犬がてんかんと診断されたとき、「食事で何かできることはないか」と考える飼い主さんは多いのではないでしょうか。
てんかんは薬による治療が基本ですが、近年ではMCT(中鎖脂肪酸)など、食事による栄養管理が発作のコントロールを補助する可能性も報告されています。
一方で、てんかんの犬には与えてはいけない食材や添加物もあるため、正しい知識を持っておくことが大切です。
この記事では、以下について詳しく解説します。
- てんかんの犬に与えたい栄養素(MCTオイル・DHA・抗酸化物質など)
- 与えてもいい食材・与えてはいけない食材
- さつまいも・納豆など個別食材への疑問
- 手作りごはんのレシピ
愛犬の食事を見直すことが、てんかんとの上手な付き合い方の一歩になれば幸いです。
てんかんを起こした愛犬に与えたい栄養素

てんかんは薬による治療が基本ですが、MCTなど一部の栄養素については、食事に取り入れることで発作のコントロールを補助する可能性が報告されています。
ただし、食事療法はあくまで薬物療法を補助する方法のひとつです。
食事の見直しだけで発作をコントロールすることは難しいため、必ず獣医師の指導のもとで行いましょう。
MCTオイル・ケトン食
近年、犬のてんかん管理において注目されているのがMCT(中鎖脂肪酸)オイルとケトン食療法です。
通常、脳はブドウ糖をエネルギー源として使いますが、MCTオイルを摂取することで「ケトン体」という別のエネルギー源を作り出すことができます。
このケトン体が脳の過剰な興奮を抑える働きをすると考えられており、てんかん発作の軽減に効果が期待されています。
犬の特発性てんかんを対象とした研究では、MCTを補助的に取り入れた食事によって、発作頻度が減少したことが報告されています。
ただし、すべての犬に同じ効果が得られるわけではありません。
MCTを取り入れる場合は、MCTを配合したフードやサプリメントなどが選択肢になります。
ただし、適切な量は犬の体重や食事内容によって異なるため、自己判断で大量に与えず獣医師に相談しましょう。
参考
Purina Institute – てんかんと脳の健康(外部リンク)
A multicenter randomized controlled trial of medium-chain triglyceride dietary supplementation on epilepsy in dogs(外部リンク)
抗酸化物質
酸化ストレスは脳神経にダメージを与え、てんかん発作を引き起こす原因のひとつと考えられています。
ビタミンEなどの抗酸化物質は、体内の酸化ストレスから細胞を守る働きがあります。
ただし、犬のてんかん発作を抑える目的で積極的な摂取を推奨できるほど、十分なエビデンスが確立しているわけではありません。
| 成分 | おすすめの食材 |
|---|---|
| ビタミンC | ブロッコリー、キャベツ、じゃがいも |
| ビタミンE | 大豆、穀類、にんじんなどの緑黄色野菜 |
| セレニウム | マグロ、タラなどの魚類 |
| ポリフェノール | リンゴ、いちご、柿などの果実 |
オメガ3脂肪酸(DHA・EPA)
魚に多く含まれるオメガ3脂肪酸(DHA・EPA)は、犬の脳神経系をサポートする重要な栄養素です。
特にDHAは脳神経に多く含まれていますが、犬の体内では十分に合成できないため、食事から補う必要があります。
東京大学の研究では、特発性てんかんの犬に高用量のDHAを追加投与したところ、発作頻度が減少したと報告されています。
ただし、小規模な研究であるため、今後さらなる検証が必要です。
亜麻仁油やフィッシュオイルのサプリメントを活用することで、手軽に摂取量を増やすことができます。
参考
犬の特発性てんかんの抑止にドコサヘキサエン酸が効く|東京大学(外部リンク)
てんかんの犬に与えてもいい食材・避けるべき食材
てんかんの犬の食事では、特定の食材だけに偏らず、栄養バランスのとれた食事を基本とすることが大切です。
ここでは、犬が一般的に食べられる食材と、避けるべき食材を紹介します。
与えてもいい食材
以下は、犬が一般的に食べられる食材です。
ただし、これらの食材自体にてんかん発作を抑える効果が確認されているわけではありません。
| 食材 | 期待できる栄養素・効果 |
|---|---|
| さつまいも | ブドウ糖・ビタミンC・ビタミンE・食物繊維。自然な甘みでエネルギー補給に |
| かぼちゃ | ブドウ糖・ビタミンC・ビタミンE・βカロテン |
| ブロッコリー | ビタミンC・葉酸・抗酸化物質 |
| 青魚(鮭・マグロ・タラ) | DHA・EPA・セレニウム。脳神経のサポートに |
| 鶏ささみ・豚ヒレ肉 | ビタミンB6。神経伝達をサポート |
| バナナ・リンゴ | ブドウ糖・ポリフェノール・ビタミン類 |
| 納豆 | ビタミンB6・ビタミンK・イソフラボン。腸内環境を整える |
| 玄米 | ビタミンE・食物繊維。腸内環境の改善に |
これらの食材を組み合わせて、バランスの良い食事を心がけましょう。
手作りごはんにする場合は、栄養バランスが偏らないよう注意が必要です。
てんかんの有無にかかわらず犬に与えてはいけない食材
以下は、てんかんの有無にかかわらず犬に与えてはいけない食材です。
中毒によって神経症状や低血糖などを引き起こし、けいれんがみられるものもあります。
| 食材 | 理由 |
|---|---|
| チョコレート・カカオ | テオブロミンという成分が神経系に影響を与え、発作を誘発する可能性がある |
| キシリトール(ガム・お菓子) | 犬に強い毒性があり、低血糖を引き起こし発作のリスクがある |
| 玉ねぎ・長ネギ・にんにく | 溶血性貧血を引き起こす可能性がある |
| ぶどう・レーズン | 腎不全を引き起こす可能性がある |
| マカダミアナッツ | 神経症状・筋肉の震えを引き起こす可能性がある |
| アルコール・カフェイン | 神経系への影響が強く、発作リスクを高める可能性がある |
これらの食材は少量でも危険なケースがあります。
誤って食べてしまった場合は、すぐに動物病院へ連絡してください。
てんかんの犬は添加物を避けたほうがいい?
