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疥癬と治療薬イベルメクチンについて

疥癬(疥癬)は年間約8~16万人が発症している感染症です。
発症は高齢者に多くみられますが、年齢や性別に関係なく、接触の機会があれば感染する可能性があります。

疥癬に感染した場合は、感染拡大を防止するためにも治療が必要です。
この記事では、疥癬と有効な治療薬イベルメクチンについて紹介していきます。

疥癬とは

疥癬に感染した人

疥癬とは、ヒゼンダニによって引き起こされる皮膚の感染症です。
ヒゼンダニはとても小さな寄生虫で、肉眼ではほとんど見えません。

人の皮膚表面に寄生しているため、皮膚の接触などでうつります。
感染すると激しいかゆみが伴い、睡眠や仕事など日常生活にも影響します。

疥癬は高齢者に多くみられ、高齢者が感染しやすい要因には、運動機能や免疫機能の低下などが挙げられます。

また、集団生活をおこなっている施設などは感染が拡大しやすく、接触の機会が多い職員は若い方でも感染リスクが高まります。

疥癬には通常疥癬と角化型疥癬の2つのタイプがあり、ヒゼンダニの寄生数によって分類されます。

参考
疥癬(かいせん) Q1 – 皮膚科Q&A(公益社団法人日本皮膚科学会)(外部リンク)
NID国立感染症研究所(外部リンク)

通常疥癬

通常疥癬は、ヒゼンダニの寄生数が数十匹以下の場合に分類されます。
寄生数は数十匹以下で、感染力も弱いことが特徴です。

感染すると強いかゆみを伴い、顔や頭を除く全身に、疥癬トンネルや赤いブツブツなどがあらわれます。

通常疥癬は、感染患者の皮膚に長時間直接触れることで感染します。
感染者と数時間並んで座った程度では、ほとんど感染しません。

まれな感染経路では、寝具や衣類の共有が挙げられます。
感染して症状があらわれるまでの潜伏期間は、1~2ヶ月ほどです。

角化型疥癬

角化型疥癬はヒゼンダニの寄生数が多く、感染力も非常に強いことが特徴です。
このタイプではかゆみがあらわれない場合もあり、厚い垢が増えたように全身の角質が剥がれ落ちます。

寄生数は100万~200万匹ほどとされていますが、角質に含まれる多数のダニが原因で、皮膚から剥がれた角質が付着することでも感染します。

潜伏期間は短く、角化型疥癬の感染者からうつった場合は4~5日ほどです。
その場合でも、最初は通常疥癬として発症します。

疥癬は犬・猫・タヌキも発症する病気

疥癬は犬・猫・タヌキも発症する

疥癬は、犬・猫・タヌキなど、人間以外でも発症する感染症です。
寄生するヒゼンダニの種類は、人間や動物など生き物の種類によって異なります。

本来寄生しない種類の動物にヒゼンダニが寄生した場合、寄生しても卵を産んで増やすことできませんが、症状として小さく赤い発疹がでます。

疥癬は犬・猫・タヌキからも人間にうつることがあるので、注意が必要です。
特に犬や猫は、野生のタヌキとの環境共有による感染が問題になっています。

参考
公益社団法人|千葉県獣医師会 疥癬(外部リンク)

疥癬の治療方法

疥癬の治療方法を説明する医師

疥癬の治療方法は、ヒゼンダニを殺すことを目的とした飲み薬や、塗り薬を使用します。

飲み薬ではイベルメクチンを1回、または2回服用して治療します。
塗り薬では、スミスリンローションやオイラックスクリームなどを塗布します。

塗り薬は正常なところも含めて首から下の全身に塗布し、特に手の指の間や足、外陰部には念入りに塗る必要があります。

背中などの手が届かない位置は誰かに塗ってもらうなど、塗り残すことが無いようにしてください。
また、かゆみに対しては飲み薬の抗ヒスタミン薬を使用して、症状を緩和します。

なお、疥癬には症状が無くても1~2ヶ月の潜伏期間があります。
感染者の皮膚と自分の皮膚が接触した場合には、同時進行での治療が必要です。

参考
疥癬(かいせん) Q8 – 皮膚科Q&A(公益社団法人日本皮膚科学会)(外部リンク)

疥癬の治療薬イベルメクチン

疥癬の治療薬イベルメクチン(ストロメクトール)

疥癬の治療薬であるイベルメクチン(商品名:ストロメクトール)は、腸管糞線虫症という寄生虫感染症の治療薬です。

イベルメクチンは海外では疥癬の治療薬として安全性や効果が認められており、2001年から使用されています。
日本でも2006年に疥癬の治療薬として承認され、保険適用されています。

イベルメクチンは一般的な使用量では安全性も高く、重い副作用が少ないとされる治療薬です。

イベルメクチンの疥癬に対する効果

イベルメクチンは寄生虫を麻痺させる効果から、ヒゼンダニを死に至らしめることが可能です。
優れた殺虫効果の報告がされていて、疥癬治療への使用が強く推奨されています。

イベルメクチン1回の服用で得られる効果の継続期間は約10日で、ヒゼンダニは服用2日後には、ほぼ死滅していると考えられています。

参考
日本皮膚科学会ガイドライン 疥癬診療ガイドライン(第 3 版)(外部リンク)

