保護犬がフィラリア陽性|飼うときの心構えと生活上の注意点

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保護犬がフィラリア陽性。飼うときの心構えと生活上の注意点

犬を家族として迎えるとき、保護施設から引き取るのは一つの選択肢です。

しかし保護犬をお迎えしたとき、そのワンちゃんが
「フィラリア陽性」と判明したら大変なショックです。

大事な家族ですから、ちゃんとしたケアを考えてあげたいものです。
フィラリア陽性であっても、ケアを受けながら日常を送れている犬はたくさんいます。

フィラリア陽性になってしまった犬を飼育中・預かり中の方、保護犬の引き取りをお考えの方にも役立つ、「生活上気を付けること」「検査・予防の重要性」をお伝えします。

そもそものフィラリア症について詳しく知りたい方は、コチラの記事をご参考にどうぞ。

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保護犬がフィラリア陽性と診断される確率は高い

保護犬がフィラリア陽性と診断される確率は高い

フィラリアは予防できる病気になっていて、飼い主さんたちも気を付けているので、最近では「フィラリアにかかる犬っているの?」と思われる方もいるかもしれません。
しかし、いまだに発生件数は少なくなく、保護犬だとフィラリア陽性となる確率は高くなってしまいます。

そのため、保護犬を飼い始めるときは必ずフィラリア検査を受けましょう
保護犬がどこから来るのか、詳しく知りたい方はコチラの記事を参考にどうぞ。

フィラリア陽性率が高くなる理由

フィラリアになってしまう要因は様々です。

・外飼い
・フィラリア駆虫薬を飲ませ忘れた(飲ませるのに失敗した)

保護犬は、飼育放棄や飼育環境悪化の末保護された犬ですから、以上の二つの要因が合わせて起こりやすい環境に置かれていました。
そのため、フィラリア陽性である確率が高いといえるのです。

屋外飼育、かつ3年間予防薬を投与していない犬がフィラリア陽性になるのは、なんと92%の確率です。

フィラリアの感染初期は症状が出ないことが多いため、今大丈夫そうでもフィラリアに感染している可能性は十分にあります。
保護犬は早めに適切な対処・治療に導いてあげなければならないといえるでしょう。

犬猫のフィラリアにかかる確率に関しては以下の記事に詳しく書かれています。

飼い始めには必ず検査!

「保護施設ではフィラリアは陰性と言われたのに、その後の検査で陽性になった」
保護犬を飼い始めた方からは、少なからずこういった声が上がります。

お迎えした後にフィラリア駆虫薬を飲ませ始める前には、直前の検査で陰性だったとしても、必ずフィラリア検査をしましょう

フィラリア検査では抗原検査が最も感度が高いです。
しかし、寄生虫が未成熟で、少数の場合は偽陰性になることもあります。
そのため「フィラリア陰性の保護犬だったはずが、陽性だった」ということが起こるのです。

犬を飼い始めの時はワクチン接種と一緒に、フィラリア予防薬を与えるのが一般的ですが、保護犬の場合注意が必要です

感染初期のミクロフィラリアが成虫になり、その成虫がミクロフィラリアを犬の体内にたくさん産み付けます。
その状態でもしフィラリア予防薬を飲むと、薬剤の成分が大量のミクロフィラリアを死滅させます。
投薬するとき注意が必要なのは、ミクロフィラリアが死滅した作用で、犬の体に深刻なアナフィラキシーショックをもたらし、最悪の場合死に至ることもあるからです。

そのため、保護犬を引き取ったら一ヵ月前後でフィラリア検査を受けさせるようにしましょう。

フィラリアの検査については以下の記事が参考になります。

フィラリア陽性の保護犬でも治療しながら飼育できる

フィラリア陽性の保護犬でも治療しながら飼育できる

犬を飼うと決めた飼い主さんはワンちゃんの幸せについてしっかりお考えでしょう。
フィラリア陽性の犬に合った環境を整えてあげたいですよね。

フィラリア陽性の元・保護犬を飼う場合、必ず適切な治療をしながら生活していくことになります。
そうすることで、陰転(陽性から陰性に転じること)することもあります

手術以外の治療であれば、飼い主さんの費用負担もそれほど大きくありません。

フィラリアの治療方法

フィラリア陽性となった際、犬の状況に合わせて治療法を選択していきます。

・外科手術
・駆除薬の投与
・温存療法(長期間の予防薬投与)
・対症療法(併発している症状の治療)

外科手術は強陽性といって、咳や失神などの強い症状が出ていて、かつ手術に耐えられる体力がある場合に限定されるため、滅多に選択されません。
駆除薬の投与もアナフィラキシーショックのリスクがあるため、あまり選択されません。
しかし、温存療法も大静脈症候群(VCS、ヴェナケバシンドローム)が起こる危険性と隣り合わせです。

