「犬が人間の薬を飲んでしまった…」
そんなときは、獣医師さんに相談するのがベストです。
とくに人間用の市販薬の中には、犬にとって死亡リスクがあるものがあります。
この記事では、愛犬が誤飲したときの対処法や、とくに注意すべき市販薬を紹介します。
目次
犬が薬を誤飲したときの対処法
犬がお薬を誤飲してしまったときは、まず獣医師さんへ相談することが大切です。
人間用の医薬品だけでなく、犬用のお薬を余って大量に飲んでしまったときも同様です。
獣医師さんに連絡する際は、以下の情報をまとめて伝えましょう。
・飲んでしまった医薬品名
・誤飲した量
・誤飲した時間
・誤飲後に見られる症状(排泄物や吐しゃ物の色や形など)
病院に行くことになった場合は、誤飲したお薬や排せつ物も持参できるとベターです。診断の参考になります。
こんな症状があったらすぐに動物病院へ
誤飲した後に次のような症状が認められる場合は、緊急性が高い可能性があります。
ただちに獣医師さんに連絡しましょう。
- 元気がない
- 吐き気がある様子や嘔吐を繰り返す
- 食欲がない
- 下痢や血便
- よだれが多い
- 呼吸が早い
とくに、お薬の包装シートを一緒に飲み込んでいる場合は、消化器官が傷ついている危険があるため、適切に対処する必要があります。
とにかく愛犬の様子が普段と違うときは、かかりつけの動物病院や救急診療に対応している病院に連絡しましょう。
病院へは1時間以内に連れていくのがベスト
動物病院へは、誤飲してから1時間以内に連れていくのがベストです。
誤飲した場合、病院では催吐剤を用いて犬に吐かせる処置をすることが多いですが、この処置ができるのは30分~1時間以内が目安になります。
とはいえ、すぐに連れていけないことも多いですし、症状が出るまで時間がかかって、気づくのが遅れるといったケースも珍しくありません。
このような場合でも、異変に気づいたら早め早めに動物病院へ連絡するようにしましょう。
飼い主さんの冷静な対処が、愛犬の命と健康を守ることになります。
犬が誤飲すると死亡する可能性のある薬
どのお薬にも危険性はありますが、このうち犬の中毒症状が報告されている、とくに注意したい人間用のお薬を紹介します。
犬の死亡例もあるため、これらのお薬は細心の注意を払って管理しておきましょう。
アセトアミノフェン(『バファリンプレミアム』など)
人間の解熱鎮痛剤として広く用いられるアセトアミノフェンは、犬の死亡例が報告されている成分です。
犬が誤飲するとアセトアミノフェン中毒といわれる中毒症状を起こすことがあり、1~4時間ほどで顔や足のむくみ、よだれ、貧血などの症状があらわれます。
致死量とされるのは、3週齢までの子犬で600mg/kg以上、7~8ヶ月齢の成犬で1,000~2,000mg/kgで、それぞれの医薬品に換算すると以下の用量となります。
アセトアミノフェンを含む市販薬と致死量(3kgの成犬で試算) | |
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医薬品名・製品名 | 危険な量の目安 |
カロナールA | 10錠 |
バファリンプレミアム | 46錠 |
新セデス錠 | 37錠 |
ノーシン錠 | 20錠 |
パブロンゴールドA<微粒> | 10包 |
なお、上記は成分単体の配合量で簡易計算したものであり、100%正確ではないため、あくまで参考程度にとどめてください。
仮に上記の量より少なくても、複数の成分が相互作用することで、影響が強くなる可能性もあります。
犬が誤飲した、あるいは誤飲した可能性がある場合には、ただちに獣医師さんに相談してください。
参考
動物用医薬品評価書「アセトアミノフェン」(外部リンク)
プソイドエフェドリン(『パブロンセレクトN』など)
プソイドエフェドリンは、風邪薬や鼻炎薬に配合されている成分です。
犬が誤飲してしまうと、高体温・高血圧の症状や、興奮して落ち着かない、頭を上下に動かすなどの症状が見られることがあります。
この成分の恐ろしいところは、10~12mg/kgほどの少量であっても、死亡リスクを否定できないことです。
プソイドエフェドリンを含む市販薬と致死量(3kgの成犬で試算) | |
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医薬品名・製品名 | 危険な量の目安 |
パブロンセレクトN | 1錠 |
ベンザブロックL | 1錠 |
アネトン アルメディ鼻炎錠 | 1錠 |
これらの用量も、あくまで目安です。
