とうもろこしの芯・ヒゲ・皮・葉は、猫に与えないでください。猫は犬より体が小さく、のどや腸に詰まりやすくなります。
加熱した粒は、味付けをせず少量であれば問題ありません。中毒を起こす成分は含まれていません。
ただし、とうもろこしは猫が必要とする食べ物ではありません。与えなくても何も困りません。

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目次
猫がとうもろこしの芯やヒゲを食べてしまった時に確認する3つのこと
まず落ち着いて、次の3点を確認してください。動物病院に連絡するとき、そのまま必要な情報になります。
① 何を、どのくらいの大きさで飲み込んだか
最も重要な確認事項です。粒を数個飲み込んだ場合と、芯をかじり取った場合ではまったく意味が違います。
米国の動物医療センターMSPCA-Angellの画像診断科は、とうもろこしの芯について閉塞を起こしやすい異物であり、生のとうもろこしが出回る夏から初秋にかけて多いと説明しています。細かく噛み砕かれていれば通常の消化物と区別がつかず問題になりにくい一方、原型をとどめたまま飲み込まれた場合はレントゲンではっきり写る、とされています。
猫は犬と違って大きな塊を丸飲みすることは多くありませんが、体が小さいぶん、同じ大きさの破片でも詰まりやすくなります。子猫であればなおさらです。
② ヒゲや皮は「ひも状のもの」として扱う
とうもろこしのヒゲと皮は、細長い繊維です。猫では、ひも状のものの誤飲は特に危険とされています。
ひも状の異物は、一方の端が舌の付け根などに引っかかったまま、もう一方が腸へ送られていくことがあります。すると腸が手繰り寄せられるように縮み、腸壁が傷つくおそれがあります。MSPCA-Angellも、ひも状の異物が猫で問題になりやすいことを挙げています。
ヒゲや皮を飲み込んだ可能性がある場合、口の中や舌の下を無理に引っ張って確認しないでください。引っかかっているものを引くと、かえって傷を広げます。そのまま動物病院へ連絡してください。
③ いつ食べたか
食べた時刻をはっきりさせておいてください。直後であれば処置の選択肢が広がります。残っているとうもろこしがあれば、どのくらい欠けているかを見るために取っておいてください。

- 繰り返し吐く/吐こうとして何も出ない
- ごはんを食べない、水も飲まない
- 便が出ない、または下痢が続く
- よだれが多い、口を気にする、飲み込みづらそうにする
- じっとして動かない、隠れて出てこない
ヒゲや皮を飲み込んだ可能性がある場合は、症状がなくても相談してください。
猫は具合が悪いことを隠します。「いつもの寝床にいない」「呼んでも来ない」といった変化も、体調不良のサインです。
症状はすぐに出るとは限らない
食べた直後に元気にしていても、安心はできません。
アメリカ食品医薬品局(FDA)は、異物が胃や腸に詰まった場合について、症状がすぐには出ないことがあると注意を促しています。数時間から数日後に、嘔吐、下痢、元気がなくなる、食べたがらないといった症状が現れることがあります。
そのため、その場で何ともなかったとしても、数日は便と食欲を確認してください。
参考:U.S. Food and Drug Administration「Keep Your Dogs and Cats Safe From Holiday Hazards」(外部リンク)
参考:MSPCA-Angell「Radiographic Appearance of Common GI Foreign Bodies in Dogs and Cats」(外部リンク)
猫にとうもろこしを与えていい量の目安
「何粒まで」と調べられることが多いのですが、粒の大きさは品種でかなり違うため、粒数で決めるのは正確ではありません。重さで見てください。
世界小動物獣医師会(WSAVA)は、おやつや主食以外の食べ物を1日に必要なカロリーの10%未満に収めることを推奨しています。ここから逆算します。
文部科学省の日本食品標準成分表(八訂・増補2023年)によると、ゆでたスイートコーン(未熟種子)は可食部100gあたり95kcalです。
