猫も人間と同じように、くしゃみをすることがあります。
くしゃみをしている愛猫を見ると体調を崩していないか、病気の兆候ではないかと飼い主さんが不安に感じるかもしれません。
結論
・時々くしゃみをする程度で、いつも通り元気で、食欲もあるなら問題なし
・何日もくしゃみが続いていたり、連発でくしゃみをしたりする場合や、鼻水や目やになど他の症状も現れている場合は注意
この記事では猫がくしゃみをする原因や、くしゃみの原因として考えられる病気について解説していきます。
目次
猫のくしゃみと咳の見分け方
猫はくしゃみの他にも、咳をすることがあります。
また咳に似た症状に、逆くしゃみという行動が見られることもあります。
一見区別がつきにくい症状ですが、くしゃみと咳では隠れている病気も異なるため、見分けるのは重要です。
以下では猫のくしゃみ・咳・逆くしゃみの見分け方を簡単に解説します。
くしゃみ | ・「くしゅん!!」と言う音 ・音が出る時に頭を振る |
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咳 | ・ケホケホと乾いた音 ・お腹が凹んだタイミングで音が出る ・喉を伸ばし、頭を振らない |
逆くしゃみ | ・咳に似た音 ・お腹が膨らんだタイミングで音が出る ・1分ほとで収まり、物を飲み込むようなしぐさをする |
猫がくしゃみをする原因は?
猫がくしゃみをする原因は、大きく2つに分けられます。
同じくしゃみでも、原因の違いにより緊急性も異なります。
愛猫のくしゃみが生理現象によるものであれば問題ありませんが、体調の異変によるものであれば治療が必要になることもあります。
ここからは猫がくしゃみをする原因について、個別に解説していきます。
生理現象としてのくしゃみ
猫は、鼻で呼吸をしている動物です。
したがって鼻に何らかの異物の侵入や刺激があったときに、くしゃみや鼻水が出ることがあります。
・草やほこり、猫砂などの異物
・香水などの香りが強いもの
・タバコやお香の煙
・窓やドアを開けたときの冷たい空気
これらが原因で出るくしゃみや鼻水は、生理現象によるものです。
あくまでも一時的なものであり、異物が取り除かれると症状も収まるため問題ありません。
また生理現象によるくしゃみでは、透明でさらさらとした鼻水が見られます。
体調の異変によるくしゃみ
特に注意したいのが、体調の異変によるくしゃみです。
猫はウイルスや細菌感染をはじめ、体調の異変によりくしゃみが出る場合があります。
体調の異変によるくしゃみは、生理現象によるくしゃみと症状の現れ方が異なります。
・連続でくしゃみが出る
・くしゃみが長期間続いている
・鼻詰まりが起きている
・粘り気があり、黄色や赤色の鼻水
また目やになど、くしゃみ以外の症状を併発している場合も多いです。
愛猫の様子に異変を感じた場合、すぐに動物病院を受診することをおすすめします。
元気、食欲がある場合は様子を見る
猫は何らかの病気の兆候としてくしゃみをすることがあります。
しかし、くしゃみが出ているからと言って必ずしも体調を崩しているとは限りません。
1、2回程度でくしゃみが収まる、あるいはたまにくしゃみが出る程度であれば生理現象によるくしゃみの可能性が高いです。
他に気になる症状は無く、くしゃみをした後でも元気や食欲がある場合は様子を見ることをおすすめします。
ただし異変が見当たらないからといって油断をせず、何か変化があった際に見落とさないよう、普段から愛猫の様子を観察しておきましょう。
こんな時は動物病院へ
愛猫がくしゃみをしているときに、注意が必要なケースをご紹介します。
このような症状が見られる場合、何らかの病気の兆候としてくしゃみが出ている可能性があります。
症状がひどいときには様子を見ず、すぐに動物病院を受診してください。
目やに、鼻水などの症状を併発している
猫のくしゃみが病気によるものであった場合、他の症状を併発することがあります。
・目が充血している
・目やにや涙が出る
・粘り気のある黄色っぽい鼻水
・鼻血、または血の混じった鼻水
・発熱
・食欲の低下
・元気の消失
・口の中を気にする
・鼻、鼻まわりが腫れている
もしも愛猫がくしゃみをしているのであれば、上記のような症状を併発していないかチェックしてみてください。
当てはまる症状がひとつでもある場合、念のため動物病院を受診しましょう。
くしゃみが多い、連続する
愛猫が一度くしゃみをすると連発して止まらない、くしゃみの回数が多い、または毎日のようにくしゃみをしている場合は、動物病院を受診するようにしましょう。
くしゃみが多かったり、連続していたりする場合は、何らかの病気が原因として隠れている可能性が考えられます。
特に子猫や若い猫が病気にかかってしまうと重症化しやすいため、早めの治療が大切です。
