【猫FIP症状一覧】猫伝染性腹膜炎のウェットタイプとドライタイプの症状別解説

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猫FIPの症状とは?ウェットタイプとドライタイプごとの初期症状や発症時の余命を解説

猫伝染性腹膜炎(FIP)は、2歳以下の猫に多く見られ、治療をせずに放置すれば数週間で死に至る、死亡率ほぼ100%の病気です。

死の病として知られていましたが、この数年でFIPに有効な治療薬も登場し、治る病気へと変わりつつあります。

この記事では、FIPの詳しい症状や検査方法、費用の負担を軽減できる治療薬などを紹介します。

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猫FIPの初期症状

猫FIPの初期症状

猫のFIP(猫伝染性腹膜炎)にみられる初期症状には、以下のようなものがあります。

初期のFIPにみられる症状
  • 食欲がない
  • 元気がなく、ぐったりしている
  • 体重が減ってきた
  • 発熱している

好物のおやつを食べない、寝ている時間が増えるなど、いつもと違う様子がみられたら注意が必要です。

とくに発熱はFIPの典型的な症状とされ、39.7~41.1℃で持続することが多く、抗生物質も効きません

抱っこしたときや肉球を触ったときに、いつもより温かいと感じたら発熱の可能性があるため、早めに動物病院を受診しましょう。

ただし、これらの初期症状は他の病気でもよくみられるもので、これだけでFIPの診断を下すのは難しいのが現状です。

FIPの診断は、血液検査やレントゲン検査の結果などを踏まえて、総合的に行われることになります。


こうした症状をみるときに重要になるのが、猫FIPの症状は、おもに2つのタイプに分かれるということです。

【1】ウェットタイプ
【2】ドライタイプ

これら両方の症状が現れる『混合タイプ』を発症することもあります。

ウェットタイプとドライタイプは、それぞれに特有の症状がみられるのが特徴で、初期症状が現れてから数日~1週間程度で発現することが多いです。

近年登場したFIP治療薬は、こうした症状のタイプに応じて投与量が決定されます

投与量が適切でないとを完治しないケースもあるため、タイプの見極めが治療の大きなポイントとなるのです。

ウェットタイプ(滲出型FIP)の症状と特徴

ウェットタイプ(滲出型)のFIP特有の症状には、次のようなものがあります。

ウェットタイプFIPの特徴的な症状
  • 腹水が溜まる
  • 胸水が溜まる
  • 呼吸困難を起こす
  • 黄疸が出る
  • 貧血を起こす
  • 嘔吐・下痢を起こす

なかでも、腹膜炎や胸膜炎によりお腹や胸の内臓を覆う膜に炎症が起こり、水が溜まる症状が現れるのが大きな特徴です。

また、心膜に滲出液が溜まる心嚢水(しんのうえき)が生じることもあります。

ウェットタイプFIPでとくに注意すべき症状
  • 腹水
    腹膜炎によりお腹に水が貯まり、体重が落ちているのにお腹が膨らむ
  • 胸水
    胸膜炎により胸に水が貯まり、心拍数や呼吸数の増加する

猫FIPウェットタイプの症状

お腹や胸が膨らむので外見的にも症状がわかりやすく、これにより呼吸困難や下痢・便秘の症状が出ることもあります。

他の病気であまり見られない特徴的な症状があるので、ウェットタイプのFIPは診断しやすいと言われます。

しかし、FIPウイルスが腹水や胸水の中に拡散して存在するため全身に広がりやすく、2~3週間で命を落とすなど、進行が非常に早いという特徴があります。

症状は重篤ですが、抗ウイルス剤が効きやすい形態の症状なので、早期発見によりFIPが完治する確率が高いタイプです。

ドライタイプ(非滲出型FIP)の症状と特徴

ドライタイプ(非滲出型)のFIP特有の症状は、『肉芽腫(にくげしゅ)』と呼ばれる小さなしこりです。

この肉芽腫がどの臓器にできるかで、現れる症状が異なります。

ドライタイプFIPの特徴的な症状
  • 肝臓・腎臓
    肝機能・腎機能の低下や、臓器が膨らむ腫大(しゅだい)がみられる

  • ぶどう膜炎による白目の充血や縮瞳(瞳が小さくなる)が起こり、進行すると失明することもある
  • 脳・脊髄
    眼振(眼球が小刻みに揺れる)や斜頸(頭が斜めに傾く)、けいれん発作などの神経症状が出る

猫FIPドライタイプの症状

FIPウイルスに感染すると、免疫反応により肉芽腫を形成することがあります。

肉芽腫は、血流が制限されている(免疫がウイルスを閉じ込めている)状態。
これにより進行が遅くなる反面、薬剤の到達効率が低下し、治療薬の用量を増やす必要が出てきます。

また、FIP特有のわかりやすい症状がないため診断が難しく、発見が遅れるケースが多くあります。


FIPの2つのタイプの特徴をまとめると、以下のようになります。

FIPの種類 ウェットタイプ
FIPウエットタイプ
ドライタイプ
FIPドライタイプ
症状 腹水や胸水の貯留
・呼吸困難
・黄疸
・貧血
・嘔吐
・下痢
肉芽腫性炎症による症状(運動失調や腎障害、肝障害や消化器症状、ブドウ膜炎)
診断の難しさ 易しい 難しい
余命 約2~4週間 約2~6ヶ月

猫FIPを発症した場合の余命

猫がFIPを発症した場合、ウェットタイプとドライタイプで症状が進行する早さが異なります。

腹水や胸水を通じてFIPウイルスが全身に広がりやすいウェットタイプは進行が非常に早く、逆に免疫反応によりFIPウイルスを肉芽腫内に閉じ込めるドライタイプでは進行が遅くなります。

そのため、無治療の場合の余命も、症状タイプによって異なります。

FIPの種類 ウェットタイプ ドライタイプ
余命
※無治療の場合
約2~4週間 約2~6ヶ月

どんな猫がFIPを発症しやすい?

