犬の肝臓の数値が高いと余命にも影響する?数値が高い原因と対処法を解説

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犬の肝臓の数値が高いと余命にも影響する?数値が高い原因と対処法を解説

愛犬には定期的に血液検査や健康診断を受けさせるという飼い主さんも多いでしょう。
愛犬は元気でも、検査結果で「肝臓の数値が高い」という状況に陥る場合もあるため、健康への影響が心配になりますよね。

この記事では肝臓の数値が高い場合、犬の余命にも影響するのかという疑問について解説します。

肝臓の数値が高くなってしまう原因や、数値を下げるための対処法も紹介しているので、ぜひお役立てください。

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犬の肝臓の数値

犬の血液検査で確認する肝臓の数値は、主に「ALT、AST、ALP、GGT」の4項目です。
まとめて肝酵素とも呼ばれており、これらの数値をもとに体内で起こっている異常を調べます。

肝臓の数値ALT

  • 基準値17~78U/L
  • グルタミン酸とピルビン酸を、α-ケトグルタル酸とアラニンに変換する酵素。
  • 犬の全身にある細胞内に含まれるが、肝細胞に含まれる量が圧倒的に多い。
  • 検査で毎回60~100 U/Lを推移しているときは、慢性肝炎や脂肪肝などが疑われる。
  • 100~数千U/Lまでになると、肝臓が激しく痛めつけられている状況を示唆する。

肝臓の数値AST

  • 基準値17~44U/L
  • ALTと同じく、犬の全身の細胞に含まれる酵素。
  • 肝細胞のほか、赤血球、骨格筋細胞、心筋細胞などにも多く存在する。
  • ASTの上昇は上記細胞どれかが壊れていることを示している。
  • 肝臓が投薬の影響を受けた時は一気に100 U/Lを超える場合もある。

肝臓の数値ALP

  • 基準値47~254U/L
  • リン酸化合物を分解する酵素。
  • 肝臓や腎臓、骨、腸などで作られてから肝臓に運ばれたあと、胆汁に流れ出る。
  • ALPが基準値の範囲を超えると、胆汁がスムーズに流れない、ALPを作る臓器の壊死や修復を活発に行っているといった状況が考えられる。

肝臓の数値GGT

  • 基準値5~14U/L
  • 犬の全身に分布し、細胞内で細胞膜へ結合するような状態で存在する。
  • 肝臓では胆管の細胞膜に存在することが多い。
  • 血液検査でGGTの数値が上昇した場合は、主に胆管周辺に異常があるサインと考えられる。

犬の肝臓の数値が高い場合の余命は?

犬の肝臓の数値が高い場合の余命は?

肝臓の数値が高いからといって、犬の余命がすぐに短くなるわけではありません。
ただし肝臓の数値が高い場合、肝臓病を発症している可能性が考えられます。

その状態を放置してしまうと、もし本当に肝臓病になっていた場合は徐々に進行してしまいます。

肝臓病になった犬の余命は、そのときの状態やどの肝臓病を患っているかによっても異なるため、一概には言い切れません。

たとえば慢性肝炎から進行し、肝硬変になってしまった場合は、余命が短くなってしまう可能性があります。

肝細胞がんの場合は、手術すれば余命を延ばすことも可能ですが、しなかったケースでは余命は短くなるでしょう。

肝臓の数値が高いということは、体に異変が起こっているサインです。
少なからず寿命にも影響するため、健康診断で数値が高いと指摘された場合は、精密検査を受けて原因を調べることが大切です。

犬の肝臓の数値が高くなる原因

犬の肝臓の数値が高くなる原因

犬の肝臓の数値が高くなってしまう原因は様々です。
主に肝炎や胆のう炎など肝臓の病気が考えられるほか、それ以外のクッシング症候群のような病気が関係している可能性もあります。

また、肝臓の数値の上昇は成長期の犬や慢性的なストレスを抱えている子にも、認められる場合があります。
他にも感染症や中毒、肥満、体質に合っていない食事なども影響するため要注意です。

犬の肝臓の数値が高いと疑われる病気

犬の肝臓の数値が高い場合、慢性肝炎、肝臓がん、胆のう炎などの病気が疑われます。
ここからは、これらの病気を解説します。

慢性肝炎

慢性肝炎とは、肝臓に炎症が起こる「肝炎」が長引いたり、進行していたりする状態。
短期間のうちに急激な悪化をしてしまった場合は、急性肝炎と呼ばれます。

肝炎は、症状が軽度から中度の状態の時に適切な治療と管理を行うことで、余命を数年ほど延ばすことも可能です。

しかし炎症が重度になり、肝硬変に進行してしまった場合は、余命を延ばすことが難しいとされています。

参考
慢性肝炎 / 犬の病気|JBVP-日本臨床獣医学フォーラム(外部リンク)

肝臓がん

腫瘍には良性と悪性があり、そのうち犬の肝臓に発症しやすいのは悪性腫瘍。
その悪性腫瘍である肝臓がんの中でも、発症しやすいのが肝細胞がんです。

肝細胞がんは、手術をすれば余命を数年以上延ばすことも可能ですが、手術を受けなかった場合の余命は1年以下と短くなります。

参考
動物の腫瘍 インフォメーションシート(外部リンク)

胆のう炎

胆のう炎は、胆汁をためている胆のうに炎症が起こる病気です。
基本的に投薬や食事療法を用いることが多く、軽度であれば適切な治療で回復する見込みもあるため、余命への影響はありません。

