猫の飼い主さんの中には、ノミダニの予防はいつから始めたらいいのか気になっている方は少なくありません。
また、急に猫を飼うことになったため、ノミダニ予防について知りたがっている方や、室内飼いで外に出さなくてもノミダニ予防薬は必要なのか気にしている方もいます。
この記事ではそんな飼い主さんの疑問にお答えして、ノミダニ予防薬はいつから始めればいいのか、室内飼いの猫ちゃんにも必要なのかについて詳しく解説します。
目次
猫のノミダニ予防薬はいつから始める?
猫のノミダニ予防のためにお薬を使う場合、3月からの投与を勧める病院もありますが、たいていは4月から始めて11月、または12月までの使用推奨する動物病院が多いです。
最近は温暖化のため、暖かい時期だけではなく年間を通してのノミダニ予防を推奨する動物病院も増えています。
なお、外に出る習慣のある猫ちゃんは通年投与が必要となります。
猫に寄生するノミについて
ノミはとても繁殖力の強い生き物のため、気温や室温が13℃あれば繁殖が可能となります。
2016年~2017年および2019年~2020年の冬季において、東京都の市街地域で屋内飼育されていた犬50頭、猫50頭のうち、2016年~2017年では犬1頭と猫2頭、2019年~2020年は猫2頭からノミが採取されたとの調査結果が報告されています。
そのため、冬だからノミはいないだろうと油断するのは禁物です。
猫がノミに寄生されると、以下の症状が現れます。
・激しいかゆみを伴うアレルギー性皮膚炎
・ノミの吸血による貧血
・瓜実条虫(サナダムシ)の寄生による瓜実条虫症
参考
2016年~2017年および2019年~2020年の冬季に東京都の市街地域において屋内飼育されていた犬と猫におけるノミの感染状況(外部リンク)
猫のノミは人にもうつる
ノミは猫に寄生するとかゆみや貧血、瓜実条虫の感染が起こりますが、人間にも害をもたらします。
人の皮膚でも吸血をおこなうため、ノミに刺されると皮膚に赤いぶつぶつができ、10分~48時間前後に激しいかゆみがおこります。
刺された部分を掻いてしまうと、化膿したり水ぶくれになったりするノミ刺咬症を引き起こすため、注意が必要です。
参考
皮膚科Q&A(公益社団法人日本皮膚科学会)虫刺され Q5 (外部リンク)
猫に寄生するダニについて
猫に寄生するダニにはいくつか種類がありますが、ここでは代表的なマダニについて説明します。
マダニは布団やカーペットなどに生息している小さなダニとは違い、草むらやヤブ、山林に生息している3~10mmほどのサイズのダニです。
近づいてきた人間や動物に寄生して吸血し、満腹になるまで数日間皮膚に食らいついたまま過ごします。
参考
日本の犬と猫におけるマダニの寄生状況調査(外部リンク)
猫がノミに寄生されると、以下の症状が現れます。
・皮膚炎
・貧血
また、以下の感染症を引き起こす場合があるため、注意が必要です。
Q熱
感染後2~3週間後に突然高熱、頭痛、悪寒、嘔吐、吐き気、関節や筋肉痛、下痢、胃痛、胸の痛みなどが現れ、7~10日ほどで回復します。
猫ヘモプラズマ症
食欲低下、元気消失、間歇的な発熱黄疸、溶血性貧血が現れ、1~2週間で回復します。
ライム病
└感染初期:マダニに刺された場所から紅斑が広がる、頭痛、悪寒、発熱、関節痛、筋肉通、倦怠感などの症状が現れます。
└播種期:不整脈、神経症状、皮膚症状、筋肉炎、関節炎、眼症状などの症状が現れます。
└慢性期:慢性関節炎、慢性萎縮性肢端皮膚炎、慢性脳脊髄炎などの症状が現れます
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
6日~2週間の潜伏期間後、嘔吐、嘔気、下痢、倦怠感、出血症状、リンパ節のはれなどの症状が現れます。
参考
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)を発症した猫の 1 例(外部リンク)
猫のマダニは人間にも危険!
