愛猫がFIP(猫伝染性腹膜炎)と診断され、84日間の長い治療を終えてホッとしていたのもつかの間。
また元気がなくなり、「もしかしてFIPが再発してしまったの?」と不安に思っている方もいるかもしれません。
ここでは、FIP再発の兆候や再発する確率、再発しやすい時期についてお話しします。
目次
猫FIPの再発について
猫がFIPを再発してしまう場合の症状やタイミング、そして再発率についてみていきましょう。
猫FIPが再発したときの症状
FIPが再発した場合、当初の診断と同じ症状があらわれるとは限りません。
まったく異なる症状が出ることもあります。
- 食欲がない、または食欲不振
- 元気がなく、ぐったりしている
- 体重が減ってきた
- 発熱している
- お腹が膨れてきた(腹水)
- 胸が苦しそう(胸水)
- 目が濁ってきた、変色した
- ふらつき、麻痺などの神経症状
FIPは早期治療がカギになります。
ちょっとした異変を察知したら、すぐに動物病院を受診しましょう。
FIPの症状は、こちらの「ウェットタイプとドライタイプごとのFIP症状」のコラムで詳しく紹介しています。
猫FIPが再発しやすい時期
FIPの再発は、治療終了後1ヶ月以内が多いといわれています。
とくに、治療の初期段階で神経症状が出ていた場合や、腹水・胸水が多かった場合は再発リスクが高い傾向にあるため要注意です。
治療を終えても油断せず、数ヶ月間は定期的に動物病院の健診を受け、猫の体調をよく観察することをおすすめします。
>>FIPの完治の基準については、記事後半で詳しく解説します。
猫FIPの再発率
FIPの再発率は数%未満と、総じて少ないといわれています。
国内の研究で報告されている再発率を詳しくみると、次のとおりです。
再発事例1
■再発率:2.1%(3例/141例)
■治療薬:ムティアン(Mutian)
■4週間以内に食欲不振、活動性低下、発熱、神経症状、腹水沈着、胸水などの複数の症状があらわれた
再発事例2
■再発率:0.1%(1匹/99匹)
■治療薬:GS-441524またはモルヌピラビル
■死亡した猫はGS-441524での治療後3ヶ月で再発はなかったが、治療終了114日後(投与開始から198日後)に貧血により死亡(FIPとの因果関係は明記なし)
いずれも再発率は極めて低く、適切な治療と経過観察が行われた場合、再発率は低く抑えられる傾向にあることがわかります。
しかし、再発率は0%とはなっておらず、残念ながら再発してしまうケースがあるのは事実です。
その場合には、もう一度治療をやり直すことになります。
そもそも猫FIPはなぜ再発するのか

猫のFIPは、再発する場合としない場合とがありますが、これらは一体なにが違うのでしょうか。
FIPが再発する場合に考えられる原因として、以下のものが考えられます。
治療期間が不足していた
FIPの治療期間は、一般的に84日間とされています。
これは体内のウイルスを完全に排除するために必要な期間であり、既定の期間より短くしてしまうと体内にウイルスが残って再び増殖し、再発の可能性が高まります。
ちなみに最近の研究では、42日間で治療が成功したとする事例も出てきています。
しかしながら、ウェットタイプ(滲出型)のFIPに限定しているなど、さまざまな条件の下で実施された研究であり、一概に42日間で完治することを示すものではありません。
あくまで獣医師の診断と十分な検査に基づいた判断に沿って、治療はしっかり最後まで継続すべきといえます。
投薬量が適切でなかった
FIP治療薬は、猫の体重や症状に合わせて適切な量を投与する必要があります。
投薬量が少なすぎるとウイルスの増殖を十分に抑えきれないことで、治療後の再発につながりかねません。
とくに、神経症状や目の症状が出ているケースでは通常よりも多めの投薬が必要になるため、投与量に注意する必要があります。
正しい投与量については、「モルヌピラビルの正しい投与量」のコラムをご覧ください。
投与方法が適切でなかった
FIP治療薬は、その性質上、投与方法が不適切だと薬効が低下し、再発を招く原因になり得ます。
■遮光性の問題
FIP治療薬(とくにモルヌピラビル)は光に弱く、遮光性のない袋や容器で保管すると有効成分が分解して効果が低下する可能性があります。
■懸濁の問題
粉末のFIP治療薬を水に溶かして与える場合、薬の成分が水に均一に混ざらず底に沈殿し、毎回正確な量を投与することが難しくなります。そうすると、薬効が十分に得られない可能性があります。
■飲ませ方の問題
お薬を嫌がって吐き出してしまったり、口の周りにお薬が付着して全量を服用できなかったりするケースがあります。
これらの要因により、見た目ではお薬を服用できたように見えても、実際には必要な量が吸収されておらず、結果として再発につながることがあります。
十分な検査をせずに治療を終了してしまった
FIP治療の終了を判断するには、血液検査やエコー検査で、炎症マーカーや臓器の状態、腹水・胸水がないかなどを確認する必要があります。
これらの検査を十分に行わず、症状がなくなったことだけで治療を終了してしまうと、まだ体内にウイルスが残っていたり、炎症が収まっていなかったりする可能性があります。
再発を防ぐためにも、治療を終了するときは、獣医師さんと相談しながら、検査による数値の裏づけをもとに判断することが重要です。
猫FIP再発時の治療と費用
もし愛猫のFIPが再発してしまったら、どうすれば良いのでしょうか。
ここでは、再発時の治療法と、気になる治療費について解説します。
猫FIP再発時の治療法