くしゃみで考えられる病気
猫にくしゃみの症状が出ていた場合、さまざまな病気の可能性が考えられます。
今回は猫がくしゃみをしていたときに考えられる、主な病気をご紹介します。
以下では4つの病気について、さらに詳しく解説していきます。
猫風邪
人間のように猫も風邪をひきます。
一般に猫風邪と呼ばれ、猫にくしゃみの症状が出ているときに考えられる代表的な病気です。
原因としてはカリシウイルスやヘルペスウイルス、クラミジアなど細菌やウイルスによる感染が原因で発症します。
もしも愛猫が猫風邪にかかっていないか心配な場合は、くしゃみ以外に次のような症状が出ていないかを確認してください。
当てはまる症状がある場合、猫風邪にかかっている可能性が考えられます。
・粘り気のある黄色っぽい鼻水
・食欲不振
・目やに
・咳
猫風邪では、病原体となる細菌やウイルスが猫の鼻の粘膜に感染することでくしゃみの症状が現れます。
生活環境の変化などのストレスなど、免疫力が低下したときに感染リスクが高まり、特に子猫や老齢の猫では重症化しやすいため注意しましょう。
FIP(猫伝染性腹膜炎)という猫のコロナウイルスの感染による難治性の病気がありますが、この場合はくしゃみや鼻水といった風邪の症状を伴いません。
アレルギー(花粉・ほこりなど)
人間と同じく、猫もアレルギーによりくしゃみが出ることがあります。
猫のアレルギーでは、くしゃみ以外に次のような症状が現れます。
・透明でさらっとした鼻水
・鼻づまり
・目やに、目の腫れ
・皮膚炎
・皮膚のかゆみ
猫にとってアレルゲンとなりうる物質はほこりや花粉、ダニなどさまざまです。
特にスギやヒノキ、ブタクサなどの花粉がアレルゲンとなる場合は、人間と同様に花粉症を発症します。
歯周病
歯周病が進行した際にくしゃみや鼻水、鼻血など鼻の症状が出てくることがあります。
まず歯周病は歯の病気であるため、主な症状も歯に関するものが多いです。
・歯肉の腫れ、出血
・歯の汚れ
・口臭
・物が食べにくそうにする
なぜ歯周病によりくしゃみが出るのか、それは上顎の歯の根元が鼻に近い位置にあることが理由です。
歯周病が進行すると口と鼻の間にある骨や歯の根元にある骨が溶けてしまい、細菌が鼻に侵入し始めます。
口の中だけでなく鼻にまで細菌感染による炎症が広がることで、くしゃみや鼻血などの症状が現れるのです。
当サイトでは、猫の歯周病の治療に用いる抗生物質の取り扱いもございます。
クリプトコッカス症
クリプトコッカス症は、クリプトコッカスという真菌が原因の感染症で、くしゃみの症状があらわれることがあります。
くしゃみ以外に鼻の変形、鼻水、目やになどの症状があらわれます。
猫ではあまり多くない病気ですが、免疫抑制剤を使っている、猫白血病ウイルスや猫免疫不全ウイルス感染などで免疫不全になると感染することがある病気です。
参考
クリプトコッカス / 猫の病気|JBVP-日本臨床獣医学フォーラム(外部リンク)
腫瘍
猫は鼻腔内腫瘍により、くしゃみが出ることがあります。
鼻腔内腫瘍とは、文字通り鼻の中にできる腫瘍です。
良性と悪性(がん)がありますが、鼻腔内腫瘍の大半が悪性だと言われます。
猫の鼻腔内腫瘍には、くしゃみ以外に次の症状が見られます。
・鼻血
・元気や食欲がない
・睡眠が増える
・鼻筋が盛り上がる
・目の位置が外側になる
一例ですが、鼻腔内腫瘍の症状はほとんどが鼻炎による症状と似ています。
猫への発症例は少ないものの、鼻腔内腫瘍は治癒しにくく、重症化しやすい傾向にあります。
当てはまる症状があった際は、早めに動物病院を受診してください。
猫のくしゃみを予防するには?
猫のくしゃみを予防するため、飼い主さんができる対策には以下が挙げられます。
・部屋はこまめに掃除をし、清潔に保つ
・冬場は部屋が乾燥しないよう、加湿をおこなう
・こまめにブラッシングをする
・完全室内飼いを徹底する
・定期的にワクチン接種を行う
くしゃみの症状が出る病気の原因物質は、ほこりや花粉、ダニなどのアレルゲン、細菌やウイルスなど多岐にわたります。
アレルゲンであれば部屋をきれいに掃除して、愛猫にこまめなブラッシングをすることでほこりやダニなどを取り除くことができます。
また細菌やウイルスは、定期的にワクチン接種をおこなうことで感染を予防することができます。
冬場は空気が乾燥し、細菌やウイルスが繁殖しやすくなるため、適度に加湿をおこなうとより効果的です。
毎日の積み重ねが愛猫のくしゃみの予防につながるため、できることから取り組んでいきましょう。
あわせて愛猫の様子を普段から観察し、少しの異変にもすぐに気付いてあげることも大切です。
ペットのお薬通販『ぽちたま薬局』スタッフのブログです。
このブログではペットのご飯を中心にペットの健康について考えたいと思います。