| 体重別・1日に与えていいとうもろこしの上限 | ||
|---|---|---|
| 体重 | おやつ枠 | ゆでた粒 |
| 3kg | 約19kcal | 約20g |
| 4kg | 約24kcal | 約25g |
| 5kg | 約28kcal | 約30g |
| 6kg | 約32kcal | 約34g |
算出方法:安静時エネルギー要求量(RER)=70×体重(kg)の0.75乗、1日に必要なカロリー=RER×1.2(避妊去勢済みの健康な成猫の係数。Merck Veterinary Manual による)として計算し、その10%をとうもろこしのカロリー(95kcal/100g)で割ったものです。
同じ体重で比べると、猫の上限は犬より少なくなります。猫は避妊去勢後の必要カロリーがRERの1.2倍、犬は1.6倍とされているためです。犬用の目安をそのまま猫に当てはめないでください。

この数字は「上限」であって「目標」ではありません
おやつ枠をすべてとうもろこしで使い切った場合の上限です。ほかにおやつを与えている日は、そのぶん減らしてください。
そもそも猫がとうもろこしを食べる必要はないので、上限まで与える理由はまったくありません。ほしがったときにひとつまみ、で十分です。
腎臓や心臓に持病のある猫は、与える前に確認を
猫は年齢とともに慢性腎臓病になることが多い動物です。療法食でリンやカリウムを管理している猫には、自己判断でとうもろこしを与えないでください。
ゆでたスイートコーン100gあたりの数値は次のとおりです(日本食品標準成分表 八訂・増補2023年)。
| ゆでスイートコーン100gあたり | |
|---|---|
| エネルギー | 95kcal |
| リン | 100mg |
| カリウム | 290mg |
| マグネシウム | 38mg |
| 食物繊維 | 3.1g |
4kgの猫の上限である25gなら、リンは約25mg、カリウムは約73mgです。数字だけ見れば小さく思えます。
ただし、療法食によるリン制限は「1日の総量」で設計されています。おやつから入る分も、その総量に加算されます。健康な猫では気にする必要はありませんが、腎臓病の療法食を食べている猫では、主治医に確認してから与えてください。
Merck Veterinary Manual も、カルシウム・リン・ナトリウム・マグネシウムの摂取量の調整は、特定の病気を管理する療法食でよく行われていると述べています。
心臓病でナトリウム制限を受けている猫も同様です。とうもろこし自体のナトリウムはごくわずかですが、味付けしたものは論外です。
猫にとって、とうもろこしは栄養になるのか
「ビタミンやミネラルが豊富だから猫にもいい」という説明をよく見かけます。ここは整理しておきます。
炭水化物は猫の必須栄養素ではない
Merck Veterinary Manual は、ブドウ糖は体内で糖新生によってアミノ酸や脂質から作られるため、成犬・成猫では食事由来の炭水化物は必須栄養素とはみなされないとしています。
一方で同じ資料は、加熱したデンプンは犬猫とも90%以上の効率で消化できるとも述べています。猫は複合炭水化物を適度に摂ることには適応しており、血中にゆっくりブドウ糖が入る形であれば問題にならない、という記述です。
つまり「与える必要はないが、加熱してあれば消化はできる」が正確なところです。「猫には炭水化物が必要」でも「猫に炭水化物は毒」でもありません。
猫に必要な栄養は、とうもろこしからは摂れない
猫は真性肉食動物(obligate carnivore)に分類されます。タウリン、アラキドン酸、ビタミンA、アルギニンなど、猫が必要とする栄養素のいくつかは動物性の材料にしか含まれていません。
特にタウリンは重要です。Merck Veterinary Manual は、植物性のたんぱく源にはタウリンが含まれていないため、猫の食事には動物性のたんぱく源が必要だと述べています。タウリンが不足すると、拡張型心筋症や網膜の変性が起こることが知られています。
とうもろこしにタウリンはありません。「栄養を摂らせるために食べさせる」理由は、猫にはないということです。