FIPの再発が確認された場合、以下のような方法を検討しながら再度治療を開始することになります。
- 治療薬の量を増やす
- 治療期間を延長する
- 別の治療薬に切り替える
FIP治療薬には次のようなものがありますが、再発時に使用する治療薬は、獣医師の診断などを踏まえて総合的に決定されます。
| 治療薬 | モルヌピラビル | レムデシビル | ムティアン (Mutian) |
CFN (CHUANFUNING) |
|---|---|---|---|---|
| パッケージ | ![]() |
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![]() |
![]() |
| タイプ | 錠剤 ※調剤が必要 |
注射薬 錠剤 液体 ※調剤が必要 |
錠剤 ※調剤が必要 |
錠剤 ※調剤が必要 |
| 効果 | 猫FIP治療(抗ウイルス薬) | |||
| 特色 | 他の薬と同様の効果・安全性があり、価格も安い新薬 | 海外での実績があり効果と安全が高いが、価格も高い | 効果と安全性は高いが、非常に高額 | |
| 治療費 | 約3~5万円 | 約60~120万円 | 約100~200万円 | |
| >>治療薬の詳細へ | >>治療薬の詳細へ | - | - | |
レムデシビル(GS-441524)による治療後に起きた再発では、レムデシビル(GS-441524)の量を増やして再度治療を行います。
再発時の治療期間は明確になっていませんが、12週間で治療に成功した事例が確認されているようです。
また、もうひとつの方法として、モルヌピラビルという別のお薬に切り替えて治療を再開するケースもあります。
モルヌピラビルは価格が1/10程度と安価で、レムデシビル(GS-441524)による治療を終えた後の再発時の治療薬としても推奨されています。
※いずれも需要の高いお薬であるため、一時的に在庫切れとなる場合がございます。ご容赦ください。
治療にかかる費用
FIPの治療費は、症状や治療期間によって大きく異なります。
■初回治療
84日間の治療でおよそ100万〜150万円
■再発時の治療
初回よりもお薬の投与量が増えたり、治療期間が延長されたりすることが多いため、初回治療と同等かそれ以上の費用がかかる
これらの治療費はあくまで目安で、使用する治療薬の種類などによって大きく変動します。
FIP治療費については、「FIP治療の費用相場」のコラムもぜひご覧ください。
猫FIP治療薬の個人輸入と費用
FIPの治療費は、ペットの治療の中でもとくに高額とされています。
そんなFIPが再発すれば、飼い主さんの経済的負担は計り知れません。
「それでも愛猫の命をあきらめたくない」
こうしたときに役立つのがFIP治療薬の個人輸入です。
とくにモルヌピラビルは費用を約1/10まで抑えられるとされ、さらにインド製のジェネリック医薬品を個人輸入すれば、治療薬の費用をさらに5万円ほどにまで抑えることができます。
コストの問題で治療をあきらめる前に、個人輸入についても一度ご検討ください。
猫FIPは完治する?その基準とは

