犬のてんかんが治ったといえる状態は?てんかん発作の寛解と治療方法について

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犬のてんかんが治ったといえる状態は?てんかん発作の寛解と治療方法について

犬のてんかんは完治が難しい病気ですが、治療により症状が軽減・改善した「寛解(かんかい)」は目指せます。

最近は外科手術によって発作の頻度を減らすなど、改善効果が認められるケースも増えています。
この記事では犬のてんかん発作の寛解や、治療方法について詳しく解説します。

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犬のてんかんは治る?

犬のてんかんは治る?

犬のてんかんは、完治が難しい病気です。
てんかん発作が起こる正確なメカニズムは解明されていません。

そのため、犬のてんかんが完全に治るというのは難しいですが、てんかん発作はお薬でコントロールしてあげられます。

なお、完全に治ったという状態ではありませんが、治療を続けて寛解(かんかい)を目指すことは可能です。

犬のてんかんの寛解について

慢性的な脳の病気である犬のてんかんは、適切な治療と管理によって寛解(かんかい)するケースがあります。

寛解(かんかい)とは
「治療によって一時的に病気の症状が軽くなる、または消えた状態」です。
そのまま再発することなく完全に治る可能性もありますが、実際には再発の可能性はゼロではありません。

特に動物のてんかんは、発作を完全になくすことは困難です。
そのため、てんかん治療は以下の状態が治療のゴールとなっています。

犬のてんかん治療のゴール

  • 抗てんかん薬による副作用を抑えて、てんかん発作を3ヶ月に1回以下の頻度まで抑えられる
  • 発作の頻度を治療開始前の半分以下に減らす

犬のてんかん治療に使用される抗てんかん薬

犬のてんかん治療では、主には抗てんかん薬が用いられます。
投薬によるてんかん治療の目的は発作を減らす、または症状を軽減することです。

犬に用いられる抗てんかん薬はいくつか種類があるため、治療する犬の状態に合わせて適切なお薬を選択することが重要です。

犬のてんかん治療に使用されているお薬には、以下のような種類があります。

ゾニサミド

ゾニサミド

ゾニサミドは、犬のてんかん治療において主流となっている抗てんかん薬です。
脳内神経伝達部位に作用することで、脳神経の過剰な興奮を抑えて発作をコントロールします。

即効性に優れていて、副作用が少ないことも特徴です。
血中濃度は投薬から3時間ほどでピークに達して、5日ほどで一定の濃度を保てるようになります。

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フェノバルビタール

フェノバルビタール

フェノバルビタールは、昔から犬のてんかん治療に使用されてきた抗てんかん薬です。
グルタミン酸という興奮性伝達物資を阻害することで、てんかん発作を抑える作用があります。

犬のてんかん治療の第一選択薬でしたが、副作用があることから、現在は新しいお薬の方が処方されるようになっています。

ガバペンチン

ガバペンチン

ガバペンチンは、GABA(神経伝達物質ガンマアミノ酸)という物質を人工的に作った化合物です。

GABAは神経をリラックスさせ、興奮性神経伝達物質の放出を抑制するため、てんかん発作を予防する効果があります。

単体での使用よりも、フェノバルビタールやゾニサミドと併用されることが多いてんかん薬です。

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レベチラセタム

レベチラセタム

レベチラセタム(イーケプラ)は、フェノバルビタールやゾニサミドより発作の抑制効果が高い抗てんかん薬です。

高い効果と副作用が少ない点がメリットですが、お薬代が高いのがデメリットです。
経済的な負担が大きくなるため、発作が酷い時にのみ使用することも可能です。

臭化カリウム

臭化カリウム

臭化カリウムは、最も古くからある抗てんかん薬です。

低価格な点がメリットですが、効果が発現するまでに2~3ヶ月ほどの期間がかかり、副作用がある点がデメリットです。

なお、長期的に使用すると意識レベルの低下や手足の麻痺、運動失調などの臭素中毒を引き起こす恐れもあります。

参考
ヨーロッパにおける犬のてんかんの薬物療法(外部リンク)

犬のてんかん外科

犬のてんかん外科

最近は国内でもてんかん外科(脳外科手術)による犬のてんかん治療が、試験的に行われるようになっています。

犬のてんかん外科

  • 発作の原因となる部位を切除する切除外科
  • 発作の広がりを抑える遮断外科
  • 特定の神経を刺激して発作を抑える神経刺激療法

これらの脳外科手術はてんかん発作の頻度が抑えられ、飼い主さんと愛犬のQOL(生活の質)改善が認められています。

参考
【新着論文】犬の難治性てんかんにおける脳梁離断術の効果:明らかな発作の減少と犬と飼い主のQOLの向上が確認される | 日本獣医生命科学大学(外部リンク)
長谷川大輔教授(獣医学部獣医学科)らが犬猫でのてんかん外科の2症例を報告 -獣医療における脳波やMRIを駆使したてんかん外科は世界初- | 日本獣医生命科学大学(外部リンク)

食事療法

食事療法

てんかんを抱えている犬の中には、お薬で発作をコントロールすることが難しいケースもあります。

そのようなケースでは、治療の補助としてケトン食による食事療法が行われる場合があります。

ケトン食とは、緊急事態用のエネルギー源となる「ケトン体」を、より多く体内で作らせるための食事です。

犬を対象として臨床試験では、ケトン食を与えた犬ではてんかん発作の頻度が減った、発作がなくなったなど、改善結果が見られています。

参考
栄養科学 – 脳の健康増進 – 脳の病気-てんかん | Purina Institute(外部リンク)

サプリメント

サプリメント

てんかん治療では、サプリメントを治療の補助として用いることで、発作を軽減させるケースもあります。

特にカンナビジオール(CBD)は、てんかん発作の頻度を減少させることに役立つと報告されている成分です。

サプリメントはあくまでもサポート的な存在ですが、抗てんかん薬で改善効果が認められない場合に、食事療法と併用する形で取り入れられています。

犬のてんかん治療のゴール

犬のてんかん治療のゴール

犬のてんかんは完治が難しいため、ほとんどの場合継続的な治療が必要になります。

外科手術によってQOL(生活の質)を向上できた犬もいますが、基本的には抗てんかん薬の投与を続けることになります。

犬のてんかん治療の目標(ゴール)は、発作の寛解です。

発作が少なくなった、発作が起きている時間が短くなった、重度の発作が見られなくなった場合、治療は成功したと判断されます。

まとめ

犬のてんかんは、完全に治すことが難しい病気です。
基本的には生涯にわたり、発作を抑えるための投薬が欠かせません。

ただし治療を続けることで、発作の頻度を減らす寛解は目指せます。
大切な愛犬のためにも適切なお薬で治療を続け、できるだけ穏やかな毎日を過ごせるようにしてあげましょう。

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