FIPは、とくに1歳以下の若い猫で発症が多く見られます
免疫力がまだ発達していない3ヶ月~3歳までの若い猫や、10歳以上の高齢猫でリスクが高まるため注意が必要です。

また、ストレスや他の感染症が引き金となってFIPを発症するとの見方もあるため、日ごろからのストレスケアや感染症予防が大切になります。

さらに一度FIPにかかってしまうと、再発して治療が長引くケースも。FIPの再発については、「猫FIPは再発する?」のコラムで詳しく解説しています。

猫のFIPは、人や同居猫にうつる?

FIPは、猫の体内で猫腸コロナウイルス(FECV)が突然変異して、猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)になることが原因で発症します。

猫のFIPは人や猫にうつるのか

FIPの発症原因になる猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)自体は、猫から猫、猫から人にうつることはありません

しかし、猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)の元となる猫腸コロナウイルス(FECV)は、猫から人にはうつらないものの、猫から猫にうつります

猫腸コロナウイルス
(FECV)
猫伝染性腹膜炎ウイルス
(FIPV)
猫から猫 うつる うつらない
猫から人 うつらない うつらない

猫腸コロナウイルス(FECV)は病原性が低く、感染しても無症状の場合がほとんど。

47.7%の猫が猫腸コロナウイルス(FECV)に感染しているというデータがもあり、多くの猫が保有しているウイルスになります。

この猫腸コロナウイルス(FECV)が体内で突然変異する原因は解明されていないため、FECVの感染対策をすることがFIPの唯一の予防法と言えます。

猫腸コロナウイルス(FECV)の感染対策については、こちらのコラムで詳しく解説しています。

猫FIPの診断・検査方法

猫のFIPはウェットタイプとドライタイプで症状が異なることに加えて、他の病気との判別が難しく、確定的な診断ができないことも少なくありません。
診断が難しいFIPですが、以下の検査を組み合わせて診断が行われます。

■血液検査
貧血や白血球数の増加、血清タンパクの上昇、黄疸の有無を確認する。

■蛋白分画検査
血清総タンパク質濃度が上昇していないか、アルブミン値とグロブリン値の比が低下していないかを確認する。

■α1AG(α1酸性糖蛋白)
急性炎症によって、血中に増加する急性相血清タンパク質を調べる。
値が高いほど、FIPの可能性が強まる。

■コロナウイルス抗体価
コロナウイルス抗体価が高くないか確認する。
しかしFIPVだけではなく、病原性が低いFCoVに対する抗体も含まれるので、他の検査も実施して総合的に判断する。

■画像(レントゲン・超音波)検査
ウェットタイプのFIPで起こる、胸水や腹水の症状がないか確認する。
また、超音波検査はドライタイプで見られる肉芽腫性病変などの検出に優れている。

■コロナウイルス遺伝子検査
PCR検査を用いて、ウイルスを検出する。
ウェットタイプで胸水や腹水がある場合は、粘稠性のある薄黄色の液体を採取。
ドライタイプなど、確認できないケースでは血液を採取する。
非常に正確な検査方法だが、ドライタイプは診断が難しいので、試験的に薬を投与した反応で判断する場合もある。

猫FIPの治療

FIPは、以前まで治療法や治療薬がなく、死亡率がほぼ100%の病気でした。

しかし、近年は有効な治療薬も出ており、「FIPは治る病気」になっています。

猫FIPに有効な治療薬
  • 『ムティアン』『CFN』
    効果が高い「GS-441524」をもちいた治療薬
  • レムデシビル
    体内で「GS-441524」に変化する治療薬
  • モルヌピラビル
    2023年にFIPへの有用性が示された新しい治療薬

『ムティアン』や『CFN』などは100万円以上の高額な治療費が求められますが、『モルヌピラビル』は費用を大きく抑えられることが最大のメリットです。

猫FIP治療薬の治療費

『モルヌピラビル』の国内正規品は10~30万円程度で、『ムティアン』などの治療薬の1/10ほど。
さらに、『モルヌピラビル』のジェネリック医薬品を使用すれば、3~5万円ほどの治療費に抑えられます。

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FIP治療薬については、最新のFIP治療薬の解説コラムや、モルヌピラビルの投与方法の解説コラムをご覧ください。


疑わしい症状があればすぐに病院へ

猫のFIP(猫伝染性腹膜炎)は、主にウェットタイプとドライタイプに分けられます。

しかし、初期症状はどちらも特異的ではないため、判断することは困難です。

さらに、FIPは猫や人にうつることはありませんが、猫腸コロナウイルスは猫同士でうつる可能性があります。

とくに、多頭飼いしている家庭は感染リスクが高いため、対策してあげることが重要です。

FIPは新しい治療薬で治せるため、愛猫に異変が見られるときはすぐに動物病院を受診しましょう。

参考サイト(外部リンク)

  • 猫の伝染性腹膜炎
  • 家庭猫における猫免疫不全ウイルス抗体,猫白血病ウイルス抗原および猫コロナウイルス抗体の陽性率
  • 2022 AAFP/EveryCat Feline Infectious Peritonitis Diagnosis Guidelines [英語]
  • 犬猫などペットの薬通販「ぽちたま薬局」

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