FIPの完治(寛解)の明確な基準はなく、個々のケースによって判断は異なりますが、おおむね以下のような基準が検討されます。
- 血液検査の数値が安定している
- エコー検査などで、腹水や胸水が確認されない
- 臨床症状(発熱、食欲不振、体重減少など)がみられない
- 治療終了後、1年以上再発がない
3ヶ月〜半年ほど健診を継続して、数値の異常などがなければ完治したと判断されるケースが多いようです。
猫FIP治療後の寿命と、治療しない場合の余命
FIP治療が成功した猫の寿命は、健康な子の平均寿命(15歳前後)とほとんど変わりません。
一方、治療しない場合の致死率はほぼ100%とされ、発症から数週間~数ヶ月で死亡してしまうことがほとんどです。
FIPにはウェットタイプとドライタイプがありますが、それぞれの無治療時の余命は以下のとおりとされています。
| ウェットタイプ(滲出型) | 2~4週間 |
|---|---|
| ドライタイプ(非滲出型) | 2~6ヶ月 |
猫FIPを再発させないための過ごし方

FIPの治療を終え、寛解状態を維持するためには、飼い主さんが日々の生活で気をつけてあげることが大切です。
ここでは、再発を予防するためにできることについてお話しします。
定期的な健康チェック
治療が終了しても、定期的に動物病院で健康チェックを受けることが大切です。
- 血液検査
- エコー検査
肝臓や腎臓の数値、炎症マーカーなどを確認
腹水や胸水がないかを確認
これらの検査を定期的に行うことで、もし再発の兆候が見られた場合でも、早期発見・早期治療につなげることができます。
一般的に若い猫の健康診断は、年1回受けることが推奨されます。
しかしFIPにかかったことがある子は、数ヶ月に1回程度の健康診断を受けると安心です。
動物病院では春と秋に健康診断キャンペーンを実施していることが多いので、こうした機会を十分に活用しながら愛猫の健康を守りましょう。
免疫力を高める生活
FIPの再発を防ぐためには、愛猫の免疫力を高めてあげることがとても重要です。
- 栄養バランスの取れた食事
- 適度な運動
- 快適な環境
高品質なフードを選び、必要な栄養素をしっかり摂らせてあげましょう。
遊びの時間を作り、適度に体を動かしてストレスを発散させてあげましょう。
室内の温度や湿度を適切に保ち、身体的負荷の少ない環境を整えてあげましょう。
ストレスの少ない環境づくり
猫のFIPはストレスが原因で誘発されるとする見方もあります。
再発を警戒するうちは、引っ越しや新しいペットを飼うなど、愛猫にストレスがかかりやすい環境変化は避けた方が安心です。
- 引っ越しをして環境が変わる
- 部屋の模様替えで家具の配置が変わる
- 見知らぬ人が同居する
- 新しいペットを迎える
- ペットが多すぎて落ちつかない
- 工事や交通の騒音が大きい
- 室温や湿度が適切でない
- トイレや寝床が清潔でない
また、FIPは猫コロナウイルス(FCoV)に感染することが元々の要因となります。
こちらの「猫コロナウイルスに感染させないための方法」についてのコラムも、ぜひ参考にしてください。
猫FIPは治療後まもなく再発することがある
FIPの再発は治療後1ヶ月以内に起こることが多いとされますが、治療薬の進展もあり、再発率は数%未満と決して高くはない状況です。
もし再発してしまっても、レムデシビルやモルヌピラビルなどの治療薬を再度投与することで、元気を取り戻せる可能性は十分にあります。
しかしながら、FIPの治療でどうしても避けられないのがコストの問題です。
最近では費用を抑えながらFIP治療ができる土壌が整いつつあります。
私たち「ぽちたま薬局」は、お薬の個人輸入をサポートするという方法で、FIPと戦う猫ちゃんと飼い主さんを全力で応援します。
参考サイト(外部リンク)
- ・The treatment of feline infectious peritonitis (FIP) in the UK – an update FIP treatment protocols – what’s new?|BOVA
- ・Therapeutic Effects of Mutian® Xraphconn on 141 Client-Owned Cats with Feline Infectious Peritonitis Predicted by Total Bilirubin Levels
- ・GS-441524 and molnupiravir are similarly effective for the treatment of cats with feline infectious peritonitis
- ・Short Treatment of 42 Days with Oral GS-441524 Results in Equal Efficacy as the Recommended 84-Day Treatment in Cats Suffering from Feline Infectious Peritonitis with Effusion—A Prospective Randomized Controlled Study
- ・猫の病気「ストレス」|一般社団法人日本臨床獣医学フォーラム

ペットのお薬通販『ぽちたま薬局』スタッフです。
10年以上の犬の飼育経験と動物介護士の知識をもとに、ペットの病気やお薬の情報を発信します。

