少量であっても影響が大きくなる可能性があるため、早急に獣医師さんに相談しましょう。
参考
d-Pseudoephedrineの気管筋・循環器系に対する作用(外部リンク)
イブプロフェン(『イブA錠』など)
イブプロフェンは、頭痛薬などの解熱鎮痛剤に広く用いられています。
アセトアミノフェンと並んで、頭痛や生理痛のときに服用する人が多い成分です。
この成分は、誤飲したのが少量であれば、軽度の消化管症状で済むことが多いようです。
しかし100 mg/kg以上になると腎臓に障害が起こる可能性があり、さらに300 mg/kg を超えると死亡するケースも報告されています。
イブプロフェンを含む市販薬と致死量(3kgの成犬で試算) | |
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医薬品名・製品名 | 危険な量の目安 |
イブA錠 | 12錠 |
ノーシンピュア | 12錠 |
イブクイック頭痛薬 | 12錠 |
上記の量もあくまで目安です。
犬が多量摂取した場合には死亡リスクもあるため、注意しましょう。
どんな薬でも危険性はある
ここまで紹介したお薬以外であっても、飲み方を誤れば危険性はあります。
人間用の医薬品の中には、ペットに使用されるものもあり、比較的副作用が少ない種類もあります。
とはいえ、誤って多く飲んでしまうと犬の健康を害する恐れがあるため、十分に注意する必要があります。
たとえ愛犬用に処方されたお薬であっても、用量を誤ると危険です。
お薬はペットがいたずらできない場所で保管するなど、徹底して管理するようにしてください。
ロキソニンは危険?
頭痛持ちの強い味方であるロキソニンは、常備薬として持っている人も多いお薬です。
万が一、ロキソニンを犬が誤飲した場合には、潰瘍や粘膜のびらん、吐血などの消化器症状や、これに伴う出血や貧血が見られることがあります。
ただちに死亡したとする報告はありませんが、副作用は報告されているため注意しておきましょう。
参考
急性毒性、亜急性毒性に関する資料(外部リンク)
薬を誤飲した犬を無理に吐かせるのはNG
もし犬がお薬を誤飲しても、自宅で無理に吐かせるのは避けてください。
インターネットで検索すると、「食塩を飲ませて吐かせる」という方法を見かけますが、うまく吐かせられないと中毒症状を引き起こす恐れがあるため危険です。
また、「オキシドールを使用する」という方法も、食道を荒らすため避けてください。
獣医師から指示があった場合を除き、飼い主さんの自己判断で無理に吐かせるのはやめましょう。
様子を見てもよいケース
誤飲した量が極めて少なく、ひとしきり吐き終わって元気そうにしているなら、様子を見てもよいというケースもあります。
とくに夜間で対応してもらえる病院がないときなどは、一晩様子を見て病院に連れていくという選択でもよいかもしれません。
しかし、少しでも気になる症状があるときは、プロに相談することをおすすめします。
ペット保険には、24時間の緊急相談サービスが付帯していることもあります。
どうしても病院が見つからない場合は、こうしたサービスを利用してもよいでしょう。
犬の誤飲を防ぐ方法
犬がお薬を誤飲してしまうのを防ぐために、次のような対策を試してみてください。
・部屋を片付ける
・犬が届く場所にお薬を置かない
・お薬は鍵付きの引き出しや箱に保管する
・留守番時は犬をゲージに入れる
誤飲を防ぐ対策は、部屋を片づけることが第一です。
とくに常備薬は、できれば鍵付きの箱などに入れ、犬が届かない場所や犬が入れない部屋に保管しておくようにしましょう。
どうしても片づけきれないときは、飼い主さんの目が行き届かない留守番の間だけでも、ケージで過ごさせるようにできると安心です。
なお、お薬以外にも危険なものとして、チョコレートがあります。
チョコレートの誤飲を防ぐ方法は、こちらのコラムも参考にしてください。
犬が薬を誤飲したらすぐに獣医師へ相談しよう
万が一、犬が人間の薬を飲んでしまったら、すぐに獣医師さんに相談するのが基本です。
人間用の市販薬に使われる成分の中には、犬の死亡例が報告されているものもあります。
とくに頭痛や発熱、生理などのときによく使われる解熱鎮痛剤には、犬にとって危険な成分を含んでいる医薬品が多いです。
思わぬ誤飲を防ぐためにも、お薬は犬の手が届かない場所に保管するなど、徹底して管理するようにしましょう。
ペットのお薬通販『ぽちたま薬局』スタッフのブログです。
このブログではペットのご飯を中心にペットの健康について考えたいと思います。