすぐに相談することができ、副作用が出た場合も対処してもらえるので安心です。

フィラリア予防薬の副作用Q&A

フィラリア予防薬の副作用についてよくある質問をまとめていますので、参考にしてください。

フィラリア予防薬を飲ませたらぐったりしてしまった。これって副作用?

フィラリア予防約薬の副作用の他に、愛犬の体調不良の可能性も考えられます。
いずれにしても、気になる症状があった場合は動物病院で診察を受けてください。

薬を誤って多く飲ませてしまった。副作用が出てしまう?

一ヶ月の内に2回飲ませた、2日連続で投与したという程度であれば、副作用が強く出る可能性は少ないです。

ただし、心配な場合は動物病院で診察を受けましょう。
なお、大量に飲ませたなど多く与えすぎた場合は、獣医師に相談してください。

去年分で残っていたフィラリア予防薬を飲ませても大丈夫?副作用が出たりする?

飲ませるのは危険です。残っていたフィラリア予防薬があるということは、投与し忘れた月があるということです。

薬を飲んでいなかった期間にフィラリアに感染している可能性があるので、検査をせずに飲ませるとショック反応などの副作用を起こす場合があります。

残っているフィラリア予防薬がある場合は飲ませずに、動物病院で血液検査を受けてください。

狂犬病のワクチン接種と予防薬の投与は同じ日に行っても大丈夫?副作用が出る?

狂犬病のワクチン接種とフィラリア予防薬の投与を同じ日に行った場合、副作用などで体調を崩した時にどちらが原因なのか分かりづらくなるため、日にちはずらした方が良いです。

フィラリア予防薬は狂犬病のワクチン接種を受けた日の翌日、または2、3日後に様子を見ながら投与してください。

他の薬を飲ませているけど、フィラリア予防薬と併用しても大丈夫?併用による副作用の可能性は?

フィラリア予防薬と併用可能な薬はありますが、併用に注意が必要な薬もあります。
愛犬が現在服用している薬と併用できるのか、副作用が出る可能性については、獣医師に詳細を確認・相談してください。

フィラリア予防薬を飲ませたら必ず副作用は出る?

必ず副作用が起こる訳ではありません。
副作用が出ない、出たとしても一時的な症状の場合もあります。
ただし、すでにフィラリアに感染している犬にフィラリア予防薬を飲ませると、副作用が現れるリスクが高くなります。
副作用を避けるためにも、フィラリア予防薬の投与前に必ずフィラリア検査を受けましょう。

まとめ

  • フィラリア予防薬には錠剤タイプ、おやつタイプ、滴下タイプ、注射タイプがあり、副作用が出る場合もある
  • フィラリア予防薬を初めて使用する場合は、使用前に血液検査を受けることでショック反応などの副作用を防げる
  • フィラリア予防薬を投与後、嘔吐や下痢、ぐったりしていて元気がないなど気になる症状が出た場合は、動物病院で診察してもらう

フィラリア予防薬にはアレルギーや下痢、嘔吐など副作用があります。
副作用は必ず出るというものではなく、その時の愛犬の健康状態によって影響が出る場合もあります。

薬である以上、副作用の可能性はゼロではありませんが、愛犬をフィラリアから守るためにもフィラリア予防薬の使用は推奨されています。

なお、フィラリア予防薬を安全に使用するためには使用前に必ず血液検査を受けてください。
予防薬を投与した後は愛犬の体調の変化を見守り、副作用と思われる症状が出たらすぐに動物病院で診察を受けましょう。

>>【犬用】フィラリア予防薬の詳細はこちら

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