参考:Merck Veterinary Manual「Nutritional Requirements of Small Animals」(外部リンク)
なぜ猫はとうもろこしを欲しがるのか
とうもろこしを茹でていると寄ってくる猫は、確かにいます。人間が食べていると欲しがる猫もいます。
よくある説明は「甘いから好き」ですが、猫は甘味を感じません。
2005年にPLOS Geneticsに発表された研究で、その理由が分子レベルで説明されています。哺乳類の甘味受容体は、T1R2とT1R3という2つのたんぱく質が組み合わさってできています。猫ではT1R2をつくる遺伝子(Tas1r2)が壊れており、機能する甘味受容体を作れません。
研究チームは、この遺伝子がイエネコ6頭すべて、さらにトラとチーターでも同じように壊れていることを確認しています。ネコ科の動物に共通する特徴だということです。
同じ研究は、猫の味覚が甘味以外は他の哺乳類と同じように働いており、アミノ酸に対しては嗜好性を示すことにも触れています。猫が反応しているのは「甘さ」ではないわけです。
では何に惹かれているのか。ここから先は推測になりますが、茹でたてのにおいや湯気、粒の食感、そして飼い主が食べているものへの興味あたりが実際のところだと思われます。猫が「いま自分が食べているものを欲しがる」のは、食材そのものより行動への関心であることが少なくありません。
「とうもろこしアレルギー」は本当か
穀物アレルギーを持っている猫はいます。初めて与えるときは、ごく少量にして体調の変化を見てください。皮膚のかゆみ、下痢、嘔吐が出た場合は中止して獣医師に相談してください。
そのうえで、頻度としてどのくらいなのかを見ておきます。食物アレルギーが確認された猫78頭について、原因食材を集計した研究があります。
| 猫の食物アレルギーの原因食材(78頭) | |
|---|---|
| 牛肉 | 14頭(18%) |
| 魚 | 13頭(17%) |
| 鶏肉 | 4頭(5%) |
| 小麦 | 3頭(4%) |
| とうもろこし | 3頭(4%) |
| 乳製品 | 3頭(4%) |
とうもろこしは4%で、最も多いのは牛肉と魚でした。「穀物だからアレルギーが多い」という前提は、このデータとは合いません。キャットフードを穀物不使用にすれば food allergy を避けられる、という考え方にも根拠があるとは言えません。
ただし3頭では実際に起きています。頻度が低いことと、うちの子が大丈夫なことは別の話です。初回は少量から、という原則は変わりません。
なお、この研究の著者自身が、集計元では限られた食材でしか検査しておらず実際の頻度はこれより高い可能性があると述べています。参考値として読んでください。
与えるなら、この形で
- 粒だけを外す。芯・ヒゲ・皮・葉は猫の届かないところへ
- 必ず加熱する。生はセルロースの細胞壁を分解できず消化できない
- 茹でるときに塩を入れない。バターも醤油も使わない
- 薄皮が気になる場合は、刻むかすりつぶす
- 缶詰のコーンは避ける。食塩が加えられているものが多い
- 初めてなら数粒だけにして、その日のうちに様子を見る
- 食べ終わった後の芯を、テーブルや流しに放置しない
まとめ
- 芯・ヒゲ・皮・葉は与えない。猫は体が小さく詰まりやすい
- ヒゲと皮はひも状の異物。飲み込んだら症状がなくても相談を
- 加熱した粒は少量なら問題ない。味付けはしない
- 量は体重で決める。4kgで約25g、5kgで約30gが1日の上限
- 腎臓病の療法食を食べている猫は、主治医に確認してから
- 炭水化物は猫の必須栄養素ではない。タウリンはとうもろこしからは摂れない
- 猫は甘味を感じない。惹かれているのは甘さではない
- アレルギーの原因としては4%。最多は牛肉と魚
とうもろこしを茹でていると、足元にやってきてじっと見上げてくる。あの顔をされると、つい少し分けたくなりますよね。
粒をひとつまみなら構いません。気をつけるのは、食べ終わった後の芯とヒゲの行き先だけです。

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