マダニは人と動物に感染する人獣共通感染症を引き起こすため、猫だけではなく、人間にも害を及ぼします。
マダニが猫に寄生することで発生する感染症の中でも、以下の3つは人間にも感染します。
・Q熱
・ライム病
・重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
特に重症熱性血小板減少症候群は有効な治療法やワクチンがないため、症状に合わせた対症療法しかありません。
感染した場合の致死率は6.3〜30%と報告されており、実際に死亡例もあるため、特に注意が必要です。
参考
厚生労働省(外部リンク)
NIID 国立感染症研究所|ライム病とは(外部リンク)
NIID 国立感染症研究所|重症熱性血小板減少症候群(外部リンク)
猫のノミダニ予防薬は室内飼いの猫でも必要?
猫を完全室内飼いにしている場合、ノミダニ予防薬は必要ない気がしますが、ノミは6~7℃の冬の間でも寄生することがあるため、油断は禁物です。
ノミは気温が13℃以上あれば活動・繁殖が可能なため、もし暖かい家の中に入られた場合は大量発生する可能性があります。
また、マダニも一年中生息しているため、年間を通して予防する必要があります。
ノミダニの感染ルート
・飼い主さんの服や靴にノミ、ダニがくっついたまま帰宅した。
・一緒に飼っている犬や猫が散歩に出かけた際にノミ、ダニが付着したまま帰宅した。
・猫を飼っている知人宅に訪問した際にノミ、ダニが付着し、そのまま帰宅した。
・動物病院へ連れて行った際に、他の犬や猫に付着していたノミ、ダニに寄生されてしまった。
猫自身は外に出なくても、飼い主さんや同居している他の猫や犬が外出する習慣がある場合、家の中にノミダニを持ち込む確率が高いため、予防薬が必要です。
よくある質問
ここでは、猫のノミダニ予防薬に関するよくある質問を紹介します。
猫のノミダニ予防薬は必ず必要?
猫のノミダニ予防薬は必ず必要です。
ノミダニ共に1年を通して生息しているため、寄生される可能性があります。
もし愛猫が寄生されてしまった場合、アレルギー性皮膚炎や貧血、瓜実条虫症など健康を損なう可能性があります。
一緒に生活している飼い主さんの健康にも悪影響を及ぼす可能性があるため、完全室内飼いの猫でも予防薬を使用しましょう。
特に、外に出る習慣のある猫は必ず予防薬を投与してください。
猫のノミダニ予防薬はいつまで?
猫のノミダニ予防薬はいつまで行えばよいかいうと、春先の3月または4月から開始し、11月または12月まで続けることを推奨している動物病院が多数を占めています。
しかし近年、温暖化によって気温の高い期間が長くなっているため、年間を通した予防を勧める動物病院も増えています。
一緒に生活している飼い主さんの健康にも悪影響を及ぼす可能性があるため、完全室内飼いの猫でも予防薬を使用しましょう。
より確実な予防を行い場合は、通年投与をおすすめします。
猫のノミダニ予防は市販薬でも効果ある?
動物病院で処方されるお薬と市販薬について、効果の最大効果日数を表にしました。
1日目の駆除率 | 最大効果日数 | |
---|---|---|
処方薬 | ほぼ100% | 35~60% |
市販薬 | 1ヶ月 | 2~3週間 |
残念ながら市販薬は動物病院で処方してもらうお薬に比べると、駆除率が最大で60%ほどしかありません。
効果が継続する期間も2~3週間のため、処方薬に比べると短いです。
しかし処方薬は投薬した初日からほぼ100%の駆除率で、この効果が1ヶ月間持続します。
猫の確実なノミダニ予防効果を望むなら、市販薬ではなく処方薬がおすすめです。
子猫へのノミダニ予防薬はいつから使える?
子猫へのノミダニ予防薬の使用は、生後8週または9週齢以上からとなっています。
生まれてから2ヶ月以上経過していれば、予防薬を投与できる計算となります。
ただし予防薬の種類によっていつから使えるのかは異なるため、心配な方は動物病院に相談しましょう。
まとめ
猫のノミダニ予防薬は、室内飼いだから投与しなくて大丈夫という訳ではありません。
飼い主さんの靴や衣服に付着したことに気が付かず、家の中に持ち込んでしまったり、病院へ連れて行った際に他の犬猫からもらってしまったりと、寄生されるチャンスはたくさんあります。
ノミは真冬の東京で室内飼いされている犬や猫からも発見されているため、年中生息しているマダニと合わせて、1年を通した予防をおすすめします。
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