しかし、内科的治療で改善されないときは、外科手術を行なう場合もあります。
症状が強く出ているケースでは、判断が遅れると救命率が下がるリスクも。

犬が重度の胆のう炎になり、胆のう破裂と腹膜炎を起こしてしまった場合は、死亡してしまう場合もあります。
胆のう破裂が起きていた犬は、手術をしたとしても数日後に亡くなる可能性もあります。

門脈シャント

門脈シャントには、先天性と後天性の2種類があります。
この病気は、体内で吸収された栄養や毒素が、枝分かれしたシャント血管を通ってしまい、本来通るべき肝臓に届かない状態です。

内科治療だけを行った場合、余命は2ヶ月~2年ほどとの報告もあります。
先天性の門脈シャントでは、外科手術が成功すれば完治するケースも多く見られます。

一方、後天性では手術が難しいことが多いものの、内科治療によってある程度延命することは可能です。

参考
門脈シャント / 犬の病気|JBVP-日本臨床獣医学フォーラム(外部リンク)

犬の肝臓病の治療にかかる費用

犬の肝臓病の治療にかかる費用

犬の肝臓の数値が高く、肝臓病と診断された場合は、病気や症状に応じた治療が必要となります。

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、深刻なダメージを受けて進行が進むまで、目立った症状が現れません。

犬の肝臓病の治療内容は、肝臓病のお薬、ステロイド、免疫抑制剤の投与、食事療法などが一般的です。

門脈シャントになっている、緊急性が高いなどと判断されたケースでは、外科手術が必要になる場合もあるで
しょう。

治療にかかる費用は、肝炎の場合1回あたり数千円程度が目安ですが、基本的に数回の通院が必要になります。

さらに検査費用を含めると数万円に及ぶこともあり、入院や手術が必要になれば数十万円かかることも少なくありません。

治療費の負担が大きいため、投薬治療をする場合は動物病院で処方されたものと同じ成分を含むお薬を個人輸入で購入し、負担を軽減するという飼い主さんもいます。

参考
動物用医薬品の個人輸入とは(外部リンク)

犬の肝臓の数値が高い時の対処法

犬の肝臓の数値が高い時の対処法

犬の肝臓の数値が高い場合は、まずは精密検査を受けることが重要です。
肝臓の数値が高くなっている原因を特定するため、動物病院で詳しい検査・診断を受けましょう。

もし肝臓病やほかの病気が原因と判明した場合は、その状況に応じて治療する必要があります。

犬の肝臓病の治療薬

犬の肝臓病では、治療薬などを使った内科療法が一般的です。
軽症であれば、食事療法と対症療法だけで改善する場合も十分あります。

ここからは、犬の肝臓病に使用される治療薬やサプリメントを紹介していきます。
愛犬が肝臓病になった飼い主さんは、ぜひ参考にしてください。

ウルソコール

ウルソコール

ウルソコールは、肝臓病の治療薬です。
有効成分のウルソデオキシコール酸は、人工的に作られた胆汁酸の一種です。

このお薬には、体内の毒性が高い胆汁酸を薄めることで胆汁の流れをスムーズにし、肝機能を改善する効果があります。
胆汁性肝硬変、胆汁うっ滞性肝疾患、慢性肝疾患、胆石などに用いられる治療薬です。

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参考
肝疾患と栄養|ペット栄養学会誌(外部リンク)

デノシル

デノシル

デノシルは、肝臓の保護や肝機能を向上させる効果が期待できるサプリメントです。
体内で生成されるアミノ酸の一種、S-アデノシルメチオニンが配合されています。

S-アデノシルメチオニンは、体内で一部が「グルタチオン」に変換されることで、肝臓の解毒作用をサポートする成分です。

グルタチオンには強力な抗酸化作用があり、有害物質から肝臓を保護して肝細胞の死滅を抑制する働きがあります。

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デナマリン

デナマリン

デナマリンは、抗炎症作用があるシリビニンを含むサプリメントです。
主成分として50~70%を占めるシリビニンには、抗酸化・抗炎症作用によって肝臓の再生を助ける働きが期待できます。

さらに代謝や解毒、胆汁の分泌や生成など、肝臓の働きを高めるといった点も大きな特徴です。

肝臓の解毒作用を助けるS-アデノシルメチオニンも配合されており、肝臓を保護する効果も期待できます。

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犬の肝臓病の食事療法

犬の肝臓病の食事療法

犬が肝臓病になると、治療の一環として食事療法が用いられる場合もあります。
肝臓病の犬には、消化性の高い良質なタンパク質は肝臓の再生に欠かせない栄養素です。

しかし肝臓病が重度のケースでは、タンパク質の代謝によって生じるアンモニアを解毒できず、高アンモニア血症になるリスクが高まります。

他にも体から銅を排出する機能が低下したり、低血糖になりやすくなったりすることがあります。

そのため、肝臓病ではタンパク質や銅、糖質が適切にコントロールされた療法食で、肝臓を回復させることが推奨されています。

現在、犬の肝臓病専用の療法食はさまざまなメーカーから、たくさんの種類が販売されています。

しかし、療法食は愛犬の体質や状態に合ったものを選ぶ必要があるため、食事を変更する際は必ず獣医師さんに相談して選ぶようにしましょう。

まとめ

犬の肝臓の数値が高い場合、肝臓病が隠れている可能性もあります。
もしその状態を放置してしまうと病気が進行し、愛犬の余命が短くなってしまう可能性も否定できません。

早期の肝臓病であれば、適切な治療や食事療法で余命を大幅に延ばすことも可能です。
獣医師さんと相談しながら、愛犬に合った治療方法を行っていきましょう。

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