フィラリア症は犬の病気と思われがちですが、猫にも感染する病気です。
犬に比べると感染率は低く、あまり蚊に接触することのない完全室内飼育であればさらにリスクは低くなります。
しかし、感染してしまうと重篤な症状があらわれるだけでなく、最悪の場合突然死する恐れがあるのです。
近年では温暖化の影響で蚊の活動期間が延び、猫の感染も増えてきているのが現状です。
ノミ・ダニ予防とあわせてフィラリア予防もおこなうことをおすすめします。
フィラリアは猫にも感染します
フィラリアは犬糸状虫とも呼ばれ、名前にも「犬」がついているため犬に寄生する虫だと認識している方も少なくないでしょう。
しかし、猫への寄生も報告されていて、決して油断はできません。
蚊が吸血するタイミングでフィラリアの幼虫が猫の体内に侵入後、成長しながら心臓や肺に寄生し、さまざまな症状があらわれます。
猫の身体はフィラリアが成長する環境としては適していないため、感染率は低いのですが、症状が現れた時には既に手遅れのことも多く、予防しておくに越したことはありません。
参考
猫における犬糸状感染症の1例(外部リンク)
フィラリアに感染した猫に現れる症状
猫がフィラリア症になると、主に肺に症状がみられます。
フィラリアの幼虫の死骸が肺動脈に達し、肺に炎症が起こり「犬糸状虫随伴呼吸器疾患」を引き起こしてしまうのです。
代表的な症状としては、以下があげられます。
・咳
・呼吸困難
・食欲不振
・嘔吐
・体重減少
・不整脈
・痙攣 など
愛猫が息をしづらそうにしていたり、食事とは関係なく吐いたりするなど、気になる症状はみられた場合は獣医師への相談をおすすめします。
悪化すると突然死する恐れ
猫がフィラリア症になると、重篤な症状が起こるだけでなく、突然死する恐れもあります。
通常、猫の免疫反応によって体内に侵入したフィラリアのほとんどは、成虫になることなく死滅します。
しかし、まれに幼虫が死滅せず成長してしまい、心臓の血管を閉塞することで突然死を起こす危険性があるのです。
フィラリア症の治療を行っても、肺や呼吸器官に障害が残る可能性が高くなります。
猫のフィラリアは発見が困難
犬に比べて猫のフィラリア症は寄生数が少なく、抗体検査でもほとんど検出できません。
そのため、猫はフィラリア検査を受けても発見が困難とされています。
フィラリア検査では抗体検査の他に胸のレントゲンやエコー検査なども行われますが、喘息や肺炎に近い異常として見られることが多く、正確な診断ができません。
そのため、犬と同じようにフィラリアが寄生しないように予防しておくことが大切です。
猫のフィラリア感染確率について
年々、猫のフィラリア感染率は増加傾向にあります。
先述のとおり、猫の免疫反応によりフィラリアの幼虫は死滅するため、成虫まで成長することはほとんどありません。
しかし、まれに猫の体内で成虫まで成長し、フィラリア症に感染してしまう可能性があります。
ある研究結果では、10頭に1頭がフィラリアに感染しているという報告があり、そのうちの約4割が室内で飼育されていました。
完全室内飼育とはいえ、必ずしも感染しないとはいいきれないのです。
猫のフィラリアは治る?
猫のフィラリア症に対して、安全が確立された治療法はありません。
フィラリア駆除薬での処置が一般的で、次いで外科手術での処置が挙げられます。
成虫用の駆除薬を長期間投与しフィラリアを減らしていきますが、治療期間が長くなると体が小さい猫にはかなりの負担がかかります。
また、心臓から成虫を摘出する外科手術をおこなう場合もありますが、感染によりすでに心臓が弱っているため、さらに心臓に負担がかかってしまいます。
どちらの治療をおこなったとしても、愛猫に負担がかかることは避けられないのです。
室内飼育の猫もフィラリア予防を
完全に室内で飼育されている愛猫も、フィラリア症に感染する確率はゼロではありません。
蚊は少しの隙間からでも侵入できるため、窓や扉の開閉のタイミングで室内に入り愛猫を刺してしまう恐れがあります。
室内・室外飼育にかかわらず、愛猫の健康を守るためにフィラリア予防をしておきましょう。
従来は、蚊の活動シーズンに合わせてフィラリア予防がおこなわれていましたが、年々蚊の活動期間が延びていることから、通年予防が推奨されています。
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