疥癬治療にイベルメクチンを使用した際の副作用

イベルメクチンは一般的な使用量では安全性も高く、重い副作用が少ない治療薬です。

ただし、以下の副作用も報告されています。
疥癬の治療時にこれらの症状があらわれた場合は、使用を中止してすぐに医師へ相談してください。

■副作用
・一時的なかゆみ
・吐き気
・嘔吐
・発疹など

■重大な副作用
・肝機能障害
・黄疸
・意識障害など

参考
ストロメクトール錠3mg | くすりのしおり(外部リンク)

イベルメクチンの飲み方

イベルメクチンの飲み方

イベルメクチンは、治療目的や体重によって服用量に違いがあります。

通常疥癬の治療や感染者との接触で感染の可能性がある場合は、体重1kgあたり約0.2mg(200μg)を1回服用します。
角化型疥癬の治療の場合は、最低2回の投与が必要です。

イベルメクチン(商品名:ストロメクトール)3mg錠を服用する場合は、以下の投与量を参考になさってください。

体重 服用量
15~24kg 1錠
25~35kg 2錠
36~50kg 3錠
51~65kg 4錠
66~79kg 5錠
80~90kg 6錠

参考
日本医薬情報センター 駆虫剤 イベルメクチン錠(外部リンク)

イベルメクチンの飲み合わせに禁忌はある?

イベルメクチンには、飲み合わせに注意が必要な医薬品は特にありません。

ただし、現在服用しているお薬がある場合は、イベルメクチンの服用について医師に確認・相談された方が良いです。

また、以下に該当する方は絶対に自己判断で服用してはいけないため、服用にあたっては必ず医師に相談してください。

  • 妊娠中の方
  • 妊娠の可能性がある方
  • 授乳中の方
  • 小児の方
  • 高齢者の方

参考
医療用医薬品 : ストロメクトール(外部リンク)

イベルメクチンの購入方法

イベルメクチンの購入方法には、病院処方・オンライン診療での処方・海外通販(個人輸入)があります。

病院処方では受診時に治療薬を受け取れること、オンライン診療では自宅で受診できる点がメリットになります。

海外通販では病院での受診が不要なこと、安価での購入が可能な点がメリットです。

疥癬は先述したとおり、環境的に感染リスクが高い職場もあります。
海外通販でイベルメクチンを購入しておくことで、感染者との接触があって場合もすぐに治療することが可能です。

なお、ぽちたま薬局では飼い主様向けの治療薬としてイベルメクチンを取扱っています。

よくある質問

よくある質問

イベルメクチンと疥癬について、よくある質問を紹介します。

イベルメクチンの疥癬治療時の投与回数は?

疥癬治療での投与回数は、通常回線と角化型疥癬によって異なります。
通常疥癬は1回の投与、角化型疥癬には最低2回の投与が必要です。

また、通常疥癬でも服用後に新たな皮膚症状や感染が認められた場合は、再度服用する必要があります。

イベルメクチンは疥癬に対して何日で効く?

疥癬に対してイベルメクチンを投与すると、2日後にはヒゼンダニがほぼ死滅していると考えられています。

イベルメクチンは、約10日にわたり優れた駆虫効果が続きます。
卵には無効とされていますがヒゼンダニの卵は3~5日で孵化するため、軽度であれば1回の服用でも効果的です。

イベルメクチンは疥癬の予防のために投与できる?

イベルメクチンは疥癬患者接触者への予防的治療に、有用である可能性が高いとされています。

入院8日目に角化型疥癬と診断された感染者を看護したスタッフ全員へイベルメクチンを投与した結果、疥癬の感染や特別な副作用がないことが報告されています。

ただし、服用後に副作用が現れる可能性もあるため、疥癬予防のために服用する場合は、服用前に医師に相談されてください。

参考
疥癬患者に接触した看護スタッフへの予防的治療としてのイベルメクチンの有用性(外部リンク)

イベルメクチンは疥癬の犬に効く?

イベルメクチンは、犬の疥癬に対しても有効な治療薬です。
イベルメクチンには消化器官にいる寄生虫に麻痺を起こさせ、便とともに体外へ排出させる効果があります。

しかし、一部の犬種では重篤な副作用を引き起こす危険性があります。
該当するのは、ボーダーコリーやシェットランドシープドッグ、オーストラリアンシェパードなどです。

イベルメクチンを犬の疥癬治療に使用する場合は、投与できる犬種などを十分に確認してください。

もしイベルメクチンを使用できない場合は、イベルメクチン以外の有効成分を含む治療薬を投与してください。

ぽちたま薬局では犬用のイベルメクチンや、イベルメクチン以外の疥癬治療薬も取扱っています。

>>犬用の疥癬治療薬はコチラ

イベルメクチンは疥癬の猫にも効く?

イベルメクチンは、猫の疥癬にも有効です。
猫の治療では疥癬虫(別名ヒゼンダニ)のライフサイクルに合わせて、2〜3週間ほど間隔をあけて複数回の投与をおこないます。

イベルメクチンは疥癬のタヌキにも効く?

イベルメクチンは疥癬のタヌキに対しても有効です。
近年、都市部では野生のタヌキが増加しており、疥癬の感染が問題視されています。

そのなかで獣医師や動物保護活動家たちから注目されているのが、イベルメクチンです。
イベルメクチンは疥癬以外の寄生虫にも有効なため、感染リスクが高い野生のタヌキに効果的な治療が可能とされています。

まとめ

疥癬は感染者と接触する機会があれば、誰もがうつる可能性がある感染症です。
イベルメクチンには優れた殺虫効果が報告されており、疥癬の治療に推奨されています。

もし疥癬に感染した場合は、迅速に対応をおこなうことで症状の悪化を防げ、感染の拡大防止にもつながります。

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