ボルバキア治療

近年ではボルバキア治療という方法を適応する動物病院も増えてきているようです。
これはフィラリアの体内にいる細菌、ボルバキアを駆除する目的で、テトラサイクリン系の抗生物質を投与する治療法です。
体内の細菌が弱るとフィラリアも弱るので、それを利用してイベルメクチン系の駆虫薬で成虫を駆除します。

この方法だと、温存療法よりも治療期間を短くできる可能性があります

温存療法

フィラリア陰性だった保護犬が陽性になったという場合、保護施設や飼い主さんがすぐに気づかないわけですから、症状はほとんどみられません。
この場合、体内に成虫が少ないのであれば、治療は温存療法が選ばれやすいです。

温存療法は成虫の寿命を待つ方法です。
その間ミクロフィラリアだけに効果のある予防薬を月に一度、長期間投与し、これ以上成虫が増えないようにします。
ミクロフィラリアの死滅によるアナフィラキシーを防ぐために、同時にステロイドも投与します。

いつ成虫が後大静脈に移動するか分からないので、常に観察が必要です。

成虫の寿命は5~6年なので、治療は長期間に渡ります

投与するフィラリア予防薬は、ぽちたま薬局で扱っているものと同じです。

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治療にかかる費用

フィラリアの治療の中でも、温存療法は負担が最小限です。
最も費用と犬の体力が必要になるのが外科手術といえるでしょう。

東京都内の動物病院や、体験談を参考にして1ヵ月の費用を比較してみました。

治療法 1ヵ月の費用
(犬体重4kg~20kg)
内訳
温存療法 1,000円~6,000円 フィラリア予防薬
ステロイド薬
ボルバキア治療 6,000円~10,000円 抗生物質
フィラリア予防薬
ステロイド
外科手術 65,000円~80,000円 開腹手術
入院費用は含まない

※病院によって費用は変わります。

この他、定期的なフィラリア検査1,000円~6,500円程度が必要です。

保護犬一時預かりの場合

ボランティアで保護犬を一時預かりしていて、フィラリアの治療をしなければならないとき、治療費用は一時的に立て替えする場合があるかもしれません。

一般的に、治療費は保護団体が負担することになっているので、必ず事前に相談しましょう。

フィラリア陽性保護犬との生活で注意すること

フィラリア陽性保護犬との生活で注意すること

飼い主さんや、保護犬を一時預かりしている保護主さんは、フィラリア治療中は犬の体調には気を付けてあげなければなりません。
フィラリア陽性の犬の心臓はフィラリアに傷つけられているので、なるべく心臓に負担をかけないようにしましょう。

一度陽性になると元の健康状態に戻ることはないので、特に咳などの症状が出ている場合は注意して生活させてください。

体重管理や塩分の多い餌を避けるのはもちろんのこと、以下のことに気を付けましょう。

激しい運動は避ける

心臓に負担をかけるような、激しい運動は避けてください。
また、興奮を高めるような遊びも避けた方が良いです。
しかし、運動させないと肥満やストレスをかける原因になるので、散歩は推奨されています。

避けた方がいい運動
・全速力で走る
・ジャンプで高いところに登ったり降りたりする
・ボール投げ
・引っ張り合い
・水泳

推奨される軽い散歩の方法
・人間が小走りについていく程度の速度
・犬に合わせて30分~1時間程度
・犬が興味を示さないときは無理に散歩しない

気温の変化に注意する

暑さも寒さも動物の心臓に負担をかけます。
部屋の気温を適切な状態に保ってあげるようにしてください。

暑い季節に散歩に行く場合は、日差しや気温があまり高くならない時間帯を選んでください。

寒い季節の散歩であれば、屋外に出る前に寒さに体を慣らします。
体を温めるために服を着せても良いでしょう。

シャンプーしなければならない場合は、シャワーの温度をぬるま湯に調節することをおすすめします。

【参考】
日本動物医療センター|冬の健康注意報

まとめ

フィラリア陽性の保護犬との生活まとめ

1980年代は、犬がフィラリアにかかっていることは珍しくありませんでした。
フィラリアにかかったまま、気づかずに生活している犬もたくさんいたのです。
現在では治療法も考えだされていますし、フィラリア陽性でも、記事に挙げたように治療や生活に気を使いケアすれば、ワンちゃんは幸せに生きていくことができます。

記事の内容をまとめます。

・保護犬の場合フィラリア予防薬を飲ませる前にまず検査する
・フィラリア陽性でも犬に合った治療で問題なく生活できる
・心臓に負担が及ばないように生活環境を整える

飲ませ忘れ、外飼いによってフィラリアにかかる可能性はありますが、毎月予防薬を与えればフィラリアは予防できる病気ですので、フィラリア検査が陰性だったとしても予防は続けましょう
これまで苦労してきた保護犬ですから、これからもきちんとケアして幸せにしてあげたいですね。

ぽちたま薬局では、病院処方と同じフィラリア予防薬も扱っています。
どんなものがあるのか、気になる方はチェックしてみてください。

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