ペットフードに使用できる添加物には、安全性を確保するための基準が定められています。
「合成添加物だからてんかんに悪い」と一律に避ける必要はありません。
てんかんの犬のフードを選ぶ際は、添加物の有無だけで判断せず、総合栄養食であることや栄養バランス、治療中の薬との相互作用なども考慮しましょう。
参考
環境省 ペットフード安全法基準規格等(外部リンク)
よくある質問
てんかんの犬の食事について、よくある質問と回答をまとめました。
犬のてんかんにさつまいもは良い?
さつまいもは、てんかんの犬に与えても問題ない食材です。
ブドウ糖・ビタミンC・ビタミンE・食物繊維が含まれています。
ただし、さつまいもは糖質が高めのため、与えすぎると血糖値が急上昇する可能性があります。
おやつや食事のトッピングとして少量ずつ与えるのがおすすめです。
与える際は必ず加熱し、皮は消化しにくいため取り除いてから与えましょう。
てんかんの犬に納豆は与えても大丈夫?
納豆はてんかんの犬に与えても問題ない食材です。
ビタミンB6・ビタミンK・イソフラボンを含み、腸内環境を整える効果が期待できます。
ただし、納豆には塩分が含まれているものもあるため、たれや辛子は取り除いて与えてください。
また、大豆アレルギーを持つ犬には与えないようにしましょう。
初めて与える場合は少量から試して、体調に変化がないか確認してください。
てんかんの犬に良いおやつは?
てんかんの犬に与えるおやつは、以下の点を意識して選ぶとよいでしょう。
- 与えすぎに注意する:1日の必要カロリーを超えないよう量を調整する
- DHA・EPAなどを含むもの:魚を使ったおやつなども選択肢
具体的には、無添加の鶏ささみジャーキー・さつまいもスティック・フィッシュスキンなどがおすすめです。
市販のドッグフードはどう選ぶ?
てんかんの犬に市販のドッグフードを与える場合は、以下のポイントを確認して選びましょう。
- 総合栄養食を基本にする:犬に必要な栄養をバランスよく摂取できるものを選ぶ
- MCT配合フードを検討する:犬の特発性てんかんでは、MCTを取り入れた食事によって発作頻度が減少したとする研究がある
ただしフードの変更は体調に影響することがあるため、切り替える際は獣医師に相談の上、少量ずつ移行するようにしてください。
脳によい食材を使ったレシピ
てんかんの犬には、脳に良い栄養素を含む食材を使った手作りごはんもおすすめです。
毎日取り入れるのが難しい場合は、週に数回のトッピングとして活用するだけでも栄養を補うことができます。
以下は普段の食事へのトッピング例です。
これだけで犬に必要な栄養をすべて満たせるものではなく、てんかんを治療するレシピでもありません。
スープおじや

| 材料 | |
|---|---|
| 食材 | 期待できる栄養素 |
| 鶏ささみ | ビタミンB6・良質なタンパク質 |
| さつまいも | ブドウ糖・ビタミンC・ビタミンE |
| ブロッコリー | ビタミンC・葉酸・抗酸化物質 |
| じゃがいも | ビタミンC・ブドウ糖 |
| 玄米 | ビタミンE・食物繊維 |
| 亜麻仁油(仕上げに少量) | α-リノレン酸(オメガ3脂肪酸) |
作り方
1.鶏ささみを茹でて細かくほぐす
2.さつまいも・ブロッコリー・じゃがいもを小さく切り、柔らかくなるまで茹でる
3.玄米を柔らかく炊いておく
4.鍋に茹で汁・野菜・玄米・鶏ささみを入れてひと煮立ちさせる
5.粗熱が取れたら器に盛り、亜麻仁油を数滴垂らして完成
塩分・調味料は一切使わず、素材本来の味で仕上げてください。
玄米が消化しにくい場合は、白米に変更してもOKです。
犬のてんかんは、適切な治療によって発作をコントロールしながら付き合っていくことが大切です。
てんかんが治る可能性や治療について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
まとめ
てんかんの犬の食事で大切なのは、脳に良い栄養素を積極的に取り入れることと、発作を誘発しやすい食材を避けることの2点です。
- MCT:特発性てんかんの犬では、食事に取り入れることで発作頻度が減少したとする研究がある
- DHA・EPA:DHAについては発作頻度の減少を示した研究があるものの、さらなる検証が必要
- 食事の基本:特定の食材に偏らず、栄養バランスのとれた食事を心がける
- NG食材:チョコレート・キシリトール・玉ねぎ・ぶどうなどは与えない
- 市販フード:総合栄養食を基本とし、MCT配合フードなども選択肢
食事療法はあくまで薬物療法の補助です。
食事の見直しだけで発作をコントロールしようとせず、必ず獣医師と相談しながら進めてください。
てんかんの治療薬は長期的な投薬が必要なケースがほとんどです。
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